【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「受け入れてるに決まってるでしょう――」
エリザベートがランスロットの顔をしっかりと凝視しながら叫んだ。
その瞬間、ランスロットの頭は真っ白になった。
「ああ、エリザベート──」
なにも考えられない。
理性が焼け焦げ、荒々しい動物の雄としての本能だけが身体を席巻した。
エリザベートが欲しい──。
だから、奪う──。
誰にも、渡すものか──。
なにを犠牲にしても──。
自分はどうして、こうも感情的になってしまったのか──。
このところ、自分が変わってしまっていっているのがわかる。
だが、欲しい──。
いまは、エリザベートが欲しい。この女がどうしようもなく愛おしい。アーサーの公妃であるということなどどうでもいい。
目の前の女を狂うほどに愛している。
とにかく、この目の前にいる愛しい女を抱きつくしたい。むさぼりたい──。
そのためにどうなっても構わない。
公妃との不義密通など許される行為ではないが、たとえ今日の夜に処刑されても、エリザベートの身体が欲しい──。
それなのに、彼女の心もまた、手に入れることができたのか──。
ランスロットは自分が泣くような声をあげているのがわかった。
気がつくと、エリザベートの裸身を力いっぱいに、自分に向かって抱き寄せていた。
「ああっ、ああああっ」
エリザベートは両手首を寝台の頭側に紐で結ばれている。エリザベートの身体が浮きあがらせんばかりに引っ張られて、その身体が弓なりになる。
「ああっ、ああああっ」
エリザベートの腰も浮きあがり、繋がったままだったランスロットの怒張がエリザベートの子宮をぐいぐいと押し潰す感覚が襲う。
怒張が熱くなるのがわかる。
同時に頭も真っ白になった。
「おっおおっ、あ、愛している、エリザベート──」
ランスロットはエリザベートの中に射精をしていた。
止まらない──。
止まらない──。
エリザベート──。
「あなたを愛している──。狂おしいほどに──」
ランスロットは吠えた。抽挿など不要だ。
エリザベートがランスロットを受け入れると言ってくれた言葉だけで、ランスロットは凄まじいほどの快感を味わっていた。
「ラ、ランスロットさまあああ」
長い射精を続けるランスロットの腕での中で、エリザベートは身体を弓なりにしたまま全身を突っ張らせた。
ランスロットの射精とエリザベートの絶頂が重なったのがわかった。
「死んでもいい──。このひとときがあれば──」
ランスロットは男根をエリザベートの中から抜く。射精は終わったが、ランスロットの男根はしっかりと勃起したままだ。
また、エリザベートの中から男根を抜いたとき、エリザベートの子宮に収まりきらなかったランスロットの精液が逆流してこぼれ出てきもした。それだけの量を一度で注いだということなのだろう。
「馬鹿ね……。死んではだめよ……」
エリザベートがくすりと笑った。
ランスロットを下から見上げるエリザベートは、信じられないくらいに美しくて、そして、妖艶でもあった。
「な、縄を……ほどいてください」
エリザベートが肩で息をしながら言った。
ランスロットはエリザベートの上体を片手で支えたまま、もう片方の手でエリザベートの手首の縄を解く。
すると、エリザベートがランスロットの裸身を抱きしめてきた。
「あ、ありがとうございます……。嬉しい……。だけど……覚えておいてください……。あなたがわたしを犯したのではありません。わたしがあなたを犯したのです──。あたなに媚薬を盛って。無理矢理に発情させて。いいですね──。わたしがあなたを犯したんですよ──」
そして、わけのわからないことをエリザベートが口走る。
なにを言っているのか、全く理解できなかった。
しかし、それ以上の思考をすることはできなかった。
エリザベートがランスロットの頭を抱き寄せて、強引に唇を重ねてきたのだ。
すぐに、エリザベートの舌がランスロットの口の中に侵入してきた。しばらくのあいだ、お互いに舌と唾液をむさぼり合う。
「ああ、ランスロット様──」
エリザベートがやっと口を離す。
しかし、口づけはそれで終わらなかった。
