【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「さああね。ここには、ルードルフに迷惑をかけられた女たちと話をしにきたんだけど、ついつい話し込んでしまって長居をしてしまった。それだけさ……。まあ、わたしについてはそれでいいよ」
「えっ?」
王妃アネルザの言葉に、フラントワーズは思わず声をあげた。
もしかして、許されるのか?
いや、そんなはずはない。
それだけのことをした。
「でも、ここを囲んでいたラスカリーナたちや、すでに動いている官僚群の後始末については、お前がなんとかしなよ、ロウ」
「おう、ラスカリーナについては、任せろ。説得は得意だ。じっくりと閨でしてやる。官僚群もなんとかするさ。さっそく、こいつらに働いてもらう。書類を勝手に回して、好き勝手するのは得意技みたいだしな」
ロウ様が声をあげて笑った。
「ラスカリーナはともかく、奴隷宮で騒動があったことは、あちこちに連絡がいっているんだ。それをなかったことにするんだ。うまくやるんだね……。まあ、実際の話、今回については、権力を失った王妃のわたしだから、どうでもいい。でも、お前やイザベラが同じことになったら、そのときには絶対に許してはだめだ。それが、お前やイザベラやその子供たちの命を守ることになる。王族の命を奪おうとした者は親兄弟、妻子まで連座で処刑する。見せしめとしてね。そうやって、治政者というのは自分の家族を守るんだ」
「肝に銘じるよ」
ロウ様が笑うのやめて、アネルザ様に口を寄せて頬に口づけをした。
「や、や、やめておくれよ」
すると、アネルザ様が目に見えて狼狽し、顔を真っ赤にした。
まるで少女のようなアネルザ様のふるまいに、思わず頬が綻んでしまう。
それはともかく、つまりは、許されるということ?
「あ、ありがとうございます──」
「感謝を申しあげます──」
ラジルとランジーナががばりと頭をさげた。
ほかの令嬢や夫人たちも一斉にお礼の言葉を口にする。
「で、でも……」
しかし、ただひとり、フラントワーズだけは、まだ頭がついていかなくて、呆然としたままでいた。
「お前に死ぬ暇などあるものか──。それとも、こんな面倒なものを俺に押しつけて死ぬつもりか? 女官僚としても馬車馬のように一途に働いてもらうからな──。死ぬなんて許さんぞ、馬鹿たれが──」
ロウ様がまた肩を乗馬鞭で鞭打つ。
だが、それが気持ちいい。
激痛なのだが、途方もなくありがたくて、気持ちいい。
はらはらとまた涙がこぼれる。
ああ、今夜は泣いてばかりだ……。
自分はこんなにも、泣き虫だっただろうか……。
「泣いている暇もないぞ──。お前らに三日間やる。そのあいだに、まずは全員がここから、さっき俺が説明した新屋敷に移動しろ。話はそれからだ。それだけじゃなく、その三日のあいだに、一度は家族と会わせて全員の去就を再確認させろ。その段取りをアネルザに協力してもらってお前がするんだ──。さらに、それに加えて官僚としても労働力を出せ。忙しいぞ──」
「わかりました──。ありがとうございます」
フラントワーズは頭をさげた。
よかった──。
本当によかった。
そして、やはり、ロウ様は素晴らしい。
神様のような人……。いや、神様そのものだ。天道様だ──。
「それとこれは全員に伝えておく。お前たちのひとりひとりについて、本当に性奴隷になりたいと望むのであれば、その全員を受け入れる。だから、最低三日間やるから、よく考えろ。俺も処置しなければならないことが山積みしていることもあるので、一度時間を開ける。いずれにしても、信仰と俺の女になることは切り離す。いいな、フラントワーズ──。絶対に信仰も性奴隷になることも強要するな──。立ち去りたいと思い直した者は去らせよ。その者については、これから見るものについての口止めの魔道はかけさせてもらうけど、それなりの財と、身を立てることへの協力は可能な限りさせる。独裁官として約束する」
「もちろんです、天道様。わたしたちは、ただの一度も信仰を強制だと考えたことはありません。もちろん、天道様にお仕えすることもです。当然のことです」
「それならいい……。余計なことを言った……。じゃあ、傷を治してやろう、フラントワーズ……。こっちを向け。それと、性奴隷になることは、それぞれの自由意思だと伝えたが、お前は別だ。すでに俺の性奴隷だ」
嬉しい……。
どうして、ロウ様はこうもフラントワーズの望む言葉を口にしてくれるのか……。
そして、鞭打たれた場所が温かい風のようなものに包まれる。
全身がぽかぽかする。
すると、その温かさが身体中に回り、フラントワーズは不思議な力が漲ってくるのを感じだ。
さらに身体がかっと熱くなる。
ちょっと胸が痛い?
