※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

849 / 1059
849 連隊長、緊縛はいかがでしょう。

「ちょ、調教? なにを言って……」

 

 ラスカリーナはたじろいでしまった。

 だが、男がいつの間にか手に縄束を持っていることに気がついた。なにかを取り出したような仕草はなかったのに、気がつくと男の手に縄束があったのだ。

 

「まずは、話を聞いてもらいましょう、ラスカリーナ。緊縛でも味わってもらいながら……」

 

 男は落ち着いた口調であったが、ラスカリーナはなぜか彼に圧倒的ななにかを感じた。

 得体の知れない恐怖だ。

 だから、男が縄束を持って歩み寄ってきたとき、知らず後ずさっていた。

 

「や、やめて……」

 

 ラスカリーナは自分の口から出た弱々しい言葉が信じられなかった。

 近衛兵の連隊を束ねるラスカリーナともあろうものが、武器を向けられているわけでもなく、たった一本の縄に対して、身体が竦むほどに怯えてしまっているのである。

 気がつくと、壁際に追い詰められていた。

 

「怖がるな、ラスカリーナ。まずは、縄を知ればわかる。あなたを選んだのは偶然だけど、こうやって会えばひと目でわかったよ。どうやら支配されることを望んでいる性癖のようだ。そして、羞恥責めに圧倒的な快感を覚えるね」

 

 男がにっこり微笑んだ。

 支配されることを望んでいる?

 羞恥責めに快感──?

 なにを言っている──。

 

 しかし、ラスカリーナは、やっと目の前の男のことを思い出した。

 そうだ──。ロウ=ボルグだ。そう名乗った。

 王妃アネルザの愛人と噂のあった男で、そのうえに、王太女イザベラとさらに、アン王女を妊娠させたということで、国王の激怒を買い、手配書で処刑命令が出ている男である。もちろん、手配書には王女たちの妊娠のことは書かれていないが、そんなことは誰もが知っている。

 それはともかく、どこかで会ったことがある気がしていたが、ラスカリーナが見たのは、その手配書の顔だ。さらに、確か、エルフ女王から英雄認定されたとか……。その辺りは興味がなかったので、ラスカリーナはあまり、知識がないのだが……。

 とにかく、そのロウがなぜ、こんなところに──?

 

 はっとした。

 そうだ──。

 ナール──。

 彼女に助けを……。

 

 顔をあげる。

 だが、副官のナールは、部屋にあるソファに座り、ロウと一緒にやって来た女たちと談笑をしている。

 何事もないかのように……。

 びっくりした。

 もしかして、すでにナールは、ロウに懐柔されている?

 

「や、やめないか──。来るな──。いや、お前を捕縛する──。王命で手配されているのだ──」

 

 ラスカリーナは怒鳴った。

 

「その王命はもうすぐ取り消される。それよりも縄だよ」

 

 ロウがラスカリーナに手を伸ばす。

 ラスカリーナはその手を払いのけようとしたが、振り上げた腕の二の腕と脇のあいだに粘性体のようなものが発生して密着してしまったため、手を動かすことができなかった。

 

「えっ?」

 

 ロウに難なく腕を掴まれる。

 引っ張られて体勢を崩したところで足を刈られて、うつ伏せに床に倒されてしまった。

 簡単に倒されたのは、やはり粘性体が床に発生して、両方の足首を包まれて固定されてしまったからだ。

 倒れると、その足首の粘性体は消えている。脇のものもだ。

 その代わりに、新しい紐のような粘性体で胴体をふた巻き、三巻きされてまたしても拘束された。

 

「や、やめないか──。離せ──」

 

 ロウがラスカリーナに馬乗りになった。

 とられた腕を背中に回されている。

 さらにもう片腕も……。

 抗おうとするのだが、その腕も手首に生まれた粘性体で引っ張られて、両腕は背中の後ろで重ねたような体勢を作られる。

 その腕に縄がかかる。

 

 魔術師──?

