【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
シャロンの頬が綻び、その口元に微笑みが浮きあがったのがわかった。
はっとした。
そして、恐怖が走った──。
いま、なにをしようとしていた……。
シャロンを殺そうとしていたのか……。
唖然とした。
シャロンの首を絞めていた手から力が抜ける。
「かはっ、がはっ、はっ、はっ、かはっ」
シャロンの身体に呼吸が戻り、彼女が激しく咳き込み始める。
しばらくのあいだ、ドピィは彼女が身体を丸めて咳と激しい呼吸をするのをじっと眺めていた。
呆然とした思いで考えていたのは、もしも、あの激情のまま自分がシャロンを絞め殺していれば、どうなってしまっていたのだろうという想像だ。
それは恐怖そのものに違いなかった。
また、殺されようとしていたシャロンはどう思ったのだろう。
あのとき、シャロンは笑った──。
笑ったのだ──。
いままさに、殺されようとしている相手に、微笑むということがあるだろうか。
それは、どういう感情でそうなるのだろう。
殺されようとしている人間は、その瞬間にどんなことを考えれば、あんなに嬉しそうに微笑むことができるのだろう……。
とにかく、ドピィはそれで我に返った。
そのことは間違いない。
ドピィは、背を丸めているシャロンをうつ伏せにして、手枷に視線を向ける。
囚人用の簡易な手枷であり、両腕に嵌められている金属の腕輪にある突起と窪みを合わせて軽く動かすと施錠がかかり、外れなくなるという仕掛けのものだ。外すには、接合部とは別にある窪みをなにかで押しながら金具を一定の方向に動かせばいいが、特殊な仕掛けになっていて自分では外せないようになっている。
ドピィはそれを外した。
「はあ、はあ、はあ……。わ、わたしを自由にしないで……。縛って……。拘束して……。首輪をつけて……。に、二度と離さないで……わ、わたしを今度手放すときには、そ、その前に殺して……」
シャロンが自由になった腕で強引に身体を仰向けの向きに変えると、上に跨がっているドピィを見上げながら言った。
彼女は、ドピィがシャロンの拘束を解いたのが不満そうだった。
「殺してだと……? なぜ……?」
「ふふっ、な、なぜって訊ねたの、ルーベン?」
すると、シャロンはくすくすと笑い出した。
その口元からは、ドピィの暴力によって口の中を切ったためだと思うが、つっと血が流れた。だが、彼女が痛みを感じている様子はなかった。
少なくとも、ドピィにはそう思えた。
「答えられないのか?」
「答えられるわ……。とても陳腐で、そして、当たり前の理由よ……」
「当たり前の理由だと?」
「ええ……。極めて簡単なことよ……。わたしは、あなたを心から愛している……。十年前……。いえ、もっと前から……」
ドピィは、しばらくのあいだ、言われたことの意味を考えていた。
だが、狂おしいほどの笑いの感情が込みあがった。
もう少しで、シャロンの言葉を本気にするところだった。
自分は、何度騙されれば気が済むのだろう。
シャロンがドピィを……ルーベン=クラレンスという男を愛しているわけがない。
十年前もそうだし、いまもそうだ。
「また、お前は俺を騙そうとしているのか? お前が俺を愛しているわけがない。そんな
すると、またもや、シャロンが笑い声をあげた。
やっぱり、この女は自分を馬鹿にしているのだと確信した。
ドピィはかっと血が昇った。
馬乗りになっていた身体をずらして、シャロンの髪を掴んで身体を持ちあげ、寝台に叩きつける。
「あぐっ」
シャロンが呻き声をあげた。
再びシャロンの頬を思い切り平手で打つ。
「脚を開け──。お前のような淫売に前戯など贅沢だ。そのまま貫いてやる。お前の苦痛に泣き叫ぶ悲鳴が俺には心地よい歌に聞こえる」
ドピィの言葉により、シャロンの脚が立て膝になって大きく開いていった。
シャロンの太腿の付け根からは、頂きを覆う陰毛と真っ赤に充血している花唇が露わになる。
ドピィはたじろいだ。
シャロンの股間が、これ以上ないというくらいに濡れていたからだ。
ドピィは眼を疑った。
シャロンの股間が濡れていることなどあり得ないからだ……。
ドピィは言葉を失って、しばらくシャロンの股間に見入っていた。ドピィの視線に晒されて、シャロンの股間はいくらでも滴を垂らし続けた。
シャロンがまたもや微笑んだ。
それは、心からの喜びの笑顔だった。
ドピィには、やっとそれがわかった。
理解した。
いまこそ、わかった。
