【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
867 白い世界のふたり
気がつくと、ベアトリーチェは真っ白い世界にいた。
なにもない。
地面もなければ、空もない。
景色もない。地平線すら見えない。
一切が「無」だ。
なによりも、自分の姿がない。
存在するのは、ベアトリーチェの意思だけだ。
咄嗟に、ベアトリーチェは、ここが死後の世界という場所なのだろうなと思った。
そうだとすれば、どうやって、自分は死んだのだろう?
考えようとしたが、すぐには頭が回らなかった。
やがて、みんなと一緒に、天道様の性奴になるべく修行をしているとき、サキがルードルフ王と王の連れてきたラポルタという魔族に捕らえられ、それでみんなでサキを助けようとしたことを思い出した。
しかし、失敗して、ベアトリーチェはラポルタという男に監禁された。
それから、どうなったかについては、かなりぼんやりしている。
手酷い拷問を受けた気もするし、その後、ルードルフ王に拘束されて犯され続けた気もする。
わからない……。
ぼんやりとだが、天道様がやってきて、ベアトリーチェを助け、精を授けてくれたという記憶もあるが、おそらく、あれは死ぬ間際にベアトリーチェが見た夢であろう。
だが、随分と都合のいい夢だと思った。
あれが現実だとすれば、起こったことのすべてが報われる。
死ぬ間際の思い出としては、素晴らしい贈り物だ。
もしかしたら、これもまた、天道様を信仰して生きることを決めたことへのご褒美なのだろうか。
「大丈夫か?」
そのとき、急に声がかけられた。
びっくりした。
なにもなかったはずだ。
ベアトリーチェ自身さえいなかなったのだ……。
どこから声が……?
「存在しないと考えるな。あると思えば一切がある。逆に、ないと思えば全てがなくなる。ここはそういう場所だ。もっとも、それも
声はベアトリーチェの顔よりも、ちょっと下側から聞こえた気がした。
上も下もない世界で、下側というのはおかしなことだが、ベアトリーチェは下だと思ったのだ。
すると、突然に白い地面が出現した。
ベアトリーチェが上下を意識した瞬間に、このなにもない世界に上と下が生まれたのだ。
ベアトリーチェはその白い地面に素足で立っていた。
素足?
すると、足だけでなく、ベアトリーチェの身体全部が現れた。
ベアトリーチェは裸だった。
一糸すらまとっていない。
「やっと完全に覚醒したか、ベアトリーチェ。わしはここだぞ」
再び、声がした。
すると、目の前にベアトリーチェの身長の半分ほどの童女がいた。
深紅の長い髪をした美しい少女だがまだ幼い。
人間でいえば、五歳くらいだろうか。
だが、四肢の膝下と肘下だけに白い体毛があって、まるでその部位だけ白い布をまとっているようにも見える。明らかに人間族どころか、人族ではない。
逆に肘から胴体部、膝から腰にかけては一本の体毛もない。
つるんとしている。
また、股間には綺麗な亀裂が入っているが、もちろん、そこに陰毛はない。
そして、驚いたことに、頭のこめかみの部分に小さな角がある。
髪の毛でほとんど隠れているが、ほんのちょっと髪から出ている尖ったものは間違いなく「角」だ。
もしかして、目の前にいるのは、魔族の女の子?
