【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「ははは、結局、四人で四周りか。お前たち、敏感すぎるなあ。俺はまだ一度も達してないぞ」
一郎は大笑いした。
屋敷に向かう馬車の中である。
到着までの十タルノス……。つまりは、十分間余りの時間潰しのつもりで始めた、絶頂するたびに女が交替をするものとして決めた女たち四人と一郎との性対決は、結局のところ、一郎の圧倒的な勝利で終わった。
一郎としても、ここまで女たちが一方的に簡単に絶頂してしまったのは計算違いだ。
確かに、一切手加減をせずに、淫魔術による性技を駆使して、相手にする女の一番弱い部分を狙い打ちにして愛撫をしたのは認めるが、それにより、面白いように、コゼもガドニエルもマアもあっという間に絶頂してしまっていったのだ。
辛うじて、ナールだけが抵抗の様子を示したが、それも程度問題にすぎなかった。ナールもまた、短い時間で簡単に絶頂をして交替となったことには変わりない。
おかげで、一郎は自分の股間が射精に至るほどの刺激を得ることができなかった。
まあ、射精しようと思えば、いくらでもできるのであるが、やっぱり、一郎も十分な快感を得ることによって精を放ちたい。
それを受けとめることができなかった四人に対する苦笑混じりの笑いだ。
「はあ、はあ、はあ……。あ、あたしがお相手をします。絶頂してもやめなくていいです……。だから、ご主人様が気持ちよくなるまで……」
馭者台から戻ってきたコゼが荒い息をしながら、一郎に這い進みながら言った。
あまりにも交替時間が早く来るので、女の相手をする時間よりも、ナールとコゼの馭者の交替時間の方が多く費やしたほどだ。
馬車の中にいるのは、ほかにガドニエルとマアである。ふたりとも、下半身は裸だ。
マアは最初からそうだったが、ガドニエルもいつの間にかそうなった。
コゼもナールもである。
また、そのナールは馭者台にいる。やはり、下半身はなにもなしだ。
馭者台にいるナールを含めて、四人とも股を開いただらしのない格好だ。
一郎は亜空間に隠していた彼女たちの服を返してやる。
しかし、コゼ以外は座席に身体を預けて突っ伏したまま動く気配がない。さすがに、短い時間での四回連続は堪えたみたいだ。
「いや、コゼ、もう時間切れだ。到着だな」
一郎は外の景色に視線を送って言った。
街道から屋敷方向に入る小径に差し掛かったのだ。
馬車は右に曲がり、その小径に入って、軽い登り坂に差し掛かった。月明かりなので暗いが、昼間の陽の下であれば、すでに屋敷が見える場所である。
「おマア様、皆さん、そろそろ……。えっ、これはどういう状況なのですか?」
ずっと馬車の前を騎馬で進んでいたモートレットが自分の馬を回して、馬車の横に戻ってきた。
だが、ちょっと絶句している。
無理もない。
なにしろ、一郎はたったいま、下着もズボンも身につけたが、女たちについては四人が四人とも下半身になにも身につけてない状況だ。しかも、みっともなく股を開いて……。
それは驚きもするだろう。
もっとも、マアに言わせれば、喜怒哀楽をあまり示さないということだったが、こうやって接しても、そこまでの印象はない。
まあ、普通だろう。
確かに、表情が豊かとは言えないが……。
「おマアに聞いてないか? ここにいる女たちは、おマアを含めて、全員が俺の恋人であり、愛人で、妻のようなものだ。つまりは馬車の中で愉しんでいたということさ」
一郎はうそぶいた。
そのあいだも、馬車は坂をゆっくりと進み続け、モートレットも馬車に併走して馬を進めている。
「聞いています……。マア様には、あなたが許されるなら、女にしてもらえとも……。マア様から聞いておられるかどうかわかりませんが、私はタリオ大公アーサーの手の者から、命を狙われる可能性があります。あなたの庇護なら、アーサーは手が届かないだろうとも教えられました。ただ、聞いたところ、あなたの庇護に入るには、あなたの女になる必要があるとも諭されています。しかし、それなら、やはり、私を匿うのは難しいですよね。ならば、出ていきます」
モートレットが言った。
淡々とした口調だ。
なるほど、確かに、言葉に感情がこもってない口調だ。マアも、マアにモートレットを託したルビアという女性も、モートレットのそういう部分を心配しているのかもしれないが、一郎に言わせれば、常識の範囲内だ。
おそらく、感情表現が下手なのかもしれないが、この程度なら問題ない。
そもそも、彼女がなんらかの心の病があるとしたら、それなら一郎の魔眼で出てくる。
だから、問題はない。
それはともかく、いま、モートレットは、アーサーのことをタリオ大公と呼んだ。
