【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「わかった。じゃあ、俺も妥協案を示す。その提案さえ受け入れられないというなら、もう俺は令嬢たちを含めて、お前らと会わない」
「条件とはなんでしょう? もしかして、わたしたちを認めてくださるのですか?」
すると、フラントワーズが喰いつくようにじっと一郎の顔を見てきた。
「最初から認めてはいる。そうでなければ、わざわざ話などしない。蹴散らすだけだ。だが、どうやったのかは見当もつかないけど、あなたたちはあいつらを捕らえてみせた猛者だ。敬意を示そう。だから、人質は解放しろ。それは約束だった。その代わり、俺も敬意を表して約束を守る。条件次第ではあるが、あなたたちの信仰とやらを認めよう」
「ええ? 認めるのかあ?」
横でベルズが呆れたような声をあげた。
一郎は肩を竦めた。
「仕方ないだろう、ベルズ。それに、俺が与える挑戦状の結果次第だ。俺の示す条件をフラントワーズが達成できたらの話だ」
「なんでもします。その覚悟はとうの昔にできてます。いつでも死ぬ覚悟はできてます」
フラントワーズが勢いよく言った。
「死ぬ覚悟などいらん。むしろ、しっかりと生きる覚悟をみせろ。俺が妥協するつもりになったのは、お前のしたたかに生き抜く心だ。神々を敵にしてでも、令嬢たちの生きる場所を作ると断言したお前の気持ちだ──。とにかく、それよりも人質を解放しろ」
「わかりました」
フラントワーズがまだ横にいたラジルに指示をして、捕らえた者をここに連れてくるように告げた。
ラジルは黙って頷いた。
「女たちの拘束を解く必要はないぞ、ラジル。服を剥かれたまま、ここに連行してくれ。不甲斐ない女たちへのお仕置きだ。俺の指示だと伝えてくれ。そして、話し合いで解決することにしたから、もう抵抗するなとな」
一郎はあえて、ラジル夫人を呼び捨てにして、ぞんざいに声をかけた。
とにかく、すでに覚悟した。
乱暴な物言いは、その覚悟の表れだ。
ラジルが微笑んだ。
「そのように致します、天道様」
一郎に一礼をして出ていく。
「それで条件とはなんでしょう?」
フラントワーズが言った。
「そうだな……。その前にひとつ言いたい。お前たちの力は見せてもらった。さぞや準備をしたのだろう。俺の女たちは並大抵の女傑じゃない。それを捕らえてみせるとは素晴らしい。これには脱帽だ。だが、それは俺の求めるものの半分だな」
一郎はわざとにやりと笑った。
正直に言えば、一郎が女を仲間に加える条件など別にないのだが、まあ、結果的にそれなりの実力を持っている者ばかりだというのは真実だ。もっとも、一郎に愛されて精を注がれた結果として、能力が向上したというのも事実の半分なのではあろうが……。
ただ、一郎はどんな女でも、能力や立場だけを見て、自分の女にした覚えはない。
まあ、成り行きもあったが、一郎なりに、愛することができると思った者、あるいは、大切にしたいと思った者についてを見極めてきたつもりだ。
ならば、このフラントワーズはどうか……?