エリザベートは、ランスロットの頬、首、肩などに狂ったように接吻の嵐を加えてきた。
彼女の剥き出しのような愛情の表現で、ランスロットの頭は再び理性を失う。
「愛してます──、エリザベート──」
ランスロットは痴呆のように同じ言葉を繰り返しつつ、エリザベートの形よく盛りあがった乳房を掴み揉む。
「ああっ」
エリザベートが悲鳴のような嬌声をあげて悶えた。
だが、抗う素振りもない。
それどころか、もっと触れてくれと主張せんばかりに、胸をランスロットの手に押しつけるようにしてきた。
エリザベートの乳房は信じられないくらいに柔らかかった。
そして、汗に濡れ……、火照って熱く……。
乳首に指を触れさせる。
固くしこり、こりこりと指で擦る。
「ああ──。き、気持ちいいのお──。ああああっ」
エリザベートが大きく喘いだ。
それを見た、ランスロットは唇を
「ひゃあああっ」
エリザベートの身体が大きく跳ねあがり、ランスロットを抱きしめる手に力が加わる。
ランスロットは、さらに唇を下に落とすと、びっしょりと濡れている恥毛に鼻を埋めた。
どくどくと蜜を流し続けるエリザベートの股間の亀裂に舌を差し込む。
そして、欲望のまま、荒々しく舌を動かした。
さらに、エリザベートの蜜をすすった。
甘美だ──。
途方もない幸福感がランスロットを包む。
「ああああっ」
エリザベートが獣じみた声を放って、またもや身体をがくがくと痙攣させた。
ランスロットは再び体勢を変え、再びエリザベートの中に猛りきった一物を貫かせた。
「はああっ、あ、愛している──。好き──。あなたが好き──。誰からも愛されなかったわたしを好きと言ってくれて、あ、ありがとう──。あああっ」
「愛している──。なにを犠牲にしてもいい──。あなたが欲しかった──。奪いたかった──。あなたを大切にしない者に、あなたを愛する資格などない──。あなたが好きだ──」
自分でもなにを言っているのかわからない。
ランスロットは口づけを交わしながら、エリザベートの膣に怒張を繰り返し突く。
なんという官能か──。
なんという悦びか──。
すべてを引き換えにしても、この愛を──。
命さえいらない。
この幸福感とともに死ねるなら、まさに本能だ──。
「あああっ、ランスロットさまあああ」
「エリザベート──」
ランスロットは襲いかかる快感に打ち抜かれて、再び、エリザベートの中に熱い射精を噴き出させた。
*
お互いに獣のように身体をむさぼり合い、エリザベートの身体はすっかりと脱力しきっていた。
だけど、体内の欲情はまだまだ満たされてはいない。
いや、多分、満たされることなどないのだろう。
それほどの芳烈なランスロットとからの求愛だった。
もっと、彼に愛されたい。
まだまだ、欲情は満たされなどしていない。
エリザベートは、汗まみれの裸体をランスロットに抱きしめられながら、寝台の上でこれからのことについて、思念していた。
さて、これからどうするのか……。
さて……。
いずれにしても、エリザベートは自分が不幸な女などとは思ったことはない。
だが、幼い頃から優秀な姉と比べられ、魔道力のない無能の妹とずっと蔑まれ、アーサーの妻として、最初に嫁ぎはしたものの、やはり、夫からは姉ではないということだけで失望されたという事実は愉快なものではないことだけは確かだ。
しかも、あの男は、いまだにエリザベートを正式の大公妃として扱わない。
正直、すっかりと愛想も尽きている。
まあ、愛情に恵まれたとはいえないのかもしれない。
もっとも、あの陰険で冷酷魔女の姉には、意地悪をされる都度、わかりやすく反撃もしてやったし、あのアーサーには言いたいことを言ってやって、公妃としても妻としても、明確にアーサーを拒絶してやった。
そのため、意地の悪いアーサーは、エリザベートが音をあげるだろうと、碌な家人もあてがわずに、こうやって大公城の敷地の隅に隔離する仕打ちをエリザベートに強いている。
この状態がもう一年近くだ。
だが、断じて主張するが、エリザベートは不幸ではないのだ。
ここでの獣人娘のギネビアとのふたり暮らしは愉しいし、畑を作ったり、料理をしたりと好き勝手に暮らしている。