しかし、この童女に、どこかで見覚えが……。
ベアトリーチェは首を捻った。
「いずれにしても、わしのせいで済まなかった。お前を捕らえて拷問をしたのは、わしの部下だ。いや、部下だった男だ。わしが不甲斐なくも囚われたせいで、お前は理不尽な目に遇わなければならなかったのだ。お前たちを捕えた以上、わしが責任をもって保護をせねばならんかったのに、本当にすまん」
目の前の童女がいきなり深々と頭をさげた。
その瞬間、ベアトリーチェは彼女が何者であるかを悟った。
この童女は、サキに間違いない。
理屈ではない。
一瞬にして、理解したのだ。
なぜ、幼い姿になったのかは不明だが、彼女はサキである。
「サキ様ですよね?」
質問のように訊ねているが、実際には確信している。
「いかにもな……。もしかしたら、気がついておらんかったかもしれんから、一応は教えておくが、わしは魔族だ。妖魔族の方だがな。いまのわしには、一切の妖力が遣えんので、人間族に化けることができんということだ。目の前にいるのは、正真正銘、本当のわしだ」
童女……サキが白い歯を見せた。
微笑むと、幼児姿のサキは本当に可愛らしかった。
また、“妖魔”というのは、かつて、冥王戦争と呼ばれた魔族と他の種族との戦いにおいて、魔族でありながら人間族たちに味方をした魔族種の一部のことだ。
結局、その彼らも人族によって世界から追い出され、この世界に近い位相に住み処を移した者たちになる。位相が近いのでしばしば、この世界にも姿を現すこともある。
とにかく、深い異界に封印した冥王と眷属たちと区分し、彼らについては「妖魔」と言い換えているのである。
本来は、両方とももともとは同じ魔族種だ。
「あ、あのう……。つまり……、その子供の姿が本来のサキ様の姿ということですか?」
ベアトリーチェは訊ねた。
すると、サキは豪快に笑い出した。
この笑い方は、間違いなくサキだ。
「いや、そういうことではない。これはわしの言葉が足りんかった。頭に角が生え、四肢に深い毛があるのは、わしが妖魔である証拠だということだ。だが、幼体になっておるのは、わしが再生をしているからだ。なにしろ、首から下を失ったからなあ。しかも、あのラポルタは、わしの首から下を二度と復活できないように呪術をかけて焼いてしまったのだ。そこまでされれば、さすがのわしも、寿命を代償とする“再生術”で身体を作り直すしかない」
「再生術? 首から下を失った?」
驚いたが、すぐに記憶と結びついた。
あのルードルフ王は、サキを首から上だけの姿にして連れ回し、視界を潰して、舌に魔道を掛けて性感帯にしたりと、やりたい放題のことをしていたのだった。
だが、それでもサキは生きていて、ベアトリーチェたち、天道様の性奴隷候補生がルードルフ王に手つきにならないように、あるいは、殺されないようにと、必死になって命乞いをしてくれたのだった。
やっと、思い出した。
「ああ、サキ様、思い出しました。サキ様はわたしたちを助けてくれたのです──。あのルードルフ王や、その部下のラポルタから守ろうと……」
「いや、違う。色々と違う。そもそも、ラポルタは、ルードルフの部下ではないぞ。あの人間族の王は単なる囚われ人だ。諸悪の根源はラポルタだ。そして、わしだな。わしが悪いのだ。お前たちを捕まえて、
「それのどこが悪いのですか。わたしたちは、天道様の性奴隷になることを、それはそれは楽しみにしておりました。その機会を与えてくれたサキ様には、感謝しかありません。修行も苦しかったですが、天道様のことを思えば、愉しくもありました」
「お前らのそういうところは、さっぱり理解できんな。スクルズの
「えっ?」
「わかっておる。あのとんでもなく濃縮された言霊の厚い層は、お前ら自身がしたことであって、晴らそうと思えばできるのに、お前らにその意思がない。なぜだ。実は気がついておるのだろう? 天道様と呼んでいるロウ殿は、ただの人間だ。救世主と有り難がっている、スクルズは、食わせ者の女でしかない。なぜ、信じ続ける?」
サキは心底、不思議そうだった。
ベアトリーチェはくすりと笑った。
「そう信じたからです。信じれば、それがわたしたちの事実になります。天道様は
ベアトリーチェは言った。
「さっぱりわからん──」
サキは首を横に振った。
当然だろう。
説明していうるベアトリーチェ自身がまったく理解できない。
しかし、そう信じることは愉しいし、幸せだ。
そして、信じ抜くことで、それは事実であろうかどうかはどうでもよくなった。なにしろ、すでに幸せなのだ。
これが、信仰というものなのだろう。
ならば、それでなんの問題もない──。
問題はない。
「とにかく、わたしたちは感謝しております。それは間違いありません。残念ながら、わたしにはかないませんでしたが、できれば、アドリーヌたちが立派な天道様の性奴隷になれれば嬉しく思います」
ベアトリーチェは言った。
だが、サキがからからと笑った。
それにしても、喋り方も仕草も、間違いなくあのサキなのだが、姿がベアトリーチェの背丈の半分ほどしかない子供なのでおかしな感じである。
口調だって、あのサキではあるが、声も舌使いもなにか幼いのである。
「馬鹿を言うな。そなたがここに存在するということが、お前が、主殿……つまり、ロウ殿、お前のいう天道様の性奴隷になったということだ。お前はすでに、主殿の性奴隷だ。だから、ここにおるのだ。ここは、主殿が選んだ者しか入れん主殿の亜空間なのだぞ」
そのサキが言った。
ベアトリーチェはびっくりした。
「天道様の亜空間? 意味がわかりません。そもそも、わたしは死んだのでは?」
「死んでないわ。何度も言うが、ここは主殿の亜空間だ──。多分、お前とわしを助けたときに、衰弱していたわしらをしばらく休ませるために、こういう場所を準備したのだろう」
「えっ、まさか?」
信じられなかった。
この自分がロウの性奴隷になれた?
