【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「しっかりしろ、屋敷妖精──。お前、この屋敷を壊すつもりか──?」
どこからかやって来たクグルスがシルキーに向かって叫んだ。
一方で、シルキーの身体は光り続けている。
「ご主人様──」
「ロウ様──」
「ご主人様」
女たちも集まってきた。
破廉恥服で準備していた女たちはそのままだが、一郎と一緒にやって来た女たちは、一郎とウルズが愛し合っているあいだに服を脱いだのだろう。みんな一糸まとわぬ素っ裸だ。
その女たちが集まってくる。
「ご主人様、離れてください──。とりあえず、シルキーの周りを保護結界で包みます」
スクルドが両手をかざして、魔道を遣う体勢になったのがわかった。
それはともかく、スクルドが乳首と股間に吊った鈴がちりんちりんと鳴るのが妙に、緊張感を削ぐ。
一郎は思わず、くすりと笑ってしまった。
「いや、必要ない。シルキーは成長しているだけだ。落ち着け、みんな──」
一郎は、とりあえず叫んだ。
「成長?」
スクルドはきょとんとしている。
しかし、魔眼でシルキーのステータスに触れている一郎には、それがわかる。
“シルキー
一郎の屋敷に仕える屋敷妖精
(淫魔師の恩恵による成長中)
屋敷妖精、雌
年齢**歳
ジョブ
屋敷妖精(レベル20)↑↑↑
……
……
……
……
能力
外…記……集↑
状態
淫魔師の恩…
支配者
ロウ”
一郎の頭に中に映るステータス表記は、めまぐるしく揺れて読みにくいが、辛うじて、シルキーが一郎の精を改めて受けることで、急成長しているのだということは理解した。
これまでそんなことはなかったが、これもまた、一郎自身が淫魔師としてレベルが限定解除したためかもしれない。
そういえば、ひさしぶりに性交した女たちについても、ほぼ全員にステータスの向上が見られた。
もっとも、目の前のシルキーほどには劇的な変化ではなかったが……。
「見て、大きくなっている」
コゼが声をあげた。
いまだに光り輝いているシルキーは確かに、だんだんと身体が大きくなっている。
ついさっきまで、人間族の十歳くらいの童女くらいしかなかったのに、どんどんと背が伸びているように見える。
そして、光が収まった。
「大変失礼しました、皆さま」
シルキーが立ちあがった。
相変わらずの上半身だけにメイド服を身につけた股間に葉っぱ一枚だけの破廉恥姿であるが、ずっと背が高くなり、十五歳から十七歳くらいを思わせる少女の身体つきに変わっている。外見も美しい。人形的な美しさだ。
そして、気がついたが、揺れているように感じた屋敷についても。いまは収まっている。
テーブルの上にあった皿やグラスについてもまったく異常はないみたいだ。
“シルキー
ロウに仕える屋敷妖精長
屋敷妖精、雌
年齢**歳
ジョブ
屋敷妖精(レベル80)↑
生命力:200↑
経験人数:男2、女1
淫乱レベル:A
快感値:100
能力
外部記憶収集↑
状態
淫魔師の恩恵↑
支配者
ロウ”
屋敷妖精“長”?
外部記憶収集?
わからない単語が増えている。
レベルなど、一気に四倍だ。
「シルキー……よねえ?」
コゼが訊ねる。
「はい、シルキーでございます。どうやら、成長したようですね。視線が高くなりました。旦那様の顔が近くに見えます」
にっこりと笑った。
ちょっと表情が豊かになったか?
