【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
いつものように、扉が開いて、部屋にラポルタが入ってきた。
顔は扉側を向いていないが、足音でわかる。
だが、いつになく機嫌がよさそうだ。それもまた、足音だけでわかるようになってしまった。
しかし、なぜ、機嫌がいいのだろう?
このところ、顔を見るたびに、ロウの名を引き合いに出して、ロウに比べれば粗珍だと罵倒してやっている。
だから、この数日は、やって来るたびに不機嫌さが倍増した感じだっただけに、ラポルタが嬉しそうにしているのが不思議だ。
まあ、どうでもいいが……。
「おはようございます、サキ様。ご機嫌はいかがですか?」
ラポルタがサキの正面に回ってきた。
「しゃ、しゃいあく……じゃな……。そ、そひん、ひゃろう……」
“最悪だ……。粗珍野郎……”
そう罵倒したが、やはり舌がうまく動かず、舌足らずの口調では悪態もさまにならない。
だが、かすかにラポルタの顔が屈辱に歪むのがわかった。
それがわかって、サキの溜飲も少しさげる。
いずれにしても、この悪態の罵り合いをもって、その日の調教という名の拷問が開始されるのだ。
しかし、この二日については、拷問にも屈しないサキの悪態のせいか、ラポルタの一物が萎え気味であり、昨日などは昼過ぎから顔を出すこともなかった。
ただ、ラポルタの精を口にしない限り、飢えも渇きも際限なくサキを苦しめる暗示をかけられており、その苦悶は想像を絶するものである。
しかし、かなり慣れてもきた。
継続する苦痛というのは、存外に心に耐性ができていくものだ。
また、視力は戻されている。
もっとも、ラポルタの指鳴らしひとつで、消えてしまう限定的なものだ。このところ、視力に限らず、一度失わせて感覚を戻すことも、サキの「調教」の手段として使っているのだ。
視力を戻すのも、むしろ、視力がないことに慣れさせないためらしい。
今日のサキは、夕べから頭の髪を束ねられて天井から吊られていた。
そして、そのサキの生首の下のテーブルには、ひと晩で夥しいほどの汗と涎が大きな水の染みを作っている。
それは、このラポルタが昨日ここを立ち去るときに残した仕掛けのせいだ。
サキの首が吊り下げられている下には、小指の先くらいの大きさの白い球体が小さな四角い箱に入れられており、その白い球体はラポルタにより、箱の内側にある柔らかな刷毛によって、絶えずくすぐられているのだ。
そして、球体の感覚は、サキのクリトリスへの刺激に同調するように魔道をかけられた。
ラポルタは、これを“くり箱”と称して立ち去っていた。
つまりは、その球体がいまは存在していないサキの身体のうちのクリトリスの感覚にされており、そのためラポルタに放置されていた昨日の昼間からずっとクリトリスを刺激されて放置されている状態と同じことになっているというわけだ。
もともと、全身の感度を際限なくあげられていることもあり、サキはこれにより、もう何十回も絶頂の感覚を頭に送られているのだ。
しかも、さらに、サキはラポルタの男根でないと絶頂できないようにもいじくられているので、絶頂しているのに、絶頂感だけがないという苦悶を延々と受け続けていた。
首の下に落ちている汗と涎は、その苦悶によるものだ。
「でも、相当にお愉しみのようじゃないですか。どうですか? 絶頂したいんじゃないですか? いまのサキ様は、私のちんぽでないと絶頂できないのですからね」
ラポルタが箱の中から球体を取り出した。
そして、サキの頭くらいの位置からテーブルに向かって、球体を落とした。
「ほごおおおっ」
股間を鈍器で殴られたような衝撃が走り、サキは思わず悲鳴をあげた。
いまのサキには、この球体がクリトリスだ。
