【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
82 淫魔師の朝
ミランダは屋敷妖精のシルキーの案内でロウの屋敷の地下にやってきた。
ロウたちは、四人とも地下の「調教室」にいると言われたのだ。
シルキーの示す部屋に入ってまずミランダを襲ったのは、むっとするような精液と愛液の匂いだ。
そして、四人の素裸の男女──。
無論、ロウと三人の「性奴隷」。即ち、エリカとコゼとシャングリアだ。
だが、そこで繰り広げられていた光景は、まさに「性の饗宴」と呼ぶのに相応しいような男女の倒錯の性愛だ。部屋の真ん中では小柄なコゼが四肢を拡げて立たされて、素裸のシャングリアに背後から指を乳房に喰い込まされていた。コゼは常軌の逸した様子でシャングリアの荒々しいとも思えるような愛撫に吠えるような声をあげている。
しかし、その口には穴あきの嵌口具があり、喋ることができないようになっていた。
コゼは唾液と汗にまみれている。
また、よく見ると、その股間には細い皮の貞操帯が喰い込んでいて、その隙間から夥しい愛液がにじみ出ている。
股間はぶるぶると淫らに震えていた。
貞操帯におかしな仕掛けがあるのは明らかだ。
さらに、部屋の奥では竹網の椅子に深く腰掛けているロウが大きく股を開いて、股間をエリカに奉仕をさせていた。
両膝を床につけているエリカの金色の頭が、ロウの股間の前で踊るように動いている。
エリカは四つん這いの状態であり、その股間はミランダの視界に露わなのだが、そこからは、可哀想なくらいに蜜が垂れ流れている。
エリカもまたかなりの興奮状態のようだ。
とにかくミランダは、朝っぱらから繰り広げられていた部屋の状況に圧倒されてしまった。
クエストのないときの四人が、大抵はこんなことばかりしているのは承知しているが、やはり、慣れるということはない。
「ミランダ、久しぶりだな。こっちに来いよ。ちょうど、遊びの途中だ」
ロウが声をかけてきた。
ミランダははっとして、慌てて立ち止まっていた足を前に進ませた。そのとき、背後でがちゃんと音が鳴った。
扉が閉じられるとともに、鍵が外から閉まったのだ。
シルキーだと思うが、ミランダを落ち着かなくさせる緊張感が襲う。
危険な状況ではないというのはわかっている。
ミランダを害するようなことは絶対にしない。
しかし、同じ状況で強引に、こういう性宴に巻き込まれた経験は数限りなくある。
ミランダに緊張が走るとともに、知らず内腿が擦り合わせていたことに気がつき、はっとして身体をただす。
いずれにしても、これでロウの指示なく、ミランダが部屋から出られるということはなくなったということなのだ。
もちろん、ミランダの実力があれば、この四人が束になっても、全員を圧倒できると思う。
だが、できるということと実際に実行することは別だ。
それに、なぜかミランダはロウが苦手なのだ。
どうしても逆らえない気持ちになってしまう。
いまも、不思議な緊張と高揚感がミランダを襲っている。
ミランダともあろうものが、ひとりの人間族の男を相手に、苦手意識を持つなど不可思議としか思いようもないのだが、それが現実だ。
ミランダは、すでに力の強い大人の前に連れ出された童女のような気分に陥っている。
とりあえず、口に溜まった唾を飲み込んでからミランダは、ロウの前に進んだ。
「んんんっ」
だが、ミランダが横を通ったとき、シャングリアに責められていたコゼが四肢を突っ張らせるように身体を前に突き出した。
しかし、その身体はすぐにがくりと脱力する。
その顔は朦朧としていて、全身がかすかにぶるぶると震えていた。
しかも、コゼはすすり泣きのように鼻を鳴らし始めている。
このコゼが泣いているのに接して、ミランダはびっくりしてしまった。
「ど、どうしたのよ?」
