【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「ゆ、許せませんわ──」
突然に大きな声が浴場に響き渡った。
視線を向けるとガドニエルだった。
腕に後手縛りのベアトリーチェを掴んで、こっちにやってくる。その後ろからナールがおろおろした感じでついてきている。
「どうしたんだ、ガド?」
一郎は苦笑して言った。
ガドニエルが怒ったようにしている理由について、もう見当がついたのだ。
「わ、わたしのお股にも、ご主人様のお名前を刺青して欲しいと言いましたよ──。それなのに、このお方はどんな褒美でご主人様のお名前を描いてもらったのですか? 教えてください──」
ガドニエルが片手でベアトリーチェの後手縛りの腕を掴み、さらに片手でベアトリーチェの股間に一郎が刻んだ飾り文字の“I”と“R”を指さしている。
「ややこしくなるから、あんたは黙ってなさい、ガド」
コゼが呆れたように声をかけた。
「わっ、わっ、さ、触らないで……。あ、あのう、このお方はどなたですか?」
ガドニエルにぐりぐりと股間に指を突き付けられているベアトリーチェが真っ赤な顔をして戸惑っている。
「エルフ女王国の女王、ガドニエル陛下よ。魔道通信の映像で見なかった? ああ、あんたらは奴隷宮に監禁されていたから、顔は知らないのか」
コゼだ。
「ああっ? これがかあ?」
リリスが怪訝そうな声をあげた。
「ええっ、エルフ族の女王陛下──。ほ、本当ですか──。あっ、ちょ、ちょっと、そんなに指を当てないで……。い、いえ、当てないでください」
ベアトリーチェが困って言った。
「こいつに丁寧な言葉はいらないわよ。このとおり女王としてはポンコツだから。もっとも、必要なら、いつでも女王モードになることもできるのよ。それは得意技よ」
コゼが笑った。
「もちろんですわ。いつでも、女王のふりをしますから──。それよりも、ご主人様、わたしにも、ご主人様の名前を股に刻んで欲しいのです」
「別にご褒美で彫ったわけじゃないがなあ……。まあそのうちだ。次に活躍したら、ガドの股に俺の名前を彫ってやる。だから、いい加減にベアトリーチェを離してやれ。困っているじゃないか」
一郎は笑った。
「約束ですよ──。ああっ、あなた、失礼しましたね。ナタル国のガドですわ。よろしくお願いしますね」
やっとガドニエルがベアトリーチェから手を離す。
「あっ、いえ……。こ、光栄です、女王陛下……」
ベアトリーチェもどう対応していいかわからないのだろう。
かなり困惑した様子で後手縛りのまま、両膝を揃えて斜めに曲げて身体を屈める。
幾つかある敬意を表すときの貴族女性の儀礼のひとつだ。
「気にしなくていいのです。お互いに、同じご主人様の性奴隷ではないですか」
ガドニエルがにっこりと微笑んだ。
「あんたは気にしなさいよ、ガド。家族になったと言われても、知らない人でしょう。いきなり股に指を突きつけたりしないの」
コゼがガドニエルを叱った。
「ふふ、とても愉快な方なのですね、ガドニエル女王陛下は。とてもご主人様がお好きなのがわかります……。ねえ、ノヴァ」
「ええ」
アンとノヴァも笑っている。
「ねえねえねえ、屋敷妖精と考えたそこにある新しい像はどう、ご主人様?」
そのとき、魔妖精のクグルスが一郎の前に飛んできた。
この新しい大浴場には、五槽の浴場と七人の女神像があるのだが、女神像のポーズが面白くないとクグルスが不満を唱えたので、新しいポーズをシルキーと一緒に考えろと任せていたのだった。
一郎がいまいる小浴槽は、人間族の女神のへラティス像のところだと思い出す。
目をやる。
そして、思わず大笑いした。
「こりゃあ、いいな」