 ラスカリーナは唖然としてしまった。

 ロウの手配書は読んだが、魔術師とは書いてはいなかった。

 

「ナ、ナール、助けよ──」

 

 ラスカリーナは叫んだ。

 

「騒がない方がいい。助けを呼んで困るのは、ラスカリーナの方だ」

 

 ロウがすごい力でラスカリーナの上体を引き起こした。

 すでに両手首に縄がかかっている。

 そして、膝立ちになったところで、ロウの片手が軍装のベルトにかかる。あっという間にズボンのベルトと留め具を緩められて、ズボンを膝までおろされる。

 

「うわっ、や、やめろ──」

 

 ズボンの下は下着だ。

 しかも、なんの色気のない腰全体を包むような大きな下着である。

 羞恥がラスカリーナに襲いかかる。

 

「人を呼べば、部下にその格好を見られることになるよ。連隊長としては都合が悪いんじゃないの?」

 

 ロウが言った。

 そのあいだにも、手首を巻いている縄が前に回って軍装の上から胸の膨らみの上下を縄で二重、三重と締めあげていく。

 

「あっ、いやっ」

 

 自分の口から出た小娘のような悲鳴に逆にびっくりした。

 しかし、胸を絞り出すようにされた縄掛けと、身体を締めつけられる刺激にラスカリーナは完全に怯えてしまっていた。

 抵抗力する気力を奪われる感じだ。

 しかも、下は下着姿だ。

 確かに、こんな姿を見られたりしたら、もう自分は近衛で将校をすることなどできない。

 

「立つんだ」

 

 両腕は完全に背中で縛られ、上半身とともにびっしりと緊縛されてしまった。

 そのラスカリーナの縄を背中側から掴んでロウがラスカリーナを立ちあがらせる。

 この男は、この手のことに慣れている。

 そう思った。

 ロウの手が膝に引っかかっていたズボンに伸び、足首までさげられる。

 

「いやああ──。ナール──。なにをしている──。助けよ──。助けてくれ──。お願いだ──」

 

 叫んだ。

 しかし、ナールはロウが連れてきた女たちとともに、茶を入れながら笑ってもいる。

 こっちのことには、まるで気にしていない。

 だが、やっとラスカリーナを見てくれた。

 ラスカリーナは必死でナールに向かって口を開く。

 

「ナ、ナール、なんとかしろ──。このロウを捕らえるのだ──」

 

 すると、ナールが微笑んだ。

 

「無理を言わないでください。あたしにそんな能力があるわけないじゃないですか。こちらのエルフ族のお方は、ナタル森林王国のガドニエル女王陛下です。当代一の魔道遣いです。そして、こっちのエルフ族の女性のエリカさん、こちらの人間族の女性はコゼさんといって、あたしなどまったく歯が立たないほど強いです。実際に歯が立ちませんでしたし……」

 

 ナールが言った。

 歯が立たなかった?

 そう言った?

 

「と、とにかく、なんとかしろ──。ロウ、やめよ──。やめてくれ──。離せ──」

 

 ラスカリーナは逃げようとした。

 だが、まだ足首にズボンが残っている。

 動くことができない。

 

「コゼ、連隊長閣下は、ここに他人を呼びたいようだ。扉を開けてやれ」

 

 背中でラスカリーナを捕まえているロウが言った。

 えっ──?

 耳を疑ったが、小柄な人間族の女が立ちあがると、あっという間に扉に辿り着き、大きく扉を開いてしまった。

 

「じゃあ、望み通りにしてあげましょう。もしかして、下着を全部おろされたいですか?」

 

 ロウの手が下着にかかる。

 下着の縁を持たれて、すっとおろされる。

 

「ひいっ、いやあっ」

 

 ラスカリーナは身体を曲げて抵抗しようとした。

 だが、しっかりと縄を掴んでいるロウがそれを許さない。

 下着は半分ほどずりおろされて、恥毛が見えるくらいまでになった。さらに凄まじい羞恥が襲う。

 同時に、得体の知れない疼きがなぜか身体に沸き起こる。

 

 熱い……。

 股間の奥が……。

 なんで……?