思わずミランダは、シャングリアに訊ねてしまった。
すると、やっとシャングリアがミランダの存在に気がついたかのように、夢中になった様子の顔をあげた。
「ああ、ミランダか──。どうしたも、こうしたもない──。見てくれ、これを──」
シャングリアが憤慨した様子で横の台からなにかを掴んで、ミランダの顔の前に突き出した。
それは両端が男根のかたちをしている「双頭の張形」だ。
「そ、その淫具がなによ、シャングリア?」
ミランダも、それを付きつけられて、そう返すしかない。
その張形からはむっとするような女の匂いが染みついていた。
眼の前の双頭の張形がちょっと前まで、その両端を女の股間に貫かせていたのは間違いない。
「この双頭の張形でエリカと愛し合うようにロウに命じられたのだ。今日は、百合の性愛を覚えるというのが、ロウの命令でな──。それはいいのだが、この張形の真ん中に数字を合わせるダイヤルがあるだろう。このコゼはわたしとエリカの股間にこれを挿入するときに、目盛を“五十”に合せたのだぞ。五十だ──。五十だぞ。信じられるか?」
シャングリアが怒鳴った。
だが、ミランダにはわけがわからない。
「五十だからなんだというのよ?」
「この張形はロウが特別な術で作らせた淫具であって、これを股間に挿入されると、数字の分だけお互いの絶頂をしないと淫具が外せないようになっているのだ。つまり、コゼがこれを五十に合せたということは、わたしとエリカは、ふたりで五十回の絶頂を繰り返さないとならなかったということだそれを起き抜けにやったのだぞ──」
「えっ、魔道の張形?」
ミランダはびっくりした。
なんという馬鹿馬鹿しい淫具だとは思ったが、考えてみれば、シャングリアの言葉の通りの魔道具なのであれば、どう考えても、かなりの複雑な術式が刻んであるといっていい。
高位魔道師が存在しないロウたちの中で、それほどのことができる者はいないはずだ。
エリカなど、魔道は遣えるが、戦闘の方が得意なくらいで、魔道具など作ったこともないはずだ。
あるいは、シルキーかもしれないが、屋敷妖精は屋敷の世話しかしないので、淫具作りなどということには能力は発揮できないはずだ。
この屋敷の前の持ち主が、ロウと同じような性癖の性具蒐集家であり、やはり魔道のこもったさまざまな責め具が屋敷になるのは知っているが、いま、シャングリアははっきりと言った。
とにかく、ロウが精の力で女を支配する能力があるというのはやっとこの前に知ったが、それだけでなく、ロウには、ミランダの教えてもらっていない秘密がまだあるようだ。
だが、ときどき、かまをかけても、なかなか教えてもらえない。
「本当にとんでもない悪戯をする女だ。ロウは十回に合せると指示したのに、コゼは数字を間違えたふりをして五十にしたのだからな──。だから、こうやって仕返しをしているところだ。もちろん、それもロウの命令だ」
シャングリアは、その淫具を台に戻して、今度は絵筆を取り出した。そして、コゼの股間の前にしゃがみ込むと、革の貞操帯の縁をすっすっと絵筆で撫ぜだした。
「んふううっ」
コゼが狂ったように腰を動かしだした。
しかも、絵筆を避けるというよりは、絵筆の刺激を求めるように、いやらしく股間を前に突き出そうとする。
だが、シャングリアはコゼが自ら前に股間を出すと、そこから逃げるように絵筆を引っ込めてしまう。
そして、次には別の場所をくすぐる。
その場所でも同じような状況が繰り返し、シャングリアはまた絵筆を引っ込める。
思わず見入ってしまっていたミランダは、我に返って、口を開く。
「コゼはなにをされているの?」
コゼが普通の状態でないのがやっとわかる。
絵筆の刺激をくすぐったがって逃げるのではなく、それを求めて身体を突き出すなど異常だ。
やはり、股間に喰い込む貞操帯の仕掛けがあるのだろうか……?
