【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
気がつくと、ミウは冷たい床の上に横たわっていた。
そして、はっとした。
服はなにもかも脱がされていて、下着さえも剥ぎ取られているまったくの素裸だったのだ。冷たいのは、直接に石床に素肌をつけているからだ。
身じろぎすると、じゃりじゃりと鎖の音がした。手首と足首の全部に革枷が装着されていて、そのすべてに鎖がある。また、足首の鎖は短くて床に埋め込まれている足幅ほどに離れた金属の金具に繋がっていた。手首の鎖は天井にあるふたつの滑車にそれぞれ伸びているみたいだ。
不快で朦朧としていた意識がだんだんに覚醒すると、なにが起きているのか思い出してきた。
司令部の中庭を歩いているときに、下働きの妊婦が倒れ、彼女を助けようとしたとき、突然に妊婦のお腹が弾けて、そのまま気を失ってしまったのだった。
イットは──?
ミウは、慌てて身体を起こして辺りを見回した。
手首に繋がっている鎖がとても重い。ミウの力ではほんの少し手首を床から離すことくらいしかできなかった。それでも、上体を起きあげることには成功した。
四方のうち三正面を石壁に囲まれた部屋だ。もうひとつの壁には鉄格子がある。窓はなく、部屋の四隅にある蝋燭が灯りを作っている。
牢屋──?
ミウは牢屋の中にいるみたいだ。
少なくとも、ここにはイットはいない。
そして、部屋の壁に背もたれのない椅子があって、それに座っている三人の大人の男女がミウを見つめていた。ふたりが男であり、もうひとりは女だ。その女があの妊婦であることに気がつき、ミウは驚いた。お腹は膨らんでおらず、ぺちゃんこだ。
「目が覚めたね。与えられている時間がないから無理矢理に起こそうかと思っていたところさ」
女がくすくすと笑った。
薄い光なので細かい表情まではわからないが、笑っているにも関わらず女の顔にはまったく感情というのが浮かんでいなかった。
ただ、暗い愉悦のようなものがふたつの眼にぎらぎらと浮かんでいるように思った。
こんな表情の人間をミウは見たことがある。
両親を遊びのように殺して、さらにミウを強姦したクライドだ。ミウはぞっとした。
だが、ミウは口から迸りそうな悲鳴をとっさにの呑み込んだ。ミウはあのときのミウではない。
ミウが捕らわれたのは確実なのだろう。懸命に冷静になろうとした。
女の年齢は三十くらいだ。
残りの男も同じくらいの歳だと感じた。女に比べれば、ふたりの男はミウに対する憐憫とか、戸惑いのような表情を向けている
「イットはどこですか──?」
ミウは声をあげた。
「最初に訊ねるのがそれかい? あの獣人なら知らないね。あたしたちが命じられたのは、あんたをさらうことだけだしね。そのまま放ってきたよ」
女が言った。
どうやら、イットが無事みたいなのはほっとした。あの針は即座に失神するほどの毒が塗ってあったみたいだが、命に別状はないみたいだ。ミウがいま、大丈夫なのがその証拠だ。
あそこにイットが捨て置かれたなら、すでに助けられていると思う。
「そ、そうですか……」
「それよりも、教えてくれる? なにかの偽装魔道をかけているのかい。なにしろ、簡易鑑定では、あんたは“奴隷”と鑑定されたけど、高位鑑定では隷属の反応はなかった。こんなことは初めてでねえ」
鑑定?
わからない。
奴隷だというなら、ミウはロウ様の奴隷なのだろう。だけど、いわゆる、奴隷の魔道を刻まれた普通の奴隷身分だと訊ねられればそうではないのだと思う。ロウ様は、自分の女を奴隷管理したりはしない。コゼさんだって、かつては奴隷だったけど、ロウ様に解放されたと口にしていた。
「あ、あなたの言っていることはわかりません」
ミウは必死に怖さを抑えて、小さくかぶりを振ってみせた。
「ふうん……。年齢のわりには落ち着いているじゃないか。もっと泣き叫ぶかと思ったけどねえ。まあいい。お前には隷属具はつけられてないし、身体のどこにも隷属の紋様はない。だったら、その首輪に隷属を刻むだけさ。あんたに恨みはないけど、さっさと屈服してもらうよ」
首輪?
