※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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840 王の成れの果て

「ひゃあああ」

 

 イットがびっくりしてその場から跳びさがった。

 アネルザによって引き倒され、床につけた顔を思い切り踏んづけられているルードルフ王がたまたま手に届く範囲だったイットの尻尾に前手錠の手を伸ばして自分の性器に擦るように引き寄せたのだ。

 これには、一郎も唖然とした。

 

「うわっ、気持ち悪いよお」

 

 イットも慌てて逃げるとともに、泣きそうな顔で引きつらせている。

 

「な、なんじゃ、こいつ? 変態に拍車がかかっているんじゃないかい」

 

 アネルザもルードルフ王の顔から気味悪そうに足をどかす。

 

「なんじゃ、もう終わりか? それよりも、どこにいく。ちょっとその毛を貸さんか、獣人娘──。毛皮でくすぐられるのも久々の感覚だ。もっと余を苛めてくれ。身動きできんように余を拘束して、その尾で余の身体をくすぐりまくるのはどうじゃ? 余はきっとのたうち回るであろうぞ。ふははは」

 

 ルードルフ王が高笑いした。

 本当に気色悪い。

 そのルードルフ王がゆっくりと身体を起こす。

 

「このおおっ、イットになにすんのよお」

 

 しかし、今度は激昂したエリカがアネルザがどけたばかりのルードルフの顔を踏みつけた。

 しかも、容赦なく、あがりかけていた顔を上から踏んづけたので、どんと音がしてルードルフ王の後頭部が床に強く叩きつけられたかたちになる。

 

「ほごおおおっ」

 

 ルードルフ王は呻き声をあげた。

 だが、やはり興奮もしているのだろう。

 股間の男根は隆々と勃起している。

 

「このう、このう、このう──」

 

 だが、怒りで我を忘れた感じのエリカは気がつかない。

 真上からルードルフ王の顔面をぐりぐりと踏みにじる。

 まあ、実はイットはエリカのお気に入りでもある。だから、余計に腹が立ったのかもしれない。

 しかし、エリカのスカートは一郎好みに合わせて短い。

 そのスカートであんな風に顔を踏めば、ルードルフは下からエリカのスカートの中の下着を見あげるかたちになる。

 踏まれながら、ルードルフ王がしっかりとエリカの下着を凝視しているのが一郎にはわかった。

 興奮したルードルフ王の股間の勃起がさらに大きくなる。

 

「見られているわよ、エリカ」

 

 一郎の股間を舌で奉仕していたコゼが顔をあげて言った。

 

「あっ、きゃあああ」

 

 エリカがスカートを押さえて飛び退く。

 とにかく、これじゃあ話にならない。

 一郎は、コゼの頭を軽く叩き、奉仕をやめさせた。

 亜空間から下着とズボンを取り出して身につけ直す。

 

「あっ、手伝います、ご主人様」

 

 すぐさまコゼが手を出して、一郎の下着を手に取った。はかせ直してくれる。一郎はただ、それにあわせて、足をあげたりさげたりするだけだ。

 

「あっ、また先に……」

 

 ガドニエルがちょっと口惜しそうに呟いた。

 

「あ、あのう……これはどういう状況で……。どうして、天道様がここに……? それと皆さんは……?」

 

 一方でベアトリーチェは、まだ頭が混乱しているようだ。

 一郎は亜空間から身体全体を覆うようなフード付きの薄いマントを出す。ほかにも服はあるが、一郎の亜空間に確保しているのは、なにかしら淫靡な仕掛けがあるのがほとんどだ。

 下着もまともなのはなく、貞操帯のようなものしかない。

 マントを渡すと、やっと自分が全裸であることがわかったのか、慌てて顔を赤くして身体をそれで隠した。

 よかった。

 羞恥があるということは、かなりまともに頭が動いてきたという証拠だ。

 

「それよりも、逆に訊ねるけど、なにを覚えている、ベアトリーチェ? どうして、ここにいる?」

 