「どういうことなのですか?」
スクルドだ。
しかし、シルキーはかすかに首を傾げる仕草をした。
「わたくしめにもわかりません。成長したようですとしか言えません。ただ……、ああっ」
だが、話している途中で突然に、シルキーが大きな声をあげた。
「どうしたのですか、大魔道士様?」
ガドニエルだ。
「女王陛下、どうか、シルキーと呼び捨てを。召使いとして扱われるのが、シルキーの喜びであり、誇りなのです。それよりも、旦那様、わたくしめは、どうやら出世したようでございます」
「出世?」
一郎は訝しんだ。
「ぴったりの言葉が見つからないので、そう表現いたしました。わたくしめは旦那様によって成長させて頂いたことにより、ほかの屋敷妖精への統制権を得たようです。まずは、ブラニーを管理下に入れます……。ブラニー、こっちに来くるのです。屋敷妖精長のシルキーの命令です」
シルキーが宙に呼びかけるように言った。
次の瞬間、ついさっきまでのシルキーの姿に酷似しているブラニーが目の前に現れた。
王都屋敷を管理しているもうひとりの屋敷妖精だ。
「命令により参りました……、ブラニーでございます……。あれっ、どうして、わたくしめはここに? あれ? ここはシルキーの屋敷ではないのでしょうか?」
ブラニーは困惑している様子だ。
なぜ、ここに来たのか、ブラニー自身でわからないみたいだ。
「屋敷妖精が管理している屋敷を離れるのか? そんなことがあるのか?」
ベルズも驚いたように呟いている。
一郎も、屋敷妖精というものは、主人と決めた人間族の住む屋敷から絶対に離れることはないと聞いていた。
その代わりに、屋敷の管理に関する限り、絶対で無限の魔道力を駆使するのである。
だからこそ、当代一の魔道遣いと称されるガドニエルが舌を巻くほどの魔道が遣えるのだ。
ただし、それは屋敷の管理に限ることであり、さらに、屋敷妖精はひとつの屋敷に拘束される。
それが一郎が認識している知識であり、だからこそ、ブラニーがここにいるはずがないのである。
「ブラニーは屋敷を離れておりません。旦那様は、この屋敷も、王都の屋敷も実際にはご自分の屋敷だと認識しておられます。そのご認識の限りにおいて、シルキーもブラニーも力を発揮するのです。ブラニーはこれより、わたくしめの統制に入ります。特に大きく変わることはありませんが、これからはふたりで、旦那様とそのご家族、お客様をふたつの屋敷でお世話するのです。わかりましたね、ブラニー?」
シルキーは淡々と言った。
最初、ブラニーは当惑した気配だったが、次第にそれがなくなり、シルキーの話が終わるときには、完全に納得した雰囲気になった。まあ、もともと、無表情の屋敷妖精なので、その違いはわかりにくいが……。
「わかりました」
ブラニーが頷いた。
「よくわかりませんが、これからは、おふたりでお世話をしてくれるということなのですね。そうですか。頼もしいことです」
アンが言った。
「そうだな。よろしく頼む、ふたりとも」
一郎も言った。
ほかの女たちも同じようにふたりに言葉をかけた。
「屋敷妖精の成長……。そんなことがあるのですね。ちっとも知りませんでした」
「そうだな。屋敷妖精は数か少なくて、謎の多い種族だからなあ。成長という概念があるとは知られてはおらんかったな。大人の姿の屋敷妖精というのも記録には存在してないと思うぞ」
スクルドとベルズについては、感嘆したように屋敷妖精の生態について語り合っていた。
「では、早速ですが、ウルズ様がお眠りになられたのでお願いします。ブラニー。久しぶりに旦那様に会われて、かなり落ち着かれたと思うので、今夜は大丈夫かもしれませんが、おしめについては一応お願いします」
シルキーがブラニーに声をかけた。
「かしこまりました、シルキー様」
ブラニーがシルキーに頭をさげた。
どちらかというと、ブラニーが屋敷妖精としては先輩格で、姉のような関係のはずなので、かなり違和感がある。
「わたくしめのことは、呼び捨てにしなさい。扱いもこれまで同様にするのです」
「仰せのままにします、シルキー……。では、ウルズ様を寝台にお連れします。皆さま、失礼します」
ブラニーがもう一度頭をさげ、姿を消滅させる。
見ると、寝椅子で寝息をかいていたウルズの姿はない。
「わおっ、すごいねえ。やっぱりぼくのご主人様だ。屋敷妖精を成長させるなんてね。だけど、お前、大人の姿になっても、ご主人様のしもべであることには変わりないからな」
クグルスが大きくなったシルキーの前を飛びながら言った。
「もちろんです。旦那様であるロウ様とそのご家族様にお仕えするのは、シルキーの心からの喜びです」
「それと、身体が大きくなったんだ。性奴隷としても励んで、ご主人様をしっかりと愉しませろ」
「あっ、それはもちろん。旦那様に愛されるのは、とても気持ちがいいですから……。わたくしめにとってはご褒美です」
シルキーがにっこりと微笑んだ。
やっぱり、成長することで表情も少し豊かになったみたいだ。
