【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「もっとも……、もしも、絶頂できたらの話だけどね……」
アネルザが絶頂しようとしている最中に一郎はうそぶいた。
そのアネルザにやっと訪れた最高の快感──。
ついに絶頂を一郎から許可されたアネルザが最高の快感に向かっていくのがわかる。
しかし、残念ながら、それは不可能だ。
一郎は、淫魔術を駆使し、ぎりぎりのところでアネルザの絶頂感を固定するように細工をしてやったのだ。
たったいまのことである。
数箇月も性の飢餓に苦悶し続け、さらにこの場でさんざんに焦らされたあげくの爆発するような巨大な絶頂だ。
それを絶頂寸前の状態で感覚が固定されるようにしてやって、寸止めさせたのだ。
「ああっ、な、なんだい──。あああっ、なに、なに、なに──? あひいいいっ」
なにをされたのかわからないアネルザが暴れ始める。
一郎は怒張を抜いて、アネルザのそばに胡座をかいた。
その一郎の横で、アネルザが自分の身体を抱きしめて、激しく痙攣している。
「えっ、どうしたのだ、王妃? なにをしたんだ、ロウ?」
イザベラがびっくりして身体を起こしたのが見えた。
「こ、これって、もしかして、あれですか……?」
「まさか、ロウ様……」
一方で、この手の一郎の悪戯を何度も受けているコゼとエリカには、アネルザを襲っている状況がどういうものなのかを薄々悟ったようだ。
「えっ、どうかしたのですか?」
「まあ、なにをされたのですか、ご主人様?」
ガドニエルとスクルドだ。ふたりはきょとんとした様子だ。
「ふふふ、やっぱり、ご主人様って、鬼畜うう──。ご主人様は淫魔術でこの王妃の快感を停止させたのさ。しかも、絶頂寸前の状態でね。だから、この王妃様は、絶頂間近のぎりぎりのところをずっと味わい続けているということさ。可哀想に」
クグルスが床でのたうち回るアネルザの上を舞いながら
一郎がやったことは、まさに、クグルスが喋ったとおりだ。
いま、アネルザは本来であれば、あっという間に通り過ぎるはずの絶頂寸前の状態が、そのまま固定されて停止している状況だ。
「ひいいっ、ひいいっ、ひいいっ」
アネルザが暴れ回り、しかも、口から泡のようなものを出して、白目を剥きかけた。
「うわっ、そんなことがお兄ちゃんにはできるの? すごいわ──」
また、享ちゃんについては感極まったような声を発している。
「ええ? ただの鬼畜じゃないの。こんなのがすごい?」
呆れた口調で口を挟んだのはユイナだ。
まあ、ユイナの感覚が一般的な常識人だろう。しかし、ここにはその常識人が圧倒的に少ない。
一郎は苦笑する。
「そう簡単に許されるわけがないだろう、アネルザ。お前にしろ、ミランダにしろ、サキにだって、しっかりと罰を与えるつもりだ。サキは捕らえられているのかもしれないが、それと罰は別だ。もしも、殺されたりしていても生き返らせる。そして、俺の女がやった不始末に対し、しっかりと罰を与える。お尻ぺんぺんの代わりだ」
一郎はアネルザの身体にそっと手をやる。
さすがに、この状態を放置していては、本当に狂ってしまうかもしれない。ちょっとだけ楽にしてやる。
ただし、絶頂を許すわけじゃない。だんだんと下降していけるようにしただけだ。
「はあ、はあ、はあ……。ロ、ロウ……」
少しして、ほんのちょっとだけ正気を戻した感じのアネルザが恨めしそうに一郎を見あげてくる。もっとも、まだまだ、絶頂寸前のもどかしくも、凄まじいほどの快感の迸りも継続しているはずだ。
自分の胴体を両手で抱くようにして、小刻みに身体を震わせている。
「ちょっとだけ楽になったろう? なら、もう一度だ。今度も絶頂寸前でしばらく快感が硬直状態になるけどね。しばらくしたら多少は楽になる。折角だから、もう少しだけ愉しむか」
一郎はアネルザの足側に跪き、両腿を抱えると男根をアネルザの股間に近づけていく。
「ひっ──。ま、また、あれを──。も、もういやだ──。ゆ、許して──」
さすがにアネルザが顔を引きつらせた。
「えっ?」
「ええっ?」
「本当にまだするのか、ロウ──?」
女たちが一斉にどよめいたのがわかったが、一郎の耳に知覚できたのは、ミウとエルザとシャングリアの声だ。
ほかの女たちも大なり小なり声をあげた。
「ああ、いやああ」
アネルザが強姦される少女のように泣き叫んだ。
だが、脱力しているアネルザに抵抗する力はない。
あっという間に、一郎が勃起させた性器を膣に受け入れさせられる。
「いやだああ、ああああっ」
アネルザが悲鳴をあげた。