まあ、一生懸命なのは認めよう。
おかしな宗教もどきも、個性のひとつだとさえ、考えてもやろう……。
だから、試してみようと思った。
一郎が愛することができる女なのかどうかを……。
その結果、もしも、愛することができると感じたときには、このフラントワーズが背負おうとしている全てを大切にしてやろう。
だが、それは一郎が求めるただ一点を満たしていればだ。
「天道様が求めるものとはなんでしょうか?」
フラントワーズは訊ねた。
一郎はフラントワーズに白い歯を見せた。
「それはあなたもわかっているだろう。俺は好色でのべつまくなしにセックスをして女を愛する。だから、お前たちが鍛錬したというその結果を見せてもらおう……。セックスで俺を納得させたら、つまりは、射精させられることができたら、そのときには、お前たちの新教団のことを考えてやる」
「ほ、本当ですか──? う、うちの娘たちは、それは、本当に一生懸命に天道様の気に入っていただける女になろうと頑張ったのです。まったくなにも知らなかった貴族令嬢がそこからの娼婦にも負けない淫らさと、性技を身に着けたと思っています。それはもちろん、本物の娼婦たちには及ぶべくもないかもしれませんが、それでも、彼女たちは絶対に天道様を満足させると思います」
フラントワーズの顔が歓喜に染まったのがわかった。
「頼もしいな。ならば、見せてもらおう……。だが、勘違いするなよ。俺が約束できるのは、俺の腕の広さの範囲だけだ。独裁官として新教団の新設については認めてやる。王妃や女王への説得もしてやろう。予想されるクロノス教会や他国からの介入についてもできる限り守る。しかし、俺は人の心までは支配できない。するつもりもない。世間がお前らを認めるかどうかは知らん。積極的にお前たちの信仰を保護するつもりもない」
「十分です」
フラントワーズは満面の笑みを浮かべた。
「それから、映録球で言霊をまき散らすのは禁止する。いま拡がっているものは可能な限り回収させる。同じようなことをすれば、容赦なく禁教にする」
「二度としません。お約束します」
「そして、大事なことだが、俺を信仰の対象にするな。いや、してもいいが、天道様がロウ=ボルグだと絶対に口にするな。思うのはいい。しかし、そう主張するな。宣教するな。新教団に俺の絵姿や像のひとつでも飾ってみろ。すぐに、このガドを差し向けて、全部を灰にしてやる」
「お任せください、ご主人様。ガドはいつでも、なんでも灰にしてみせます」
ガドニエルが張り切って返事をする。
だが、それについてはフラントワーズは困ったような顔になった。
「そ、それは……。あっ、いえ、わかりました。ロウ様の名は出しません。でも仄めかすのもだめですか?」
「だめだ。人の口に乗ったものの否定までは要求しない。しかし、お前らがそう喧伝するな。約束しろ」
「うーん……。わ、わかりました。それと、彫像はだめと言われましたが、奇跡の性具はだめでしょうか?」
「奇跡の性具?」
なんだそれは?
「スクルズ様がわたしたちに与えてくださった奇跡の張形です。天道様の愛が深ければ深いほど、深い絶頂感が襲うというありがたい性具なのです。でも、それは天道様のお男根様と酷似していると言われております。それを信仰の象徴として神具として扱いたいと考えているのですが……」
「なんだ、それは? スクルドはそんなものを?」
横から呆れた声を出したのはベルズだ。
一郎も唖然となりかけた。
だが、それを許せば、一郎の男性器の擬似物を信仰者が拝むことになるのか?
一瞬、全否定しようと思ったが、フラントワーズのすがるような視線に接して、妥協することにした。
どうせ、張形を神具扱いするような信仰など、拡がるはずもない。
言霊の影響は、これから可能な限り潰していく。ならば、最小限しか拡がらないと思う。
妥協ついでだ──。
妥協してやる。
「わかった。それが俺の一物と言わない限り、それも許してやる」
「あ、ありがとうございます」
フラントワーズが頭をさげた。
「その代わりに、救世主様については派手に宣伝してやれ。奇跡の人だとな。絵姿も、彫像も作り放題だ。それについては一斉を禁止しない」
騒動の原因を作ったあいつへの罰だ。
自分が神様になって、人の信仰の対象となる辱めを受けるがいい。
「よいのか、ロウ殿?」
ベルズが呆れたように言った。
「いいんだ。あいつへの罰だ」
一郎ははっきりと言った。
「ありがとうございます。ありがとうございます、天道様──」
フラントワーズが感極まった感じで再び頭をさげる、
そのフラントワーズの両手首に粘性体を飛ばして巻きつける。さらに強引に背中に回して密着させた。
これで、フラントワーズは両手を背中から動かせない。
「えっ?」
フラントワーズが当惑した顔をあげた。
両手を後手に拘束された理由がわからないようだ。