いや、痛みではなく、違和感だ……。
なんだか身体が変だ。
視線を落とす。
眼に見える限り、すべての鞭痕が消滅している。
だが、それだけでなく、心なしか、垂れていた乳房が張っているような……。
張るというよりは、形よく上を向いている?
いや、間違いない。
上から見るだけで、かたちよくせり出した美乳に変わっている。
あれ?
腰の括れもぐっと細くなっていないか?
なんだ?
なにか、おかしい。
もしかして、身体も軽い……?
全身の気怠さや、疲労感の一切が消滅している。
なんだかわからない変化が自分に起きた。それがなにかはわからないが、多分、間違いない。
フラントワーズは焦った。
「ええええええ──」
「きゃああああ──」
「フラントワーズ様ああ──」
すると、一斉に夫人たちや令嬢たちが絶叫した。
すぐ近くのランジーナやラジルなど、あまりにも驚いた感じで口を大きく開いて、閉じようともしない。
やっぱりだ──。
なにかが、フラントワーズに起きたのだ──。
フラントワーズは確信した。
「な、なにかあったのですか? もしかして、わたしになにか変化が?」
慌てて言った。
いまの一瞬で、なにかがフラントワーズの中で変化した。
そうとしか思えない。
「鏡を──。誰か、ここに鏡を持ってきてください──」
ランジーナが叫んだ。
後ろの方で令嬢の何人かが走っていき、しばらくすると戻ってきた。
小さな鏡が運ばれてきて、いまだに後手拘束のままのフラントワーズの前に鏡を拡げてくれる。
「えええええ?」
フラントワーズは絶叫した。
鏡にうつっているのは、フラントワーズであり、フラントワーズではなかった。あまりにも若々しいフラントワーズがそこにいた。
三十代?
いや、二十代の頃のフラントワーズだ──。
辛うじて、自分の顔だとわかるが、若返っている。
多分、顔だけじゃない。
そういえば、肌がきれいだ。
瑞々しくて若々しい。
「秘密を守ってもらうことが幾つかある。これもそのひとつだ。俺の精を注がれた女は、肌がきれいになり、皺や身体の緩みが消滅する。若返ってるわけじゃないが、その結果、見た目が若返ってように見えるんだ。当然ながら、年齢を重ねた者ほど、それが顕著になるというわけだ。誰にも言うなよ。これがばれれば、世界中の老婆が俺のところに押しかけてくるかもしれない」
ロウ様が笑った。
だが、フラントワーズはあまりもの驚きで言葉が出ない。
じっと鏡を見たまま、そこから眼が離せないでいる。
だが、だんだんと嬉しさが込みあがる。
若い頃の自分……。
まだまだ、天道様に尽くせる……。
若返った身体を天道様に抱いてもらうこともできるかもしれない。
それって……。
嬉し過ぎる……。
フラントワーズは知らず、鏡を覗き込みながら笑っていた。
「も、もしかして、わたしたちも、そうなるのですか──?」
