※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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811 讃美歌の終わるまでに(その1)【王都】

 移動術で後宮に戻ったラポルタは、サキの生首を包んでいた布を取り去り、大笑いした。

 

「もっと長く悪戯してあげたかったのですが、短すぎる朝儀でも申し訳ありませんでしたね、サキ様。しかし、やはり、人間族のように、時間をかけて部下と意見を交換するということができませんでした。それはともかく、最後の最後に飛び出した恥ずかしいサキ様のお声はなかなかに愉快でしたよ」

 

 跳躍したのは、後宮の中でも、実はル-ドルフ王の部屋となっている一室だ。もっとも、調度品をはじめとして一切の家具類はない。がらんとした壁と扉だけの部屋である。

 一切のものを排除させているのだ。

 それだけでなく、全体としてラポルタの準備した結界で包んでいる後宮内の中でも、この部屋と隣室についてはさらに誰にも入ることのできない強力な防護結界を敷いていた。

 いわば、ラポルタの根城ということだ。

 

「き、貴様……」

 

 置き台にもなっている首輪をした首だけのサキが歯噛みをしてラポルタを睨んだ。首から下の身体の存在していないサキには、自分では顔の向きを変えることさえ自由にはならないのだが、サキの苦しむ表情を眺めたいラポルタが抱えているサキの首をラポルタに向けるようにしたので、その表情がわかるのだ。

 その顔は欲情で真っ赤であり、髪が顔の皮膚に張り付くほどに汗びっしょりだ。

 

 まあ、無理もない。

 朝儀のあいだ、いや、その前からずっといじりまくっている二個の「性感球」は、その感覚をサキの性感帯を感じる脳の部分に直結させており、それを刺激されるというのは、もしも身体が残っていれば全身の性感帯という性感帯を同時に激しく愛撫されるほどの強烈な快感が走りまくるということなのだ。そういう仕掛けになっているのである。

 

 それでいて、このサキに伝わる絶頂感覚が寸止めで静止されるような処置も施していた。

 刺激に対する性感の感度も、通常の十倍には軽く引き上げたままでもあるので、サキからすれば、沸騰寸前の長い寸止め状態の身体に、凄まじい快楽の刺激だけを強要される状態なのだ。

 その状況で、最後に舌舐めの刺激まで声を耐え続けたのは、さすがは妖魔将軍とも称されるサキの意地というところだろう。

 まあ、その意地も最後の最後には崩れてしまって、笑ってしまったが……。

 

「そう睨まないでください。しかし、サキ様はすぐになんでも忘れてしまうのですね。私のことをなんと呼ぶのか、お忘れですか? サキ様が約束を破るのであれば、私もまた約束を守る必要はないということですよね」

 

 ラポルタはサキの顔を自分の顔の正面に据えたまま微笑んだ。

 すると、睨んでいたサキの顔が一瞬にして、悲壮な哀願の顔に崩れる。

 もっとも、睨むといっても、サキの眼に光はない。

 首だけになったとはいえ、サキはサキだ。封じている妖力が復活すれば、ラポルタなどひとたまりもない。だから、万が一にも、妖力をサキが溜めることができないように、眼を潰してやったのだ。

 多くの魔道遣いや妖魔がそうであるように、サキもまた、妖力の源となる力の吸収のために視力を利用している。視力を潰したサキなど、すでにその時点で二流以下の魔族でしかないのだ。

 

「あっ、いや、待て……。いや、待ってくれ、愛しいラポルタ様」

 

 サキが慌てたように言った。

 ラポルタと話すときには、必ず“愛しいラポルタ様”という言葉を付け加えること──。

 これがラポルタがこの後宮に集まっている人間族の娘たちや、あるいは、あのミランダとベルズを殺さないための条件になっていた。

 なぜか、サキは、ラポルタの気ままから人間族たちを守ろうと必死なのだ。

 サキは、生涯をラポルタと隷属契約を交わす代わりに、人間族たちの生命の保証を提案すらもしてきた。あの連中をどうして、そこまでして守ろうとするのかわからないが……。

 

 とにかく、ラポルタについてはサキの提案は拒否していた。

 だから、人間族たちの生命はラポルタの意のままにある。サキは自らの意思で、ラポルタに媚を売るしかない。そっちの方が簡単に隷属契約するよりも、ずっと愉しい。

 

 もっとも、それも飽いてきた。

 そろそろ、ちょっとくらい殺してもいいかもしれない。

 サキが拒否しようと、怒り狂おうとも、いまのサキにはラポルタに逆らう手段などなにもないのだから……。

 

「まあ、いいでしょう。その態度を忘れないことです。サキ様が人間族ごときを守ろうとする理由は全く理解できませんが、大切にしようとしているのはわかっています。しかし、あのミランダとベルズ、ましてや、ほかの人間族の女の一匹や二匹殺したところで、まだまだ、サキ様を縛る人質は残るんです。いまだに、ただのひとりも死なせていないのは、この私の慈悲なのですよ」

 