ミウはやっと自分の首になにかがあることに気がついた。首輪というのであれば、そうなのだろう。
しかし、隷属の首輪?
慌てて魔道で壊そうとした。ミウの能力からすれば、それくらいのことは造作もない。
だが、放出しようとした魔力は一瞬にして発散してしまい、魔道を結ぶことはできなかった。そのことで、ミウは自分におそらく魔道封じが装着されていると思った。
そして、四肢に装着されている革枷の内側の全部になにかがあることに気がついた。これがミウの魔道を封じているに違いない。
「やりな」
女が男に向かって顎で合図をした。
すると、男たちが立ちあがり、そのうちのひとりが壁にある操作具に手をかけた。
天から音がして、両腕の鎖が二方向に引きあがり始める。
「なにも喋る必要はないよ。口だけの誓いでは、隷属は刻まれないしね。あんたはただ屈服すればいい。恐怖を感じて、心を縮ませ、残っているかもしれない反抗心というのを失えばいいのさ」
女が白い棒のようなものを持ってミウに近づいてきた。
そのあいだも、手首につけられている鎖は引きあがり、ミウは立ちあがる状態になった。
さらに鎖が引きあがる。
両腕がまっすぐに伸びて、天井に向かって左右に開いた。ミウの背中が真っ直ぐになって、ぐっと背伸びをした格好になる。
「ううっ」
苦しさに呻き声が出た。
すると、やっと鎖がとまった。
「合図もしないのに勝手にとめんじゃないよ──。この童女さんは、まだまだ屈服からほど遠い状態だ──。それがわからないのかい──」
すると、女が男たちを振り返って怒鳴りあげた。
「は、はいっ」
操作具にいた男が慌てたように手を伸ばす。
鎖が再びあがり始める。
「きゃあああ」
爪先立ちだった足が浮きあがったのだ。
しかし、足首には床に接続した鎖が繋がっている。だから、ミウの身体はそれ以上はあがらない。
身体が限界まで伸び上がり、それでも鎖が引き上げられる。
「あがああっ」
ミウの全身に激痛が走った。
「とめな──」
やっと女が男に声をかけてくれて、鎖がとまる。
だけど、痛い──。
身体が千切れそうだ。
ミウは口から呻き声を漏らしていた。
「隷属魔道を刻むほどの屈服をしたかどうかは、眼を見ればわかる。あたしが拷問をした相手の中には、もっと幼い子供もいたね。子供だから手加減をしてもらえると思ったら諦めな。あんたは大人顔負けの魔道遣いらしいからね。最初から飛ばしていくよ」
女が空中に四肢を拡げて限界まで伸ばしているミウの裸の下腹部に、白い棒の先端を押し当てた。
「ひぎゃああああ」
全身が飛び跳ねて、ミウの裸身が信じられないくらいの激しさで勝手に痙攣した。
強い電撃だ。
ミウはありったけの大声で悲鳴を迸らせていた。
「いだいいいい──。やめでえええ──」
ミウは泣きじゃくった。
しばらくして、やっと棒が離れた。
ミウはがくりと脱力した。
「驚いたねえ。この電撃で屈服しないとわねえ……。ちょっと、あんたへの評価を見直さないとね。ただの大人しい子供じゃないみたいだね」
女が酷薄に笑った。
「……あ、あたしは、ロ、ロウ様のせ、性、性奴隷です……。く、屈服なんか……」
口惜しくてミウはありったけの気力を振り絞って、女に向かって顔をあげた。
すると、女はさらに大笑いした。
「破瓜が終わっているのは、身体を調べてわかっているよ。その年齢で生娘じゃないのは大したおませさんだね。まあ、このあたしも、最初に男に強姦されたのは、あんたよりも、ずっと幼いときだったけどねえ」
女が再び棒を下腹部に押しつけた。
今度はさらに股間に近い位置だ。
「んぐうううう」