「えっ、そうなのですか──?」
ランジーナ、次いで、ラジルだ。ちょっと血相を変えている。
すると、年配組の夫人たちも一斉にどよめいた。
殺気めいた気の圧力のようなものも襲ってきた気がする。
「まあ、こうなるわよねえ」
「いつ見ても、あたしたちもびっくりだものね」
エリカとコゼだ。
しかし、これで合点がいった。
アネルザの年齢にしては、随分と若々しい肌だとずっと感じていたのだ。それを無理して化粧で誤魔化している感じさえしていた。
なるほど、アネルザもまた、このロウ様の恩恵に預かっているのだ。
怖ろしい力だ──。
まさに、神の力だ──。
神のような人ではない。
間違いなく、このロウ様は天道様だ──。
奇跡の人だ──。
いまこそ、フラントワーズは確信した。
神はここに存在する──。
目の前に──。
「その代わり、性奴隷としても、働き手としても尽くしてもらう。その代償としての恩恵だ。見た目が変わりすぎて困る者は、スクルドに相談しろ。それを誤魔化す魔道具も準備してくれる」
ロウ様が笑った。
そして、さらに口を開く。
「話してはならないことはたくさんあるが、これもそうだ──。クグルス、出てこい」
ロウ様が軽く自分の胸を叩いた。
すると、ロウ様の身体から、手の平ほどの大きなの小さな女が飛び出してきた。
「じゃじゃじゃじゃーん。クグルスだよ──。お前ら、ありがたくも、このご主人様の性奴隷になる機会をもらったんだ。性奴隷になるなら、しっかりと励め──。そのときは、ぼくが徹底的に性奴隷の心得えを教えてやるからな──」
魔妖精だ。
びっくりした。
人間族に害を与えて狂わせると言われている妖魔であり、見つけ次第に退治することになっている。
それがここに?
ロウ様が──?
「俺の眷属だ。仲良くしろ──。命令だ。悪戯好きだが、いいやつだ。俺が保証する」
一郎が笑った。
「いいやつとは思わないけど、クグルスは悪戯好きよ。まあ、気をつけてね、あんたら」
「時々頼りになるけど、悪戯好きね。本当に気をつけなさい」
コゼとエリカが言葉を足した。
クグルスと紹介された魔妖精が宙を飛んで、コゼとエリカの前に向かう。
「うるさい、お前ら──。今回は大して役に立たなかったくせに──。結局、ご主人様だったじゃないか。大きな口を叩くな──」
「まあ、今回はなにも言えないわね」
「ほんと……」
クグルスの言葉に、エリカとコゼが揃って嘆息した。
「きゃああああ、可愛いいい」
「本当──。わたし、魔妖精様なんて、初めて見ました。天道様のお眷属様なのですか? ならば、神の
「御使い様、わたしたちに、性奴隷の心得えをお教えください。よろしくお願いします」
一方で令嬢たちはほとんどが嬉しそうに歓声をあげた。
世代の違いというのは、こういうことだろうか?
