※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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802 戦い終わって──消えた死体

「ううっ、く、苦しい……」

 

 胡座の上に横抱きに抱いているコゼが涙をぼろぼろとこぼしながら泣き出した。全身には鳥肌が立っていて、身体は小刻みに震えている。

 また、浣腸液には強烈な掻痒効果があるので、ただ尻穴に力を入れ続けて耐えればいいというわけではない。

 本当に辛いのだろう。

 後手縛りにされているコゼの両方の手のひらは、一郎の膝の上で握ったり開いたりとせわしなく動いている。

 ちょっとでも気を紛らしたりに違いない。

 

 とにかく、コゼの弱音は珍しい。

 本当に追い詰められているというのがわかる。

 一郎は、とりあえず、ユイナの悪戯をやめさせた。

 責めに手を抜くわけじゃない。もっとぎりぎりまで追い詰めるためだ。簡単に排便させるのではなく、絶えられるぎりぎりのところを見極めたうえで、耐えさせるためだ。

 面白いのは、これだけ追い詰められるのに、コゼがしっかりと欲情をしていることだろう。連続絶頂の余韻もあるだろうが、こうやって排泄を許さずに我慢させているあいだにも、新しい愛液がどんどんと垂れ続けているのを一郎は知っている。

 

「コゼ、辛いか? これも調教だ。口づけをしてやろう」

 

 一郎は顔を汗と涙と鼻水でぐしょぐしょになっているコゼの唇に口を重ねる。

 舌を差し込むと、コゼがむさぼるように一郎の舌に自分の舌を絡ませてくる。

 しばらく、口づけを重ねたところで、口を離す。

 

「あ、あのう……、も、もう……」

 

 コゼが奥歯を噛みしめ続けるような仕草をしながら、涙目で小さく首を横に振る。限界だという合図だ。

 しかし、一郎は首を横に振り返した。

 

「まだだ。我慢しろ」

 

「は、はい……、ご、ご主人様……」

 

 コゼが小さな嗚咽とともに頷いた。

 

「はあ……」

 

「ふう……」

 

「ああ……」

 

 そのとき、息をのむようにしていた周りの女たちの溜息が一斉に漏れ出た気がした。

 顔をあげて見回すと、誰も彼も、すっかりと欲情をした表情になっていた。おそらく、コゼが責められるの眺めているうちに、自分もまた責められているような気持ちになったに違いない。

 一郎は苦笑した。

 

「ふ、ふふ……。容赦ないのね……」

 

 やがて、茶々を入れるような軽口をユイナが挟んできた。一郎は、そのユイナに視線を向ける。

 

「ところで、ユイナ、スクルドと一緒だったのなら、ドピィの残した刃物を確認してくれたか?」

 

 コゼには、全部の話が終わるまで排泄は許さないと言っているので、こうやって、一郎が誰かに質問を続ける限り、コゼの苦しみは継続することになる。

 

 そして、ドピィの残した刃物というのが、そもそも、一郎が彼の焼身自殺の不自然さを覚えた点だ。

 もっとも、あの刃物のことは、一郎としてはしっかりと断定したものを持っている。

 ここでユイナに質問をしたのは、半分以上は単なる嫌がらせ的なものが大きい。

 

 ドピィの最期を目の当たりにしたコゼとミウの証言によれば、ドピィはコゼたちの隙を突き、一度はミウが回復術で治療を施したシャロンの心臓をその刃物で突き刺し、殺したシャロンの身体を抱えたまま、業火に包まれている建物の中に飛び込んだということだった。

 そのときの刃物は、阻止をしようとするコゼに投げつけられ、そのまま地面に置き捨てられていた。

 それを確保してくれたのが、しばらくして同じ場所に辿り着いたスクルドであり、そのスクルドによって、一郎に届けられた。

 だが、一郎はそれを見て、おそらく、コゼはドピィによって、いっぱい喰わされたのかもしれないと考えたのである。

 

「ああ、これ? よくできた魔道具よ。魔道具」

 

 ユイナが収納術で一本のナイフを取り出した。

 魔道の痕跡を調査するために、なにかの足しになるかもしれないと思ってスクルドに戻したが、ユイナはそのスクルドから受け取っていたみたいだ。

 