「わかっているならいい。お前ら性奴隷たちは、偉大なる淫魔師のご主人様の雌畜だ──。覚えておけ。偉大なるご主人様は、偉大なるがゆえに、常に大量の淫気を補充しないと生きていけない。しっかりと淫気を提供しろ。簡単だ。ご主人様の前では常に準備万端で欲情しておけ。そして、お手付きになったら、ただ悶え狂え。それだけだ──。ほかの女たちにも言っているんだぞ。わかっているな──?」
クグルスが声を張りあげた。
「もちろんです。全力で励みますわ」
ガドニエルがすかさず口を挟む。
「もちろん、わたくしめも励みます。それに、成長して嬉しいのは、これからはもっと、旦那様にお仕えすることができることです。この屋敷に限らず、旦那様が“自分の家”と認識した家はわたくしめが全部管理することができるようになったみたいです。旦那様が心置きなく、ご家族やお客様と愛し合うことができるように、屋敷たちを管理していきます」
「えっ、それは、この屋敷でなくても、あなたがほかの家も管理することができるということですか? 離れていても?」
一方で、スクルドが口を挟んだ。
「離れていてもです。旦那様が“家”と認識された場所であれば、問題ありません。しかし、離れた場所をどのように管理するかはまだわかりません。でも、そのときになったらわかるという確信はあります」
シルキーがきっぱりと断言した。
「なに? じゃあ、ご主人様が自分の家だと言えば、どうやってかしらないけど、王都の王宮もあんたの管理におけるってこと?」
コゼだ。
シルキーはちょっと考えるような仕草をしてから、軽く首を捻った。
「旦那様は、そうはお考えにはなっておられないようです。言葉ではなく、旦那様がどのように思っているかということによるようです」
「なんとも、不思議な生態だな。さっき、屋敷妖精長とか口にしておったが、ブラニー以外の屋敷妖精も支配下に置けるのか? そもそも、どこの屋敷に屋敷妖精がいるかどうかとかわかるか?」
今度はベルズが口を挟んできた。
「ブラニーは以前から知っておりますし、実質的に旦那様が管理しておられた王都屋敷の管理だったので、支配に入れることができました。申しわけありませんが、ほかの屋敷妖精がどこにいるのか……。そもそも、存在するのかどうかも、わたくしめにはわかりません。会うことがあれば、もしかしたら、統制に入れることができるかもしれません」
「そうか。まあ、そんなに都合よくはいかぬか」
ベルズは頷いた。
「確かに、王宮を家と思ってはないしなあ……。それに、俺の家はここだ。ここがなによりも気に入っている。この浴場ひとつとっても、多分、どこの王宮にもない」
一郎は言った。
「それはそうですね」
アンがにこにことしながら言った。
「す、水晶宮には、これの倍の浴場を作らせます」
すると、ガドニエルが強い決意をしたような物言いで言い切った。
「へえ、じゃあ、やっと国に帰る決心がついたのね?」
コゼが混ぜっ返すような物言いで口を挟む。
「あっ、いまのは撤回です。わたしはここに住むので、水晶宮のことはできません。申しわけありません、ご主人様」
「俺はなにも言ってないだろう」
一郎は笑った。
そのとき、急にシルキーがはっとしたような表情になった。
「あっ、ちょっと待ってください。存在はわかりませんが、知識は入手できそうです」
シルキーが言った。
「知識って?」
ベルズだ。
「どこにいるのかわからない他の屋敷妖精の管理している蔵書や研究施設のもの。そういうものから、色々な知識を引っ張ってくることはできます。ああっ、できます──。先ほどの旦那様のご注文なされた、獣人族の女神のモズ像と魔族の女神のインドラ像も直ちに手配できます」
「ああ、それが“外部記憶収集”という能力か。さしずめ、インターネットのようなものか」
一郎は合点がいって、思わず声に出した。
「淫と……寝ると……? ですか?」
ランがぼそりと言った。
「インターネット……。いや、なんでもない。ただ、ここにはない知識に、シルキーが触れられるようになったということだ。しかし、みんな勘違いしないようにな。なにもないところからこの世の真理を引っ張ってくるわけじゃないぞ。あくまでも、誰かが書いたことや、記録していたことが、たまたま、ほかの屋敷妖精の管理している、どこかわからない屋敷にあったら、シルキーが知識だけを引っ張ってこれるということだけだ」
一郎は全員に言った。
「随分と知っている感じだけど、あたしには、その外部記憶……なんとかというのは、さっぱりと意味がわからないんですが、ロウ殿には理解できるのかい?」
マアだ。
「ある程度はね。いや、現象は説明できないぞ。概念が理解できるだけだ」
「へえ……。まあ、いずれにしても、屋敷妖精に会うだけでも果報ものなのに、その屋敷妖精の成長の瞬間に立ち合えるとはねえ……。長生きはするものさ」
「まだまだ若いだろう、マア」
一郎はマアの裸身にすっと手を伸ばして、脇の下をつっと触った。