 ラスカリーナは狼狽した。

 

「抵抗するのをやめれば、あなたが欲しいものをあげるよ、ラスカリーナ。さあ、前に行くんだ」

 

 ロウが背中を押して、ラスカリーナを歩かせる。だが、足首にズボンが残っているので、ちょっとずつしか進めない。

 よちよち歩きのように強引に進まされる。

 ロウは真っ直ぐに、コゼが開いた扉側に向かっている。

 唖然とした。

 

「や、やめて。やめてくれ……。や、やめてください」

 

 さすがに大声は憚られた。

 ロウが背中側で笑う。

 

「どうしたんです。助けを呼びたいのでは? だったら、大声で叫ぶことだ。それと、ナールは無駄ですよ。すでに調教済みです。あなたの出仕が遅かったのでね。そのあいだに、ナールは調教して堕としてしまいました。もう俺たちの仲間です」

 

 ロウが言った。

 扉のそばに着く。

 やっと、歩くのをやめさせてもらった。

 だが、廊下は目の前だ。

 兵が前を通りさえすれば、ラスカリーナの恥ずかしい格好を見られてしまう。

 

「閉めて。閉めてください。もう大声は出しませんから」

 

 ラスカリーナの声は泣きそうだった。

 自分がこんなに弱々しい声が出せるとは、いまのいままで知らなかった。

 

「約束を守るな? それとも、もっと下着をおろして欲しいか?」

 

 ロウが下着に手をかける。

 

「ま、守る──。だ、だから……」

 

「コゼ、扉を閉めてやれ」

 

「はい。だけど、相変わらず、鬼畜ですね、ご主人様。大好きです」

 

 コゼが笑いながら、扉を閉めた。

 とりあえず、ラスカリーナはほっとした。

 

「ロウ様、時間は大丈夫ですか? 夕刻まで限られていますけど」

 

 そのとき、急にエルフ女性のひとりが口を挟んだ。多分、エリカという女性だと思う。

 だが、ラスカリーナを助けてくれるような感じではない。

 

「問題ない。ナールのときと同じだ。時間は無限にある。すでに縄や粘性体を通じて、俺の体液を肌に染み通らせた。彼女も俺の支配下になった」

 

「あっ、そういうことですか。いつの間にか……」

 

 エリカが納得したような感じで応じた。

 だが、ラスカリーナにはなんのことかわからない。

 

「さて、じゃあ、話を聞いてもらいましょう。交渉だ」

 

 すると、ロウがラスカリーナに視線を戻した。

 

「交渉?」

 

 ラスカリーナは眉をひそめた。

 この状況で交渉だと──?

 脅迫の間違いではないのか?

 

 しかし、黒っぽい縄尻が腿と腿のあいだにこじ入れるようにして通されてきたことで思念が吹っ飛ぶ。

 ラスカリーナはたじろいだ。

 だが、すでに抵抗は手遅れだった。

 股間を通した縄は上体を縛っている縄尻のうち、腰の細いところを巻いている縄にかかり、思い切り引きあげられてしまった。

 

「ひいいっ、いやっ」

 

 思いもしない衝撃にラスカリーナは、身体をのけぞらせて悲鳴をあげた。

 まだ残っている下着の上からとはいえ、縄が女の敏感な部分にしっかりと喰い込んだのだ。

 しかも、どうやら縄には縄瘤が作ってある。

 それは的確に、ラスカリーナの感じる三箇所を押し潰し、抉るように喰い込んできていた。

 

「ひいっ、ああっ、な、なにこれ……?」

 

 ラスカリーナは思わず歯を喰い縛った。

 股縄により襲いかかる痛みとも、疼きともつかぬ不可思議な感覚……。

 身体の力が抜ける……。

 ラスカリーナはその異様な感覚に全身を震わせてしまった。

 

「思った通りだ。ラスカリーナは緊縛が好きそうだ。女であることを久しぶりに思い出したんじゃないか?」

 

 背中側のロウが新しい縄を腰の後ろに繋いだのがわかった。

 さっと縄尻を天井に向かって投げる。

 顔をあげると、天井にその縄が張り付いた。またしても粘性体が発生している。

 粘性体により密着した縄尻は、粘性体に呑み込まれるように、ゆっくりと引きあがっていく。

 

「ひっ、いやああっ」

 

 ラスカリーナは前のめりに倒れる感じで爪先立ちになった。

 やっと縄の引きあげが終わる。

 縄がさらに股間に喰い込んでいた。

 身体の疼きがもっと拡大する。

 

「どうやら、ラスカリーナはしばらく緊縛を味わった方がいいみたいだ。新しい感覚で戸惑っていると思うけど、まあ、ちょっとそうしてしっかりと自分を見つめるといい」

 

 ロウが前に回ってきてラスカリーナに微笑みかける。

 ラスカリーナはぞっとした。

 

 逆らえない……。

 なぜか、そう思う。

 