「わ、わかっている、い、愛しいラポルタ様……。わしはなんでもする。なんでもするから、どうか、あいつらを殺さないでくれ。このとおりじゃ」

 

 サキがわずかに眼を伏せるような仕草をした。

 ラポルタはちょっとむっとしてしまった。

 やっぱり、面白くない。

 どういう了見で、妖魔将軍ともあろうサキが人間族の奴隷娘たちなどを助けたいのかわからないが、サキからの好意と庇護の感情が人間族ごときに向けられるのは、やはり愉しいことではない。

 

「なるほど、なんでもするんですね、サキ様?」

 

「も、もちろんじゃ。なんでもしよう。しかし、もしも、人間族の女に手を出したら、わしは二度とお前に媚びん。最後の最後まで悪態をつき、死ぬまで……いや死んでもお前を呪う──。それを忘れるな──」

 

 サキが強い口調で言った。

 ラポルタは鼻で笑った。

 

「ならば、なんでもするという言葉を試しましょうか。逆に言えば、私の命令に従えないときには、人間族たちに手を出しても文句はいえないということになりますよね」

 

「はああ──? な、なにを言っておる、貴様……。い、いや、愛しいラポルタ様」

 

 ラポルタは返事をしなかった。

 そのまま歩き出し、部屋を抜けて廊下に出る。

 向かうのは、人間族の女たちを集めている大部屋の方向だ。途中で、本物のルードルフ王や、あるいは、ミランダとベルズを監禁している部屋もあったが、いまは素通りした。

 この三人とも、ほとんど食べ物を与えないまま、わずかな水分だけを与えるのみにして弱らせて閉じ込めている。

 特に、ミランダとベルズについては、この数日、必ず半死半生の仕打ちをサキの前で与えているから、もはや立つことも難しい程に弱っている。

 今日は昨日から逆さ海老吊りにして天井からぶら下げたままにしていたが、まあ、生きてはいるだろう。

 なんだかんだと丈夫な人間族とドワフ族であることはわかったので、まだ様子を見に行くには早い。

 

 大部屋に着く。

 部屋では、たくさんの鞭打ちの音と人間族の女たちの悲鳴が響き渡っていた。ラポルタが支配をサキから取りあげた眷属たちが人間族の娘や女に拷問をしているのだ。

 サキが支配していたあいだは、食事や休息を十分に与えるというような甘やかしをしていたが、ラポルタの支配に変わってからは、あるべき姿に変化させた。

 

 すなわち、人間族など家畜以下の存在として痛めつけ、心の底からの屈服と服従を身体に染み込ませるということだ。

 また、魔族に鞭打たれている人間族の娘たちは、全員が腰にチョーカーと同じ色の小さな布を巻いただけの裸である。そんな格好で怒鳴られて鞭を打たれる姿は、まさにラポルタの望む家畜の姿に相応しい。

 

「ブリウーハ──」

 

 ラポルタは、大部屋に入るとともに、適当な場所に椅子を出現させて、そこに腰掛けた。

 ブリウーハというのは、サキから支配を取りあげた以降に呼び寄せたラポルタの支配眷属だ。

 もともとのサキの眷属よりも能力は劣るものの、サキの支配に陥ったことがないという点でわざわざ呼び寄せて、ここの眷属の管理役にさせていた。サキから眷属支配を奪ったときに、ラポルタだけでなく、このブリウーハにも逆らわないように、支配契約を結ばせたので、このブリウーハがこの人間族の監視長ということになる。

 

 ちなみに男妖魔だ。

 サキが集めたのは女妖魔ばかりだったので、現段階ではラポルタを除けば、ここで唯一の男妖魔ということになる。

 ここにいる人間族や女眷属はいくら犯してもいいと言っているので、さぞや愉しんでいることだろう。

 もともと、相手が妖魔でも、人間族で見境のない好色なオス妖魔だった。

 ラポルタ自身は、あまり人間族の奴隷宮側には関与していないので、具体的な状況は承知していないが……。

 

「はっ、ラポ……いえ、ルードルフ陛下」

 

 ラポルタが声をかけると、すぐにブリウーハが駆け寄ってきて、ラポルタの前で反射的に背筋を伸ばす。

 このプリウーハもそうだが、眷属たちは全員が人間族に化けている。ブリウーハもだ。

 そして、ラポルタも、本来の姿ではなく、ルードルフ王の姿を使っていた。

 これについては、用心のためだ。

 完全支配に成功したとはいえ、人間族というのは実に狡猾で得体の知れない種族だ。

 姿を記憶されて、思わぬ仕返しをされないようにしなければならない。

 だから、ラポルタは人間族の前では、ルードルフ王ということで通している。すでにラポルタとしての姿も見せているので、最終的には全員を皆殺しにすることにはなるが、人間族相手に用心をするに越したことはない。

 この数日は、ラポルタの姿で前に出るのは避けている。

 

「どれでもいい。十人集めよ。余の前に整列させよ」

 