「なにをされているかと訊いたのか、ミランダ?」
絵筆を操っていたシャングリアが手を止めて顔をあげた。
「んんっ、んんっ──」
すると刺激を止められたコゼが切なそうな悲鳴をあげる。
やはり不自然だ。
「コゼには気が狂うような媚薬を股間に塗った。わたしも何度も使われたが、本当に強烈な媚薬なのだ。それを股間に塗られると、ロウに犯されたくなって我慢できなくなる。それを塗ってから、貞操帯でコゼの股間を閉じたのだ。この貞操帯は“いけずの帯”という名の淫具だ」
「いけずの帯?」
なんという馬鹿げた……。
そして、とんでもない魔道具……。
「この貞操帯の内側にはふたつの孔を塞ぐ大小の張形があるのだが、それが絶えず淫らに動くが、装着している女の身体が絶頂をしようとすると、その振動がぴたりととまるという仕掛けが施されている。これを装着されると、絶対にほかの手段で刺激してもらわないと絶頂できない。つまりは、焦らし責めだな。そういう仕掛けだ」
「それも、ロウが作ったの?」
ミランダは訊ねた。
シャングリアが首を軽く捻る
「作った? いや、こっちはこの屋敷の蒐集品か……。とにかく、ミランダも知っているだろう? 焦らし責めはつらい。コゼにはいい薬だ。この女は最近、なにかにつけ、わたしやエリカを性の手段でからかうからな」
シャングリアはそう言うと、再びコゼを絵筆で責める態勢に戻った。
ミランダは呆然としてしまった。
「ミランダ、こっちに来な」
ロウだ。
慌ててロウの前に進む。
すでにエリカはロウの椅子の横に横座りで床に腰をおろしている。
肩で息をしている。おそらく、かなりの長時間、ロウに奉仕を求められていたのだと思う。
また、そのためロウが大きく拡げている股には、ロウの男根がぶらりと垂れ下がっている。
ミランダは自分の顔が少女のように赤くなるのを感じた。
とにかく、眼を逸らして、それを気にしないようにする。
「ロ、ロウ、仕事の話よ……」
「仕事? やっと、エリカを嵌めようとした相手の正体がわかったのか?」
一郎が訊ねた。
だが、この男はミランダが目の前にいるというのに、下半身を隠そうともしない。
さすがに、ミランダは目を逸らすようにした。
「ま、まだよ。だけど、この前は助かったわ。おかげで、少しはわかってきたわ。そっちの方は改めてね」
ミランダは言った。
ロウが口にしたのは、一箇月ほど前のことだが、エリカがジョナスという操り術の能力がある冒険者に操られてロウを刺したという事件のことだ。
それについては、精の再支配をして、ロウがエリカの洗脳を解くことで終わったかと思ったが、ロウに頼まれて、ジョナスの周辺を探った結果、どうやらジョナスにはほかにも余罪があり、同じように手に入れて、操り術で洗脳をした挙句に、あちこちに売り飛ばした女が大勢いる気配なのだ。
もっとも、どこに売り飛ばしたかということや、誰に売っていたかということはまだわからない。なにしろ、売り飛ばされた女たちは、記憶改変されていて、ジョナスのことはもちろん、ジョナスが直接に売った相手のことも、簡単な合言葉で忘却してしまう術がかかっていたらしく、当の女たちがまったく記憶がないのだ。
しかし、本来は奴隷ではない者を魔道で洗脳して奴隷として売るのは犯罪だ。
闇奴隷の売買は、ハロンドールでも重罪に当たる罪だ。
だが、まだ全貌は不明だ。
ここまでわかったのは、偶然にもランという若い女が娼館に売られて働かされていたことから発覚したのだ。
ランは近所でも王都内の下町の小さな食堂で働いていた少女であり、婚約者もいたが、突然に行方不明になり姿を消していたのだ。
娼館で新人の娼婦として働いていたのを、偶然に知っている者が見つけ、しかも、ランの様子が不自然だったので、ミランダに相談にきたのだ。