「あ、あなたが欲しいわ、ルーベン……。あなたは、わたしを助けにきてくれた……。嬉しかった……。わたしは、とても嬉しかったわ……。二度と、わたしを離さないで……。二度と……。わたしは、人生で二度絶望を味わった……。一度は十年前に、家族を守るためにあなたを捨てたこと……。二度目は、この前再びあなたと引き離されたこと……。三度目はない……。三度目があれば、わたしの心は間違いなく引き裂かれてしまう」
シャロンがドピィに向かって下から両手を伸ばす。
だが、それでも、ドピィはしばらく沈黙を保ち、自分から動くことができなかった。
シャロンがドピィの背中に後ろに手を伸ばす。
ドピィはシャロンに抱きしめられるまま、寝そべらせているシャロンの乳房に肌を密着させる。
「……本当に、俺にさらわれたかったのか……?」
シャロンの心臓の鼓動が肌越しに伝わる。
全身に汗がにじむのをドピィは感じた。
ドピィを抱きしめるシャロンの手に力が加わる。
「あなたを忘れたことなんてない……。侯爵に抱かれるときも、わたしの心にはあなたがあった。あなたを想いながら達した。あなたのことを考えなければ、わたしは感じることもできない。嘘じゃないわ……」
シャロンが耳元でささやく。
しかし、なにも考えられない。
ドピィは狂おしいほどの感情と戦っていた。
それがどういう性質のものであるのかは、自分でもわからなかった。
言葉が口に出てくるのに、かなりの時間がかかった。
ドピィはやっとシャロンを抱きしめた。
力一杯──。
背骨をへし折らんばかりに……。
「くふっ」
シャロンが身体の下で絶息するような音を出す。
構わない──。
ドピィはシャロンを抱きしめ続ける。
シャロンは苦しそうな息をしながら、背中を抱きしめていた一方の手をドピィの頭にそっと置く。
「あ、あなたを……愛しているの……。ずっと……」
「シャロン、お前が好きだ──。愛している──。俺から離れることはもう許さない──。もう二度と離れるものか──。俺は憎い──。十年前にお前を手に入れることができなかった無能な俺が憎い──。油断してさらわれた間抜けな俺が憎い──。憎い──。憎い──。憎い──。俺は俺が憎い──。俺を捨てたお前が憎い──。だから、殺してやる──。お前を殺す──。間違いなく、俺はお前を殺す──。殺さなければならないんだ──」
激情のままドピィは喚いた。
自分でもなにを喚いているのかわからない。
そして、シャロンを離して身体を起こし、シャロンの脚を掴んで乱暴に開く。
自分の腰にある下着を引き破るように脱ぐ。
なにも考えられない――。
ドピィは、ただ欲望のままにシャロンを抱き寄せる。
完全に勃起している怒張を乱暴にシャロンの股間に貫かせた。
「くううっ」
シャロンの股間は熱く、かなり濡れていて、いとも簡単にドピィを受け入れた。
ぎゅうぎゅうとシャロンの股間が締まる。
「おおうっ、シャロン――」
「あ、ああっ、くううっ、くふうううっ」
シャロンがドピィを抱きしめながら、身体を弓なりにした。
「おっ、おおっ」
「ああ、だめええっ、いくうう──」
シャロンが蕩けるような声をだして、身体をがくがくと痙攣させた。
ドピィは射精を抑えられなかった。
律動をほとんどすることなく、白濁液をシャロンの子宮にぶちまけていた。
「お、俺の子を孕ませてやる──。避妊草など与えてやらん。毎日、毎朝、毎晩、俺の精液漬けにしてやる──。お前は憎い俺の子を孕むんだ。二度と逃げれないように、お前を縛り、裸のまま連れ歩いてやる──。首輪をしてどこに行くにもお前を連れて行く──。二度と離さない──。そして、もしも、もう一度俺から離れようとしたら、殺してやる──」
射精をしてもまったく怒張は小さくならなかった。
むしろ、興奮は昂ぶっている。
律動を開始した。
連打を叩き込む。
「ああ、また、いぐううっ、ああ、殺して──。あなたのいない世界にもう意味はないの──。殺して──。必ずわたしを殺して──。ああ、ルーベン──。ああああっ──。いくうううっ」
果たしてシャロンは断末魔のような声で絶頂を告げると、再び身体を硬直させた。
ドピィは二度目の射精をした。
しかし、やはり興奮が鎮まることはない。
狂気のような官能の激情のまま、ドピィは獣のように、シャロンの股間を繰り返し貫き続けた。
*
ルーベンが本当にシャロンを人前に連れ出すとは思わなかった。
だが、ルーベンはシャロンの裸身を一枚の布に包んだだけの姿で、明け方近くまで抱き合っていた家の外に連れて行った。
しかも、ただの状態ではない。
夜通し抱かれ、腰も脚もふらついて真っ直ぐに立てないほどになっているシャロンの首に首輪を嵌め、鎖を繋げてまるで犬のように連れ出したのだ。
もちろん、シャロンが望んだことでもあるので、それには文句はない。