最初に見たときには、確かへラティス像は股を開いてしゃがんでいる姿だった。そして、前に真っ直ぐに伸ばしている腕の手のひらからお湯が湯槽に注がれていたと思う。開いている股間の女性器が妙に写実的で印象的だったのを記憶している。
それがいまは、写実的な女性器はそのままだが、お湯が出る場所が、手のひらからその女性器に変化している。
つまりは、女神版「小便小僧」ならず、「小便少女」……いや、「小便女神」というところか。
一郎は大喜びした。
「な、な、なっ、お前たち、いつの間に──。こ、これは女神に対して不敬だ。すぐに戻すのだ」
真っ赤な顔で怒鳴ったのはベルズだ。
そういえば、ベルズは現職の神殿巫女か。
一郎はとりあえず笑いを引っ込めた。
「なにおう、このむっつりマゾめ──。ここはお前たちの神殿じゃないぞ。ご主人様の性域だ──。ご主人様をその気にさせるために改造してなにが悪い。文句を言うと、ぼくがお前の身体を乗っ取って、神殿のど真ん中で自慰をしてやるぞお」
「な、なんだと──」
ベルズが真っ赤な顔になって怒った。
「まあ、待て、待て」
一郎は慌ててあいだに入る。
クグルスを怒らせたら、本当にやりかねない。
ベルズといえども、身体に入られたら、魔妖精を防ぐ方法はない。それはクグルスの得意技だ。
それに、本人は知らないと思うが、ベルズの魔道遣いレベルは“40”であり、魔道遣いとしてもとんでもなく高位レベルなのだが、実はクグルスの魔妖精のレベルは“60”だ。
やり合って負けるのはベルズだろう。
「ロ、ロウ殿──。いかに、ロウ殿とはいえ、女神への冒涜は見過ごすわけにはいかんのだ。これは全教徒を侮辱することなのだ。そうであろう、スクルド? ガドニエル陛下?」
ベルズがスクルドたちに同意を求める。
スクルドに声をかけたのは、自ら立場を放棄したとはいえ、元神殿長だからだろう。そして、実は、ナタル森林王国の女王というのは、ナタル森林全土の神殿の長でもあるのだ。
ハロンドール王国やローム地区に拡がる神殿の総まとめがタリオ公国内にある大神殿にいる法王であるのに対して、ナタル森林内の教会の長は女王なのである。
だから、同意を求めたのだと思う。
「わたしは別に……」
しかし、スクルドはあっさりと首を横に振った。
「ス、スクルド──」
ベルズはスクルドを睨んだ。
「わたしの意見はご主人様次第ですわ。もしも、おしっこをしている女神像がよいといわれるのであれば、女王として全神殿に女神像をそういう姿にするように通達を発します」
「あんたとケイラさんだったら、本当にそうやりそうで怖いわね」
コゼがくすりと笑った。
「そ、そんな、陛下……」
ベルズは同意を得られなかったことに唖然としている。
「だから、待てよ……。つまりは、ベルズは女神像への冒涜だから怒っているのだろう? だから、女神像でなければいいことじゃないか。シルキー、ちょっと来てくれ」
一郎はちょっと離れた場所で、リリスと話し込んでいる屋敷妖精のシルキーに声をかけた。
そのシルキーがすぐにやって来る。
しばらくシルキーについて、メイド修行をしろと命令したリリスも一緒だ。
「お呼びですか、旦那様?」
「ああ、実は……。ちょ、ちょっと待て。なんだ、リリス、その恰好は?」
一郎はシルキーに目をやって思わず吹き出してしまった。
シルキーは相変わらず、上半身がメイドの正装姿で下半身が股間に葉っぱ一枚という破廉恥な姿なのだが、そのシルキー付きを命じたリリスも、いつの間にか、上半身はメイドの正装のような服を着ているのに、下にはなにも身に着けてないという恰好になっていたのだ。
リリスは、下腹部までしかない上衣の裾を懸命に引っ張って、股を隠すようにしている。
「あら、似合ってるじゃないの、リリスさん?」
コゼが軽口を言った。
「よ、呼び捨てでよい──。わしはメイドだからな。そんなことより、似合っとらん──。これは全裸よりも恥ずかしいぞ。この屋敷妖精は、これがこの屋敷のメイドの格好だといって、強制的にこの格好にさせるのだ。ふ、服を寄越せ。屋敷妖精──」