なによりも、あのアーサーの嫌みや鼻につく高慢に接しなくていいと思うと、心の底から気楽に過ごしている。
満足しているのだ。
しかし、それでもさみしいと思うこともあるのは事実だ。
女として価値を認められず、かといって、姉のように魔道力で世に出るような能力もなく、また、どうやらうまい具合に公国から脱出したらしいエルザのようなしたたかさや頭のよさもエリザベートにはない。
自分はなんの価値もない人間だ……。
それを認めるのは、確かにさみしくもあり、悲しくもある……。
だが、そんなエリザベートの人生において、唯一の華がランスロットだった。
誰からも忘れられたような名ばかりの公妃のエリザベートのことをいつも気にかけてくれ、必要なものはないか、足りないものはないかと、幾度も幾度も声をかけてくれる。
その優しさが嬉しかった。
尊かった……。
誰からも……夫であるアーサーからも、値打ちのない女だと言われ続けたエリザベートに、ランスロットだけが優しさを与えてくれた。
エリザベートも女だ。
いつも紳士的にふるまうランスロットの眼に、男としての情熱がエリザベートに向けられることもあることには気がついていた。
だが、決して、ランスロットはそれを表に出したりはしない。
どこまでも真面目なのだ。
それがランスロットであり、また、彼の魅力でもあった。
そんなランスロットに、気がつくとエリザベートは恋をしていた。
エリザベートを大切にしてくれた唯一の男……。代償を求めることのない愛情をひそやかに向けてくれ、懸命にエリザベートを支えてくれる人……。
エリザベートがランスロットに、女としての好意を向けるようになるのは当然ではないか──。
それは、エリザベートの罪か──?
もっとも、エリザベートはそれを決して表に出すつもりはなかった。
報われることのない恋……。
ランスロットへの愛は、それこそ、墓場まで持って行くつもりだった。
しかし、今日……。
彼になにがあったのかわからない。
こうやって、隔離されたような生活を送っているので、エリザベートに政情のことがわかるはずもないが、それでも、今回のカロリック遠征で、ランスロットが、およそ、彼らしくない戦いを続けているということは耳にすることがあった……。
心配していた。
多分、苛酷なこともあるのだろう。
せめて、そのすり減った心を慰めるべき相手がエリザベートであったなら……。
もっとも、それはかなうことのない夢だと思っていた。
ついさっきまでは……。
「エリザベート様……。俺はあなたを……」
エリザベートとランスロットは、激しい情交の後の、束の間の余韻に浸っていたが、まずはランスロットが身体を起こした。
まだ、身体のだるいエリザベートは、寝台に裸身を横たえたまま、ランスロットに視線だけを向けた。
ランスロットは、まだまだ物足りないようなぎらぎらとした視線を向けてきている。
エリザベートだけでなく、ランスロットもまた、エリザベートを求め足りないと思ってくれているということがエリザベートには途方もなく嬉しく感じた。
しかし、いつにないランスロットの狂ったような態度や、彼がエリザベートを襲う直前に口走った言葉のことを思い出すと、おそらく、時間はないのだろう。
ランスロットがエリザベートの降嫁をアーサーに求めてくれたというのは事実なのだろう。
それを、あの陰険高慢男が拒否したということも……。
「そんな眼をしないでください……。あなたに求められたら、わたしは拒否できない……。だけど、もう行った方がいい。多分、そうなのでしょう?」
エリザベートは言った。
あの男のことだ。
ランスロットがエリザベートに恋慕しているということをアーサーに口にした以上、エリザベートとランスロットが自由に会えるのは、確かに、いまが最後なのかもしれない。
女という女は自分に惚れるものだと勘違いしているとのがあの男だ。エリザベートが自分の女のひとりだと数えてはいないだろうが、それでも、人に奪われることには我慢ならないと思う。
それが、あの男だ……。
ランスロットが何度か口にしたように、勝手に密通などできないように、見張りを立て、エリザベートの動向を監視させるくらいはするような気がする。
