【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「わっ、戻ってくるな──」
一郎は、扉の向こう側でどんどんと扉を叩くエリカに、扉越しで怒鳴った。
しっかりと、扉は肩で押さえている。
そして、収納術でエリカのはいている紐パンを取りあげた。
まあ、しっかりと目隠しをさせているし、あんな男に見せるわけじゃないからいいだろう。
「きゃああああ」
エリカがその場で座り込む。
必死に上衣に裾で股間を隠そうとしている。
だが、ほとんど付け根までしか隠せず、エリカは懸命に両手で上衣の布を伸ばしていた
ガドニエルに施してもらった透視処置で、狼狽するエリカの必死の姿がしっかりとこちら側の壁に映っていて、恥ずかしがるエリカの姿は、いつ見ても一郎の嗜虐心をそそる。実にいい風情だ。
『おっ、なんじゃ──? なにをした? なにをしたんじゃ──』
宙吊りのルードルフ王は急に身体を暴れさせる。
性欲に関することには鋭敏な男だけに、なにかの勘でも働いたのだろうか。
「お前には関係ない、ルードルフ──。黙ってろ──。それよりも、エリカ、下着を返してやるから続けろ──。そうだ。お前が一番やられて、嫌な責めを言え。それで責めたてろ」
一郎は声をあげた。
そして、たったいまエリカから取りあげた下着を亜空間から取り出す。
だが、手に掴んだ途端、ねっとりとした感覚が手にひらに伝わってきた。
「あれ?」
思わず声を出してしまった。エリカの愛液だ。しかし、かなりの量のように感じる。
ここで説得するあいだに、全身をくすぐるように愛撫したからか?
それとも、下着一枚にされて、羞恥責めに弱いマゾの血が反応してしまったか?
「あら、すごいお汁……。エリカ、あんた濡れすぎじゃないの? そんなに興奮するなら、そのまま女王様をやんなさいよ」
すると、コゼが横からひょいとエリカの下着を掴んで、からかいの言葉をあげる。
「なに見てんですかあああ──。うるさい、コゼ──。交代よ──。交代──。ねえ、ロウ様、わたしには無理です──。無理ですったらああ」
エリカが絶叫した。
「とにかく、やれ、エリカ──。命令だ。お前がやられていやな責めはなんだと訊ねただろう。その道具を新しい下着と一緒に送ってやるから」
「ロウ様がやってください──。とにかく、もう無理です──」
「いいから……」
「ロウ……、仕方ない……。わたしがやるよ。わたしの仕事だろう……」
アネルザが声をかけてきた。
心の底からやりたくなさそうな感じだ。
仮にも妻でこうなのだから、ルードルフ王もつくづく嫌われていると思った。
「そうだなあ……」
一郎は迷った。
まあ、仕方ないか……。
そのときだった。
『なんじゃと──。もしかして、下着を取りあげられたのか──? 見せよ──。余に見せよ──。見せんかあ──』
宙吊りのルードルフ王が宙吊りの裸体を振って、さらに暴れだした。
かなり興奮している。
これまでの余裕しゃくしゃくぶりが嘘のようだ。
まったく……。
「うっさいわねえ──」
すると、エリカがルードルフ王に振り返った。
ちらりと見えたが、すごい形相をしていた。
次の瞬間、エリカの手から発射された炎の球がルードルフ王が剥き出しにしている股間に飛んだ。
『ふがあああああっ』
ルードルフ王は咆哮した。
陰毛に火がついたのだ。
しかも、勃起している怒張全体が炎に包まれている。
さらにエリカが連続で火の玉を発射した。ルードルフの全身が火に包まれれた。
「わっ、いかん──」
一郎は扉を開けて、地下牢の中に飛び込んだ。
骨が折れても、身体が傷ついても、場合によっては欠損になっても、世界一の光魔道遣いのガドニエルがいるから問題ないが、殺してはまずい。
また、あるいは、責めが強すぎて、発狂してしまってもだめだ。
女については、一郎の淫魔術で支配してしまえば、切れた頭の線を繋ぎ直せるが、男は無理なのだ。
いや、男でも一郎の食指が動けば、精液をなすりつけて、そこからなんらかの淫魔術を施すということもできるかもしれないけど、こいつは無理だ。
以前に、それをしようと試みたこともあったけど、一郎の淫魔力が動かず、どうしてもできなかった経緯もある。
いずれにしても、殺すわけにはいかない。
「ガド、火を消せ──。あいつを治療しろ──」