ランについては、依頼料を支払う者がいなかったので、クエストにすることはできなかった。婚約者だった男も、逃亡したランに未練はないようであり、どうでもいいという態度だった。
とにかく、ロウのこともあったので、クエスト抜きでミランダが私費で動き、ランについては、娼館の主人を脅迫半分で交渉して、冒険者ギルドに身請けさせ身柄を引き取った。
そのときに、洗脳を抜いてもらったのはロウだ。
ロウをこっそりと呼び出して、ランを抱いてもらい、封印された記憶を戻してもらったのだ。ロウの精にそんな力があると確信したのは、このときだ。エリカたちの封印を解いた経緯から、そうであることはわかっていたが、ミランダは改めて、ロウの秘密のひとつをそのときに目の当たりにした。
ランは記憶を取り戻し、ジョナスに自分が騙されたことを言ったが、残念ながら自分がジョナスに売り飛ばされた分限者だという相手は覚えてなかった。顔を見ればわかると言っていたが、どうやら、その分限者は名乗ってなかったらしく、しかも、ジョナスが殺されたことで、すぐにランを手放したようであり、手掛かりらしいものはなかったのだ。
それでも、ランに乏しい記憶を辿ってもらい、十数名ほどに的を絞っている。
相手が特定でき次第に、ロウに伝えることになっていたのだ。
「それよりも別のクエストのことで相談に来たのよ……」
ミランダは肩から下げていた袋から持ってきたものを取り出そうとした。
しかし、ロウがそれを制して、手でミランダの右手を掴んだ。
はっとした。
なにをしようとしているのかわかっている。
右の人差し指に嵌めている魔道の指輪を外そうとしているのだ。ドワフ族は、これを外されると魔道が遣えなくなる。ロウはこの屋敷でミランダを抱くときには、必ず指輪を外させる。
ロウの嗜虐責めに抵抗できなくするためだ。
「ちょっと待って」
右手を掴まれたミランダは、慌てて手を引っ込めようとした。
だが、ドワフ族にとっては、指輪は本当に大切なものだ。それを他人に委ねるなど余程のときだけだ。
だが、抵抗する気持ちにならない。
おそらく、これはすでにミランダが、ロウの精支配に陥っているために他ならないと思うが、支配されているとしても、嫌な気分はない。
それがロウだ。
しかし、いまは、そんな場合じゃない。
こんなことをしているときじゃないのだ。
「ミランダ。ほら」
「ひいっ」
そのとき、思わず声をあげてしまった。
いきなり、ロウの股間が勃起して逞しくなったのだ。
情けないが、せりあがった男根を見せられて、それだけで動揺してしまい、その隙にさっと指輪を抜きとられてしまった。
「くうっ」
ミランダは思わず口惜しくて声をあげてしまった。
ロウが笑いながら、指輪をエリカに渡し、エリカがさらに横の小さな金属の皿にからりと指輪を落とす。
すると、ふっと指輪が消える。
シルキーの魔道だ。
このまま、ミランダが屋敷を後にするまで、指輪を返してもらえないというのが、いつもの繰り返しだ。
「じゃあ、挨拶代わりに、スカートをまくってみなよ」
「ちょ、ちょっと話を……」
ミランダは抗議しようとしたが、すると急に頭の中にもやがかかったようになり、なにも考えることができなくなった。
「いいから、ほら」
「あっ、う、うん……」
ミランダはロウの促すような言葉に釣られるように、膝上の短いスカートをすっとたくし上げていた。
突然に襲ったぼんやりとした感覚から我に返ったのは、すっかりと下着に包んだ股間が露わになってからだ。
「わっ、ロウ──。あ、あんた、また、淫魔術を遣ったわね──。それはやめてって、頼んだじゃないのよ──」
かっとして怒鳴った。
ロウが淫魔術の遣い手なのはもう知っているし、受け入れてもいる。
だが、わけもわからなくされて、玩具にされるのはご免だ。
