【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
827 狂素の王宮
言い知れぬ不安が黒い情欲となって、ラポルタを包んでいる。
なにかに追い詰められている……。
そんな感じだ。
だが、それを拭うつもりにはならない。
その不安が心地よい……。
どうして、こんな感情になるのかはわからない。
しかし、自分は魔王だ。
魔王になった。
魔王なのだ──。
なにをしてもいい。
サキになにをしても許される。生首にして力を失わせているサキは、もはや、ラポルタの犬──。淫具──。性器だ。
サキはなにもできない。
ラポルタがいなければ生きることもできない。
あのサキ様をラポルタは支配している。
なにもかもをだ──。
その命さえも──。
すでに、サキには生命力を保持する能力はなく、ラポルタが魔道で送り込むことでなんとか生命を繋いでいる状態だ。
つまり、ラポルタがいなければサキは生きることはできず、ラポルタが死ねば、生命力が供給されなくなり、サキは死ぬ。
サキの命を含め、すべてを支配しているのだ──。
あのサキを……。
“愛しいラポルタ様”と繰り返させて、ラポルタが精を出したいときに奉仕させ、サキが悶え苦しむのを見たければ、首をどこかにぶら下げて、魔道で感覚を注ぎ込む。
肉体のないサキにはなにもできない。
頭の中に直接に感覚を送り込まれるのだから、逃れようがないのだ。
あのサキがこのラポルタの手によって、泣き叫び、淫らによがり、そして、哀願を繰り返す。
まさに魔王ではないか──。
愉しい──。
幸せだ。
しかし、ラポルタは知ってもいる。
この至福が
人間族のこの王宮にいる限り、ラポルタは魔王のままでいられ、サキを思いのままにできる。
なにしろ、なぜかこの王宮は、いまや濃密な魔素で充満された瘴気の魔城のようになっていて、魔力を作り放題なのだ。
だから、サキの首を切断してもなお、命を繋ぎ続けさせるというような途方もないことができるし、本来は巨大すぎて、首だけとはいえ、操ることは不可能なサキの妖魔力を上回る支配の力を作り出せるのだ。
どうして、この人間族の王宮がそうなっているのか知らない。
ラポルタにはわからない。
王宮を満ちさせている瘴気の発生源は知らない。
考えようとすると、なぜか思考がとまり、どうでもよくなる。頭の中に、不思議にも人間族の奴隷どもが口ずさむ歌が響き、ラポルタの思考を阻止するのである。
まあ、いずれにしても、それは、どうでいもいいことでもあるし……。
まあいいのだ……。
気にしない……。
これでいい……。
問題はない……。
瘴気の根源など、どうでもいいではないか……。
わかることだけ、わかればいい……。
すなわち、わかっているのは、この王宮から離れれば、サキを死なせないで済む力をラポルタは作り出せなくなり、サキの頭の中を操る能力は失われるのだろうということだ。
サキは死に、ラポルタはこの究極の幸福を失ってしまう。
だから、ここから離れられない。
逃げられない。
ここにいるしかない。
ここに留まる限り、ラポルタは魔王でいられる。
ならば、どうして、離れられるものか──。
ここにいなければ……。
守らなければ……。
ラポルタは、後宮の廊下を歩いていた。
何気なく歩いてはいるが、一両日前からこの人間族の王の後宮と、隣接する奴隷宮には数百の罠を構成が終了しており、ラポルタ以外の者が移動すれば、たちまちに罠が発動して、死に至るか、捕らわれる仕掛けになっている。
部下にも奴隷どもに言い聞かせており、ラポルタに用向きがあるときには、通信球を使うように指示している。
これもまた、このラポルタの“魔城”を守るためであり、ラポルタの至福の破壊者を防ぐためだ。
「ああ、い、愛しいラポルタ様……。今日も頼む。今日も確認させてくれ。それをしてくれれば、わ、わしはお前に仕えよう。性奴隷……いや、お前の淫具として奉仕する。だから、聞かせてくれ。あいつらの声を……」
言葉を紡いだのは、ラポルタの胸部分に革ベルトで固定しているサキの生首だ。ラポルタの胸帯をサキの首輪部分の留め具と、サキの髪に縛り付け、サキの顔が前を向くように、ラポルタの胸に縛り付けているのである。
このところ、この格好が常だ。
袋に入れたり、あるいは放置して絶望感を与えたりしていたりもしたが、サキの生首を胸に密着させることで、サキとの一体感が生まれると思うようになり、気に入って、この数日はこうしていた。
人間族の前に行くときにも、このまま前だけをマントで隠して向かう。
「ふふふ、なにを言っているのです、サキ様。あなたがなにを思おうとに関わらず、あなたは俺の奴隷ですし、俺の淫具なのですよ。逆らうこともできないし、否応なく、俺のしたいことをさせられる。そうではないのですか?」