「えっ、魔道具だと?」

 

 口を挟んだのはシャングリアだ。

 最初に、スクルドから一郎に、そのナイフが見せられたとき、ほとんどの女は同席していなかったので、なんのことかわかっていないのだ。

 しかし、一郎の魔眼は、誰かが保持することによって、しっかりと武器などの持ち物を鑑定することができる。

 一見すると、ただのナイフにしか見えないが、よくできた魔道具であることは一郎にはすぐにわかったのだ。

 だから、スクルドにドピィの死についての再調査をしてもらっていたというわけである。

 

「床を汚すわよ」

 

 ユイナがそのナイフを振りあげて、床にたたきつけた。

 ばんという音がして、ナイフの刃が深々と床に突き刺さる。

 ……いや、突き刺さったように見えるだけで、実際には刃は引っ込んでいる。さらに、突き刺さった床に大量の血がぶちまけられて拡がった。

 

「ええっ?」

 

「血──?」

 

 驚きの声をあげたのはミウとマーズだったが、ほかの者もびっくりしている。

 

「ミウ、お前たちが見たのは、この血だったな? ドピィはこのナイフでシャロン殿の心臓を刺した。いや、刺したように見せかけた。実際には、噴き出した血は、このナイフ型の魔道具による偽物だ」

 

「偽物──なのですか?」

 

 ミウも目を丸くしている。

 

「偽物だ。そして、これから推測できるのは、ドピィは死など覚悟していなかったということだ。死に行く者がおかしな仕掛けをするわけがない。シャロン殿を殺したように思わせたかっただけに違いないよ。そして、火の中に飛び込んだ。それが真相だと思う……。実際、スクルドは焼け跡から、ドピィとシャロン殿の焼死体を発見できなかったのだろう?」

 

「は、はい……。さっきのご報告のとおりです。焼け跡にあったのはひとりの焼死体でした。コゼさんの話によれば、もともと、女魔道遣いの死骸がそこにあり、賊徒の頭領殿とシャロン様がそこで死んだのであれば、三人の死骸がなければならないはずです。でも、残っていたのはひとりの死骸のみでした」

 

 スクルドがはっきりと言った。

 

「でも、どうやって……ですか?」

 

 エリカが怪訝そうに言った。

 一郎は軽く肩を竦めた。

 

「ドピィという男は、大量の移動術の道術紙を準備していて、それで一万以上の賊徒兵をここに集めたらしいぞ。自分とシャロン夫人が逃げる分も残してあったのだろうさ」

 

 もしかしたら、最初から逃亡を図ろうという考えまではなかったのかもしれない。だが、その手段もしっかりと残していた。

 まあ、そんなところだろうか。

 そして、死を覚悟してシャロンのところに戻ったところで、瀕死だったシャロンがミウの回復術で完全に蘇生したことを知った。

 だから、急遽、自分とシャロンのみが逃亡する行動をとったのではないだろうか。

 いまとなっては、真相を知りようにはないが……。

 

「つまり、逃亡──? じゃあ、賊徒との戦いはまだ続くということか──?」

 

 シャングリアが唖然とした口調で声をあげた。

 ほかの女たちも、一斉に表情を険しくした。

 

「まあ、それはどうだろう……? 結局のところ、ドピィとやらは、しっかりと目的を果たしたようだからな。もしかしたら、二度と表には出ないかもしれない。もしかしたら、ドピィにとっては、賊徒など、あいつの人生を賭けたらしい目的を実現するための手段にすぎなかったということのようだしね……。まあ、享ちゃんの調査の受け売りだけどな」

 

 ドピィ……ルーベンという下級貴族だった青年が、なぜ賊徒の頭領に身を落とし、そして、このクロイツ侯爵領で大叛乱を起こしたのかということは、享ちゃんによって、漠然としたものであるものの、大体のところを辿ることができた。