ミランダはスカートをおろそうとした。
だが、ぎょっとすることに、手が動かない。
これも淫魔術か……。
ミランダはが歯噛みした。
「悪かったね。だけど、約束を破ったことはミランダも同じだぞ。この屋敷にやってくるときには、下着を身に着けるなと言っていたろ」
ロウが頬に笑みを浮かべたまま静かに言った。
この物言いに弱い。
どうしても、逆らえない気持ちになるのだ。
「で、でも……きょ、今日は遊びにやってきたのではなく、クエストの話で来たから……」
仕方なく、ミランダはスカートをあげたまま応じた。
この屋敷にミランダが訪れるのは、大抵はロウに抱かれるためだ。
性の達人ともいえるロウは、意地悪な鬼畜趣味があって、確かにミランダは下着を身につけずに、この屋敷にやって来るということを前々から指示されていた。
だが、今日は仕事が目的でやってきたのだ。だから、しっかりと下着は身に着けていた。
「言い訳は無用だよ。罰は重いものにしてあげる。後ろを向くんだ」
ロウがにこにこと微笑みながら言った。
ミランダはスカートをまくったままロウに背中を向けた。
もやは、ミランダの意思なのか、勝手にロウに身体を動かされているのかわからない。
とにかく、ロウに絶対に逆らえないということだけは確かだ。
ロウの手がミランダのお尻に伸びる。
次の瞬間には、背後から下着をさげられて、お尻に丸い塊りのようなものをぐいと押し込まれていた。
「ひっ、な、なにを入れたの?」
ミランダはおぞましさに腰をよじった。
しかし、そのときにはすでに異物がお尻の奥深くに沈んでしまっていた。
潤滑油のようなものをたっぷりとまぶしてあったのか、その異物はまったく抵抗もなくミランダの肛門を滑り進んだのだ。
「こっちを向いて服を脱ぐんだ、ミランダ……。いや、エリカにやらせよう。今日のテーマは、“百合の性愛ごっこ”だったんだ……。エリカ、ミランダから服を脱がせるんだ。ミランダは一切の抵抗をするなよ。じっとしているんだ」
ロウの言葉で、ミランダは金縛りになったように、スカートをたくしあげた格好のまま動けなくなってしまった。ただ、身体だけは反転してロウに正面にして向きなおる。
まるで魔道だ。
ミランダはいつもながら、魔道の遣えないはずの、ロウのこういった能力に驚愕する。
しかも、ロウの積極的な性にはいつも圧倒される。
おそらく、淫魔術なしでも、逆らう気持ちにはなれないだろう。
「は、はい、ロウ様……」
疲れたような様子だったエリカが立ちあがった。
前に立って、ミランダの身体から衣服を脱がし始める。
ミランダは再びはっとした。
こんなことをするつもりではなかったし、大切な用事があるのだ。
どうも、このロウは苦手だ……。
いつもいつも、ロウのペースに嵌まる。
おそらく、これは淫魔術というだけじゃなく、ミランダ自身の気持ち的なもののあるとは思う……。
「ま、待って、聞いてよ、ロウ──。きょ、今日はクエストの話で来たのよ。強制クエストよ。あなたたち、この一箇月、ひとつもクエストを受けていないわよね。だから、強制クエストを受けてもらうわ」
強制クエストというのは、通常であれば自分で選ぶクエストを、ギルド側から強制的に受けさせられるというものだ。一定以上のランクのパーティに義務付けられているものであり、原則として拒否できない。
「一箇月以内? もしかして、あのランという少女のことは、クエストに入ってない?」
「入ってないわ。あれは、あんたとわたしの友情でやってもらったただ働きよ。そもそも、ジョナスに関する調査は、ずっとあたしの私費でやってんのよ。もっと被害者が見つかれば、クエスト扱いにできるかもしれないけどね」
