【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
フラントワーズは、目を覚ました。
気がつくと、フラントワーズは床に横倒しに寝かされていて、周りにはラジルやランジーナをはじめとした奴隷宮でずっと一緒に過ごしてきた夫人たちや、大勢の令嬢たちが集まっていた。
フラントワーズが覚醒したことには、まだ気がついていないようであり、お互いに愉しそうに会話をしている。
しかし、状況がわからない。
とにかく、ほぼ裸体の女たちの肉の壁の視界と、むっとするほどの女の匂いだ。
しかし、だんだんと頭が覚醒するにつれて、そういえば、ロウ様に抱かれたのだということを思い出した。
そして、恥ずかしさが襲ってくる。
なんということをしてしまったのだろう。
一ノス以内にロウ様から精を出させることができたら、天道教のことを認めてやると言われ、フラントワーズは無謀にも天道様であるロウ様に精の勝負を挑むことになった。
その結果、さんざんに玩弄されてしまい、それですっかりと血が頭に昇ってしまって、フラントワーズは完全に逆上してしまい、よりにもよって、ロウ様に悪態をつくは、泣き喚くは、噛みつくはと散々なことをしでかした気がする。
だが、ロウ様が寛大な心でフラントワーズを笑って許し、天道教のことは諦めざるを得なかったものの、奴隷宮に集められてた令嬢と夫人たちについては引き受けると言ってもらえた。
次第に記憶が戻ってくると、心の底からの嬉しさに包まれる。
そして、同時に安堵した。
よかった……。
これで、よかったのだ……。
そもそも考え方次第だ。
教団という枠がなくても、信仰は残るではないか。
天道様を崇める心は、残された者のそれぞれが残せばいい。
後のことは、誰かに任せよう。なによりも、天道様が任せろと口にしたのだ。もう十分だ。
そういう柔軟な心が最初からあればよかったが、やってしまったことは仕方がない。
フラントワーズの最後の役割は、できれば罪をひとりで背負って死ぬことだろう。
少なくとも若い娘たちには、なんの咎もないようにしなければならない。
そういう意味では、ロウ様は令嬢と、フラントワーズ以外の夫人たちのことまで引き受ける言ってくれた。
ならばいい。
ならば、思い残すことはないにもない……。
この奴隷宮で起こした反乱には、多分、意味はあったのだと思いたい。
馬鹿げた反乱だったけど、成果はあった。
ロウ様の「任せろ」という言葉は引き出した。
これで、心置きなく、命を絶つことはできる。
よかった……。
なによりも、抱いてももらったのだ。
人生の最後に……。
死ぬ前の最後の望みを問われ、恥知らずだとは思ったが、咄嗟にロウ様の性奴隷と呼んでくれと
そうか……。
そして、精を注がれて、気を失ってしまったか……。
どうやら、ここはそのときにロウ様に抱いてもらった部屋みたいだ。意識を失って、そのまま横にされたのか……。
それにしても凄まじかったな……。天道様との性愛は……。
なによりも確信したのは、やっぱりロウ様はやはり、天道様だということだ。
理由などない。
抱いてもらったフラントワーズだからこそ、理解できる感覚だ。
そのロウ様と愛し合った……。
フラントワーズは込みあがってくる笑いを静かに我慢した。
「あのう……。ど、どういう状況なのでしょうか……?」
フラントワーズはとりあえず、身体を起こそうとして、両手がまだ背中側で拘束されていることに気がついた。
そのため、うまく起きあがることができない。
「ああっ、フラントワーズ様が──」
「教祖様が目を覚まされましたわ」
「フラントワーズ様──」
周りが一斉に歓声をあげた。
「ごめんなさい。ちょっと起こして……」
フラントワーズはなんとか自力で起きようとしたのだが、拘束されているというだけでなく、全身が綿にでもなったかのように力が入らない。
まるで自分の身体ではないみたいだ。
「さあ、フラントワーズ様……。本当にありがとうございました」
「ありがとうございました。そして、おめでとうございます」
「ああ、フラントワーズ様……。感謝申しあげます」
ラジル、ランジーナ、マリア夫人、そのほかの大人組たちがフラントワーズを抱きしめて、次々にお礼を口にする。周りの令嬢たちもそうだ。
全員は涙ぐんでいて、心から嬉しそうだ。
だが、ちょっと理解できない。
お礼はともかく、おめでとうとはなんだろう?