 もちろん、こうやって身動きできいないほどに縛られ、身体を拘束されているというのもあるが、やはり、目の前のロウには、なぜか人を圧倒するものがある。

 それに、身体を締めあげる縄の緊縛感と吊りあげられる苦痛がじわじわとラスカリーナを追い詰める。

 全身から汗が噴き出てくるのがわかった。

 なによりも耐えがたいのは、おろされかけている下着にかかっている股の縄……。

 女のもっとも敏感で柔らかな肉に喰い込み、容赦なくクリトリスと花芯、そして、お尻の穴に、痺れとも疼痛ともつかない圧迫感をラスカリーナに与えてくる。

 

「じ、自分を見つめるだと……」

 

 思わず言った。

 だが、ちょっとでも動くと、縄が股間にさらに刺激を与える。

 迸りそうになる喘ぎ声をラスカリーナは必死に耐えた。

 

「縛られて、快感を覚えている自分だ。ラスカリーナ、心の抵抗をやめることだ。そうすれば、もっと気持ちよくなれる。実はもうわかりかけているはずだ。こうやって、抵抗する力を奪われて、支配されることが気持ちがいいとね」

 

 ロウが軽くラスカリーナの身体を押した。

 

「ひゃんっ、ああっ、いやっ」

 

 ラスカリーナは甘い声をあげてしまった。

 身体を押されて一瞬爪先が床から離れて、これでもかと縄が股間に食い込んだのだ。

 ずんという衝撃が子宮を貫いた。

 とにかく、懸命に体勢を直す。

 だが、忘れていた女の感覚……。ロウの言葉じゃないが、しっかりと自覚してしまった。

 ラスカリーナも、女の端くれだということを……。

 

「支配されたくないのに、強制的に従わされる。これが調教だ。そのうちに、ラスカリーナは支配されることを望むようになる。多分、もうそうなりかけているけどね」

 

「支配される感覚って……」

 

 動揺が全身を走る。

 心がざわめく。

 

「閣下、天道様の言葉に耳をお傾けください。あたしたちは、天道様に選んでいただけたのですよ。ありがたいことです」

 

 そのとき、ソファに女たちとともに腰掛けているナールが言った。

 すると、すでに戻っていたコゼが口を開く。

 

「あんた、ご主人様に調教されるときにも言っていたけど、天道様ってなに? ご主人様のこと?」

 

「もちろんです。わたしは、天道様に心酔しております。小冊子も肌身離さずに持っておりますから」

 

「小冊子?」

 

 首を傾げたのは、エリカだ。

 しかし、ラスカリーナにもわからない。

 天道様の小冊子??

 いや、それはともかく、この感覚……。

 息をするたびに、股縄の瘤が股間を刺激するような……。

 なにもしてないのに、ラスカリーナはどんどんと追い詰められていく気がする。

 なにかが、つっと股間から流れ出ていく感覚も……。

 

「小冊子とはなんだ?」

 

 すると、ロウが離れていった。

 ナールたちの方に向かう。

 ラスカリーナは放置された気持ちになり、さらに大きな圧迫感に包まれる。

 

「町で出回っているものです。救世主様のお言葉を書き写したものだと言われてます。でも、あまり数がないのです。あたしもやっと手に入れたもので、読むたびに涙がこぼれます」

 

 ナールだ。

 

「救世主様? いま、持っているか」

 

 ロウは怪訝そうにしている。

 

「あっ、はい、これです」

 

 ナールが懐から手のひら大の小さくて薄い紙束のようなものを差し出したのが見えた。

 ロウがそれを受け取る。

 しかし、すぐにエリカに渡した。

 

「読んでくれ、エリカ」

 

「ふふ、まだ文字には慣れませんか? ちゃんと勉強しましょうよ」

 

 エリカが小冊子を受け取りながらくすりと笑った。

 

「こっちの世界の文字はな。まあ、だけど、お前たちがいてくれるからいいだろう。不自由を感じたことはない」

 

「まあいいですけど。読みますね……。ええっと、“なんの問題もありません。ただただ天道様を信じればいいのです。そうすれば、最高の快感があなたを包みます。問題はないのです”──。それだけですね。次の頁は……」

 

 エリカが読みあげた。

 

「感動する言葉という感じじゃないな」

 

 ロウだ。

 

「なんか、あいつのこと思い出すわね。うちの押しかけ雌犬一号」

 