ラポルタは、サキの頭に魔素を送り込む。
この王宮に満ちている瘴気を元にした魔力だ。
「ふああっ、あっ、ああ……。ふくううっ」
たちまちに、胸の前に装着しているサキの生首から淫らな喘ぎ声が出てくる。サキには身体はないが、存在しないサキの身体が凄まじく性感が昂ぶった感覚を直接にサキの頭に作り出したのだ。
本物の身体ではなく、頭の中に直接に作られる疑似的感覚なので、サキはそれを防ぐことはできないし、耐えることもできない。
ただ、よがるしかない。
それでいて、本物の欲情ではないので、快感を発散して放出することもできない。
荒れ狂う激情的な甘美感がひたすら溜まり続けるのみで、そのままでは絶頂する方法はない。狂うような淫情に苦しむのみだ。
ラポルタがなにもしなければ……。
サキが持っている本物の性感は、「舌」だけであり、ここでしか本物の性感はないし、ここでしか真実の快感は得られない。
舌でしか絶頂できない。
可哀想なサキ様……。
だが、サキ様が悪いのだ。
こんな機会を与えるから……。
サキ様が人間族にラポルタを関わらせて、サキを弱体化する方法を知る機会を作り、なぜか、この宮殿に瘴気が充満して、魔族の知覚を失わせるようなほどの濃密な魔素があって、サキを操るほどの力を生み出せることをラポルタが気がついてしまい……。
ああ、サキが悪いのだ。
このような裏切りの機会を与えるから……。
そうでなければ、愛しいサキ様に仕える忠実なしもべでラポルタはあり得たのに……。
すべては、このような好機をラポルタに渡してしまったサキが悪い……。
「そ、それでも……あっ、あっ、ああっ、か、確認させさせてくれれば、わ、わしは素直で……健気な……お前だけの人形にな、なろう……。生きていることを確認さえさせてくれれば……」
サキが喘ぎながら必死の口調で訴える。
たかが人間族とドワフ族のことで、ここまでサキが哀願するのは気に食わないし、黒い嫉心で煮えかえりそうになるが、確かに、そうなのだろう。
あの二匹を人質にさえしておけば、サキはラポルタに恋い焦がれているという嘘をつく。
あの二匹を守るために、必死になってラポルタの機嫌をとろうとするのだ。
まあ、だから、この至福を維持するためであるので、生かしておくのは仕方がないとは思うが……。
いずれ始末するとしても、まだ、そのときではないのだろう。
なぜか、頭に人間族の歌が聞こえる……。
殺しては面白くない……。
殺してはならない……。
それよりも、淫靡な拷問で苦しめるべき……。
なんだ、この思考は……。
ラポルタは頭を振って、頭から歌を追い出す。
まあいいか……。
「苦しいでしょう? 俺とおまんこしたいんじゃないですか? もっとも、サキ様には身体はないので、本当に犯してあげることはできませんが、犯されていると同じ感覚を与えることはできますよ。白人形で」
白人形というのは、首から下しかない真っ白いホムンクルスだが、乳房も性器もあり、サキの頭の中の感覚と完全に繋げている。
それを犯せば、サキは自分の肉体が犯されている感覚が頭に生まれるし、痛めつければ、しっかりと痛みを感じる。
そうなっているのだ。
これを保持しているのも、この後宮と奴隷宮に充満している不可思議な瘴気を根源とするものだ。
なにしろ、本来は、ラポルタはそれほどの魔族でない。
この王宮の魔素がそれを可能にしている。
しかし、この魔素、瘴気は……。
すると、また、歌……。
おかしい……。
なぜか、この瘴気……魔素の正体を考えようとすると、頭の中に人間族の女奴隷どもの歌が流れてくる。
歌というものは、ラポルタは初めて接したが、心地いいのは確かだ。
まるで、美酒に酔っているような気分になる。
ちょっと、また行ってみるか……。
「おっ、おおっ、犯してくれ、愛しいラポルタ様──。だ、だから、今日も確認させておくれ。あいつらがちゃんといることを。そうであれば、わしはいくらでもお前の可愛い性奴隷でいよう。あ、ああ、わ、わしはちゃんと尽くすから……」
サキが荒い息をしながら訴える。
汗もびっしょりだ。
本当であれば、すでに数回は達しているほどの淫情だ。
それをひたすらに頭に送り続けられているのである。
「ふん、まあいいでしょう。その代わり、舌を出しなさい。いかせてあげます。俺の名を呼びながら極めてもらいましょう」
ラポルタは、“穴牢”に向かいながら言った。
穴牢というのは、サキが必死に殺さないでくれと頼む二匹の雌畜の監禁場所だ。
「あ、ああ、わ、わかった、愛しいラポルタ様。あ、ありがとう」
サキが口から舌を出す。
ラポルタは手を持っていき、無造作にサキの舌を擦った。
「へべえええ、ひょ、ひひょしい、ひゃひょりゅしゃしゃみゃああ──。ひゃひょりゅひゃしゃまああ──」