「おう、目を覚ましたか、教祖殿?」
そのときだった。
お
フラントワーズの身体にかっと熱いものが走る。
この男の前で、フラントワーズは数十年ぶりに女になった。
しかも、翻弄され、激情し、その肩に噛みつきさえした。いまにして思うと、その醜態が恥ずかしくて堪らない。
どうして、あんなことをしてしまったのか。
だが、あの途方もない快感──。
忘れられない……。
自分の顔が真っ赤になるのがわかる。
「あっ、天道様……」
この歳にもなってと思うのだが、この激情はどうしようもない。
まさか、少女時代のときのように、惚れるだの腫れるなどという心情に自分が陥るとは思わなかったが、だが悪くもないものだ。
限られた時間ではあるものの、人生最後の恋ができる……。
悪くない。
まったく悪くないではないか……。
「天道様、改めてお詫びとお礼を言わせて頂きます。このたびは……」
フラントワーズは周りの者から身体を離してもらい、ロウ様にもう一度頭をさげようとした。
これが最後の可能性もある。心を込めて謝ろう。
また、おそらくフラントワーズは牢に収監されるのだろうが、このロウ様は令嬢たちのことも、ランジーナたちのこともすべて引き受けると約束もしてくれた。それについては、まったく心配していない。
きっと、彼女たちが満足するようにしてくれるのだろう。
「ああ、そんなのはいい。きりがない。謝罪など一度してもらえれば十分だ。それよりも、これからのことだ。アネルザとも話し合ったんだが、やはり、全員にここから出てもらうぞ。お前たち全員を性奴隷として引き受けるとしても、さすがに、ルードルフ王時代の奴隷宮や後宮では都合が悪い。それで考えたんだが、テレーズという女官長が作らせた豪邸が王都に二軒ある。そのうちの一軒をお前らにやるから、新教団の拠点でもなんでも使え。あの屋敷内には、かなりの宝物があるらしいが、独裁官権限で、それごとやる。好きにしろ」
ロウ様がフラントワーズの前に胡座で座り込んだ。
すると、すかさず、ガドニエル女王とコゼがさっと両隣に密着して座った。ふたりとも、手に食べ物らしきものが載った皿を手にしている。
「ご主人様、どっかいったらだめですよ。こんな分からず屋、しばらく放っておけばいいんですって。さあ、果物をどうぞ」
「こっちはお菓子です。残念ですが、こういう細工物の食べ物はやっぱり人間族の仕事は素晴らしいですね。さあ、どうぞ」
ふたりが競うように、ロウに手で持った食べ物を差し出す。
一郎は笑いながら、順番に一口ずつ口にした。
また、コゼはエリカとともに全裸で拘束していたような気がするが、いまは拘束は解かれて、ちゃんと服も身につけている。
それはともかく、ロウ様の言っている意味がよくわからない。
新教団としての拠点?
それは、一ノス以内に精を出させることができなかったから、認められなかったのでは?
フラントワーズは首を傾げた。
そもそも、テレーズの王都屋敷というのはなんだろう。フラントワーズたちが奴隷宮に監禁される前、ルードルフ王の命令で王都に屋敷を突貫工事で建築させようとしていたと思うが、あれだろうか?
ただ、フラントワーズたちは、その完成された状況は見てない。
そこを教団の拠点にと言った?