だが、股間に施された仕打ちには閉口した。
なにしろ、ルーベンは、ふたりきりで一晩中抱き合った家を出る直前に、寝台の上でシャロンの股を開かせ、指でなぶり、たっぷりと泣かせてから肉芽を無造作に引き剥き、「啼き環」という肉芽の根元を締めつける淫具を装着したのだ。
鋭敏なクリトリスを締めつけられ、しかも、その環には三方向に細い鎖が繋がっていて、それを貞操帯のように股間に喰い込まされた。
それにより、身じろぎするたびに、激しい刺激がシャロンに加わるように細工をされたのである。
そんな姿で編み靴だけを履かされている。
さらに、内側にびっしりと柔らかい羽毛がある布を密着して全身を包ませられた。
両手は後手に革手錠だ。
されるがままにシャロンはしていたが、いざ立たされると、股間を締める「啼き環」のためにシャロンは、思わずへっぴり腰になってしまわなければならなかったし、素肌の隅々まで柔らかな羽毛でくすぐられ、思わず甘い声を出してしまった。
そんなシャロンに、ルーベンは穴あきのボールギャグを嵌めさせると、口から下を革マスクで覆って、喋ることができないようにしたのである。
建物の外に出されて、そのまま犬のように首輪で引っ張り回された。
大勢の賊徒軍の兵のあいだをそんな姿で連れ回されて、シャロンは羞恥で気が遠くなりそうだった。
ただし、シャロンの首輪には、認識を阻害する魔道紋が刻まれてて、シャロンが大人しくしている限り、周りにいる者はシャロンの存在を気にすることができないようになっているとは言っていた。
とんでもなく高価なものらしいが、これはシャロンを再び奪回されることを防止する仕掛けでもあるそうだ。
それはともかく、股間の淫具の疼きと絶え間のない羽毛のくすぐりには、とてもじゃないがじっとしているのは困難であった。
シャロンは必死に、身体を何度も貫く絶頂感を耐えた。
ルーベンにこうやって調教されている……。
そう認識するだけで、シャロンはその場で達しそうになる。
とにかく、これ以上ないというくらいに興奮をしていた。
なによりも、首輪に繋がっている鎖をルーベンがしっかりと握り、しかも、絶対にシャロンが離れないように、自分の左腕に装着した腕輪に鎖を金具で繋げてしまったのだ。
ルーベンから離れられないように繋げられ、しかも、こうやって支配される。
考えただけで、シャロンは股間からどっと熱い蜜が絶え間なく垂れ落ちるのを感じている。
「あの屋敷に邪悪がある。俺たちに大望を妨げる邪悪だ──。あれを打ち払わなければならない──。虫けらのように死にながら生きるか──。それとも、死して大望のために生きるか──。大望のために戦え──。我らは戦わなければならん──。戦うんだ──」
ドピィが少年従者をとともに、シャロンを引っ張って連れていったのは、賊徒軍の集まっている場所でなく、農夫たちの集団が集まっている場所だ。
このゲーレの里には、ルーベンが率いていた賊徒軍のみならず、周辺各地から集まってきた農夫集団がいて、その数はシャロンが想像もできないほどの人数になっていた。
ルーベンはそれを東側半分に集め、反対側の西側に賊徒軍を展開させるように指示したみたいだ。
そして、ルーベンがやって来たのは、その東側だ。
果たして、どのくらいの勢力がいるのだろう。
もしかしたら、一万――。
とにかく、びっしりと見渡す限りに拡がって集まる農夫たちのために、地面すら見えない。
「戦うのだ──。死を恐れるな──。死の向こうに大望がある──。死の向こうにある──。邪悪と戦うのだ――」
準備させてたらしい台上でルーベンは言葉を吐き続けた。
シャロンは、この場だけは一時的に、ルーベンの腕輪からはなされて、台の下の杭に鎖を繋げられている。
また、ルーベンの声はよく
そして、彼には、なぜか酔いのようなものを感じさせる弁舌の力があるみたいだ。
シャロンの眼からも、武器を持って集まっている農民たちがかなりに興奮状態に変わっていくのがはっきりとわかる。
シャロンがあまり知らないルーベンの一面だった。
「もう一度、武器をとれ──。奪え──。犯せ──。俺たちのものだったものを取り戻すのだ──。あの屋敷の邪悪を叩き潰すのだ──」
農民たちの集団のあちこちから喚声があがり、すぐにそれが全体に拡がって地面を揺らすような集団の叫びとなった。
声で地面が揺れる──。
「進め──。我らの敵はあそこにある──。ひるむな──。進め──。戦え──」
ルーベンが叫んだ。
農民の集団の喚声が爆発した。
まるで雷撃のような絶叫とともに、農民たちの大集団が屋敷に向かって我先に駆け進み始めた。