だが、律動を開始すると、すぐにそれが吠えるような嬌声に変わる。すでに、全身は官能の愉悦で爆発寸前なのだ。
それがあっという間に、飛翔していく。
「はぐうううっ、いぐううううっ」
そして、全身をがくがくと激しく震わせて絶頂の反応を示した。
まだ数回の律動をしただけなので、多少物足りない感じだったが、一郎はアネルザの中に、再び精を放った。
「あがあああっ、またああああ、ああああああっ」
すぐにアネルザが暴れ出す。
一郎が施している淫魔術の縛りにより、絶頂寸前の感覚がそこでしばらく停止するのだ。
「んぐうううっ、んぎいいいっ」
再び、絶頂寸止め地獄に陥ったアネルザがのたうちまわりだす。
さすがに、ほかの女たちも鼻白む様子を示しだした。
「うわああ……。おれがこれをやられたら、死んじゃうね……。寸止めって、サキュバスには最高度の拷問なんだよねえ……」
そのとき、ぼそりとチャルタが呟くのが聞こえた。
一郎はチャルタに視線を向け、にんまりと微笑んだ。
「あっ」
チャルタが顔を蒼ざめさせるのがわかった。
「それはいいこと聞いたな。じゃあ、全部が終わったら、次は寸止めごっこで遊ぶか、チャルタ。お前ら、淫魔族組にもお仕置きはまだだった気もするしな」
「ひっ」
チャルタが絶句して、顔を引きつらせる。
その反応に笑いながら、一郎はアネルザに視線を戻した。
「さて、じゃあ、そろそろ、遊びは終わりにするかな。だが、ここで終わったら、アネルザも堪らないだろうから、疑似ペニスで発散することだけは許してやるぞ。ただし、自分でするんだ。男の自慰の仕方は知っているか」
一郎はアネルザの疑似ペニスの根元についているリングを亜空間にしまった。
これで、アネルザは随分と長いあいだ喰い込まされていた淫具をやっと外してもらえたことになる。
また、一時的に静止していた絶頂寸前の感覚がゆっくりとさがることで、ちょっとだけまともになったアネルザが涙目になったまま上体を起こす。
「ペ、ペニス……?」
まだ頭が回ってないのだろう。
アネルザはなにを言われたのかが理解できないのか、肩で息をしながら、ぼんやりと一郎を見つめてきた。
身体はいまだに小刻みに震えている。
「ペニスだ。擦るんだ……。男側の性器には絶頂止めの術はかけてない。誓うよ」
一郎は言った。
アネルザはしばらくぼんやりとしていたが、やがて、はっとしたように股間に手をやった。
手で小さな疑似ペニスを握ると激しく擦りだす。
「ああっ、ああっ、欲しいいい──。あとほんのちょっとのものが欲しいんだよおお──。ロウ、ひどいよおお」
アネルザが感極まったように叫んだ。
もう恥も外聞もないのだろう。
ただただ全身を支配している欲望のままに、自分の疑似ペニスを擦る。
「ひんんんっ」
アネルザが腰を二度三度と天井に突きあげる仕草をした。
射精状態になったのだろう。
一郎はほくそ笑んだ。
「あああっ、なんだい──。今度はなにをしたんだいい──。あああああっ──。出ないいいい──。出ないよおおお。あああああっ」
アネルザがまたもや暴れ回る。
一郎は笑った。
「男根側には絶頂止めの術はかけてはないけど、射精ができるはずの尿道口は粘性体で完全封鎖している。似たような仕打ちだが、嘘はついていないぞ。まあ、先端で止められるというのは、根元で止められるのとは、また別の味わいがあるだろう?」
一郎は射精しようとしてできなかったことで、倍近くも膨らんでいるアネルザの疑似ペニスを観察しながら、アネルザを起こして抱きしめた。
「今日はこれで終わりだ……。それが一連の騒動に対するアネルザへの罰だ。すべてが片付けば、今度こそ、意地悪なしで抱いてやる。それまでは我慢しろ。いいな、アネルザ」
「ああ、ひどいじゃないかい……。ひどいよお、ロウ──」
アネルザが苦悶の表情を浮かべながら、力いっぱいに一郎を抱き返してきた。
しばらくそのままアネルザを抱きしめた。
狂うような快感の焦燥感で苛まれている以外は、アネルザの身体には異常はない。
そして、いま気がついたが、まるで武術になど縁のなかったはずのアネルザの肉体上の強さがステータスであがっている。
ほかにも、治世力などのジョブのレベルも跳ねあがっていようだ。
もしかして、これもまた、一郎が淫魔師として、レベルを限界突破させた影響だろうか。
一緒にナタルの森林に旅をしたエリカやコゼやシャングリアなども、限界突破したあとで一郎が抱くと、さらに能力値があがったし、どうやら、一郎の淫魔師としての力があがれば、支配している女たちの能力もまた上がるという仕組みになっている感じがする。
なるほど……。
だが、いまはいいか……。