「あ、あのう、天道様、なにがなんだか……」
フラントワーズはきょとんとしてしまった。
「なんだ、まだ説明してないのか、ランジーナ?」
ロウ様がランジーナに顔を向ける。
「フラントワーズ様は、たったいま意識を戻されたのです。その暇がなくて……」
「ああ、そうか。まあいい。じゃあ、アネルザも来いよ。さっきの話のことだが、そういうことでいいんだな」
ロウ様が背中側に振り返って声をあげる。
また、周りの女たちが割れて、王妃アネルザ様がやってきた。それだけじゃなく、エリカ、ミランダといった、フラントワーズが捕らえさせた女性たちも一緒にやって来た。
この部屋に連れてこられるときには、ロウ様の命令で全員が全裸のままで拘束をされていたが、いまは拘束は解かれて、ちゃんと服も着ている。
それなりに時間が経ったのだろうか。
また、スクルド様はいないようだ。
きょろきょろを部屋を見回す。
すると、十人ほどの令嬢たちに囲まれて会話をしている。だが、彼女については、フラントワーズや令嬢たち同様に裸だ。
さらに、後手に縄掛けをされている。
そのスクルド様に、令嬢たちが世話をして飲み物を飲ませたり、食べ物を口に運んだりして、話をしつつ世話をやいている。
スクルド様は、疲労困憊の色が強いが元気そうではある。
ここからでは会話の内容は聞こえないが、愉しそうに笑っているみたいだ。
「スクルドが気になるか? 三日間、預けとく。ただし、縄は解くな。まあ、拘束はしてても、魔道は遣えるから好きなように扱え。拠点を王都の新屋敷に移すなら、王宮と移動術で繋ぐ設備も整えないとならないだろうしな。それをやらせるんだ。約束通りに全員を官吏として雇う。ほかにも、好きなだけこき使え。救世主殿への罰だ」
ロウ様が笑った。
また、新教団の拠点と口にした。
どうやら、そういうことになっているみたいだ。
だが、フラントワーズにはわけがわからない。
「あ、あのう、つまりは、わたしたちの信仰を認めてくださるということですか……?」
フラントワーズは訊ねた。
すると、ロウ様がにやりと笑った。
「ああ、約束だからな。一ノス以内に、確かにフラントワーズはちゃんと俺から精を出させた。俺がフラントワーズに精を注いだときは、まだ五個目の砂が落ちきる前だったよ。合格だ」
「ええ?」
フラントワーズは思わず声をあげた。
そんなはずはないのだ。
すでに半分朦朧となっていたし、激情の中にあったから、記憶も定かではないが、最後に砂時計を眼で認めたのは、五個目の砂時計が砂を落ち終わらせる寸前だった。それからロウ様に抱き合って最後に愛してもらったのだから、いくらなんでも、砂が落ち終わってないということはあり得ない。
「きょとんとしているわね。まあ、無理もないかも……。あたしたちも唖然としたもののね」
コゼがくすくすと笑った。
すると、そこにベルズが現れた。
「とんだ、茶番だったな。ロウ殿は最初から、お前らを認めるつもりだったようだ。これが五個目の砂時計だ」
ベルズが持っていたのは、あのときの砂時計だ。
目を丸くした。
砂時計は、あのほんのちょっとの砂を上に残して、砂の落下が止まっていた。フラントワーズは唖然とした。
「そんなことはないぞ。賭けは賭けとして、間に合わなければ、信仰は認めないつもりだった。だが、どうやら、俺が準備した砂時計が壊れていたんじゃないか。いずれにしても、独裁官は約束は守るよ……。まあ、正直なところお前に免じて、認めてやる。その代わりにお前も約束は守れ。俺を神様だなんで喧伝してみろ。即座に禁教扱いだ。今度は慈悲などない」
ロウ様が言った。
フラントワーズはびっくりした。
そして、歓喜が全身に込みあがる。
本当に……?
本当?
「え、ええ? ええっ、あ、ありがとうございます……。ああああっ、ありがとうございます──。天道様あああ」
姿勢をただして、後手のまま頭をさげる。
フラントワーズが床に頭を付けるのに合わせて、ほかの令嬢や夫人たちも、一斉に頭をさげた。
だが、ああ、認めてくれたのだ……。
天道様が……。
ロウ様が……。
顔をひれ伏させている床に、フラントワーズの眼から落ちた嬉し涙がみるみると拡がるのがわかった。
すると、ずっとロウ様が立ちあがったと思った。
「うぐっ」
頭と額に衝撃が走る。
ロウ様が思いきりフラントワーズの後頭部を足で踏みつけたのだ。
「だが、実際の話、際どかったぞ。お前が意地を張って、俺が期待する言葉を口にしなかったら、俺はお前らの面倒を見ない決意をし直しただろう。だが、フラントワーズは最後の最後に、俺の性奴隷になるために必要な言葉を口にした。だから、性奴隷にしたんだ。この馬鹿たれが──。意地を張りやがって──」
ロウ様がフラントワーズの頭をぐいぐいと踏みにじる。
だが、嬉しい……。
主に叱られる……。
そのことが、こんなにも歓喜を伴うものとは思わなかった。
しかし、性奴隷になるために必要な言葉って……?
フラントワーズは、なにを口走ったのだろう?
「は、はい、申しわけありません……。で、でも、わたしが口にした言葉とは……?」
フラントワーズは頭を踏まれながら訊ねた。
頭の上にかけられていた力がなくなる。ロウ様が足をどけてくれたのだ。
フラントワーズは頭をあげた。
すると、その首にロウの手が伸びてきて、なにかが首にがちゃりと嵌まった。
「えっ?」
なにを嵌められたのかわからない。
だが、ロウはいままで、フラントワーズがしていたはずの青いチョーカーを手に持っている。
もしかして、新しいチョーカーをされた?
