※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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812 讃美歌の終わるまでに(その2)【王都】

「ま、待て──。なにをする気じゃ──」

 

 フラントワーズの首を魔道の刃で跳ね飛ばしてやろうと、無造作に腕を上げたとき、ラポルタの殺気を感じたのか、股の前に置いているサキの首が大きな悲鳴をあげたのが聞こえた。

 また、ラポルタが身じろぎをしたため、剥き出しにしていた性器がサキの顔に強く当たる感じになり、サキの首がぐらりと椅子から落ちそうにもなる。

 

「おっと」

 

 ラポルタは慌てて、とりあえず、サキの首を支える。

 

「あっ、サキ様──」

 

 そとのき、フラントワーズがさらに前に出てきた。フラントワーズもまた、サキを受けとめようとしたのだろう。

 

「しゃしゃり出んじゃねえ──」

 

 ラポルタはフラントワーズの腰を蹴り飛ばした。

 

「ひぎゃああっ」

 

 フラントワーズが吹っ飛ぶ。

 

「フラントワーズ様──」

 

大姉(だいし)様──」

 

「ああ、大姉(だいし)様」

 

 集まっていた十人のうちの三人ほどの人間族の娘たちがフラントワーズの身体を宙でしがみついて受けとめる。

 

「しっかりなさって」

 

「大丈夫ですか、大姉様」

 

 そのまま、フラントワーズに集まってきて支えようとする。

 だが、“大姉(だいし)”──?

 

「勝手に動くな、奴隷ども──」

 

 そのとき、人間たちの監視長であるブリウーハが彼女たちに鞭を飛ばした。連発で激しい鞭が娘たちの肌に炸裂する。

 

「うひいっ、はいっ」

 

「ひいっ」

 

「はいっ」

 

 ほとんど剥き出しの裸身に鞭を浴びた人間族の貴族娘たちが悲鳴をあげて、再び直立不動の姿勢に戻る。

 

「だ、大丈夫よ……。し、心配しないで……。そのまま、讃美歌を……」

 

 一方で、驚いたことにフラントワーズもひとりで立ちあがってきた。

 全力ではないとはいえ、妖魔のひとりであるラポルタの蹴りを受けて、すぐに立ちあがれるとは立派なものだ。

 ラポルタは、それだけは感心してしまった。

 

 だが、讃美歌……?

 

 なんのことだろうと訝しんだが、すぐに、いつの間にか、集まっている人間族の娘たちが揃って、なにかを口ずさんでいることにやっと気がついた。

 フラントワーズが蹴り飛ばされたときにも、数名だけはささやきをやめて、フラントワーズを受け支えたが、そういえば、ほかの娘たちは姿勢を変化させずに、ずっと、それを口ずさんでいた気がする。

 こいつらが、いまさえずっているのが、“讃美歌”というものなのだろう。

 ほかの種族とは違って、魔族や妖魔族には、歌という概念はない。

 だから、よくわからなかったが、考えてみれば、これは人間族が時折示す“歌”というものに違いない。

 

「わ、わたしの提案を聞いて頂けませんでしょうか、へ、陛下……」

 

 まだ足腰がふらつくのか、フラントワーズが膝から下を震わせながら、やや前屈みの体勢で言った。

 一瞬、“陛下”と呼びかけられたわけがわからなかったが、いまはルードルフ王の姿にやつしていたということを思い出す。

 

 だが、話を聞けだと──。

 

 かっとなったが、なぜか、とりあえず、話だけでも聞いてやろうかという気持ちにはなった。

 ラポルタ自身、その心境の変化は不明だが、まあいいか思ってしまったのだ。

 ほんの少しだけ、頭がぼんやりとした感じになった気も……。

 

「話とはなんだ?」

 

 ラポルタは不機嫌差を隠さすに言った。

 いまだに、人間族の娘たちがさえずる歌は続いている。

 次第に、頭もさらにぼんやりとしてきた。

 

「た、頼む──。こいつらに、乱暴をするな、い、愛しいあ、あなた様──。そ、それよりも、早く奉仕をさせてくれ。なあ──」

 

 サキだ。

 一瞬にして、再び、ラポルタに激怒の感情が復活する。

 なぜ、サキが人間女を庇うのか──。

 たかが、人間ふぜいのことで、どうしてサキがここまで動顛するのか、まったく理解不能だ。

 やっぱり、サキは変わってしまったし、こんなサキはサキではない、

 サキが堕落したのは、おそらく、あの人間男と関係を持つようになったせいだろうが、ラポルタが愛した、あのサキに戻ってもらうには、やはり、目の前の人間族は死ななければならない。