「いや、だけど、あなたはもう俺のものだ。誰がなんと言おうと──」
「嬉しいです、ランスロット様──。もちろん、わたしの心はすべてあなたのものです。でも、今日はお帰りください。ここでなにがあったのかとか口にしないで……」
「しかし……」
「お願いです。今日はこのままお帰りを……。あの男が貴重な人材であるあなたをどうにかするとは思えませんが、それでも、この状況が知られるのはよくないことは間違いありませんから」
「いや、たとえ、知られても俺は……」
ランスロットががばりとエリザベートを抱きしめようとした。
嬉しい──。
嬉しい──。
嬉しいが、エリザベートは必死に込みあがる感情に耐えて、ランスロットの胸を押し返す。
「エリザベート殿……」
拒否されたと思ったのか、ランスロットが途方くれたような顔になった。
可愛い。
そんな彼がどうしようもなく愛おしい。
「わかっております。気持ちはわたしも同じです。ですが、どうすればいいか……。どうすれば、わたしたちの愛がかなうのかを考えましょう、わたしも必死に考えます」
エリザベートは微笑んだ。
「どうすれば……か?」
「はい……。そして、覚えておいてください。さっきも言いましたが、わたしの心はすでにあなたのものです」
エリザベートは起きあがり、シーツを裸身に巻きつけながら立ちあがった。
ランスロットは、まだ言い足りないような顔をしていたが、やがて、立ちあがって、脱いだものを身につけ始めた。
*
「くっくくく……」
男は闇に中に溶けたまま、耐えきれずに、思わず笑い声をあげてしまった。
忘れられた公妃を見張る……。
タリオ公国の諜報員としては、およそ、どうでもいい仕事を与えられてきた自分だったが、どうやら運が向いたみたいだ。
途方もなく面白いものに出くわした。
三流レベルだとして、組織からはつまらない仕事しか回されてこなかったが、だからこそ、こんなおいしい情報に出くわした。
本当に運がいい。
あのギネビアとかいう獣人娘がまるで守護神のように屋敷の周りを見張っている間は、なかなか近づけなかったが、なぜか、しばらくすると急にうつらうつらし始め、ついに完全に眠ってしまった。
そのため、ランスロット将軍が入っていった平屋の建物に忍び込むことができたのだ。
そして、そこで見つけたものは、驚くべき光景だった。
咄嗟に手持ちの『映録球』と呼ばれる映像記録用の魔道具に、彼らの情事を収めさせてもらったが、実にいいものが記録できた。
どうやら、自分にも運が向いてきたらしい。
笑いが止まらないとはこのことだ。
さて、この映録球をどうしてやろうか……?
もちろん、任務から考えれば、すぐにこの証拠とともに、ランスロットとエリザベートとの不義を大公に報告すべきだろうが、そんなことをしても、自分になんの得があるわけでもない。
内容から考えて、褒賞のたぐいは与えられないだろう。
それどころか場合によっては、大公が事実を隠蔽しようと考えたら、理不尽な死を与えられてしまうかも……。
そんな間抜けではない……。
だが、ものは考えようだ。
これは高く売れる……。
少なくとも、あの忘れられた公妃であれば、この映録球を高く買うのではないだろうか……。
場合によっては、この魔道具に収められている記録のように、あの男好きのしそうな愛らしい身体を弄ぶことも可能なのでは……。
考えろ……。
考えろよ……。
どうやったら、これが高く売りつけられるのか……。
少なくとも、あの将軍が公都にいないときがいいのだろう。
あの男は、公国の筆頭将軍だ。
任務でも、調練でも、たびたび公都から離れることがある。
そのときが狙い目だろう。
焦ることはない。
これは高く売れるのだ。
そして、誰にも相談できない状況であれば、あの武辺も魔道もない公妃には、自分の脅迫に抗う方法はないはずだ。
もしかしたら、これを使って脅せば、あの大公妃は、自分のような一介の諜報員に股さえも開くのでは?
いや、開くだろう。
そうするのだ。
そうさせる……。
そのために考える。
考えろ……。
とにかく、本当にいいものを見た。
いいものを手に入れた……。
男は闇の中で懸命に込みあがる笑いに耐え続けた。
(第4章 第一話『凱旋将軍』終わり)