一郎は部屋に入ると、炎に包まれて絶叫しているルードルフ王に向かって叫ぶ。
「はいっ」
ガドニエルが魔道を飛ばして、一瞬にして火が消えた。
続いてさらに魔道──。あっという間に、全身の火傷だけじゃなく、エリカが打った鞭痕などを含めて消えていく。鼻血の痕さえもうない。
しかし、ルードルフ王は完全に脱力し気絶している。
だが、息はしているみたいだ。
よかった──。
一郎はほっとした。
「ばかエリカ──。あいつを殺すつもり──? ご主人様には、隷属させろって言われたんでしょう──。せめて、去勢くらいにしなさいよ。丸やけになんかしたら、死ぬじゃないのよ──」
コゼがエリカに怒鳴っている。
「だったら、あんたがしなさいよ──。ロウ様、無理ったら、無理です──。もう嫌です──」
扉の横でしゃがみ込んでいるエリカが泣きべそをかいている。
一郎は嘆息した。
「わかったよ。無理を言ってすまなかった……。みんなで知恵を集めよう……。こいつをどう堕とすかだ……」
ルードルフ王をちらりと見る。
いまは失神している。
だが、あれだけのことをされても、いまだに股間が勃起しているのがすごい。もしかしたら、ベアトリーチェに大量服用させた強力媚薬をルードルフ王自身も飲んでいるせいかもしれないが、おそらくこいつは、あらゆる苦悶を快感に変えることができるのだと思う。
まあ、薬のせいでルードルフの頭も数本は切断されているかもしれないというのもあるだろう。
とにかく、簡単に堕とせる気がしなくなった。
一郎は全員をもう一度外に出す。
ただ、壁の透視はそのままだ。声が外にそのまま伝わる処置もしたままにしてもらった。
廊下で全員で集まって座る。
しゃくりあげているエリカに新しい下着とスカートを渡す。
「うう……。申し訳ありません……。でも、無理です……。生理的に無理です……。うう……」
エリカがしゃがんだまま下着をつけながら言った。
「わかったから……」
一郎はエリカの頭を撫でながら言った。
エリカの言葉を待つことなく、頭にきて相手を殺してしまいそうになるようでは、女王様は失格だ。
女王様にしろ、ご主人様にしろ、責め側には高い自制心も必要だし、与える責めの強さを見極められる冷静さもいる。
エリカは気が短いんだった。
明らかに一郎の人選ミスだ。
もう一度、地下牢の中のルードルフを確認する。
まだ脱力していて、失神状態だ。
一郎は視線を女たちに戻す。
「……じゃあ、知恵を出せ。さっき言ったが、エリカがやられて、一番つらい責めはなんだ?」
訊いてみた。
エリカはちょっと考えるような表情になったが、真っ赤になった顔をあげる。
「か、痒み責めです……。そして、痒い場所をロウ様に筆というやつでくすぐられるやつです……」
ぽつりと言った。
一郎は思わず吹き出してしまった。
「わかった。じゃあ、今度、それでエリカを責めてやるな。痒み責めを塗って放置し、それから気絶するまで筆でくすぐりだ」
笑いながら言った。
エリカの顔がますます真っ赤になる。
「ど、どうしてですか──。どうして、わたしが──」
一瞬絶句したみたいになったが、すぐに抗議してきた。相変わらず顔は真っ赤だ。
「そりゃあ、途中で女王様を放棄したからだろう。それとも再開するか? 痒み剤と筆を渡してやる。あいつの性器に塗って、奴隷になると音をあげるまで性器をくすぐり続けろ」
一郎は言った。
エリカの赤かった顔が一瞬にして色がなくなり、ぶるりと身震いした。
「か、痒み責めでいいです……。わたしにしてください……。受けます……。気絶するまで……」
そして、言った。
余程にルードルフ王を責めさせられるのが嫌なんだろう。
なにしろ、気絶するまでくすぐられるなど、かなり苦しまないとならない。しかも、エリカのように鍛えられた女戦士ともなると、なかなか気絶さえできない。
エリカもそれはわかっていると思うが、それと比べてさえ、ルードルフ王を責めさせられたくないのだ。
「エリカはあやうく、殺しかけましたけど、それに至らないまでの拷問はどうですか? 爪の下に針を刺しましょう。指は二十本あるし、針刺しくらいならいくらでも繰り替えせるんで、そのうち、降参するんじゃないですか?」
コゼだ。
「そうかなあ。だが、性器に鞭打ちどころか、火をつけられても勃起が萎えない男なんだぞ。拷問に屈するとも思えないがなあ……」