 怒りと憎悪に我を忘れれば、サキは再び、妖魔将軍と称された“強さ”を取り戻す──。

 ラポルタの中で確信が生まれた。

 

「いや、やっぱり、死ねや、お前」

 

 やはり、人間女の話など聞くに値しない。そもそも、殺すつもりでここに来たのだ。

 

 それにより、サキを元に戻す──。

 いまは、憎悪でいい。

 ラポルタが恋い焦がれたあの強いサキを取り戻すには、それしかない。

 さっきも殺そうと思ったのに、急に、心が鎮まったのが不思議だが、そういえば、ちょっとばかり、人間族の女を減らそうと思っていたのだ

 ラポルタは、再び、腕に魔力を込めた。

 

「わ、わたしたちを簡単に殺してはつまりません──。もっと苛め──、もっとなぶり、もっと痛めつけて、惨めに扱った方が愉快で面白いのですから──」

 

 フラントワーズがずいと前に出てきた。

 まるで、後ろの女たちを庇うかのように……。

 ラポルタの視線からは、背後の娘たちが、そのフラントワーズの行動に恐怖するかのように、目を見開くのがわかった。

 

 しかし、その瞬間、まるで後ろが見えているかのように、フラントワーズが軽くて片手をあげる。

 すると、ほとんどささやいている程だった、人間族の娘たちの歌が大きな声になる。

 いや、十人だけでない。

 いつの間にか、あちこちで鞭打ちなどで追い立てていた広間の全人間族の女たちがそれぞれの場所で声をあげて、歌をうたっている。

 不思議な歌だ。

 声が大きくなったことで、口にしている言葉も伝わってきた。

 

 “天道様”……。

 “救世主様の教え……”

 “愛欲を受け入れ……苦しみを愉しみ……”

 

 なんか、そんなことを口にしている。

 なんだこれ、とは思ったが、やめさせようとう気にはなぜかならない。鞭打ちをしていたはずの監視役の妖魔たちも、ちょっと正気を失ったようにぼんやりとしているように感じる。

 

 なぜだ──?

 

 ラポルタは、自分自身の感情に戸惑いも覚えたが、すぐに納得のいく答えが頭に浮かんだ。

 

 そうだ──。簡単に殺してはつまらないのだ──。

 もっと、こいつらを苛め……。

 

 もっとなぶり──。

 もっと痛めつけ……。

 もっともっと、惨めに扱うのだ……。

 

 それこそ、愉快で面白い──。

 確かに、簡単に殺すよりも、そっちが好ましい……。

 

 歌はまだ続いている。

 頭にかすみが掛かったように、思考がしにくい状態も……。

 

「なら、言ってみろ。もっと惨めで、愉快で面白いことをな──。それが気に入れば、余はお前たちを殺すのは待ってやろう」

 

 ラポルタは言った。

 

「……お前たちではなく、殺すのであれば、わたしを殺してください。ほかの者にはどうか……」

 

 すると、フラントワーズが静かに頭をさげた。

 急に、殺意が戻る。

 

 興ざめだ──。

 まったく面白くないし、つまらん。殺すのは当然だが、だったら、このフラントワーズ以外から殺してやろうと思った。

 そっちの方が面白い──。

 

 頭を覆いかけていた“もや”のようなものも薄くなる。

 そして、はっとした。

 なにか、不自然だ。

 

 いま、どうしていた──?

 

「完全な魅了は無理なのなのね……。でも、焦らず……。できる……。ちょっとだけ、心に望むものを傾ける……。ほんのちょっと傾ける……。少しだけなら、曲げられる……」

 

 すると、フラントワーズが口の中でそう言ったのが聞こえた。本来は、余人が聞こえるような声ではない。

 ただ、妖魔族であり、五感が鋭いラポルタだから、耳がその呟きを捉えたのだ。

 

「おい、いまのは……」

 

 どういう意味なのかと怒鳴ろうとした。

 しかし、フラントワーズがさっと顔をあげて、ラポルタの言葉を遮って、口を開いた。

 

「面白いこと……。つ、つまりは、この讃美歌でございます。サキ様は視力を失っておられるのでは? 先ほど、陛下はサキ様が陛下の精を出させる期限として、砂時計を使うとおっしゃられましたが、サキ様にはそれは見えません。ならば、わたしたちが砂時計に合わせて、讃美歌を歌いましょう。歌い終える時間を頼りに、サキ様が陛下に奉仕なさるのです。いかがでしょう」

 

 歌で時間をサキに伝える──?