リリスが真っ赤な顔で怒鳴った。
「なにを言うのです。この屋敷は徹頭徹尾、旦那様がお過ごしやすくするために存在しなければなりません。それがこの屋敷の存在意義なのです。旦那様ほどの好色なお方であれば、どこをどうお歩きなさっても、この屋敷内が旦那様の性欲を刺激するような工夫が必要です。屋敷妖精長として、能力が向上した以上、旦那様好みの好色屋敷にしてみせます。わたしくしめの弟子になったリリス様にも協力していただきます」
「まあ、すごく頼もしいですね、シルキーさん」
スクルドだ。
にこにこ笑っている。
「なんか、屋敷を好色な仕掛けと罠でいっぱいにしそうねえ。あたしたちは巻き込まないでよ」
一方でコゼが苦笑している。
「リリス、なにからなにまで、シルキーに従うんだ。それも勉強だ──。それと、シルキー、女の色香を増す格好というのは見えそうで見えないというぎりぎりのところがいいんだ。そういう方向で頼む」
一郎は半分冗談で言った。残りの半分は本気だが……。
「見えそうで、見えない……。なるほど、勉強になります」
だが、シルキーは大真面目に頷いた。
「見えそうで見えない──。わかりましたわ、ご主人様」
すると、ガドニエルも嬉しそうに声をあげた。
とりあえず、こっちは無視する。
「わ、わしは嫌だぞ。今夜は我慢するが、ひとりでおかしな恰好なんていやだ。わしに強制するなら、ほかの女もさせろ、
また、リリスが顔を真っ赤にして怒鳴った。
だが、こっちも無視する。
シルキーに向き直る。
「シルキー、女神像のことなんだが、ちょっと、このベルズは女神を破廉恥な姿でいさせるのは不満だと言ってなあ。それで訊ねるが、あっという間にこうやって、姿勢を変えられたくらいだから、顔も変えられるか?」
「すぐにできます。どんな風に変えましょう? 例えば、目の前のへラティス像は、一般的で平均的なへラティス神の風貌に似せております。どのような注文にも瞬時に対応させられます」
「そうか……。なら、へラティス神の顔をここにいるベルズそっくりにしてくれ。体形もな。へラティス像ではなく、ベルズ像だ。それなら不敬にならないから、文句はないだろう、ベルズ?」
一郎は笑った。
「な、なんと──?」
ベルズが顔を真っ赤にした。
「承知しました、旦那様」
一方でシルキーが魔道をかけた。
あっという間に、そばの女神像の顔がベルズそのものになる。身体つきも、目の前のベルズにそっくりだ。
しかも、性器のかたちまで律儀に再現されてベルズのものに変わった。
そのために観察したことはないだろうに、一瞬で性器まで酷似させられるとは、本当に屋敷妖精の能力というのは無限だ。
「うわあ。やめええ」
ベルズが大声をあげた。
「これ以上言うと、女神像に戻すぞ。文句を言うな」
一郎はぴしゃりと言った。
笑いながらだが……。
「うう……」
ベルズは不満はありそうだったが、口にするのはやめたようだ。
真っ赤な顔のまま俯いてしまった。
「やーい、やーい、恥ずかしいかあ、むっつりマゾ──。ぼくのやることに文句を言うからだ──」
一方でクグルスは大喜びだ。
くるくると宙を踊るように舞った。
「ついでに、ポーズももう少し工夫しようか……。顔は必死に尿意を我慢していたような表情に……。肢は開いて座ったままでいいので、極端な内股にしてくれ。そして、片手で股間を押さえて、手のひらに当たって、湯が迸る感じだ」
一郎は注文をつけた。
シルキーが頷き、またもやあっという間に女神像ならぬ、ベルズ像の姿勢が変化する。
脚を開いて座り、必死で我慢していた尿がついて崩壊して失禁してしまったような像に変化した。
「うわっ、やめよ──」
ベルズが彫像を隠すように身体で覆おうとする。