「まあそうか……。だけど、珍しいじゃないか。クエストなら、いつも俺たちを冒険者ギルド本部に呼びつけるだろう? なんでわざわざ、副ギルド長自らやってきたんだい……? いや、エリカ、手を休めなくていい。服は脱がしてしまえ……。まあ、遠慮なく話しなよ、ミランダ。別に嵌口具をつけるわけじゃないしね」
ロウが言った。仕事の話になりかけたとき、エリカが気を遣うように、ミランダから服を脱がす手を止めたのでそう言ったのだ。
「ちょ、ちょっと、エリカ……。ね、ねえ、ロウ、クエストのことだって言ったじゃないのよ。いい加減に身体を解放してよ」
ミランダは再び抗議した。
いまだに、スカートを自らたくしあげている状態から身体を動かせないのだ
一方で、ロウの言葉を受けたエリカは、再び黙々とミランダを脱衣させる作業に戻る。自分で動かせない身体も、なぜか、エリカが動かすと簡単に動く。
結局、上衣を奪われ、ずっと裾を上げ持ったままだったスカートも奪われた。
乳房を止めている革の胸当ても外された。
スカートを取りあげられた瞬間に、やっと、両手が解放され、思わず、乳房を両手で隠す。
すると、下着をエリカがすっとミランダの腰から引き剥がして足首から抜いた。
完全に全裸にされてしまった。
「両手は後ろだ、ミランダ。シルキー、革帯を出してくれ。いつものミランダ用のやつだ」
「はい、旦那様」
ロウが声をあげると、姿を消していた屋敷妖精のシルキーが革帯を両手に持って瞬時に出現する。
「さあ、遊びの時間だぞ、ミランダ」
ロウが革帯を受け取って立ちあがる。
ミランダは、焦った。
このままでは、まったく話を聞いてもらえずに、なし崩し的にロウに抱かれて、わけがわからなくされるだろう。
ミランダは、昔から男の押しに弱いところがあって、強引に男に迫られると、どうしても逆らうことができないのだ。
そうやって、無理矢理に男女の関係になった相手は何人もいる。
まあ、なかなかミランダに強引に迫ってくる男もいなかったが……。
いずれにせよ、淫魔術のことを横においても、残念ながら、ミランダがロウに与えられる快感にすっかりとのめり込んでいることは認めざるを得ないだろう。
だから、こんなことをされても文句を言えないのだ。
とにかく、ロウはさまざまな不思議な淫具を持っている。その多様性にはたじろぎを覚える。
こと倒錯の性愛に関しては、ロウの右に出る知識を持つ存在をミランダは知らない。
今回のクエストをロウたちの強制クエストにしようと思ったのは、そのロウの知識が役に立つと思ったからだ。
それに、今回のクエストは非常に繊細な内容だ。
信頼のできるパーティにしかやらせることはできない。
ミランダは、これまでに、あらゆる依頼への連勝記録を続けているロウのパーティに絶対の信頼を置いている。身体の関係を抜きにして……。
「こっち来いよ、ミランダ。まずは、挨拶代わりの一発といこうか。とりあえず、拘束させてもらうよ」
ロウが手招きをする。
ミランダはロウの身体に密着するために足を進みかけが、これについては懸命の意思の力でそれを拒んだ。
「どうしたんだ、ミランダ?」
途中で行動を止めたミランダに、今度はロウが訝しむ表情になった。
「あ、あんた、あたしの話を聞いてたの? 今日はクエストの話っていったじゃないのよ」
「話は拘束されても、できるだろう? ちゃんと話は聞くから……。ほらっ」
強引に抱き寄せられる。そして、ミランダのお尻にロウが手を伸ばして、尻たぶをちょんと揺するようにした。
「あんっ」
尻穴に挿入されている異物がそれで刺激され、ミランダは脱力して膝を折りかける。
力が抜けた瞬間を見逃さずに、ロウがミランダの身体を反転させ、両手をさっと掴んで、背中側で重ね合わた。
それはともかく、気のせいか随分とお尻に挿入された異物の感触が小さくなったような……?