奇声のような言葉を発しているが、“愛しいラポルタ様”と叫んでいるみたいだ。
舌を触っているので、うまく言葉を紡げないのだ。
そして、サキの舌はいまや強烈な性感帯である。
クリトリスよりも数倍は敏感な器官として改造してあるのだ。また、サキの目は両方とも潰しているので、サキはものが見えない。
その分余計に触感、いや、舌感が敏感になり、サキは簡単に感じてしまうのだ。
サキの顔が小刻みに震えだした。
「ひゃひゃああ、ひゃひょるたしゃまああ──」
サキが絶頂して、まとまった体液が口から迸る。
これもまた、ちょっとした思いつきで昨日くらいに施してやったサキの新しい改造だ。
愛液を口から出すのだ。
サキの唇からとろりと残り蜜が滴っている。
「達したのですか? ならば、なにか言うことは?」
ラポルタはサキの舌への刺激をやめて、指を鳴らした。
「んぎいいいっ、ひゃあああ、痛いいい──。あ、ありがとうございます。愛しいラポルタ様──。ありがとうございます、愛しいラポルタ様──」
サキが苦痛に絶叫した。
指の音は頭に送り込まれる激痛の感覚の合図だ。
これもまた疑似感覚だが、だからこそ、痛みそのものであり、いまのサキには耐えることはできない。
「いいでしょう。まだまだだめ奴隷ですが、確かめたいものは確かめさせてあげますよ」
廊下から部屋に入り、そこからまた繋がっている部屋に入り、また扉から別室に入り込む。
この経路は魔道的も、実際的にも迷路になっていて、簡単には辿り着けない。罠も充満だ。
そこに監禁しているのだ。
そして、一切の調度品のない部屋に着いた。
部屋の真ん中に一枚の絨毯がある。
それを引き剥がすと、床に深い穴が出現する。
深い穴の底から人の呻き声のようなものが伝わってきた。
この底に二匹を置いている。
あがってこれない細工も穴にしているが、そもそも、連中の足首に鉄杭を貫き、そこに鎖をつけて、床の金具に繋げている。
脱走は不可能だ。
「わ、わしだ──。声を聞かせてくれ──。生きておるな──。生きているよな──」
察したのだろう。
サキの生首が懸命に叫ぶ。
いまのサキには視界はない。
生存を確かめるためには、声を聞くしかない。
「あ、ああ……。み、水をおくれ……。み、水……」
すると、か細い声が聞こえてきた。
あれはドワフ族だろう。
確かミランダ。
「み、水か──。ラポルタ──。い、いや、愛しいラポルタ様──。水を与えてないのか? あげてくれ。水がなければ、人族は簡単に死ぬ。死んでしまうぞ。死ねばわしは、お前に愛を尽くすわしではいられない。水をやってくれ」
サキが喚いた。
ラポルタは穴に向かって口を開く。
「水は床から染み出ると言っただろう、お前ら。その代わりに、自慰を千回──。千回達すれば、水がほんのちょっと湧き出る仕掛けだ。さっさと自慰に狂え」
ラポルタは大笑いした。
「じ、自慰、千回──?」
サキの唖然とした声がした。
ただ、そんな仕掛けをしているのは本当だ。
一日以内に千回の絶頂を穴の底ですれさえすれば、水は出現する。喉の渇きで苦しいのは、あの二匹が言われたことをしないからだ。
「や、やっている……。だ、だが千回など……。それに、ベルズが弱っていて……。熱もあるんだ……。た、頼む……」
「知らないね。さっさと自慰にふけるがいい。雌畜ども──」
ラポルタは嘲笑した。
実のところ、この穴に放り込んで三日ほどになるが、あの二匹は一滴の水も飲んでいないはずだ。
ここは上からの出口は狭いが、実は下はそれなりに広い。
ここに一日に一度、眷属を数匹送り込み、あのふたりを半死半生になるまで鞭打つことにしているのだ。
それもしている。
それによる身体の回復のための時間もまた、あの二匹が自慰に耽るのを邪魔して、だから、一度も水を出すことに成功はしていないのである。
「ああ、熱があるのか──? おお、ベルズ。な、なあ、頼む。お願いだ。もう助けてやってくれ。後生だ、愛しい、ラポルタ様──」
サキが必死に言った。
ラポラタは嘆息した。
「仕方ありませんねえ」
ラポルタは股間から性器を露出させた。
そして、おもむろに穴の中に放尿をした。
「小便でよければあげるぞ。それで命を繋ぐことだ。それとも、千回の絶頂だな」
小便をしながらラポルタは大笑いした。
そのとき、目の前にしゃぼん玉のようなものが出現した。
通信球だ。
連絡用魔道だ。
これは、人間族が政務をする王宮側からのものだ。ラポルタは人間族の王のルードルフにもやつしているので、人間族の家臣たちがルードルフに連絡をとりたいときにも、この通信球がやってくるのである。
ラポルタは透明の玉を指で突く。
しゃぼん玉が割れて、声が飛び出す。
『陛下、至急王宮にお戻りください。緊急事態でございます──』
「ああっ?」
ラポルタは、いまだに小便をしながら、思わず不平の声をあげてしまった。