 確かに、サキの目に見えない砂時計を目安とするより、面白いかもしれない。時間が迫れば、サキは焦るだろうし、人間族を殺させまいと、必死にもなるだろう。

 確かに、より面白さが拡大するかもしれない。

 

「なるほど、愉快だ──。よいだろう。讃美歌とやらを、砂時計に合わせて歌え──。サキ、聞こえたな。歌が終わるのが期限だ。それまでに、余から精を搾り取るがよい」

 

 ラポルタは手を叩いて大笑いした。

 よい案だ。

 もっと愉しめそうだ。

 

「はっ、わ、わかった。う、歌だな──。わかった──」

 

 サキもまた、ぼうっとしていたみたいだ。

 慌てたように声をあげる。

 

「では、始めるか。さっきも言ったが、時間内に精を絞り出せねば、人間族の女がひとりずつ死ぬことになる」

 

 ラポルタは言った。

 

「お待ちください。それよりも、もっと面白きことが……。死ぬよりも、惨めで……、残酷で……、愉快なことが……」

 

 すると、フラントワーズがまたもや口を挟んだ。

 

「殺すよりも愉快なこと?」

 

 ラポルタは訊ねていた。

 どうして、こんな人間族の女の言葉に耳を傾けてしまうのか不思議だ。

 まあ、もっと、愉快なことがあるというのであれば、興味深くはあるのだが……。

 

「わ、わたしたち、黄色組……、いえ、青組も加えて、醜悪で残酷なショーをいたしましょう。サキ様が失敗されたときには、その数だけの動物とまぐわいをします。その姿を映録球で記録し、王都中にばら巻きもしていいでしょう。わたしたち、貴族にとっては……いえ、人として、それは終わりです。死ぬ以上の死です」

 

 フラントワーズが言った。

 ラポルタは手を叩いて笑った。

 

「ならば、今日はそれでよい──。サキよ、聞いて通りじゃ。人間族の動物との性交もよいが、そなたが余から精を絞ることができれば、女たちへの罰は保留にしてやろう。やれ──」

 

 ラポルタは上機嫌に言った。

 サキが大きく口を開いて、ラポルタの一物を咥え込んだ。

 柔らかい舌が当たり、サキの口の中でラポルタの男根が大きく勃起した。

 

「んひっ、ひんっ」

 

 たちまちにサキが情けないよがり声を出す。

 ラポルタはまたもや笑ってしまった。

 サキの舌はクリトリス以上の快感の場所として改造を終わっている。しかも、ずっと発散させずに、性欲の疼きを耐えさせ続けてもいる。

 いまのサキで、自ら舌で奉仕をするのは、かなり辛いことのはずだ。

 

「そんなていたらくでよいのか、サキよ。お前が失敗すれば、人間族の女たちは死ぬよりも辛い目に遭うのだぞ」

 

 ラポルタはサキの生首を押さえて、ぐいと奥まで怒張を突っ込んでやった。

 

「おがっ、あがっ、がっ」

 

 サキが苦しそうにえずく。

 しかし、それでも懸命に舌を動かしている。

 その必死さが面白くて、ラポルタはまたもや大笑いした。

 

「……殺すよりも愉しい罰を毎日考えます……。惨めで……愉快で……愉しい罰を……。殺すよりも……ずっと面白い……」

 

 フラントワーズが語りかけるように言った。

 なぜか、その言葉が頭にすっと入ってきて頭に響きわたる。

 だが、納得もしてしまう。

 フラントワーズの言葉は正しい。

 

「愉しみにしておこう。その趣向が面白いければ、殺すよりも、その趣向を先にやってやる。その分、お前たちの命も長引くということだ」

 

 ラポルタは言っていた。

 相変わらず讃美歌は続いている。

 頭がぼんやりとする気もするが、ラポルタの股間で快感と戦いながら、懸命に奉仕するサキの姿が愉快で、ラポルタは浮かびかけた違和感を忘れてしまった。

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