しかし、そういえば、精を受けた記憶はあるのだ。都合のいい夢だと思っていたが、あのとき、ルードルフ王に犯されている最中に、ロウがやってきて、突然にベアトリーチェを救ってくれた。
そして、確かに支配を受けた……。
あの感覚も覚えている。
だが……。
「まさかではないわ。こうして、わしが寿命と能力を犠牲にして、再生術を行使できたのも、主殿がわしたちを助けた証拠だ。ラポルタに封印されていたわしの力が解放されたから、一応は身体を復活できたのだ。まあ、こんな情けない身体だがなあ……。だが、お前は問題ないであろう。主殿が好きそうないい身体だ」
サキがベアトリーチェに対して、ちょっと羨ましそうな笑みをした。
「いえ、そ、そんなはずはありません……。無理です。わたしは、天道様の目の前で、ルードルフ王に犯されて、汚されたのです。天道様の性奴隷になれるわけがありません」
ベアトリーチェは首を横に振った。
あれが現実のことだとすれば、犯されていたということもまた事実だ。
ロウが、そのように汚れた女をベアトリーチェを性奴隷にするわけはない。
だが、サキはまたもや、笑い飛ばすように高笑いした。
「お前ら人間族の女が貞操にこだわるのがさっぱり理解できんな。短命種だからか? だが、主殿の性奴隷になった者たちの中で、生娘だった者など、どれだけもおらんぞ。一番可愛がられている感じのエリカも、確か、どこかの女の愛人だったというし、コゼなど奴隷時代には、男たちの厠女にされていた悲惨な過去がある。まあ、シャングリアは生娘だったか? それくらいだぞ。ああ、あの王女も生娘だったか? いずれにしても、主殿はそんなことは一切気にせん。そもそも、生娘に何の価値があるのか、わしにはさっぱりとわからん」
サキが笑いながら言った。
「そうでしょうか……。ならば、本当にわたしが天道様のお手つきになり、性奴隷に……」
心の底から嬉しさがわいてくる。
これが本当だとしたら、どれだけ喜べばいいのだろう。
嬉しい……。
嬉しい。
ただ、嬉しい……。
「嬉しそうだのう……。ならば、よかった……。あの主殿は、本当によい男だぞ。本当は強いのに、ちっとも威張らんし、なによりも優しいのだ。いや、優しくはないが優しい。矛盾しておるが本当だ。人間族にしておくのは惜しい男だ。多分、魔族の世界にくれば、あっという間に、魔族の王になるだろうなあ……。つくづく、そなたが羨ましい……」
サキが溜息をついた。
ベアトリーチェは首を捻った。
「羨ましいとは?」
「主殿の性奴隷になったお前が羨ましいということだ。わしは、主殿に見限られて、多分捨てられる……。本当に馬鹿なことをしたし、不甲斐ない……。残念だ……」
サキが悲しそうな顔をした。
ベアトリーチェは驚いた。
「サキ様は、天道様……ロウ様の性奴隷ではなかったのですか? だからこそ、わたしたちを貢ぎ物にしようと集めたのでしょう?」
「そうだが、その挙げ句に、このあり様だ。わしは力を失い、再生術を使って幼体にまで戻らねばならんかった。お前にはわからんだろうが、寿命を犠牲にした再生術は、十年は魔道は遣えん。魔道の遣えん幼体の魔族など、余程に運がよくなければ命を長らえることはできん。力の強い大人の妖魔に殺されて喰われるのが落ちだ。もしくは、隷属して生き延びるかだな」
「まさか。力を失ったとしても、天道様……ロウ様が守ってくださいます」
「なぜ、主殿がわしを守る。わしはも今後十年以上はおそらくなんの術も遣えん。役には立たん。役に立たんものを眷属にしておく必要がない。それに、主殿に助けられたとき、わしは目が潰されていたし、耳も聞こえんようにされていたと思うのでわからんかったが、おそらく、わしは、主殿の前で、ラポルタに愛のささやきをしていたと思う」
「えっ?」
思わず声をあげたが、サキがベアトリーチェたちを守るために、必死でルードルフ王やラポルタに媚びた言葉を放っていたことは事実だ。
そんなことはないはずだとは言えない。
「多分、助けられたのは、そのときだろう……。記憶がぷっつりと切れているからな。そうだとすれば、わしは主殿の前で、ほかの男に愛を告げておったのだ。そんな裏切り者を主殿が許すわけはない……」
「だ、だって、あれは、わたしたちを助けるために……。わたしは知っております。あれがサキ様の本意ではないことを」
「それがなんの関係がある。わしは主殿の女であることを誓っておったのだ。それなのに、主殿以外に愛を告げたのだぞ。よりにもよって、主殿の前で……。そんな裏切りをしたのだ……」
サキが俯いて、その肩が震えだした。
まさか、サキが泣いている?