「や、約束よ」
とにかく、ミランダはもう諦めた。ロウの為すがままにさせることにした。
重ね合わされた両腕を革帯が包む。
これでミランダは両手が封じられたということだ。
「ま、まずは話が先よ──。とりあえず、あたしが持ってきた荷を見てよ、ロウ」
ミランダは肩に提げる麻布の袋に、今回の事件の手掛かりを持ってきていた。
その袋はさっき脱がされたミランダの衣類とともに、エリカに奪われて一緒に置かれている。
「それか?」
ロウがエリカの身体の横にある袋に視線を動かした。
エリカがその袋をロウに渡す。
ロウがその中身を確かめた。
すると、まずは驚いた顔になり、次いでぷっと噴き出した。
袋に入っていたのは、小さな輪が片側についている鎖とひと組の腕輪だ。
いずれも、一昨日の朝に保護された第三神殿の筆頭巫女のスクルズが身に着けていたものだ。
それを神殿長を通して、ギルドで預かってきていたのだ。
「……これは淫具だな。この鎖の輪は女の肉芽をぎゅっと締めつける仕組みになっているようだ。肉芽を締めつけて鎖で引くというのは、家畜の鼻輪よりも効果があるだろうね……。面白いよ。そして、この腕輪には特殊な凹凸がついていて、一見するだけではただの飾りのように見えるが、突起の部分とへこんでいる部分を合わせて捻ると、あっという間に手錠になるという仕組みのようだね。なんだい、これで遊んでもらいに来たの、ミランダ?」
ロウが笑いながら言った。
ミランダはかっと身体が熱くなるのを感じた。
敏感な肉芽の根元を小さな輪っかで締められて、それを鎖を引かれる自分を想像してしまったのだ。
いや、だめだ……。
ミランダは妄想を振り払った。
ロウに抱かれるようになって、そろそろ三箇月──。
どうにも、ミランダは、自分がすっかりとロウが与える嗜虐の性の虜になりかけている。
いや、すでにそうなっている。
だから、今日も、この屋敷にやってくるなり、裸にされて拘束されるという理不尽な行為を受けて、大して抵抗もしなかったし、実際に、すでに早くも股間が反応して疼きを覚えていた。
だが、ロウはさっそく、持ってきた淫具をミランダに施すような仕草した。
ミランダは慌てた。
「ち、違うわよ──。それは手掛かりなんだから、使わないでよね」
「手掛かり?」
ロウはやっと手をとめ、改めて、その淫具を眺める仕草になった。
そして、すぐに眉をひそめる。
「……この淫具からは、おかしな気のようなものを感じるな……。魔道……ではなさそうだ。しかし、淫気でもない……。さて……?」
ロウが首を傾げている。
だが、ミランダは、ロウがあの淫具の不自然な力に気がついたことに驚いてしまった。
やっぱりロウは凄い。
魔道も遣えないのに、一流の魔道師にしかわからなかった淫具に流れている「気」の違いを感じることができるのだ。
それにしても、“淫気”?
あまり耳にしない単語だ。
それはともかく、ミランダは口を開いた。
「……さすがにロウね。そうよ。それは、破廉恥事件で保護された第三神殿の筆頭巫女のスクルズが、神殿の者に発見されたときに、身体に身に着けていたものよ」
ミランダは言った。
「破廉恥事件で保護された?」
ロウが驚いた顔をミランダに向けた。
当然だろう。
一昨日の朝、あのスクルズが、数名の与太者相手に路上で性愛の営みをしていたという事実は、神殿による厳しい箝口が敷かれている。
……とはいえ、いずれは、噂が王都を蔓延するのは避けられないだろう。
しかし、いまはまだ、ほとんどの市民もこの事件については耳にしていないはずだ。
「……クエストの内容について話すわ」
ミランダは語り始めようとした。
しかし、このとき、ミランダは下腹部に痛みのようなものが走るのを感じた……。
それがなにかというのを考える前に、さっきお尻に入れられた異物の存在が消えていることに気づいた。
その代わりに襲ったのは強い便意だ。
「おや、座薬が効いてきたようだね。まあ、とにかく、早くクエストの内容を話しなよ。約束だから、話を先に聞くよ」
ロウがいつもの鬼畜な笑みをミランダに向けた。
ミランダはぞっとした。