果たして、彼女は実の父親であるらしいアーサーのことをどう思っているのか……。
「ま、待って、モートレット……。ロ、ロウ殿は、お、お前を預かると……」
マアだ。
声が掠れている。
結構、大きな嬌声をあげていたからだろう。
「いいから身支度しろよ、おマア。ほかの者もだ」
一郎は笑って声をかけた。
「ガ、ガド……。か、回復術……。回復術をかけてよ……。洗浄魔道もよ……」
コゼが言った。
そのコゼも一郎の足もとで小さく丸くなったままだ。
「は、はい……。か、かけます。多少は動けるようになると思います」
ガドニエルが魔道をかけたのがわかった。
女たちが少しは元気になった。
もっとも、完全回復にはほど遠いが……。とりあえず、四人ともやっと身体を動かして、身支度を整え始める。
どうにも、一郎に抱かれた女は、通常魔道の回復術では、劇的に疲労が回復することはない。
以前は、そんなことはなかったと思うが、なぜだろうか……。
まあいいか。
それよりも、モートレットだ。
「さっき、出ていくと言ったか、モートレット? おマアには、お前を庇護することを約束したが、気が進まないか?」
とりあえず、訊ねた。
「モ、モートレット、あのね……」
そのとき、マアは口を挟もうと口を開いた。
一郎はそれを手で制する。
「いや、そういうわけではありませんが、あなたの女にはなれないと思いますので」
「俺みたいな男に愛されるのは嫌か?」
一郎は苦笑した。
確かに、馬車の中で女四人を相手に乱交というのは、ちょっと十五歳の少女には刺激が強かったか、
ナールなど、下半身を露出して、手錠で馭者台に拘束していたしな……。
一郎は頭を掻いた。
「いえ、私は嫌ではありませんが、多分、わたしのような女を愛するのは難しいのではないですか? わたしは女らしいところなどひとつもありませんし」
モートレットが言った。
「んっ?」
一郎はなにを言われたかわからず、首を傾げてしまった。
わたしのような女──?
随分な美少女だとは思うが……。まあ、こうやって男装をしていれば、少年にしか見えない部分があるから、それを言っているのか?
「あんたみたいな子は、ご主人様の大好物よ。あっちのナールも近衛では鉄仮面の渾名もあったような無表情が売りだったみたいだけど、それでもあんな風になるの。あんたもそうなるのよ」
コゼが笑った。
やっと半ズボンをはき終わり、いつの間にか一郎のすぐ隣に腰掛けている。
「しかし、わたしは多分、不感症で……」
「不感症?」
マアが口を挟む。
「ええ、一度頼まれて、セックスをしたことがあります。しかし、全く濡れずに、結合することができませんでした。彼に言わせれば、わたしは不感症だと……」
「彼って、誰よ? お前って、恋人がいたの? そんなことちっとも……」
マアが気色ばんだ。
「いえ、決して恋人などでは……。ただ、土下座をして頼まれたので、まあ、別段減るものではないかと思って相手をしただけです。わたしのことが女だと気がついた若い神官の男で……。名前は……、ちょっと覚えてません」
「お前の貞操観念はどうなっているのよ。頼まれれば、名前も知らない男と関係を持つの?」
マアが叱るような口調で言った。
だが、一郎は噴き出してしまった。
たったいままで、マアも一郎たちと羽目を外した乱交をしていたのだ。貞操もなにもないだろう。
そもそも、マアもモートレットを一郎に抱かせようとしているのである。
説得力などない。
「まあいいよ。だが、なぜお前が不感症なんだ? 断言しておくが、絶対にそうではないぞ」
一郎は言った。
モートレットのステータスに表記がある「性感度」の記号は“D”だ。
これまで、様々な女のステータスを観察したが、おそらく、不感症の女のステータスに表記されるのは“E”だ。
モートレットは、まだ性行為に不慣れなだけで、一郎の手にかかれば、すぐにほかの女たちのように感度抜群の淫乱な身体になるだろう。
こんな無垢な少女を淫靡に調教するのは、ちょっとだけ気が引けるような気もするが……。
まあ、ちょっとだけだが……。
「そう……ですか。ならば、お試しだけでも。でも、もしも、わたしがあなたに期待に応えられないような女であっても、できれば置いて欲しいのです。お願いします」
モートレットが騎乗のまま頭をさげた。
「お試しなんてないのよ。ご主人様にかかればね……。だけど、ちゃんと縛られるのよ。ご主人様はそれがお好きなんだから。そして、あんたも、それが大好きになると思うけどね」
コゼが茶化すように言った。
「ああ、それはもちろん。普通のことなのですよね」
モートレットが頷く。
普通──?