若い者たちには、魔妖精への嫌悪感はあまりないみたいだ。
「おっ、おっ、なんかお前ら、いいやつだなあ。ぼくを攻撃して追い回さないだけでなく、歓迎するのか。エルフ女兵もいいやつだったけど、お前らもいいやつだなあ──。よーし、じゃあ、ぼくがご主人様にどうしたら好かれるか教えてやるからな。お前たち、すけべそうだし、主人様のいい雌畜になるぞ」
クグルスが上機嫌になって、令嬢たちのところに飛んでいく。
また、そこでも歓声があがっている。
「も、戻りました」
そのとき、今度はベアトリーチェがやってきた。
どこかに行っていたみたいだ。
ロウ様の前にやってくる。
しかし、心なしか身体が震えているような……。
顔はなぜか蒼白だし、かなりの汗をかいているみたいである。
「おう、どうだった? ラスカリーナの様子は?」
「と、とりあえず、包囲は解散してもらいました。でも、ラスカリーナ殿自身は、まだ天幕で待っておられます……。そ、それに、詳しい事情を聞きたそうでした。やはり、王妃様や天道様の顔を直接に見て安心したみたいで……」
「なるほど。なら一応、顔を見せてから戻るか。じゃあ、フラントワーズ、また来るが、次はお前たちの新しい拠点の新屋敷だ──。もう一度繰り返すけど、新屋敷に残ることについては強要するな。三日経てば、我にも返る者はいる。迷う者は一度去らせろ。迷った挙句に、また性奴隷になりたいなら受け入れる。だから、去就の確認では絶対に強要するなよ」
「あっ、はい、わかりました」
フラントワーズは慌てて言った。
すると、突然に後手の拘束が消滅する。やっと両手が自由になる。
一方で、ベアトリーチェはなぜか、苦しそうだ。声もちょっと震えている……。
「ところで、生まれて初めての浣腸はどうだ、ベアトリーチェ? せっかくの新しいおしめだ。我慢できなければしてもいいぞ。許可する。そのときは、また、俺がおしめを替えてやろう。大便のついた尻も拭いてやる」
「ま、まさか──。と、とんでもありません。ご命令の通りに、屋敷に戻るまで我慢します。許可を受けるまで、必死に耐えます」
ベアトリーチェが慌てたように、激しく首を横に振る。
だが、浣腸?
浣腸とは、あの浣腸──?
フラントワーズはびっくりした。
「そうかあ? まあいいけどな。我慢できるならしろ。だが、屋敷に戻ったら、俺の前で排便をしてもらう。俺の前で排便するのが、放尿についての言いつけを守れなかった罰だ。いいな──」
ロウ様がベアトリーチェに微笑むとともに、ベアトリーチェのお尻を乱暴に触って刺激する。
「ひいいっ、お、やめくださいいい、天道様ああ……」
ベアトリーチェが引きつった声をあげた。
ロウ様が悪戯をやめて、声をあげて笑う。
「あーあ、でも、結局、こうなったのね。アネルザ様とエリカが捕まり、あたしたちも捕まり、とんでもない夜だったけど、結局、誰も死ななかったし、誰も怪我もしなかった。ただただ大騒ぎの夜だったわ」
コゼが立ちあがって、ロウ様の腕に自分の腕を絡めた。
「はあ、結局、どういう夜だったんだろう?」
ミランダだ。
帰るとなって、ミランダも立つ。ほかの女性たちも次々に立ちあがった。
「ひと晩分の安らかな眠りを失った夜さ。じゃあ、帰るか。向こうの屋敷でも心配しているだろう。じゃあな、フラントワー。ズクルド、お前は三日間、ここで働け──。いいな」
ロウ様が言った。
「あっ、はい──」
離れた場所にいるスクルズ様……いや、スクルド様の返事が聞こえた。
「それと、覚えているだろうが、ここでの奉仕の三日が終わったら、罰の再開だからな。忘れないように、あてがわれる部屋にこれを置いておけ」
ロウ様が宙から取り出すように、三個の木桶を出した床に置いた。
収納術のようだ。
木桶にどういう意味があるのかわからないが、それを見たスクルズ様は、顔を蒼白して小さな悲鳴をあげた。
またもや、ロウ様が声をあげて笑う。
「さあ、じゃあ、行こう」
ロウ様が外に向かう広間の方向に歩き出す。両隣の位置にいるコゼとガドニエル女王に加えて、ロウ様の女性たちが一緒に歩き出す。
「あっ、お待ちください」
フラントワーズは、慌てて見送りをするために後を追った。
すると、そのロウ様が不意に立ち止まった。
「いや、よく考えたら、ベアトリーチェだけが罰というのも変か? アネルザはともかく、女戦士のくせに、令嬢たちにしてやられた三人にも罰がいるな。エリカとコゼとミランダにも、排便の指令を身体に送り込んでやる。帰りも馬車だからな。しかも、王都屋敷経由じゃなく、一ノスかけて馬車で戻る。クッションも外して、揺れる板敷きの座椅子に直接に座ってもらおうかな」
そして、ロウ様が笑って言った。
「ひっ」
「ひいいっ」
「ひうっ」
すると、エリカ、コゼ、ミランダの三人が一斉に全身を硬直してお尻に手を当てた。
顔を覗くと、三人ともすでに顔が蒼白だ。
みるみると顔に脂汗のようなものが噴き出してきている。
「行くぞ」
ロウ様が再び歩き始める。
彼女たちもぎこちない動きで歩き出した。
「ははは、馬車の道中は長いからなあ。たっぷりご主人様に苛めてもらえ。よかったなあ」
魔妖精のクグルスが飛んでいて追いつき、エリカたちの周りを
だが、便意って……。
そんなこともできるのか?