 一郎は訊ねた。

 ベアトリーチェがちょっと困惑した表情になる。

 おそらく、記憶の混乱だと思う。

 たったいままで、完全に頭の中の線がずたずたになっていたのだ。そう簡単になにもかも回復するわけじゃない。

 時間があれば、ある程度記憶も繋がるものの、ナタル森林のときには、最後まで記憶が回復しなかったエルフ女性も少なくなかった。

 

「どうしてって……。ええっ? どうして……? わ、わたしは……赤組で……。それで……それで、あれ? なんで?」

 

 ベアトリーチェが眉間に皺を寄せるような感じで語り出す。

 しかし、どうしても思い出すことが難しいようだ。

 

「いや、ベアトリーチェ……。無理しなくても……」

 

 一郎は遮ろうとした。

 だが、ベアトリーチェは首を横に振る。

 

「いえ、お待ちください。思い出します。天道様のお訊ねですもの。ちょっとだけ……。ちょっとだけ待ってください──。ええと、ええと……。そ、そうです。赤組です。赤組だったんです。だけど、わたしは一番年嵩だったので、目をつけられて苛められて……。それで放尿の時間をいつも与えられなくて……。そして……」

 

「ちょっと待って、まったくなにを言っているのかわかんないわよ、あんた。まず、赤組ってなんのことよ?」

 

 コゼが呆れたような口調で言った。

 

「赤組は天道様にお仕えするために性修行をする集まりのことです。腰に巻く布が赤色で……」

 

「そうそう、その天道様というのはなによ?」

 

 さらにコゼが訊ねた。

 ベアトリーチェは懸命に思い出そうとしている感じだ。まだ記憶の混乱が続いているのだろう。

 

「そ、そうです、天道様──。どうしてここにおられるのでしょう──。お戻りになったのですか──。わたしたちは、天道様にお仕えするために、一生懸命に修行を──」

 

 すると、突然にベアトリーチェが一郎を見て早口で喋りだした。ものすごく興奮している気配だ。

 しかも、だんだんと顔が赤くなってきて、眼に涙まで溜まりだした。

 

「落ち着けって……」

 

 一郎はベアトリーチェに手を伸ばして抱きしめる。

 また、淫魔術で心の中に触れ、興奮の度合いを鎮めてやる。

 

「あああああっ、天道様あああ──。ああああああ──。それなのに──、それなのに、わ、わたしはは辱められて──。ああああっ、汚れてしまって──、あいつに、あいつにいいい──。ああっ、天道様にお仕えするはずだった身体をおおお──」

 

 だが、一郎が抱きしめると、鎮まるどころか、かえって極度に興奮した感じになった。さらに、ルードルフ王の方を見て暴れ出しそうなる。

 そして、突然に呼吸が乱れ、おかしな息をしはじめた。

 一郎は慌ててしまった。

 いわゆる過呼吸状態だ。

 

「おっ、おい」

 

 一郎は混乱状態になりかけるベアトリーチェの口を吸った。

 ベアトリーチェの息を制限して、息を整えさせる。

 さらに、ベアトリーチェの口の中に舌を入れ、一気に絶頂しそうなほどの大きな快感を送り込んでやる。

 淫魔師の一郎だからできることだ。

 しばらくすると、ベアトリーチェの呼吸の乱れが消えるとともに、全身をぶるぶると震わせだした。

 

「んぐううう」

 

 ベアトリーチェが一郎に抱きしめられたまま身体を突っ張らせ、次いで脱力する。

 達したのだ。

 それとともに失神した。

 ベアトリーチェの呼吸が完全に平静に戻る。

 だが、同時にまたしても失禁した。

 

「うわっ、なに、こいつ──。また、お漏らし?」

 

 コゼが呆れた声を出す。

 一郎は肩を竦めた。

 どうにも、お漏らし癖があるみたいだ。結局、赤組というのがなにかわらなかったが、もう少し時間を置いた方がよさそうだと思った。

 彼女を眠らせたまま亜空間に送る。

 目の前からベアトリーチェが消滅した。

 

「また、やられた。ガド、頼むよ」

 

 それはともかく、またしても一郎のズボンはびしょびしょだ。

 苦笑しながら、ガドニエルに声を掛ける。

 