信じられなかったが、ベアトリーチェには、幼体になったサキが悲しそうに涙を流しているようにしか見えなかった。
「それのどこが裏切りなのです。心が裏切っていなければ、裏切りなどではありません。それに、さっき、ロウ様は、女の貞操は気にされない方だと……」
「貞操など気にするわけがない。そんな価値のないものどうでもいいからなあ。しかし、口で別の男に愛をささやくのは別だ──。それはとんでもない裏切りだ。心が裏切っておらぬとも、愛を口にするのは裏切りだ──。わしは主殿を裏切ってしまったのだ。ああ、わしは、主殿に捨てられるのだ──」
「そんなあ……」
ベアトリーチェには、サキの嘆きがさっぱり理解できなかった。だが、そんなことはないと否定できるほど、ロウのことを知っているわけでもない。
いずれにしても、サキの嘆き方は、もしかして、これが人間族と魔族の意識の違いというものだろうか。
とにかく、悲しんでいるサキを慰めようと思って、ベアトリーチェは言葉を探した。
だが、その瞬間だった──。
「うあっ」
突然に、サキが身体を突っ張らせて、その場に大きく四肢を拡げた格好になった。
唖然としたが、気がつくとサキの両側に金属の柱が出現し、その二本の縦柱に対して、サキは短い手足を限界まで引っ張られるように、鎖付きの枷で柱に両手首と両足首を拘束されていた。
つまりは、なんの脈略もなく、サキは両手両脚を二本の縦棒に限界まで伸ばした格好にされてしまったのである。
「もしかしなくても、この魔族の子供は、どうやらサキのようだな。よくわからないが、首から下を復活する方法があったのか……。よかった。どうやったら、首だけのサキに折檻ができるのかと考えていたからな。心置きなく、罰が与えられるよ」
そのサキの後ろに突然に下着一枚だけのロウが現れた。
「あっ、天道様」
ベアトリーチェは思わず声をあげた。
すると、天道様は軽く手をあげてくれた。
ベアトリーチェは、それだけで感激してしまう。
「天道様? えっ、
一方で、四肢を拡げて拘束されているサキもまた、後ろを振り返ろうとした。
だが、ロウがサキが拘束されている縦棒の横をこんこんと軽く叩いた。
すると、サキの片足首の枷だけが、その叩いた位置に引きあがり、サキは片足だけを大きくあげた状態になる。
よくわからないが、サキを拘束している両手首を両足首の枷が縦棒を自由自在に移動できる仕掛けになっているみたいだ。
「どわっ」
サキは突然に片足だけを引き上げられて悲鳴のような声を出すとともに、体勢を崩して倒れそうになる。しかし、四肢を拘束していている枷がそれを阻む。
前のめりになっただけだ。
「さて、サキ。言いたいことも、聞きたいこともある。特に、なんで幼体になったのかは教えて欲しいな。しかし、まずは挨拶代わりの一発だ。幼体になるとともに、生娘にも戻ったみたいだが、三つ数えるあいだに濡らせ。数え終わったら、その小さな幼児まんこに、俺の怒張をねじ込む。準備ができてなくて乾いた状態だろうが、お構いなしだ」
ロウがサキの前に回り込んで言った。
「えっ」
サキの目が大きくなる。
だが、またもやサキを拘束する枷が動いて、サキの小さな身体が引きあがる。
サキの脚は白い地面から離れて、腰がロウの腰まであがった。
さらに、一瞬にして、ロウの腰から下着が消える。
こちらから見えるのは、ロウのお尻側になるが……。
「ひいっ」
幼いサキの顔に恐怖が走ったのがわかった。
「どう見てもサイズが合わないからなあ。痛いなんてものじゃないと思うぞ。せめて、濡らした方が多少は膣が裂ける激痛も軽減するかもしれんな……。ひとおおつ……」
「ま、待ってくれ、主殿。わ、わしは……」
「話は後だ……。まずは、折檻からだ。もっとも、これはまだ、折檻には入らないけどな。ふたああつ……」
「だ、だが、濡らすって、どうやって……」
「みっつ──」
ロウが一歩前に出てサキに密着し、サキの腰を下から押し上げるような仕草をした。
サキの小さな身体がぐんと持ちあがる。
「うぎゃあああああ」
そして、サキの絶叫が響きわたった。