「わああい──。ご主人様、センスいいよ。ねえねえ、ほかのも変えてよ」
クグルスは大喜びだ。
「よしきた。シルキーとクグルスはついてこい。ほかの者も、よければ見学してくれ」
一郎はほかの浴槽に向かった。
「ほほ、まるで子供のようだね、ロウ殿」
一緒に歩きながらマアが一郎に笑いかけてきた。
なんだかんだと、ほかの女たちもぞろぞろと裸でついてくる。
「そうか?」
一郎はお
次はドワフの守神のミネルバ像だ。
なるほど、最初は真っ直ぐに立っている像だったが、いまは四つん這いに変わっている。
その股間から放尿のようにお湯が真下に出ていて、そこから流れて湯槽に裾いでいる。
「これは片足上げに変えよう。そして、どばどばでている湯の量をもう少し少なめに……。そっちの方が本物っぽいしな。だだし、湯の方向は上から放物線を描いて湯槽に入るように。顔はミランダでいい」
「了解です」
またもや、女神像の姿が変化して、四つん這いで片足上げになって雄犬のように小便するミランダ像になった。
やはり、女性器はミランダのものだ。
こんなものは、一郎にしかわからないだろうが、一郎にだけはミランダの性器だとわかる。
「わおっ、いいねえ。ご主人様──」
クグルスがまたもや、歓声をあげる。
「うわあっ、なんで、あたしを──。ベ、ベルズ、お前がつまらないことを言うからだろう──。巻き込むんじゃないよ──」
ミランダはベルズに怒鳴った。
「なんで、わたしに言う。不満はロウ殿に言えばよいであろう」
ベルズも言い返した。
「よし、次だ」
その次はエルフ族の女神のアルティス像だ。
「これはもちろん、ガドニエル像に変更だな……。そして、ポーズはどうするかな?」
クグルスとシルキー案の女神像のポーズは、湯槽にお尻を突き出すようにして、中腰になって開いている股間から湯が出ている姿勢だ。
これについては、姿勢はこのままでいいだろう。突き出した尻の下から湯が出るなど、なかなかに卑猥なポーズだ。
しかし、もうひと工夫する。
「みんなだけに恥ずかしいことはさせないぞ、俺も登場しよう。一部だけだけどな。ガドの顔のエルフ神の前に下半身だけの俺の像を出してくれ。そして、男根から出している放尿を女像の顔にぶっかけるんだ。顔に当たって落ちた湯も湯槽に入るようにしてな」
「わああい──。ご主人様も登場だあ。えろ女王、よかったなあ」
クグルスはすっかりとご機嫌である。
そして、たちまちに一郎の下半身そのものの像がガドニエル像の正面に現れる。
ガドニエルの顔に変えたアルティス像は、顔を腰の高さくらいまで低くしていたので、彫像の下半身の性器から飛び出す湯が顔にかかるだけじゃなく、まるで奉仕をしようとするかのように顔を突き出した感じになった。
もともと、口を半開きにしていたのだ。
その開いている口に彫像の男根から出る湯が飛び出して入り、ガドニエル像の口から湯が垂れ落ちている。
さらに、ガドニエル像の股そのものからもゆばりのように湯が出ていており、いままでの中での卑猥度は一番だろう。
「光栄ですわ──」
ガドニエルが嬉しそうな声をあげた。
喜んでいるならいいか。
「わっ、ご主人様の……」
「まあ……」
「あっ」
一方で、くっついてきている女たちは、一郎の下半身像が出てくると、ほぼ全員が顔を赤らめた。
下半身の男性像の股間は勃起しているのだが、自分ではそんなにはわからないが、その勃起状態の性器が一郎の一物そのものなのだろう。
ちらりと見ると、女たちが急に内腿をすり合わせるようにもじもじしている。
一郎はほくそ笑んだ。
「次だ」
次は、諸種族の女神のテルメス像だ。
テルメス像に変えるのに相応しい女はこの中からは思いつかないので、このままだろう。
そのテルメス像は胡坐に座り、伸ばした手から湯を出していた。
「なんだ。変わってないじゃないか」
一郎は笑った。