激しい電撃の激痛がミウを襲う。
今度はさらに時間が長い。
ミウの裸身は電撃のために宙で踊り続ける。
しかし、今度は悲鳴をあげてやるものかと、懸命に口をつぐみ続けた。
そして、電撃がとまる。
「ほう……。さらにびっくりだよ……。もしかして、助けられることを期待しているかい? だけど、無理さ。この砦には魔道を封じる魔石が無数に埋め込まれている。エルフ族の魔道でも入り込めないし、力づくの潜入も不可能だ。ドピィ様の陣に穴などないからね」
女が言った。
やっぱり、賊徒の砦だとわかった。
もしかして、人質にするために、ミウはさらわれたのだろうか。
捕らえたミウを隷属したいのだということだけはわかるが……。
「おい、口に開口具を咥えさせな。悲鳴を我慢するなんて生意気さ──」
女の命令により、男たちがミウに寄ってきた。
後ろから髪を掴まれて、顔を引きあげさせられる。
口に丸い球体のようなものを押し込まれて、首の後ろで革紐を結ばれた。
「は、はごっ」
球体には小さな穴がたくさん開いているみたいだ。
ミウの呻き声をともに、涎が溢れ出ていく。
「今度で終わりだよ。大人でも子宮に電撃を流されれば必ず墜ちる。これで屈服しない者はいないよ。もしも、あんたが誰かの隷属化にあるなら、それでもいい。そう報告するだけだ。でも、屈服はしな」
「はがああああっ」
ミウは拘束されている四肢を全力で動かした。
女の持つ白い棒がミウの股間に挿入しようとしてきたのだ。
「なんだい? 入らないよ? おかしいねえ」
女が焦っている。
どうやら、ロウ様の淫魔術による護りが効いているようだ。膣への棒の挿入を阻んでくれている。
とにかく、ミウは懸命に動かない腰を可能な限り暴れさせる。
「まあいい。じゃあ、クリトリスだ。外からでも子宮が焼け焦げる電撃を流してやる。墜ちるなら今だよ。お前も大人になったら、好きになった男の子供くらい産みたいだろう? だけど、それもできなくなるよ」
女がミウの髪を掴んで顔をあげさせる。
ふたりの男はミウの背中側にいる。ミウの正面は女だけだ。恐ろしい顔でミウを睨みつけている。
ミウも睨み返す。
屈服なんてするはずがない。
この女の言うとおりだ。隷属魔道を刻まれるか、刻まれないかなど関係ない。それについては、おそらく、ミウの新たに隷属魔道が刻まれることはありえない。
ミウにも、ロウ様のなんらかの淫魔術の刻みが施されていて、他者の隷属など上書きできない。
高位魔道を低位の魔道で上書きできないのは、魔道学の常識だ。
でも、そんなことよりも、ミウはロウ様に心から墜ちている。たかが拷問くらいで、ミウの心がロウ様から離れることなどありえないのだ。
「嫌な目つきをするねえ。だったら、世の中には耐えられないことがあるということを知るといいさ……」
女が苛立たしげに舌打ちした。
「ほごおおおっ」
次の瞬間、膣の中の白い棒から強烈な電撃が流された。
ミウは耐えた。
いや、耐えようとした。
潰し壊すくらいの力で口の中の開口具を噛む。
反り返って上を見ている眼で天井の一点を見つめ続けた。
長い──。
電撃が終わらない──。
ミウの股間からじょろじょろとおしっこが流れ落ちるのがわかった。
「最大限の電撃でも心が潰れないのかい──? 股が焼け焦げるよ──」
女が怒鳴りあげた。
まだ、強い電撃は流れたままだ。
ミウの裸身は跳ね続ける。
視界が暗くなる。
上下の感覚がミウから消え失せ、ミウの意識は闇の中に包まれていてった。
「ちっ、耐えやがったよ──。電撃棒が焼け焦げたさ──」
失神する寸前に聞こえたのは、女が激しく怒り狂う怒鳴り声だった……。