※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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876 寝耳に水の知らせ

「まあ、可哀想だけど、これくらいの罰はねえ……」

 

「まあ、頑張るんだな」

 

 コゼ、そして、ベルズだ。

 ふたりとも、やっと事情を認識して、スクルドに対して呆れたような態度になっている。

 

「あ、あのう、誤解があるといけませんので、言わせてください。わたしたちは救世主様には感謝申しあげております。あの苦しかった日々が救世主様の言葉で嘘のように楽しくなったのです。それは本当です。いつか、奴隷宮のみんなで天道様に性奴隷にしてもらうのだと……。それを毎日、毎日、お祈りして……」

 

 ベアトリーチェだ。

 

「わかっているよ。これは愛情表現だ。俺と女たちは、毎日こんなことばかりやって遊んでいる。なあ、スクルド?」

 

 一郎は湯を注ぐのを中断して、吊り下げられている木桶をこんと小桶で叩いて揺らした。

 

「ふげええええ──」

 

 スクルドが獣のような奇声をあげた。

 

「あのう、マア様……。いまロウ殿が言ったことは……」

 

 すると、ずっと一郎たちを黙って見守っていた感じだったモートレットがマアにささやいているのが聞こえた。

 

「本当のことよ。ああいう愛情表現もあるのよ」

 

 マアが笑って説明している。

 一郎は一度小桶を湯槽の縁に置き、スクルドの前に来た。

 

「さて、スクルド、お前に選択肢をやろう」

 

「ふ、ふえ?」

 

 スクルドが涙目で顔をあげて一郎の顔を見る。

 

「あそこに木桶が二個あるのがわかるな? いま吊っているものを併せて木桶が三個だ。すでに湯は満水にしてある。あれを全部糸に繋げて吊りあげる。ひとつ目の選択肢がそれだ。とりあえず、明日の朝まで、そのまま吊っておく」

 

 スクルドの顔がさすがに蒼くなる。

 ぶるぶると首を横に振る。

 

「……そうか……。もうひとつの選択肢は、三個の木桶に入っている満水の湯を全部飲み干すことだ。一滴でもこぼせば、倍の湯を無理矢理に飲ませるが、全部飲めば、空桶ひとつだけで勘弁してやろう。どうする?」

 

 一郎はにやりと笑った。

 スクルドが顔をひきつらせた。

 だが、すぐに諦めたような表情になる。

 

「の、飲みます……」

 

「そうだろうな。だが、朝まで小便も許さんぞ。ずっと腹にためておくんだ。小便するたびに、木桶一杯と放尿した小便を無理矢理に腹に入れるからな──」

 

「は、はい……」

 

 スクルドが絶望的な顔をした。

 

「うわあ……」

 

 コゼが気の毒そうな声を出したのが聞こえた。

 

「ああ、これが本物の天道様のご調教……。みんなにも、この奇跡を見せてあげたい……」

 

「あ、あたしも、あの苦痛を快感に変えられるようになるかなあ……」

 

 ベアトリーチェとナールだ。

 こいつらはちょっと放っておこう……。

 

「さて、覚悟しろ、スクルド」

 

 一郎は大きな漏斗(ろうと)を出した。

 広い受け口側が天井を向くように、四隅に粘性体で作った細い柱を付けて、天井と固定をした。

 位置を調整して、スクルドが真上に顔をあげて、管になっている漏斗の先を口で咥えられるようにしてやる。

 

「準備はいいぞ、スクルド。漏斗を口にしろ。さっきも言ったが一滴でもこぼせば、桶を一個分追加だ」

 

 スクルドが漏斗を咥える。

 一郎は湯槽の縁に置いていた木桶を持ってくる。すでに満水にしており、それを両手で持って、漏斗の受け口に大量の湯を流し込んでいく。

 

「んぐっ、んぐっ、んぐ──」

 

 スクルドが喉を鳴らして、夢中で湯を飲んでいく。

 だが、木桶一杯分ともなると、かなりの量だ。

 なかなかなくならない。

 それでも、一郎は容赦なく湯を漏斗に注ぎ続けた。

 やがて、やっと木桶一杯分の湯がなくなった。

 ふと見ると、スクルドの腹はかなり大きく膨らんでいた。

 

「はあ、はあ、はあ……」

 