 集めている人間族の奴隷は百人足らずだ。拷問調教を受けているほかにも、隷属の首輪で支配して、高級管理の労働をさせている人間族もいるので、広間にいるのは全員の半分ほどだろう。

 ブリウーハは、すぐに女眷属の数人に指示を与えて、数グループに分かれている集団のそれぞれから、十人を連れてきた。

 

 サキが区分のためにしていた色違いのチョーカーをしており、赤が六人と青が三人と黄色がひとりだ。

 黄色と青は人間族の女でも年かさであり、特に黄色の女は一番の年長者のひとりであることを思い出した。

 名は、フラントワーズ。ここに集められて奴隷にされた人間族の貴族の妻女の中でもリーダー的な存在である。

 

「集まったか。ではそのまま直立不動で待て。これから、余とこのサキとの余興の一端を担ってもらう」

 

 ラポルタはルードルフの声で言った。

 五人ほどの眷属もやって来て、鞭で叩きながら、人間族を並べていく。

 

「な、なにをするつもりじゃ? あっ、いや、愛しい……ラポルタ様……」

 

 しばらく黙ったままだった首だけのサキがラポルタに話しかけてきた。

 サキとの会話については、風の魔道を使ってサキ以外に届かないようにしている。呼び掛けが“ルードルフ”でなく、“ラポルタ”であっても問題はない。

 また、人間族たち側についても、最初は驚愕していた首だけのサキの姿にも、いまは慣れたものだ。集まった人間族たちも、特に動揺はない。

 

「なんでもするというサキ様の覚悟を試させて頂くのですよ。なんでもするということですから、命令を与えましょう。私の股間を舐めて精を絞ってください。それができなければ、サキ様が嘘をついたということです。なんでもするという言葉に偽りがあったということですからね」

 

 ラポルタは言った。

 

「あ、ああ、も、もちろんじゃ。舐めさせてくれ、愛しいラポルタ様」

 

 サキが追従の言葉を口にする。

 もっとも、それは言葉だけだ。表情にも、口調も、ラポルタに対する媚びの色はない。

 まあ、今回は徹底的にいたぶってやるつもりだが……。

 

「では、やってもらいましょう」

 

 ラポルタは、椅子に座っている股を大きく開くと、椅子の座椅子に上に、サキの顔がラポルタの股間に密着するように、サキの生首を首輪の台を使って固定した。

 その上で、ズボンの前を緩めて、一物を外に露出する。

 

 まだ、勃起してはいないラポルタの性器がサキの顔の真ん前に位置する。

 視界のないサキには見えないが、性器を突きつけられたのがわかったのだろう。サキはむっと不快そうな表情になった。

 しかし、躊躇の様子は見せない。

 逆らえば、人間族の女を殺すことはわかっているので、サキは奉仕を躊躇わない。

 このところ、一切の拒否の姿を示さなくなった。

 

 サキが大きく口を開けて、匂いを頼りに、ラポルタの性器を探す仕草をする。

 このサキの舌は、全体をクリトリスそのものの感覚に繋げてしまっている。舌ほどの大きさのクリトリスを自ら刺激しなければならないのは、いまのサキの状態には辛いことのはずだ。

 だが、やるしかないのだ。サキは逆らえない。そして、逆らわない。

 

「待て、まだだ、サキ様──。そのまま、待つんです」

 

 サキが口を開いて舌を伸ばしたところで、ラポルタはそれを留めた。

 口を開いたまま、サキが当惑した表情になる。

 

「まだ命令の全部は終わっていません……」

 

 ラポルタは、声をルードルフのものに魔道で変えて、すぐに口を開く。

 

「……サキの視界に映らんと思うが、余の手摺りの上には、砂時計を準備している。それをひっくり返したら、号令をかけるので、奉仕を開始せよ。砂が落ちきる前に私から精を出させることまでが命令だ。無論、精が時間内に出なければ、なんでもするというこサキの言葉に嘘があったということになる」

 

「なにい?」

 

 サキが顔をしかめたのがわかった。

 

「そのときには、サキの後ろに集めた人間族十人のうち、適当なひとりを殺す。二度目も失敗したときにはもうひとり殺す。どうか全員が死ぬ前に、成功してみせよ、サキ」

 

 ラポルタは笑い声をあげた。

 ルードルフの声で告げたのは、並べた人間族の女たちにも、いまからの余興で、この中の幾人か、もしかしたら、全員が死ぬことを教えるためである。

 サキが頑張って、ラポルタから精をすぐに絞り出せば、誰も死なないかもしれないが、鋭敏なクリトリスと化しているあの舌を使った奉仕で、サキが満足な舌使いを駆使できるとは思えない。

 

「な、なんじゃと──」

 

 サキが顔を蒼くしたのがわかった。

 また、人間族たちも絶句している。

 

「待ってください。わ、わたしに提案があります」

 

 そのとき、突然に人間属の女のひとりが口を開いた。視線を向けると、この十人の中で唯一黄色のチョーカーのフラントワーズという年増の人間女だ。

 むっとしたラポルタは、そのフラントワーズの首を刎ねるために、すっと腕をあげた。

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