「そうですねえ……。エリカさんの調教で隷属が刻まれないのは、あの男が拷問を望んでいるからのようですね」
ガドニエルが口を挟む。
「いずれにしても、脅迫に屈するのと、屈服するのは違うんだ。まあ、脅迫に屈するのもいいんだが、それにより、奴隷になってもいいと思考することが必要なんだ。でも、あいつは悦ぶんだ」
一郎は言った。
実際に、悦んでいたし……。
「アネルザに案は?」
「さあねえ。正直、なにをしてもあの変態を悦ばすことにしかならない気がするねえ」
「まあ、確かに……」
一郎は嘆息した。
「イット、あんたもなにか言いなさい。そういえば、あんたも奴隷だったんだったわねえ。あんたみたいに強い女がどうやって心が折られたのよ?」
コゼがイットを見た。
「あ、あたしですか……。あたしは、ただお父さんに売られて……。多分、そのときには、すっかりと諦めていたんだと思います……。首輪を装着されたら、すぐに隷属にかかった気もするし……」
イットが言った。
「そうか……。つらかったな……」
一郎はイットの頭に軽く手を置く。
「い、いえ……。いまは幸せなんで……」
イットがはにかむように微笑んだ。
「ガドはなにかいい知恵は? どうやって、責められたら心が折れると思う?」
一郎はガドニエルを見た。
「わたしは、ご主人様に構ってもらえなければ死んでしまいます。それが一番嫌です」
すると、ガドニエルがはっきりと言った。
「なによ、それ──。なんにも参考にならないじゃないのよ──」
すると、コゼが笑った。
そのときだった。
『……ロウ……。ロウよ……。聞こえておるのだろう……。ロウよ……』
地下牢から声──。
ルードルフ王だ。
一郎はガドニエルに指示して、一郎の声が中に響くようにしてもらう。
「なんだ。目が覚めたか? マゾを自称するにしちゃあ、全身を火だるまにされたくらいで気絶するのは情けないな」
一郎は言った。
『違いないな。余としたことがまだまだ不甲斐ない……』
ルードルフ王が高笑いする。
まだまだ余裕だ。
一郎はうんざりしてきた。
「それでなにか用か? しばらく休憩してろ。こっちは休憩中だ」
一郎はそれだけを言って、ガドニエルにこちらからの声は遮断させようとした。
しかし、すぐにルードルフが続けて口を開く。
『待て待て、話を聞け。どう拷問すれば、余が屈服を誓うのかとでも話し合っているようなら時間の無駄だぞ……。単純な拷問で人が屈するなら、拷問師や調教師というような職人はいらん。しかし、実際には奴隷商はほとんどが、自分がそれをできるか、あるいは専門家を雇っておる、それだけ、人を屈服させるというのは技術がいるのだ』
「わかっているよ。じゃあな」
『待てというのに──。だから、協力しようではないか。さっきのはよかった。死ぬ寸前までの責めというのはなかなかに味わえんからのう。お前が余を絶対に殺さんし、最終的には傷つけんというのはわかっておる。おそらく、余の使い道があるのだろうのう……。だから、骨を折って、余を隷属しようとしている。そうでなければ、さっさと殺せばいいしのう』
「苛つかせるなよ……」
一郎はこちらからの声は遮断させた。
ただし、向こうからの声は届く。
『余も王の端くれじゃ。王になる者への帝王学には拷問に耐える訓練などもあるのだぞ。余の祖父は、余のように怠け者ではないから、拷問訓練もいやというほどやらされた。なにしろ、こうやって国王が捕らわれて隷属などされては国が滅ぶからな。だから、そういう訓練もするのだ。まあ、余の場合は、おかしな性癖が芽生えてしまったがな』
そして、ルードルフが大笑いする。
よく喋るやつだ。
構ってもらいたいのか?
一郎は息を吐いた。
そして、ふと思い出した。
考えてみれば、こうやって責め始めてから、ルードルフ王が冷静さを失ったかのように暴れだしたときが二度あったか?
それ以外は、どんなに鞭打たれようと、殴られようと余裕しゃくしゃくに笑っていさえしていたが、そのときだけは、ルードルフ王は追い詰められたような雰囲気があったかもしれない……。
「……やってみるか」
一郎は立ちがり、そして、全員の腰をあげさせた。
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小題名を少しいじってます。