球体に与えられるすべての衝撃は、クリトリスへの攻撃同様なのである。
しかも、球体は本物の肉体と同じくらいに弾力もあるので、何度か跳ね返って、とんとんとテーブルの床を跳ねる。
そのたびに衝撃が加わり、サキは呻き声を吐いてしまう。
「いい声でお泣きですね。ほら、もう一度です」
ラポルタがテーブルの上から球体を拾い、再び高い位置からテーブルに落とす。
「んごおおっ」
再び強い激痛の衝撃にサキは悶絶の声をあげてしまう。
「ははは、どうですか? そろそろ、俺に屈服したくなったんじゃないですか? 俺に屈服を誓えば、もう少し優しく扱ってあげますよ」
「ひゃ、ひゃまれ──。ひゅ、しゅろの……しぇ、しぇめれ、なければ……わひは、くっふくらの、せんろ……」
“黙れ。
どうしても、舌を出しっぱなしでなければ、息ができないようになっているので、言葉が舌っ足らずになってしまう。舌を口の中に戻して、息を我慢すれば、ある程度の発音もできるが、責め続けられたいまの状態では、それも苦しくて耐えられない。
実は、それも屈辱だ。
しかし、ちょっとでもそれを態度に出すと、ラポルタが喜ぶので、意地でも屈辱を外に出すものかと、サキも頑張っているのである。
「ま、また、その名前を出しますか……」
すると、ラポルタの顔が怒りで歪んだのがわかった。
相変わらず、サキがロウのことを口にするたびに、ラポルタは口惜しそうな表情になる。
それで、サキの心の多少は慰められた。
もっとも、怒らせれば、サキに対するラポルタの仕打ちは、さらに過激にもなる。
夕べもクリトリスを責め続ける刺激を与えて、ひと晩以上も放置するという仕打ちを受けたのは、サキが散々に“粗珍”だとからかったためだ。
おかげで、一睡もしていない。
いや、もう二晩か三晩くらいは寝せてもくれてないだろう。その前も、気絶という名の微睡みを許されただけだ。
すでに疲労も気力も限界をとっくに超えている。
だが、それでもいいのだ。
ラポルタによるサキへの過酷な責めは、サキがまだ戦っている証でもあるのだから……。
それに、まだ耐えられる……。
相手は、ラポルタではない。
ロウの躾と思えばいい。
それだけで、この苦しみが温かさをもったなにかに錯覚できる。
ロウ……。
会いたい……。
会って、こんな惨めな状況に陥っているサキに、お仕置きして欲しい……。
こんな生ぬるいものではなく、サキが心の底から泣き叫ぶような調教を……。
「……ふふ、まあいいでしょう。ところで、今朝はサキ様に参加して欲しいものがあるんですよ。一緒に行きましょう」
しかし、なぜか、いつもと異なって、ラポルタが急に余裕を取り戻したように微笑んだ。
吊り下げられていた鎖から髪が解かれて、ラポルタの腰のベルトにぶら下げられる。
もしかして、どこかに連れて行く気か?
こんな状態のサキを誰かに見られるのは、鼻白む思いだったが、そろそろ、そういう責めもしてくるのではないかと覚悟はしていた。
少し前までは、この変身術に長けたラポルタは、サキの姿に変身して、サキの眷属たちに、サキとして命令を与えていたようだが、数日前に、改めてサキからラポルタを「主人」とする隷属支配を結び直したと口にしていた。
そうなってしまえば、サキがどんな目に遭わされていようと、サキの連れてきた女眷属たちは、もう気にしない。
いや、気にするとしても、ラポルタの命令に逆らって、サキを助けることはできない。
そういうものなのだ。
「わ、わひを……ろ、ろこに……ひゅれてひく?」
「どこに連れていくかですか? 庭園ですよ。昨日、ちょっとしたことがありましてね。それで、人間族たちには罰を与える必要が出たのです。サキ様にも、それに立ち合っていただきたいと思いまして」
「ば、ばつ……?」
人間族への罰だと? つまりは、令嬢や令夫人たちのことか?