「だって、考えている途中だったんだもん」
クグルスが小さな頬をぷっと膨らませた。
「じゃあ、俺が考えるか……。だけど、テルメスのおっぱいは大きいんだなあ。五人……いや七人の女神の中では一番か?」
「テルメス神は、クロノス神以外の多くの男性から愛された子だくさんですから……。だから、胸が大きいのです」
口を挟んだのはスクルドだ。
「じゃあ、それでいくか」
一郎はシルキーに指示した。
たちまちに、テルメス神の巨乳の乳首から二本の湯の乳が迸る。
「ははは、いいねえ」
クグルスがまたもや喜んだ。
「もう諦めた、好きにするがいい」
一緒についてきているベルズが嘆息したのが聞こえた。
「最後は、クロノスの正妻のメティス神と、獣人族のモズ神と魔族のインドラ神か……」
これもまだクグルスの手は付けられていない。
メティスは大きな湯槽の中心に立っていて、モズ像とインドラ像はそれを挟むように湯槽の縁だ。
モズ像は四つん這い像で、インドラ像は剣を片手に持った立姿像だ。
この世界の女神の中では、モズもインドラも扱いが低い女神だ。それをここでも小馬鹿にするような格好にさせるのは気が進まない。
さえ、どうするか……。
そして、決めた。
一郎はシルキーに視線を向ける。
「両端の女神像の場所を移動もできるか、シルキー?」
「簡単です。どこに移動させますか?」
「三つを集める。まずはメティス像だな。しゃがませてくれ。普通に女で厠で用を足す感じでいい」
「はい、旦那様」
あっという間にメティス像がしゃがみ込む。
しゃがんで開いている股間からはおしっこのように湯が迸りだす。
「なんという……」
ベルズが息を吐いた。
「モズ像とインドラ像も同じ姿勢に……。三人で顔を見合って笑っている感じがいいな。放尿している湯は中心に混じり合い湯槽に注いでいく」
「わかりました」
両端の二柱の女神像がなくなり、真ん中の石台に集まる。大きさも揃えられ、背が高くて逞しいインドラ神と、均整のとれた美女のメティス神、小柄なモズ神が丸くなって幸せそうに笑い合って放尿をしている像になった。
この世界の神話では、悲運の扱いのインドラとモズだから、像だけでも仲良くするのはいいだろう。
そして、一郎好みに卑猥だ。
比較的高かった石台の高さが水面すれすれに低くなり、三人の股間が見えやすいようになっている。
こっちはシルキーの工夫だろう。
「なかなかいいな。ありがとう、全部、最高だ」
一郎はすっかりと満足して微笑んだ。
「うーん、よくわからんが、放尿をしている姿なのに、なんか幸せそうな気分になるのう。不思議なものだ」
ずっと黙っていたリリスが言った。
「お前たちの女神をこんな風にして不満はないか、リリス?」
一郎は訊ねた。
「ない──。というよりは、わしらにはエルフ族や人間族のように、石を拝む習慣はないからな。なにをさせてもよい。石は石だ」
リリスが声をあげて笑った。
だが、相変わらず、短いメイド服の上衣の裾を引っ張って股間を隠している。態度と言葉がちぐはぐでなんだか面白い。
「あ、あのう、わたしは、とてもありがたいと感じます」
「あたしもです、天道様……。そうだ、ベアト、祈ろう。好色は幸福……。なんだか、その言葉を思い出したわ」
「ふふ、二章の七節ね。ええ、いいわ」
ベアトリーチェとナールが感動したように声をあげ、驚いたことに三体の女神像に向かって両膝をついて祈りの姿勢をとった。
呆れたが、好きにさせることにした。
だが、二章とか、七節とか、もしかしたら、教典のことか?
「やっぱり、こいつら変よ」
コゼが声をあげた。
「まあな……。だが、その原因はわかったぞ」
一郎は、集まっている女の中からスクルドに姿勢を向けた。
「さてと、じゃあ、遊びはそろそろ終わりだ……。ほかの者はいい。スクルドだけ俺の前に来い」
そして、一郎は言った。