 スクルドはすでに肩で息をしている。

 一郎は空になった木桶を再び満水にした。

 

「二杯目だ。これを飲んだら、いま吊っている木桶の中の湯を抜いてやろう。それで少し楽になるはずだ」

 

「は、はい……」

 

 スクルドが再び漏斗を口に咥えた。

 

「容赦ないのう……。わしよりも残酷かもな」

 

 リリスがぼそりと言った。

 

「いいのよ。たまには……。それにこれくらいで参ってたら、ご主人様の奴隷は務まらないわ」

 

 コゼだ。

 

「うん、大丈夫だな。なんだかんだで、このおっぱい女も興奮しているぞ。ご主人様の本気の責めに、ちょっと……いや、かなり興奮している。淫具のせいだけじゃないな」

 

 クグルスがスクルドの周りを飛び回りながら言った。

 それは、一郎もわかっている。

 残酷な責めだが、これでも淫魔術のあらゆる手段でスクルドを見極めてもいる。

 付き合いも長くなったスクルドだから、これくらいの責めでもしっかりと快感を覚えるくらいにのマゾになっている。

 いや、むしろ、これくらいはやらないと、スクルドもマゾ癖を満足できないかもしれない。

 一郎は二杯目を注ごうとした。

 だが、思い出したことがあって、その木桶をおろす。

 

「ミランダ、クエストを発注したい。ばらまかれている映録球の回収だ。複製もだ」

 

「えっ? えっ? あれをかい? いや、それは無理だよ。どれだけ拡がっていると思ってるんだい。あれは大量にいろんな種類があって、さらに複製が複製を作って、ものすごい勢いで拡散されていると聞くよ。多分無理だよ」

 

 突然に話を振られたミランダだが、話には応じてくれた。

 しかし、首を横に振る。

 

「わかってる。可能な分だけでいい。つまり、クエスト報酬の資金が続く範囲ということだ。スクルド、お前、個人資産を持ってるな。有り金全部出せ。一切合切だ。銅貨一枚も残すな。それをミランダに渡せ。その代わりに飲む湯の量をあと一杯にしてやる」

 

 一郎は言った。

 一郎の性奴隷たちだが、別にその財産を横取りなどしていない。マアのように貢いでくるものはありがたく受けとるが、基本的には一郎から要求したことはない。

 それはエリカやコゼたちなども同じで、クエスト賞金は山分けにしている。まあ、ナタル森林に向かうときのクエストはユイナの競りに必要だったから全回収させてもらったが、その必要がなくなった時点でちゃんと分けた。

 コゼやイットなど、自分の財を持ちたがらず、一郎に渡したがるが、ちゃんと自己管理するように命じている。そのまま、冒険者ギルドに預けっ放しみたいだが。

 だから、いまのいままで、スクルドが自分の個人資産をいくらくらい持っているかなど、知りもしなかった。しかし、神殿長までやったのだ。それなりには持っているだろう。

 

「えっ? し、私財? あっ、はい……」

 

 スクルドが漏斗の吸い口から一度口を離してから頷く。

 かなり朦朧としている。

 話を聞いているかどうかもわからない。だが、言質はとった。

 

「ロウ殿、スクルド殿の私財はあたしも預かってるよ。投資としてね。預かって増やしてるから、かなりの額面にはなってるけど、あれを全部というと相当になるよ。ちょっと勝手には……」

 

 マアだ。

 ほう、投資か……。

 そんなことを。

 だが、財が増えてるなら丁度いい。

 

「いま、いいと言ったじゃないか。おマアも聞いてたろ?」

 

「いや、申し訳ないけど、いまのは、まともな受け答えとは……」

 

 マアがちょっと困った顔になる。

 一郎は小筆を亜空間から取り出した。

 伸びきっているスクルドのクリトリスを柔らかく筆でくすぐる。

 

「ひあああっ、ごめんなさいいい──。すみません──。お許しを──。ひいいっ、お許しをおおお」

 

 スクルドが身体を弓なりにして絶叫した。

 一郎は筆を離す。

 