サキは訝しんだ。
「まあ、行けばわかります……。ところで、この球体は、くり箱に戻して、サキ様のお好きな痒み液をたっぷりとかけてから、ここに残しておこう思っています。だけど、サキ様がお願いだから許してくれと頼むなら、勘弁してあげてもいいですよ」
ラポルタが腰にぶら下げているサキの眼に見えるように、テーブルに無造作に残したままだった、白い球体を箱に戻した。
箱の内側の表面から出ていた繊毛は引っ込んでいるので、刺激が与えられることはないが、その代わりに、収納術で取り出した小瓶を球体を戻した箱に傾ける。
サキは顔を引きつらせた。
中身もわかっている。
強力な痒みをたちまちにもたらす液剤だ。
痒み責めの苦しさは、すでに味わい尽くしている。
大抵の責めには慣れてきたとはいうものの、どうしても克服できないのが、この痒み責めなのだ。
「ひゅ、ひゅきに──せい──。ひゅ、ひゅろのの、へめにくらへれば、お、おひょまつ……りゃがな……」
主殿の責めに比べれば、お粗末だ──。
これは、いまのサキからの精一杯の返しだ。
「わかりました。好きにしましょう」
小瓶が傾けられて、球体の半分ほどが液体に浸かる。
即効性なので、すぐに痒みが股間に襲いかかる。
そういう感覚が頭を襲うのだ。
「う、うう……。くっ……」
サキは歯を喰い縛った。
さっそく、痒みがやってくる……。
そして、この痒みは、この部屋に戻って、ラポルタが球体を液体から出してくれるまで、ずっと続くのものだ。
サキは、すでに息を荒げてしまった。
「では、行きましょう」
ラポルタが歩き出す。
しかし、サキには、だんだんとクリトリスへの擬似的な痒みが苛酷になるので、すぐに、なにも考えられなくなった。
股間を襲う痒みは、部屋から離れても、やはり弱くなることはない。
掻痒感と満たされない股間に疼きは、サキをどこまでも追い詰めていく。
身体はないのに、それを責められる感覚だけが襲い続ける……。
正直にいえば、この状態は、さすがのサキももう耐えられそうにないのだ。
だから、必死にロウのことを思う。
ロウに責められていると考える……。
すると、ちょっとだけ心が楽になる。
「ふふふ、ここにくり箱に入れている球体と同じように、サキ様のクリに同調させたものがありますよ。特別に絶頂を許しましょう。二、三回ほど、みっともなく達してください。今日は私の機嫌がいいので、特別です」
ラポルタが廊下や階段を進みながら、あの白球と同じものを取り出して、わざわざサキに見せてから、自分の口に入れた。
クリトリスを舌で舐められまくる感覚がサキの頭に襲いかかる。
「うぬうううっ」
ひと晩以上も絶頂を制限されて刺激を受け続けた挙げ句、さらに痒み液に股間を浸けられている状態からの絶頂を許される刺激には、さすがのサキも耐えられなかった。
あっという間に、ラポルタの腰の横で醜態を晒す。
だが、痒みに苛まれているクリトリスへの舌の刺激は続く。
サキはたて続けに、二度目、三度目の絶頂をした。
身体がへとへとになると、ラポルタが笑いながら口から白球を出して、再び亜空間に収納するのがわかった。
くそう……。
好き勝手しやがって……。
サキは、泣きそうになるのを懸命に我慢した。
だが、刺激が消えれば、またもや痒みがやってくる。
サキには、歯を喰い縛ることしかできない。
「ひゅ、ひょどのの……しぇめの方が……ひゅ、ひゅごいな……、くふっ」
“主殿の責めの方が凄いな。”
いつものサキからのせめてもの意地悪だ。
「そうですか?」
しかし、今度はラポルタには動揺の雰囲気はない。
やっぱり、おかしい……。
なにか、サキを責める新しい材料を見つけたか?
もしかして、人間族の女に手を出すつもりか?
だが、あの人間族の奴隷たちを材料にすれば、サキが屈すると思っているなら、それは大きな誤りだ。
ラポルタがそんな勘違いをしているなら、その誤りは訂正していく必要がある。
人間族など、脅しの材料にはならん――。
「着きましたよ、サキ様……」
しばらくして、やっと庭園に着いた。
必死に痒みの苦悶に耐えていて目を閉じていたので見ていなかったが、ラポルタに声をかけられて、サキは視線を周りに向けた。
そして、庭園に拡がる光景に接し、サキは目を疑った。
「な、なんりゃ、これは──」
サキは怒鳴った。