実はそこはマアの性感帯のひとつなのだが、一郎の能力である“性感帯集中”の能力で、そこに身体中の全部の性感帯を集めたのだ。
この状態で刺激を受けると、身体中を無数の手で刺激されるにも等しい。
「ひゃああん──。うわあっ」
マアが一瞬にして身体を真っ赤にすると、自分の身体を抱くようにして伸びあがった。そして、その場に膝を崩して倒れ込む。
「マア様──」
びっくりしたモートレットが慌てて、マアを支える。
そのモートレットも全裸だ。
鍛えられた美しい身体だと思った。
ただし、一郎に見られて恥ずかしがる素振りはない。
「まだまだ若いじゃないか。ちょっと触られただけで、そんなに敏感だとはね」
一郎は、ばれないようにマアの感覚を元に戻しつつ笑った。
「ただ、触っただけというのは本当ですかあ……?」
コゼがにやにやしながら一郎に訊ねてきた。
「ロ、ロウ殿……。も、もう悪戯は……」
一方でマアは、うずくまって荒い息をしながら、真っ赤になった顔を一郎に向ける。
一郎は思わず笑った。
また、そのとき、集団からちょっとだけ離れて、ナールがぶつぶつとなにか呟いていることに気がついた。
「屋敷妖精……エルフ族女王……女豪商のマア様……アン王女殿下……、救世主様に、第二神殿の筆頭巫女様……。なによりも、天道様……。別格にすごい……。すごい……。すごい……。あたしなんて場違い……。もしかして普通じゃないかと思っていたランさんも、なんか頭よさそうだった……。どうしよう……。どうしよう……」
その呟きに集中してみると、ナールはそんなことを口にしていた。
一郎は苦笑した。
まあいい。そのうち慣れるだろう。
「旦那様、見てください」
すると、シルキーが声をかけてきた。さっきまで隣にいたと思っていたのに、いつの間にか離れていたみたいだ。
声の方向に視線をやる。
シルキーは五漕のうちもっとも大きな真ん中の湯漕に移動していた。
しかも、中心のメティス神を挟んだ両側に、すでにふたつの像が増えている。
ちょっと視線を離しているあいだのことだ。
本当にあっという間なのだなと思った。
新たな像のうちのひとつは、四肢に毛のあるような紋様が存在しており、長い尾を立てて四つん這いになっている小柄な女の裸身像だ。
これは獣人族の守り神のモズなのだろう。
反対側は、頭の両側に屈曲した角のある逞しい身体をした大柄な女の立像だ。
こっちは、魔族の守神のインドラか。地面に刺した大剣を持っている。
また、最初からあった五体の像からは、かざした手から湯が出ているのに対して、新しいふたつについては、まだどこからも湯は出ていない。
「ほう、すごいなあ。一瞬で」
一郎は感嘆した。
「だめだ、だめだ、だめだ──。お前、それじゃあ、ご主人様はお喜びにはなれない。もっと破廉恥なポーズにしろと言っただろう、屋敷妖精──」
しかし、クグルスが一瞬にして、シルキーの前に飛んでいき、文句を言い始めた。
「破廉恥なポーズですか? ええ、昼間に魔妖精さんには忠告をいただきましたので、ですから裸身像にしたのですが……」
「裸だからどうした。ちっとも、これじゃあ、ご主人様が欲情されないぞ。ここがなんのための場所か考えろ。卑猥なポーズをとらせて、ご主人様をその気にさせるんだ」
クグルスが怒鳴っている。
「へえ、じゃあ、どんなのがいいんだ。ちょっとシルキーと話してみてくれないか。シルキー、クグルスの言うとおりにしてみてくれ」
ちょっと興味が沸いた。
「かしこまりました、旦那様……。では、魔妖精様、よろしくご教授ください」
「あいあいさあ──。任せるんだ──。ご主人様、すぐに、うんとえっちな像に変えてあげるからね」
クグルスが嬉しそうに宙で踊るような仕草をした。
「任せる……。あっ、そういえば、クグルス、あいつはどうしたんだ? ラポルタだ」
王宮内の後宮でラポルタを捕らえたあと、このクグルスに託して、この屋敷で監禁をするように命じたのだ。
そういえば、どこに監禁したのか教えてもらってない。
「この下の地下だよ。連れてくる? ご主人様に言われたとおりにしてるよ。うんと熱くして、水は与えてない。あの変な金具もつけたままにしてるけど? ちょっと前に見たときには、まだちんぽは千切れてなかったよ。魔族って、なかなか丈夫なんだねえ」
クグルスが応じた。
「えっ、この下? この屋敷にさらに地下なんてあるのか?」
この屋敷は上が二階で、地下が一階という屋敷のはずだ。地下二階など知らない。
「いえ、わたくしめが作りました。お預かりしている囚人は、わたくしめがいまでも管理しております。連れてくる必要があれば、こっちにもって参りますが?」
シルキーだ。
「いや、不要だ。そのままでいい……。それよりも、女神像の改良をクグルスと頼む……。じゃあ、そのあいだに、俺たちは改めて愉しもう。まずは留守番組からかな。そして、全員だ。とにかく、みんな集まれ」
一郎は声をあげた。
女たちが笑いながら集まってくる。
そのときだった。
いきなり、浴場の入口が突然に激しい音をたてて開いた