「クエスト賞金として私財を出すな? 金に変えられるものは全部売れ。下着一枚までもだ。その代わりに、無一文になったお前を屋敷で飼ってやろう。首輪を付けて俺たちの寝室に繋げておく。食事代はセックスと調教受けで支払え。俺の好きなように弄ばれる代わりに、生涯にわたって生活の面倒は見てやる。外に行くときの服も貸してやる。その代わりに今後も稼いだものは全て映録球の回収に回し続ける。最後の一個がなくなるまでな」

 

 一郎は言った。

 すると、スクルドがぱっと顔をあげた。

 顔が喜色満面になっている。

 

「お、おマア様、あ、預けたものをミランダに。ミランダ、ギルド預けの財もお渡しします。ご主人様の言うとおりに──」

 

 スクルドがはっきりと言った。

 

「あ、ああ、わかった……」

 

 ミランダはスクルドの迫力にちょっとばかりたじろいだ感じになる。

 

「ふふ……、よかったですね、スクルドさん」

 

 アンがスクルドに声をかけた。

 だが、よかったことなのか?

 

「ふふ、いまの感じなら不満はないようだね。じゃあ、そうするよ。よければ、あたしも出そうか、ロウ殿?」

 

 マアだ。

 しかし、一郎は首を横に振った。

 

「いや、それはいい。これは底無し沼だ。すぐに、あの映録球の保有も複製も売買も全面禁止の通達を出させるけど、全回収が不可能なのはわかってる。スクルドの個人資産の分でやめよう。それに、これはこいつの責任だ。責任はこいつにさせる。なあ、スクルド?」

 

 再び小筆でクリトリスを刺激する。

 

「ひぎいいい、いぐうつうう」

 

 スクルドががくがくと身体を痙攣させて全身を突っ張る。

 一郎は笑いながら筆を引いた。

 

「わ、わたしも──。わたしも全財産をお渡ししますわ。だから、無一文のわたしも屋敷に──」

 

 ガドニエルが急に話に割り込んできた。

 

「エルフ女王のあんたが、どうやって無一文になるのよ。そういうことは、一度本国に帰って、ラザ様に相談しなさい」

 

 だが、コゼにたしなめられている。

 一郎は噴き出してしまった。

 そして、スクルドに向き直る。

 

「さて、じゃあ、これで終わりにしてやる。飲み干したら、いま入っている木桶からも湯は抜く。頑張れ」

 

「ふあっ、ふわいっ」

 

 スクルドが上を向いて漏斗の吸い口を再び咥えた。

 一郎は湯の入った木桶を担ぎ直した。

 そのときだった。

 突然にシルキーが目の前に出現した。

 

「旦那様に申しあげます。お仕事中のところを中断させてしまい申し訳ありません。急遽、旦那様に、ご指示をいただきたいことがあります。ブラニーからです。王都屋敷でブラニーから判断に迷うことがあり、どうしてもご指示を給わりたいと連絡がありました」

 

「ブラニーが?」

 

 ブラニーが管理しているのは、王都側の小屋敷だ。

 こことは移動術の設備で自由に行き来できるようになっていて、事実上のひと繋がりの生活場所のようになっているが、実際にはあっちは王都内にあり、こっちは王都の城門を出て一ノスくらいの位置になる。

 シルキーが成長して一括管理することになったついさっきまでは、あっちの管理はブラニー、こっちはシルキーとはっきりと分かれていた。いまは、シルキーの一括管理だ。

 ただ、屋敷妖精の判断に余るというのは余程のことなのだろう。

 一郎は注ぎかけていた湯の入った木桶を下に置く。

 

「こっちに寄越してくれ。直接に聞く」

 

「わかりました……。ブラニー、すぐに来るのです。獣人については、とりあえず、そのまま外にいさせなさい」

 

 シルキーが宙に呼び掛けるように声をあげた。

 ブラニ―に連絡をしたのだろう。

 だが、獣人と言ったか?