「よし──。全員、服を着ろ──。王宮狩りを始めるぞ。それぞれの役割はすでに達したとおりだ。アネルザも準備しろ」
一郎はアネルザから手を離すと、全員を見回した。
アネルザも渋々という様子で、ゆっくりと自分の身体を立ちあがらせる。しかし、まだまだ、足もとはおぼつかない。
「うう……」
アネルザが恨めしそうに一郎を見る。
一郎はわざと微笑みを返してやる。
「この続きは全部が終わってからだ。しかし、そのときに、アネルザには大事な役目がある。サキが園遊会とやらでたくさんの貴族令嬢たちを集めたと聞いている。このスクルドも多少関与しているようだけどね。スクルドにはこっぴどく罰を与えたが、とにかく耳にしたことについては本当に怒っている」
一郎はちらりとスクルドに視線を送る。
「あら? まあ、そうですわねえ……。もちろん、そんなこととか……。あらあら」
スクルドが訳のわからないことを口にする。
「いつものように、問題ないって言わないの?」
コゼが呆れたように、横から口を出した。
「ああ、あの連中かい……」
一方で、アネルザが思い出すように言った。
「サキたちの救出の後にやってくるのは、その問題になる。アネルザ、王家の全部の力を使って、彼女たちの名誉を回復し、あるいは、つてを使い彼女たちの幸せを探してやり、それとも、財を与え償いをしてやって欲しい……。それをしてくれ」
一郎は言った。
これから、王宮に巣くっている魔族と戦う。サキのことだってどうなっているかわからない。すでに死んでいる可能性だってある。
しかし、それでも、サキのやらかしたことには、一郎たちが責任をとってただす必要があるのだ。
「わ、わかったよ……。必ず……」
アネルザの言葉に、一郎は頷いた。
そのとき、エリカがすっと進み出た。
「ロウ様、ひとつだけ言わせてください。あのヤッケル殿のことを覚えていますか? レンさんを助けに行ったときのことです」
そのエリカが突然にそんなことを言い出した。
一郎は首を傾げつつ頷く。
「もちろん、覚えているけど……。ナタル森林に入る直前のシャデルワースの街のことだろう?」
随分と昔のことのようにも感じるが、まだ数箇月前にしか過ぎない話だ。まだまだよく覚えている。
イライジャの元の冒険者仲間だったレンという女性がさらわれたことで、ヤッケルというレンの婚約者であり、やはり、イライジャの仲間だった男と、その誘拐犯から救出したのだ。
しかし、エリカはなにを言いたいのだろう?
「あのヤッケル殿は、最愛の婚約者が誘拐犯たちにむごく陵辱されていることを目の前にしながら、それでも慎重にひとつひとつ小屋の周りの罠を外してから、突入しました……。サキやミランダやベルズ殿がさらわれて、腹が煮えかえっているとは思います。わたしも同じですから……。でも、だからこそ、慎重に……。あのヤッケル殿のように……」
やっと、エリカがなにを言いたいのかやっとわかった。
一郎はエリカの頭に手を伸ばして、軽く頭を撫でる。
エリカがぴくりと身体を揺らし、そして、ちょっとはにかむように頬を綻ばせた。
「そうだな。ありがとう……。忠告に感謝するよ。さすがは、俺の一番奴隷だ」
一郎はそう言うと、享ちゃんとイザベラに視線を向けた。
「陽動組については、可能な限り、早く頼む──。軍というものがすぐに動けないことは重々にわかっているけど、少数でいいから事を起こして欲しい。可能な限り迅速に、王軍が展開している外郭部の王軍の砦に接触を──」
「大丈夫よ、お兄ちゃん。大人数で向かうと、移動術のゲート設備に加わる時差が拡大して、ゲートを抜ける時刻が遅れるから、まずは十人ほどで潜らせる。それで、明日の朝にはエルフ王国の旗を、その外郭の砦の前に立ててやるわ。ちょっとだけなら幻影術で、まとまった数の軍として誤魔化せると思う……。ううん、やらせる──。絶対にやってみせるわ、お兄ちゃん」
「ありがとう。頼む、享ちゃん」
一郎は頷いた。
「待て、最初に十人なら、その中にわたしも加わる。わたしひとりがいれば、そこが王太女軍だ。王太女軍……いやハロンドールの女王軍だ。朝に王軍の砦の前に掲げる旗は、ハロンドール女王の旗もだ」
イザベラが大声をあげた。
「ま、待って──。それは……」
イザベラの護衛隊長のシャーラが慌てたように口を開く。
だが、一郎はそれを途中で遮った。
「すまないが、頼む──。無理を言う──。そして、無茶も言う──。だが、頼む。お願いだ」
一郎は言った。
ほぼ全員が大きく頷いた。そして、ちょっとばかり硬直していたシャーラも、やがて諦めたように首を縦に振った。
(第4部・第2話『猟奇王と独裁官』終わり、第3話に続く)