「はい、ご主人様、喜んで──」

 

 すると、ガドがまるでどこかの居酒屋のような元気な声で、あっという間にズボンの濡れを乾かしてくれた。

 

「余の餌をどこに隠したのだ? まあよい。あれにも、そろそろ飽いておったところだ……。しかし、やっとわかったぞ。お前はロウであるな。余が捕縛命令……、いや、処刑命令を出したロウだ。ああ、やっとわかった。だが、なんでこんなところにおる? どういうことなのだ?」

 

 ルードルフ王が笑いながら言った。

 視線を向ける。

 頭の線が数本切れたような気配なのは変わりない。

 だが、思ったよりもまともに話ができるようだ。

 

「さあ、なんでかな? 多分、お前を助けに来たんじゃないかな」

 

 一郎はうそぶいた。

 すると、ルードルフ王の顔が急に険しくなる。

 

「助けに? ああ、そうか……。余がいろいろやったからなあ……。思い出したぞ。しかし、ずっと考えておったが、あれはテレーズがやったことだ。あいつが余をそそのかしてやらせたのだ。余は悪くない。悪くないのだ──。あっ、そうか──。そういうことか──」

 

 そして、突然に早口で語り出したかと思うと、今度は急に嬉しそうな顔になる。

 なんだ、これ?

 一郎は呆れた。

 しかし、さっきから妙に半分常軌を逸している感じみたいなのは、ベアトリーチェに大量服用させて頭を狂わせた媚薬を、もしかして、こいつも幾らか飲んでいるのではないだろうかと思った。

 なにしろ、こうやって喋っているあいだも、ずっとルードルフ王の股間は勃起状態だ。

 毛布は渡したが、胡座に座り直して、その股間を隠そうともしない。

 

「なにがそういうことなのよ──。ロウ様にちゃんと喋りなさい」

 

 苛ついた感じのエリカがルードルフ王の顔を平手で張る。

 

「ぶへいっ」

 

 ルードルフ王は倒れたが、すぐにもそもそと動いて身体を起こし、エリカに向かって締まりのない顔を向け直した。

 そして、前手錠の手で自分の性器を擦り始める。

 

「ぎゃああああ」

 

 エリカが絶叫して離れた。

 

「い、いい加減にせんかあ──」

 

 今度はアネルザがルードルフ王を殴る。

 

「ぐはっ──」

 

 またルードルフ王がひっくり返る。

 これじゃあ、まるで話にならない。

 大きく嘆息した。

 

「もういい。みんな手を出すな──。マスでもなんでもかかせろ。だが、質問に答えろ、国王──。さっきの物言いだと、俺に処刑命令を出したのは覚えているんだな? あれは国王のお前がやったことなんだな?」

 

 一郎は言った。

 

「余にお前呼ばわりとはな。まあよい、余を助けにきたことに免じて、この場ではそれを許してやろう……。まあ、確かにそうだな。手配をさせた。だんだんと思い出してきたが、余に黙って、イザベラとアンに手を出したな。以前、余は申したはずだ。イザベラはともかく、アンには手を出すなとな。あれは大事な政略の道具だ。まだまだ使い道があるのだ」

 

 ルードルフ王が言った。

 

「なるほどな……。じゃあ、なにをされていたかは知らないけど、自覚のある行動ということでいいんだな。じゃあ、さっき口にしたテレーズというのはどこだ? 後宮にいるのか?」

 

 テレーズというのは、ルードルフ王がおかしくなったときに、地方からやってきた女伯爵だ。

 そのテレーズにのめりこんだルードルフ王は、彼女に言われるまま、突然に王都に重税をかけて、王都を混乱を引き起こした。

 一郎はまったく知らなかったことであるが、教えてもらったところによれば、そのテレーズという女伯爵の女官長の王宮入りがすべての発端だったように思う。

 

 だが、どうにもおかしい。

 そのテレーズは、あるとき突然に姿が消えている。もしかしたら、この後宮か奴隷宮に引きこもっているだけかもしれないが、享ちゃんの調査でも、すべての始まりとも思えるテレーズの影が全く掴めないと言っていた。

 サキを起こして質問してもいいが、とりあえず、こいつに訊いてみようかと考えて訊ねているのだ。

 

「テレーズ? はて……テレーズ……。自裁したのではないか? ああ、そういえば、そう言っていたか? うーん、おそらく死んだのだと思うぞ」

 

「死んだ?」

 

 一郎は訝しんだ。

 ルードルフ王は、そのテレーズの行方を知らない気配だ。もしかして、ただ突然に失踪して、そのときに自殺したと教えられた?