 あいつは、シャロンというただひとりの女を取り戻すためだけに、こんな大きなことをやったのに違いない。

 実際のところ、ドピィが積極的に暴れたのは、クロイツ侯爵を惨殺し、シャロン夫人を捕らえるまでだ。

 領都を確保してからは、ドピィ自身はほとんど領都から動いていないし、唯一動いたのは、南王軍の征伐軍が領都に迫り、シャロンが奪い返される危険が発生してからである。

 そして、イライジャたちがシャロンの奪回に成功すると、狂ったようにいきなり賊徒軍の全軍を北上させた。

 ドピィの行動は賊徒の頭領としてはちぐはぐのようであるが、その目的がシャロンのみにあると考えると、実際の行動は完全に首尾一貫している。

 そうだとすれば、ドピィが再び賊徒の頭領として叛乱を発生させる可能性は低いのではないだろうか。

 なにしろ、彼は、もう欲しいものを手に入れてしまったのだから……。

 

「では、どうするのですか……?」

 

 エリカだ。

 一郎は大きく息を吐いた。

 

「なにも……。シャングリアとミウへの仕打ちに酬いを与えられなかったことについては腹が煮えかえるけど、こうなったら、追い回す方法もない──。ドピィという賊徒の頭領は、シャロン夫人とともに焼死した。これをもって真実とする──。あとは知らん──。次に会うことがあれば、しっかりと仕返しはするが、世から隠れてしまったのであれば、もう仕方もないことだ」

 

 一郎の言葉に納得したような、していないような、曖昧そうな表情を全員がした。

 

「まあ、それはいいだろう。さて、じゃあ、コゼ、もう許してやろう」

 

 一郎はコゼを膝からおろして、脚を拡げた高尻の姿勢にした。

 その股の下に、亜空間から取り出した木桶を置く。

 

「出せ──。命令だ──」

 

 一郎は怒鳴った。

 

「ああああっ」

 

 コゼが大きな声をあげながら、排便を開始する。

 溶けた溶液とともに排便が噴き出すのは、木桶に当たる直前までだ。実際には木桶に当たることなく、亜空間に消滅させてしまっている。

 匂いもなにも残らない。

 しかし、コゼにはそんなことはわからないし、実際に一郎や全員の前で大便をさせられていることには変わらない。

 羞恥で大きく震えている。

 一郎は、排便を続けるコゼの股間に手を伸ばして、愛撫を開始した。

 

「ひゃああ、やっ、き、汚いです──。ご、ご主人様、汚いです──。ああ、ああああっ」

 

 さすがに、コゼも激しく狼狽する。

 だが、一郎は声を出して笑う。

 

「コゼに汚いものなどないさ。恥ずかしいことを頑張り、ちゃんと言いつけ通りに我慢できたご褒美だ。今度はアナルを死ぬほど犯してやろう。気絶するまでな」

 

「ああ、やっぱり大好きです、ご主人様ああ──」

 

 排便を続けながら、コゼが感極まったように声をあげ、身体をがくがくと痙攣させながら絶頂に駆けのぼっていった。

 

 

 

 

(第22話『決戦・賊徒軍と独裁官軍』終わり、第4部「王権簒奪」に続く。)





 *

【ドピィ】

……
……
(5)ドピィ伝説

 イザベラ王太女と独裁官ロウの遠征によってドピィの叛乱は鎮圧され、その戦いにおいて、ドピィは誘拐したシャロン=クロイツ夫人を道連れにして、火炎に飛び込んで自殺したとされているが、そのドピィは実は生き延びていたというのが、ドピィ伝説と称されるものである。

 現在の学説では、事実無根の空想にすぎないと多くの歴史学者から否定されているが、ドピィとシャロン=クロイツ夫人が実は生存していたという説を裏付ける証拠も発見されており、過去から現在にかけて、何度も大きな歴史論争に発展したりもしている。

 いずれにしても、ドピィ生存は叛乱の発生した当時のハロンドール王国の南部地区の民衆の中で、彼らの願望とともに言い伝えられ、現在では多くの演劇や小説などの材料にもなっている。
 有名な作品として……。


 ボルティモア著『万世大辞典』より(ここに再録した引用文はすべてスクルズ記念国際図書館から許可を受けて初版本から抜粋して採録したものである。)


 *


 ――シャロンがいた場所。それはいつでも幸せの地だった。

 名も無きある墓地に刻まれていた墓碑銘
 (ひとりの老夫が亡き老妻に刻んだ言葉と伝えられている。)
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