 コゼが口を挟む。

 

「雌犬一号?」

 

 今度はガドニエル女王。

 

「一号はスクルドだな。二号がガドだ」

 

 ロウが笑った。

 

「まあ、雌犬二号ですか? 光栄です、ご主人様」

 

 すると、ガドニエル女王が嬉しそうに笑った。

 

「次の頁を読みます……。“問題ありません。命令に従いましょう。弄ばれましょう。辱められましょう。天道様は最高の快感をあなたに与えます”……。ええと、今度はそれだけです」

 

 エリカが小冊子から顔をあげて言った。

 

「素晴らしい言葉です……。また、涙が出ます……」

 

 ナールがうっとりとした口調で言った。

 

「これで?」

 

 コゼが怪訝そうに言った。

 そして、エリカに視線を移す。

 

「もしかして、全部の頁がそんな感じなの?」

 

「そうねえ……。大きな文字で、似たような言葉がずうっと……。でも、やたらに“問題ありません”という言葉が多いわねえ」

 

「もしかして、本当にあいつの言葉なんじゃないの?」

 

 コゼが小冊子を取りあげて言った。

 

「後でスクルドに聞いてみるか……。それよりも、ナール。なかなか、すごいな。そうやって、飄々としているのは俺も驚いた。なにも感じないのか?」

 

 ロウがナールに笑いかけた。

 

「いえ、とんでもありません。じんじんと感じてます」

 

「本当に平然としているわねえ……。ご主人様の貞操帯を装着されて、そんなに顔に出さないのは初めてなんじゃない? ご主人様に性奴隷にされた女は、誰であろうと、まずはその洗礼を受けるのよ。動いてないの?」

 

 コゼだ。

 貞操帯?

 洗礼?

 

「動いています。でも、必死に耐えてます。それが天道様をお喜びさせると、その小冊子に書かれてますので」

 

「小冊子なあ……。それとなんで、俺が天道様なんだ?」

 

 ロウが首を傾げている。

 

「ロウ様は天道様です。救世主様がそう言われたと……」

 

「救世主様って?」

 

「もちろん、兇王に殺されたスクルズ様です。そのスクルズ様が天道様がお救い主だと言われたと」

 

「えっ、なんのこと? やっぱり、あいつ──?」

 

 コゼが声をあげた。

 

「スクルズ……様が救世主か? まあ、死んで神格化されているようなことは、ちょっと耳にしたけど……」

 

 ロウがぶつぶつと口に中でなにかを言っている

 だが、もうラスカリーナは耐えられなかった。

 急所を締めあげられる感覚は、もう我慢がきかないものにまで拡大していたのだ。

 

「た、頼む。い、いつまでこうしていれば……」

 

 ラスカリーナは声をあげた。

 すると、ロウが振り返って戻ってきた。

 目の前に立ったロウは優しげに微笑んでいる。

 自分の心臓がうるさいくらいに鼓動を鳴らすのがわかった。

 

「そろそろ、自分の心が自覚できたか、ラスカリーナ?」

 

「自分の心……? さっきも同じことを言っていたけど……。な、なんのこと……」

 

 ラスカリーナは喘ぎそうになるのを耐えながら言った。口を開くだけで、股間に痺れが走り、わけのわからない感覚がやってくる。

 

「まだ、わからないか? まあいい。それよりも話だ。俺の要求はただひとつ。俺の軍門にくだれ。王じゃなくて、俺に忠誠を誓え。これを嵌めてな」

 

 ロウが取り出したのは、赤いチョーカーだ。

 はっとした。

 これこそ、ナールをはじめ、多くの兵が首につけていたものだ。

 そして、さっき、ロウは自分の軍門にくだった象徴が、この赤いチョーカーだというようなことを口にした。

 つまりは、彼らがしていた、あの赤いチョーカーはそういう意味?

 唖然とした。

 

「返事は、散歩をしてからにしようか。じゃあ、歩くんだ」

 

 ロウが言った。

 すると、天井に繋がっている縄が突然に引っ張られた。

 びっくりして見あげると、天井に縄を呑み込んで貼り付いている粘性体が動いている。

 だから、縄が動いているのだ。

 ラスカリーナの股間を苛んでいる股縄が引っ張られて動く。

 

「いやああっ、やめてえっ」

 

 ラスカリーナは少女のような悲鳴をあげていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。