 まあいいか。

 

「じゃあ、次だ。上の地下二層に集められていた大勢の若い貴族令嬢たちの死骸だ。あれは、お前のやらせたことか?」

 

 一郎はさらに訊ねた。

 すると、ルードルフ王がにやりと笑った。

 

「随分と質問ばかりするではないか、ロウ。なんでそんなに興味があるのかは知らんが、興味があるのであれば、簡単には教えられんな。お前がどこかに隠した余の餌の代わりを寄越せ」

 

「餌?」

 

「さっきの女騎士よ。それと交換条件だ。知りたいのであろう? しかし、代償を渡さんと、余はもうなにも喋らんぞ」

 

 さらに声をあげて笑いだした。

 

「いい加減に……。あっ、きゃああ」

 

 逃げていたエリカがルードルフ王の物言いに腹を立てた感じでつかつかと歩き寄ると、再び脚で蹴り飛ばそうとする気配を示した。

 しかし、すぐにルードルフ王の好色な視線が短いスカートの中を凝視していることに気がついて、またしても、慌ててスカートを押さえる。

 

「わははは。ロウよ。そのエルフ娘でよいぞ。そいつに余の伽をするように命じよ。やっとこのところ、勃起をするようになったのだが、どうにも射精するまでに時間がかかる。だが、さっき蹴られたときに、余は随分と欲情した。そのエルフ娘であれば、ちゃんと射精できそうだ。さもなければ、余はお前の知りたいことは何も喋らん」

 

 ルードルフ王が笑いながら言った。

 もう、うんざりしてきた。

 喋ろうと喋るまいとどうでもいいのだ。

 だが、殺すわけにはいかない。

 このルードルフ王にはやってもらうことがひとつある。

 

「いい加減にせんかああ」

 

 アネルザの平手がルードルフ王に飛んだ。

 

「ぶはっ、い、いいのう……。効くのう……。だが、やはり、余はそっちのエルフ娘がよいのう。まあ、最悪こっちの年増でもよいか……」

 

 ルードルフ王がへらへらと笑う。

 

「貴様ああ──。まだ、わたしがアネルザだとわからんのかあ──」

 

 また、アネルザがルードルフ王を引っ叩く。

 

「ふがああっ」

 

 今度はルードルフ王が跳ね飛ばされてひっくり返った。

 だが、すぐに顔だけあげて、アネルザの顔をしげしげと眺める。

 

「王妃だと? まさか、アネルザはこんなに美人でも、若くも……。いや、本当にアネルザかあ? お前、なんでいつの間に、そんなにきれいに……」

 

「お前の知ったことか──。それよりも、答えんか──。二層部にあった惨い死体──。あれもお前の仕業かあ──?」

 

 アネルザが怒鳴る。

 

「なにを怒っておるのかは知らんが、あそこに遺体を集めるように指示したのは確かに余だな。知っておるかどうかわからんが、死体というのはすぐに腐りだすのだ。放っておくと臭気も発生するしな。なによりも虫や小動物が集まる。それで、あの部屋に腐敗避けの結界を刻ませて……」

 

「そんなことを言っているのではないわ──。あれらをあんな風に残酷に殺したのは、お前のやったことかと訊いておるのだ、ルードルフ──」

 

 アネルザがさらに怒鳴りあげた。

 

「まあ、仕方なかろう。なにしろ、ついこのあいだまで、ああいう風に陵辱しないと、余の一物が勃起しなかったのだ。あれは仕方のないことなのだぞ」

 

 ルードルフ王は事も無げに言った。






 *

 真の強敵のルードルフ王です(笑)。
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