 すぐに、ブラニーが目の前に出現する。

 

「旦那様、失礼いたします。わたくしめは、旦那様にご判断を仰ぐべき案件と判断してしまいました。申し訳ございません」

 

 ブラニーが頭をさげる。

 

「いいから、用件を言ってくれ」

 

「はい、向こうの屋敷に、爆薬を持っている獣人娘が訪問を求めております。廃墟に見せかける幻術や屋敷に近づけない術をかけておるのですが、なぜか、その獣人には効かないようです。すでに入口の前に立ち、なにかを訴えている様子なのです。どうにも尋常でない様子です」

 

 ブラニーが言った。

 

「えっ、獣人娘?」

 

 いつの間にか真横に立っているコゼが口を挟む。

 

「もしかして、イットか?」

 

 一郎は言った。

 そして、すぐにそうだろうと判断した。

 なにしろ、ここもそうだったが、向こうの屋敷にも、ブラニーによって、外観からは焼け焦げた廃墟のようにしか見えない幻術がかかっており、しかも、近づこうとしてもぐるぐると周りをまわって、決して中心にはこれない仕掛けがあるのだ。

 屋敷管理に関しては、ほぼ無限の力を発揮する屋敷妖精である。

 相当の実力者だとしても、その幻術からは免れない。

 だが、魔道耐性のあるイットなら、幻術に引っかからずに来れるだろう。

 だから、イットだ。

 

「わかりません。その獣人娘は、口に詰め物をしているのです。両手も後手に手錠をかけていて……。でも、顔は切迫している様子で、一生懸命になにかを訴えようとしております。わたくしめは、初めて見る顔なのですが、旦那様のご家族ではないかと……」

 

 ブラニーが言った。

 

「それを早く言いなさい、ブラニー。あなたの記憶を見せるのです。イット様なら、わたくしめが判断できます」

 

 シルキーが口を挟む。

 そして、ほんのちょっと、シルキーとブラニーが見つめ合う。

 一郎は、そういえば、イットたちはイザベラたちのところに向かうため、一日だけこの屋敷に立ち寄っていたということを思い出した。

 

「イット様です。すぐにこちらにご転送します」

 

 シルキーが一郎に言った。

 

「ちょっと待ちな。最初に爆薬を持っていると言わなかったかい?」

 

 ミランダが口を挟む。

 

「いえ、それもブラニーの記憶を通して確認しました。爆薬を持っているのではなく、正確には爆薬を首に巻いているのです。炸裂環です。大丈夫です。わたくしめなら、屋敷内で作動しないように処置できます」

 

「炸裂環?」

 

 一郎は驚いた。

 炸裂環というのは、つまりは爆薬を詰め込んだ環状の爆発物だ。それを首に巻いているだと?

 

 次の瞬間、イットが出現した。

 唖然とすることに、確かに首に炸裂環らしき黒い帯状のものを巻いている。しかも、それだけじゃなく、後手に手錠をしていて、口にはボールギャグを嵌められていた。

 しかし、身体そのものにはどこにも異常はないみたいだ。

 どうしたのだ?

 

「イット──」

 

「イット、どうしたの?」

 

「イットさん」

 

 一郎だけでなく、コゼやガドニエルも声をかけた。

 ほかの女も集まってくる。

 これはただ事じゃない。

 

 遊びは終わりだ。

 とりあえず、一郎はスクルドのクリトリスから『ジョインリン』を外して回収した。

 繋がっていた糸と木桶が湯に落ちる音と、スクルドが崩れ落ちるのが同時だった。

 

「続きは後だ、スクルド。ちょっと邪魔が入った」

 

 一郎は苦笑して、スクルドの頭をちょっと撫でてやった。

 

「ふわっ、ふわい……。お、終わり……?」

 

 スクルドは意識混濁状態だ。

 そして、いきなりじょろじょろと湯の中で放尿を始めた。

 まあいいか……。

 一郎は頬を緩めてしまった。

 

 一郎はイットに向かう。

 そのあいだに、ほかの女たちによって、ボールギャグは外されていた。

 一郎は炸裂環を除去すべく手を伸ばした。

 収納術で炸裂環だけを亜空間に送れば、簡単に取り外すことができる。イットに危険もない。

 

「だ、だめえっ、ご主人様──。あたしのこれを外せば、人質になっているみんなの炸裂環が自動的に作動されると言っていた。とらないで──」

 

 イットが後手手錠のまま慌てて、一郎の手を振りほどく。

 

「はあ、いまなんて言ったの、あんた──? 人質って、言った?」

 

 コゼが一郎から跳びのいたイットの腕を掴んだ。

 

