【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「うあわあああああ、あああああああ」
フラントワーズがまるで幼女のような激しい号泣を始めた。
部屋の全員がびっくりしすぎて、静まり返ったのがわかる。
しかし、一郎だけは別だ。
まさか、号泣するとは思わなかったが、このフラントワーズから剥き出しの感情を出させようとして、とことん追い詰めたのは一郎だ。
そのために、一郎に性愛で勝つという望みも、体力も、最後には気力さえも奪ってやった。
いまのフラントワーズには、なにも残ってない。
だから、心がぶっち切れてしまったのだ。
もはや、フラントワーズには、元公爵夫人としての体裁も、奴隷宮で囚われていたや夫人たちをまとめる代表者としての交渉術も、信仰集団の教祖としての矜持もなにもない。
ただの女だ。
これを待っていた。
そのフラントワーズと語りたかったのだ。
「うわあああああ」
フラントワーズがまたもや大きく口を開けて歯を一郎の肌に向ける。
完全に常軌を逸し、冷静さを失っている。
しかし、本当のフラントワーズは、ここまで激情的な女だったのだと思った。
「おっと」
さすがにもう痛い目に遭いたくない一郎は、フラントワーズの顎を片手で押えて、彼女の顔全体を上を向けさせて避ける。
そのまま、唇を密着させて唾液とともに舌を挿し入れる。
「えっ?」
「あっ」
悲鳴のような声をあげたのは、エリカだろうか、コゼだろうか?
フラントワーズが一郎の舌を噛み千切らないかと焦ったのだろう。
しかし、フラントワーズはそんなことはしない。一郎にはわかっていた。
一郎の挿し込んだ舌に、フラントワーズの舌が激しく絡みつく。しばらくのあいだ、むさぼるようにフラントワーズが一郎の舌を唾液を舐め吸う。
やがて、一郎は口を離した。
唾液の糸が繋がって伸びたが、それがぱちんと弾けて消える。
「落ち着いたか?」
一郎はフラントワーズに視線を合わせて微笑んだ。
しかし、フラントワーズはまだぼろぼろと涙をこぼし続けている。
「うううう、あ、あなたはひどい──。ひどい、ひどい、ひどい──。いやな人です──。意地悪です──。意地悪過ぎます──。ひどい──。ひどい──。最初からわたしには、あなたに性愛で勝つ望みなんてないのに、それをさせて、そして、こんな風にもてあそんで、ばかにして──。ひどい、ひどい、ひどいです──。うわああああ──、うわあああああ」
そして、またしても号泣し始めた。
全員が唖然としている。
「ああ、俺はひどいやつだ。いやなやつだ。もうわかっただろう? そんな男を神様にするなど、間違っているということがわかったか?」
一郎は諭すように言って、フラントワーズの頭の上に片手を乗せた。
もう一方の手はフラントワーズの腰の括れを背中から支えて、彼女の身体を支えている。
いまだに、一郎の怒張はフラントワーズの股間の中に挿入されていて、フラントワーズの両脚は一郎の胴体を挟んで背中側に投げ出されている。
「ひぐっ、ひぐっ、ひぐっ……。やっぱり、そんなにひどいことを──。わたしたちが……、わたしがどんなに、あなたを待ち望んでいたのか、わからないというのですか──。どんな人なのだろう……。どんな声で喋られるのだろう……。わたしはあなたには一度も会ったことがありませんでした……。だから、ずっとそれを想像して……。会いたかった。声をお聞きしたかった。あなたに会えたら……。もしも、あなたに会えたら……。ずうっと……。ずっと……。そうしたら、そしたら……。そしたらあああ──」
フラントワーズがまた大声で泣き出した。
おそらく、もう、いまどういう状況で、周りに誰がいるのかということも、一切を喪失していると思う。
いま、彼女が知覚できるのは、一郎とフラントワーズ自身だけに違いない。
「そしたら、俺がここを解散させると言ったんだな。お前に会うこともなく……。すまなかったな……。腹が立っただろう?」