なにかが首に装着されている感覚は残っている。
「俺の性奴隷の証である赤いチョーカーを嵌めた。二度と外れないぞ。お前が口にした言葉というのは、俺の性奴隷にしてくれという言葉だ。それさえ口にすれば、性奴隷にするつもりだった。逆に、最後まで口にしなければ、お前も教団とやらも、面倒は見ないと決めていた。それをぐだぐだと、くだらない言葉を並べたり、交渉しようとしたり、あれこれ、面倒なことをしやがって、反省しろ──」
ロウ様が腕を振りあげた。
次の瞬間、肩から乳房にかけて衝撃が走った。
「あぎいいっ」
乗馬鞭で打たれたのだとわかったのは、その乗馬鞭がもう一度振りあげられたときだ。
再び、鞭が振ってくる。
今度は反対側だ。
「ひぎいいい」
フラントワーズは悲鳴をあげてしまった。
「声を出すな──。それよりも数をかぞえんか──。罰のときは、数をかぞえろ──。一から調教してやるからな。ちょっとずつ奴隷の作法を覚えていけ──。ほかの者もだ──」
鞭が振ってくる。
「はいっ」
「はい──」
「はい、天道様──」
令嬢たちが一斉にロウ様に向かって返事をした。
鞭が正確に乳首に打たれて、吊っていた鈴が弾け飛ぶ。
凄まじい激痛が乳首に走る。
「んんんっ、さ、さんんん──」
悲鳴を懸命に我慢して、数をかぞえる。
「馬鹿者──。ちゃんと一からかぞえろ──」
反対側の乳首も叩かれる。そっちの鈴も飛んでいった。
「ひぐううっ、いちいいいい」
絶叫した。
結局、それから、悲鳴をあげてやり直したり、ちゃんと数をかぞえられなかったりして、数十発鞭打たれた。
ロウ様から「終わりだ」と宣言されたときには、脱力してその場に倒れてしまいたくなった。
全身が脂汗でまみれている。たくさんの鞭痕もついた。
しかし、一方で、なんともいえない幸福感がフラントワーズを包んでもいた。
主の調教だ。
それを与えられたのだ。
ついに、天道様の性奴隷に……。
ロウ様の性奴隷になれたのだ。
嬉しい……。
よかった……。
しかも、こうやって、手ずから調教してもらって……。
これで、思い残すことも……。
あれ──?
あれれ?
いま、ロウ様は……。
確か、一から調教すると口にしたような……。
まるで、これからずっと性奴隷にしてくれるというような物言いだ。
「はあ、はあ、はあ……。あ、あのう……、も、もしかして、わ、わたしの勘違いかもしれませんが、一から調教ということは……し、しばらく、調教をさせてもらえるということでしょうか……?」
おずおずと言った。
すると、今度は正座をしている腿を思い切り乗馬鞭で引っ叩かれる。
「んぐううっ」
フラントワーズは歯を喰いしばって悲鳴を飲み込んだ。
「しばらくじゃない。一生だ──。俺の性奴隷に終わりはない──。一度、性奴隷になれば、永遠に俺の性奴隷だ。後悔しても遅いぞ。それがお前が望んだ俺の性奴隷になるということだ──」
顎を摘ままれて上を向かされる。
唇が近づき、口を吸われる。
全身の力がまた抜けていく。
まるで、全身が甘美な潤いの中に引き込まされていって、溶かされていく感覚……。
また涙が眼から滴っているのがわかった。
でも、一生……?
一生と言ったのか……?
言ってくれた?
しかし、自分は罪を償わないとならなくて……。
死ぬつもりで……。
考えようとしても思考がまとまらない。
ロウ様との口づけが気持ちよすぎるのだ。
与えられる快感のまま、フラントワーズはむさぼるように、ロウ様の舌に自分の舌を絡め続けた。
「だ、だけど、わたしの罪は……」
ロウ様の唇が離れると、やっと頭がまわって、口から疑問の言葉がこぼれた。
もしかして、許されるのか?
まさか……。
「罪ってなんだ。アネルザ、思い当たることはあるか?」
ロウ様が無邪気そうに白い歯を見せて、アネルザ様に顔を向ける。
すると、アネルザ様は軽く肩をすくめた。
「さああね。ここには、ルードルフに迷惑をかけられた女たちと話をしにきたんだけど、ついつい話し込んでしまって長居をしてしまった。それだけさ……。まあ、わたしについてはそれでいいよ」
アネルザ王妃がくすりと笑った。
「えっ?」
フラントワーズは思わず声をあげた。