「は、はいっ。エリカさんと王妃様が捕まって……。あ、あたしは、ご主人様に伝言を持っていくために放逐されたんです。だけど、炸裂環を勝手に外せば、自動的にふたりに嵌められているものが爆発するって言われた。だから、だめえ──」

 

 イットが必死に訴えてきた。

 

「スクルド……は役に立たないか……。ガド、そんな魔道がかかっているのか?」

 

 イットがやってきたのは王都からだ。

 ここと王都とでは、かなりの距離がある。

 それにもかかわらず、複数の炸裂環を自動制御するように処置するのは、かなりの高位魔道だ。

 一郎は魔道遣いではないが、おそらく、それは難しいと思う。

 つまりは、はったりではないかと思った。

 

「そのような魔道はかかってはおりません。ついでにいえば、これは爆発しません。爆破指示の魔道を受ける魔石が埋め込まれてません。余程の衝撃がなければ、まずは爆発しません。多分、無理矢理に剣で切っても大丈夫かと」

 

 ガドニエルが冷静に言った。

 

「えっ?」

 

 イットはぽかんとしている。

 

「とにかく、どういうことだい、イット? みんなに説明しておくれ」

 

 ミランダが口を挟んだ。

 イットが頷く。

 

「は、はい……。だけど、念のために、手錠も炸裂環もそのままで……。万が一ってあるかも……。さんざんに脅されたし……」

 

 イットは言った。

 これは相当に脅かされたに違いない。

 だが、このイットをここまで怯えさせるなど相当のことだ。

 そもそも、イットほどの戦士を捕えるなど……。

 

「それで誰にやられたんだ? つまり、エリカとアネルザも一緒に捕えられて、人質にされたんだな?」

 

 一郎は訊ねた。

 

「う、うん──。フラントワーズという人に……。そして、奴隷宮の人たちが……。エリカさんと王妃様は、いま奴隷宮に監禁されてます」

 

「ええっ、フラントワーズ様が──?」

 

 ベアトリーチェが仰天した声を出す。

 

「説明しろ」

 

 一郎は先を促す。

 

「う、うん……。王妃様とエリカさんと一緒に奴隷宮に人たちに解散するように伝えにいって……。だけど、その人たち怒っちゃって……。それで、いきなり、王妃様とエリカさんと、それにあたしも捕まっちゃたんです。あたしについては、伝言を持たされて、外で待ってたラスカリーナさんに引き渡されて……」

 

「それで?」

 

「フラントワーズという女の人が、あたしを放逐するように、ラスカリーナさんに言いました。言うとおりにしないと人質を殺して自分たちも死ぬって……。ラスカリーナさんは、奴隷宮を近衛軍に囲ませてましたけど、王妃様が捕らわれているんで、どうしていいかわからなさそうでした……。とにかく、あたしは王都の小屋敷というところまでさっきの格好で駈けてきたんです。場所はエリカさんから聞きました」

 

「エリカは無事なのね?」

 

 コゼが真剣な表情で口を挟む。

 

「炸裂環を装着されて、拘束されていてます……。あと、くすぐられてました……。エリカさんからもご主人様に知らせろって言われました」

 

 イットが言った。

 

「くすぐる?」

 

 コゼが眉をひそめた。

 確かに、くすぐるってなんだ?

 まあ、とりあえず、口をきけるのだから無事なのだろうが……。

 しかし、イットにしろ、エリカにしろ、そんなに簡単に捕まるような女じゃないんだが……。

 

「それで、フラントワーズという女からの伝言は?」

 

 一郎は訊ねた。

 

「そのフラントワーズという人は、ご主人様と話したがっています。奴隷宮に来て欲しいそうです。おひとりで……」

 

 イットが言った。

 

「なにそれ、ふざけてんの?」

 

 コゼが舌打ちした。

 

「とにかく、詳しく話してくれ、イット。あっ、いや、その前に身体の確認をさせてくれ」

 

 一郎はとりあえず、イットを浴場内の椅子に腰掛けさせた。

 手錠と炸裂環を外すことは不安がるので、とりあえず、そのままだ。

 

 ステータスを読む。

 そして、すぐにあるものに気がついた。

 

 これは……。

 ふーん……。

 なるほど……。

 

 

 

 

(第7話『一に調教、二に折檻、三四飛ばして、五に懲罰』終わり、第8話『性教徒たちの反乱』に続く)

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