「は、腹が立ったかですって──? とんでもない──。殺してやろうかと思いましたよ──。生かしておけない。あの人は仇だって──。なにもかも毀して、殺してやろうかと思いました。あのとき、どれほどわたしががっかりして、絶望したか、あなたには絶対にわかりっこありません。あんなに待ち焦がれて、会いたかったお人が……。話しかけられてなくてもいい……。声さえ聞ければ……。ほんのちょっと眼の端に留めてもらえれば、それだけで幸せになれて、それで死んでもいいとさえ、ずっと、ずっと、ずうっと思っていたあなたは、わたしたちを見ることなく、わたしたちを……わたしを拒絶したんです──。意地悪です──。あなたは、信じられなくらいに意地悪です──。とっても、とっても意地悪で……。そして、やっぱり思った通りに意地悪で──。でも、まさか抱いてくれるなんて……。でも、とっても意地悪でええ──。うわああああっ」
そして、また、わんわんと泣き出す。
まったく、童女のような慟哭だ。
相変わらず、部屋はしんとなったままだ。
そういえばと、スクルドを見ると、いまだに“くすぐり虫”はあいつの全身を這い動いているが、スクルドは泡を吹いて気絶していた。
股の下は新しい失禁の水たまりができている。
一郎は、収納術で“くすぐり虫”を全回収した。
なかなか使えそうな淫具のようだ。
そのあいだも、フラントワーズは泣き続けていた。
だが、だんだんとその泣き声が落ち着いたものになっていくのがわかった。
やっと激情も冷めてきたのかもしれない。
「も、申し訳ありません……。と、取り乱しました……。お、お恥ずかしいふるまいを……」
そして、フラントワーズがぼそりと言った。
真っ赤になって、俯いている。
一郎はフラントワーズの顎を掴んで、また顔をあげさせた。
その顔は涙と汗でぐしょぐしょであり、顔は真っ赤だが、泣いたせいか眼も赤い。
「会わずに済ませるつもりはなかった。まあ、言い訳だけどな。だが、すまなかった……。そして、待ち焦がれていたと言ってくれてありがとう」
一郎は言った。
すると、フラントワーズは静かに首を横に振った。
そして、腰をあげて、一郎の怒張から股間を抜こうとする。一郎はそれをぐっと押さえた。
「あんっ」
フラントワーズが甘い声をあげる。
「まだだ。まだ終わってない」
一郎は微笑んだ。
フラントワーズが訝しんで、視線をちらりと横に向ける。五個目の砂時計は、ほんの少しだけ上側に砂が残っている状況だ。
上側の砂の量は残り数瞬というところだろう?
フラントワーズの全身から最後の力が抜けたのがわかった。
「い、いえ、みんなには申し訳ないけど、わたしには無理でした……。諦めます。天道様にはかないませんでした。そして、天道様にも申し訳ありませんでした……。心から謝罪します。許してくださいとは言いません。でも謝罪します。罪はわたしひとりのものです。ほかの者はわたしに強制されただけです。それと、ありがとうごさいました。こんなにも満たして頂けるなんて思いもしていませんでした……。こんな年増ですから天道様のお手付きはないと思ってましたし……。犬とまでまぐわったような女ですし……」
「ちょっと前にも言ったが、そうまでして、みんなを守ろうとしたんだ。フラントワーズは誇っていい。それと、フラントワーズは十分に魅力的だ。年増などと卑下する必要はない」
一郎は笑った。
「いえ、いずれにしても、人生の最後に素敵な思いをさせていただいて感謝します……。王妃様をはじめ、天道様や皆さんにご迷惑をかけた罪は、この命をもって償います。でも、条件を満たすことができなかったわたしが言えることではありませんが、でき得れば、七十三人の娘たちについてはよろしくお願いします。彼女たちは、心から天道様を慕っております。純粋に天道様を想っているのです」
「わかった。請け負う──。任せろ」
一郎ははっきりと言った。
部屋の中でどよめきの声があがる。令嬢たちが一斉に息を呑んだのだ。