いや、そういえば、ちょっと前にそんな話をしたか?
それはともかく、さっきの話で思いついたことがある。
「なあ、モートレット、もしかして、神官の男とセックスをしたとき、挿入しようとしたけど、痛くてできなかったんじゃないか?」
一郎は言った。
「よくわかりますね。彼には悪いことをしました。わたしが不感症のせいで不快な思いをさせたと思います。しかも、わたしは痛くて突き飛ばしてしまったのです」
なるほど、それでステータスには、“男(0.5)人”と表記されたのだろう。
一郎は合点がいって笑ってしまった。
「そいつが下手だっただけよ。突き飛ばして正解よ」
コゼが横で大笑いした。
「おっ、なんだ?」
そのとき、やっと、屋敷が視界に入ってきた。
だが、完全な廃墟だ。
そこにあるのは、月明かりに照らされた焼け焦げた屋敷跡の残骸である。
ただ、それは屋敷妖精のシルキーが王軍を誤魔化すために作った幻影なのだそうだ。
事前に教えてもらってなければ、一郎も驚愕していただろう。
しかも、シルキーの幻影は完璧であり、シルキーの認めない者が屋敷に接近しても、シルキーの幻術で感覚を麻痺されてしまい、屋敷に接触することなく、同じ場所をぐるぐると回った挙げ句、離れていく仕掛けになっているという。
「ご、ご主人様、ここに張ってある幻影の魔道は凄まじいですわ。感じたことのない程の大魔道です──。一体全体、どなたがこの幻影術をかけているのでしょう?」
ガドニエルが感嘆した声を放った。
すると、残骸に向かって進んでいた馬車がいきなり、白いもやのようなものに包まれた。
そして、景色が変わる。
懐かしい屋敷が目の前だ。
しかも、煌々とかがり火が馬車の進む前庭の小径に置いてある。
まるで、ここだけ昼間のような明るさだ。
やがて、馬車が屋敷の入口の前で停まった。
屋敷の入口の扉が大きく開いた。
「お帰りなさいませ、旦那様」
シルキーが宙を割るようにして出現した。
「えっ?」
しかし、馬車を降りようとしながら、一郎はシルキーの姿を見て呆気にとられてしまった。
なんだ、その格好──?
シルキーは、上半身はいつものメイド服だが、臍から下にはなにも身につけてない。
ただ、股間の当たる場所に、大きな葉っぱが貼り付いている。
「ぱああっぱああああ──」
さらに、ものすごい元気な女の声が響いて、背の高い美女が駆けてくる。
ウルズだ──。
だが、なぜか、ウルズはいつもと違って、どこかの夜会にもでるような綺麗なドレスを着ている。
だが、乳房にあたる場所と股間の部分が丸く切り取られている。
そこから乳房と性器が見事に露出していた。
「ぱぱああああ──」
ウルズが泣きながら、一郎に向かって走ってきて……。
そして、ものの見事に一郎のちょっと前ですっ転んだ。
「ウルズ、大丈夫か?」
一郎は笑って、ウルズに駆け寄る。
とりあえず、淫魔術で床に打ったと思う身体の場所を癒やしてやる。
「わあああん、わあああん──。ぱぱあああ、ぱぽああ──。おかえりなちゃいい──。おかえりなちゃいい。ぱぱ、まんまん──。ぱぱ、おかえりなちゃいい──。まんまんして──。まんまん──」
ウルズが凄い力で抱きついてきて、一郎は床に引き倒されてしまった。
心は幼女だが、姿は妖艶な大人の女性だ。
ウルズは背が高い方だし、実は力も強い。一郎は強引に馬乗りされる。
そして、ウルズが、号泣しながら抱きついてきて、顔のあちこちに滅茶苦茶に口づけしてきた。
「ははは、ウルズ、いい子にしていたか?」
一郎はウルズの盛大な歓迎を受けながら、とりあえず、ウルズを下から抱き締めた。
ウルズはわんわん泣き続けている。
いずれにしても、やっと戻ってきた。
一郎は、ついに帰宅を果たしたのだ。
(第5話『クロノスの帰宅』終わり、第6話『大浴場の性宴』に続く)