「だが、俺が口にする条件を満たせなければ、並べた条件は全部なしだ。問答無用でお前ら全員を強制退去させ、信仰とやらも認めない。令嬢たちは全員を洩れなく家族に返し、あとは家族に任せる。集まる場所など、ことごとく潰す。天道教などもってのほかだ──。これは俺の与える試練であり、俺からお前への挑戦状だ」
「そ、そんな……」
「文句は言うな。新教団を認めるなど、どこまでの妥協と思ってるんだ。とにかく、俺がお前たちの信仰を認める条件は簡単だ。一ノスやる。一ノス内に俺から射精させてみろ。それができれば、信仰と教団を認める。できなければ、令嬢は全員を家族のもとに強制返還する。じゃあ、始めろ──」
一郎は亜空間から「十タルノス計」と砂時計を五個出す。
一タルノスは、約一分間なので、十タルノスは十分間弱になる。五個を順番にひっくり返していき、全部が終われば、五十タルノス、すなわち、一ノスだ。
一郎は最初の一個目の砂を上にして置き、砂を落とさせ始める。
「えっ? えっ、ええ?」
フラントワーズは呆然としている。
まだ、理解できていないみたいだ。
「どうした? 計測は始まったぞ。別に俺は抵抗するつもりはない。セックスが気持ちよくて、射精したくなればちゃんと精を放ってやる。さっさとしろ」
一郎は胡坐をかいたまま言った。
フラントワーズがやっとはっとした顔になる。
「わ、わかりました。すぐに娘たちを呼びます。に、人数に制限はあるのでしょうか? さっきの五人全員がかりでやらせてもよろしいでしょうか?」
フラントワーズはそう言い、一郎の返事を待たずに、膝立ちになった部屋の外に声をかけるような体勢になった。
一郎は片膝をついて立ちあがると、フラントワーズの髪の毛を掴んで、頭を一郎の脚の床に叩きつけてやった。
「あぐっ」
フラントワーズが呻き声をあげた。
一郎はフラントワーズの額を床にぐりぐりと擦りつけてやる。
「五人を呼んでどうする──。お前がやるんだ、フラントワーズ──。お前が俺を満足させて射精させるんだよ。できなければ、お前の想いとやらが、どんなに重くて真剣であろうが、知ったことか──。そこまで面倒を見てやらん──。やるのか、やらんのか、どっちだ──」
一郎はわざと怒鳴りあげた。
この部屋のやりとりは、十中八九、別の部屋でも聞き耳を立てているだろう。それとも、盗聴具をここにも仕掛けいるかだ。
声を荒げたのは、一郎が本気であることをわからせたかったからだ。
まあ、結局のところ、一郎は淫魔師だ。
女を理解するのも、納得するのも、性交を通してしかできない。
だから、最終的な判断を性交に委ねることにした。
最後は、性交を通じてフラントワーズを理解しようと思った。その結果、やはり認めようと思ったら、そのときは全力でフラントワーズの想いを守ってやろう。
しかし、結局、ただの言葉だけの女なら、それなりの扱いしかしない。
「で、でも、わたしは娘たちは違って、まったく性技の訓練など……。しかし、娘たちなら、本当に一生懸命に性技の向上に励み、淫らになる努力を……」
フラントワーズが一郎から顔を床に押しつけられながら言葉を紡いだ。
「なら、勝手にするんだな。お前がいまやらなければ、今後、なにがあろうとも、俺はお前たちの信仰とやらを認めることはない。そして、その場合、ここの娘たちの希望を潰したのは間違いなくお前だ。俺は心置きなく、天道教を禁教にして、お前らを解散させることにする」
一郎はフラントワーズから手を離した。
フラントワーズが慌てて顔をあげる。
「い、いえ──。い、いまのは誤りです。やります。やらせていただきます。どうぞ、やらせてください」
フラントワーズが必死の口調で言った。
一郎はすでに胡坐の体勢に戻っている。
「すでに始まっている。時間は計測中だ。やるのであればやれ。やらないのであれば、そのまま一ノスでも、二ノスでも好きなだけ喋ってろ。だが、俺が付き合うのは一ノスだけだ。そして、俺は言葉に興味はない。想いは俺とのセックスで示せ、フラントワーズ」
「は、はい、天道様──」
フラントワーズが大きく頷き、一郎の股間に歩み寄った。
しかし、服を身に着けたままの一郎を前にして、躊躇したように身体を硬直させる。
「どうした? セックスだからな。お前はそのままできそうだが、俺は服を着てるから、とりあえず、脱がすところから始めたらどうなんだ?」
「あ、あのう……。で、でも、手を後ろに拘束されていて……。どうやって、天道様の性器を出せば……」
そして、フラントワーズが途方に暮れたような顔になった。
一郎は噴き出してしまった。
「そこからか? これは、一ノスでは足りそうにないな。いや、一日あっても、俺から精を出させるのは不可能だろう。天道教は諦めろ」
一郎は笑いながら言った。
「フラントワーズ様、口です──。お口を使って、天道様の性器を外にお出しください──」
そのとき、ベアトリーチェが素早く口を挟んだ。