「それと、令嬢以外の夫人たちについても受け入れよう。もっとも、家族が待っている者については、その家族との話し合いも必要だ。だが、基本的には本人の意思を優先する。独裁官として約束する」
「あ、ありがとうございます──。全員ですか? 本当に全員ですか?」
「ああ、全員だ。そこのラジルとランジーナもだ。だが、但し付きだぞ。それぞれの家族との交渉次第だ。無理矢理に帰すことはしないが、家族がいる者は一度は戻ることも必要だろう。俺は誘拐魔にはなりたくない。しかし、ひとりひとりについて最大限の努力はしてやる。例えば、通うという方法もある。お前ら全員まとめて官吏として雇おう。そうすれば王宮に出入り自由だ。まあ、こっちについても任せろ」
令嬢や夫人たちがわっと歓声をあげた。いつの間にか、奥側の扉が全開放されて、そっちにも人が溢れていた。令嬢や夫人たちがぎっしりとそこに集まっていたのだ。
「それで構いません。ありがとうございます。本当にありがとうございます。これで、心置きなく死ねます。嬉しいです。本当に感謝申しあげます」
フラントワーズが満面の笑みを浮かべて、またぼろぼろと涙をこぼし始めた。
怒ったり、泣いたり、笑ったり忙しい女だ。
一郎は苦笑した。
「わかった……。じゃあ、最後にはお前だ。望みをひとつ叶えるとすれば、なにがいい? なにか言え。考えてやる」
一郎は言った。
すると、フラントワーズがくすりと笑った。
「ならば、死ぬ前に、一度だけでいいので、わたしを性奴隷とお呼びください……。天道様に性奴隷にしていただくのが、奴隷宮に監禁されて拷問を受けていたわたしたち、ひとりひとりの唯一の望みでした……。もちろん、わたしもです……。おこがましいとは思ってます。でも、わたしもまた、こっそりと、そんな大それた望みは持っていたのです……」
「やっと、その言葉を言ったな、フラントワーズ。長かったな」
一郎は笑った。
「えっ?」
「いや、わかった……。じゃあ、その望みも叶えよう。来い」
一郎は向かい合ったまま、フラントワーズを抱き締め直す。
そして、腰を動かして怒張を挿入したままフラントワーズの股間を揉み回すようにしながら、再び唇と唇を重ねた。
「んんあっ、んあっ」
五十に手が届くかというフラントワーズは、性愛に関しては熟れきった熟女というところだろう。
口の中も性感帯の宝庫だ。
一郎は、舌で思うままに蹂躙する。
同時に、汗まみれの熱い裸身を腰の上で揺り動かしていく。
フラントワーズもそれに合わせるように、ゆっくりと自ら腰をうねらせる。さっきまでのような性急で強引な快感ではない。
徐々にせり上がっていくような、それでいて、深くて熱い甘美感でフラントワーズを包むような情欲だ。
フラントワーズは、一郎の舌をしゃぶり抜きながら、しばらくのあいだ、うっとりと挿入されている股間の気持ちよさと、口の愛撫に酔いしれるような感じになった。
「んああ、天道様……」
フラントワーズが口を離して、顔を一郎の胸に擦る付けるような仕草をする。
また、股間は一郎の怒張をぎゅうぎゅうと締めつけて、吸い込むように収縮していく。
一郎は再び指をフラントワーズのアナルに沈めて愛撫してやった。
「ああ、またああ、また、わたしだけえええ」
フラントワーズがまるで電撃でも打たれたかのように、がくがくと身体を痙攣させる。そして、脂汗にまみれているうなじをのけぞらせて、一気に悦びの頂上にせりあがっていった。
「やっぱり意地悪です──。意地悪ですううう──、憎らしいいい、あああああ」
フラントワーズが絶息して果てた。
一郎はそれに合わせて、射精をした。
「あっ、ああああっ」
フラントワーズはその瞬間を知覚したのか、目を大きく見開いて、大きな声を張りあげた。
そのあいだも、一郎の精はどくどくとフラントワーズの子宮に流れ注がれていく。そして、一郎はフラントワーズの後手拘束の裸身をしっかりと抱きしめてやる。
「嬉しいいいい──。し、死んでもいいいい」
フラントワーズが発作でも起こしたかのように、一郎の腕の中で激しく震え、そして、がっくりと一郎の肩に額を押し当ててきた。