やっぱり、天道様だ。
フラントワーズは、むしろ感嘆した。
そして、天道様に仕えるということは、こういう辱めも日常のことになるのだろう。
正直、ぞくぞくする。
そして、歩きながら考えた。
やっぱり、ロウ様は天道様だった。
ロウ様の奇跡は本物だ。
やはり、このロウ様のありがたさを……。素晴らしさをもっともっと喧伝しなければと思った。禁止はされたが、それこそがロウ様への恩返しであり、フラントワーズたちに与えられる使命のような気がする。
天道様の素晴らしさをもっと人々のあいだに拡げるのだ。
ロウ様は忌避感があるようだが、ロウ様を神格化して、人の心に信仰を作りあげることは、ロウ様がこれからなさることを考えると、そもそも、極めて有効な手段なのだ。
信仰というのは、いともたやすく、「神」の奴隷を産み出すことができるのに──。
まあいい……。
やり方はいくらでもある。
ロウ様に知られることのないように……。
元公爵夫人の名にかけて、絶対にロウ様を唯一無比の存在にしてみせよう。
申し訳ないけど、このフラントワーズは、ただロウ様の命令に従うだけの奴隷にはなれそうにない。
絶対に、天道様を慕う信者をこの世にいっぱいにしてみせよう。
どうぞ、ご覧あそばせ──。
(第8話『性教徒たちの反乱』終わり)
*
【天道教】
原始教であるクロノス信仰から発展し、統一帝国の初代帝ロウ=サタルスを神格化した宗教。
通説としては、諸王国時代の末期、兇王ルードルフのもたらしたハロンドール王国の王都の混乱の中において民衆の間に生まれ、初代伝道長フラントワーズを中心に急速に拡がったとされる。
天道たるロウとその言葉を伝えたスクルズの教えを信仰し、享楽と友愛を重んじ、すべての種族を区別することなく愛することを説く。
初代帝ロウの即位とともに、皇帝自身の神格否定宣言によって禁教となったが、帝国運営の多くに天道教徒が加わっていたこともあり、禁教処置は厳格なものにはならなかった。
三代帝***帝時代に禁教処置が解除され、七代帝***のときに国教となった。
…………。
(中略)
…………。
また、現在の天道教の聖典のひとつとして数えられている『フラントワーズの福音書』には、ロウ=サタルスが最初に独裁官の就任を議会で宣言した日に、ロウ、復活したスクルズ、さらにフラントワーズと多くの信徒が性宴を開いたという有名な話がある。
現在における天道教の様々な宗教的式典の骨幹的な由来として結び付けられている性宴ではあるものの、文献学的な研究においては、この記述は後世の加筆であると長く考えられていた。
だが、近世に入り、ルルド離宮跡から『コゼ日記』の原書が発見された際、その記述の中に、ロウの新暦宣言の日にフラントワーズとロウが愛し合い、さらに、多くの少女信者がロウの祝福を与えられたという文言が見つかったことにより、同福音書が、ある程度の史実に基づいたものであると、多くの歴史家の見解が一致するものとなった。
ただし、その性宴に、復活したスクルズが参加していたか、ということについては、『コゼ日記』の記述に、“スクルド”と“スクルズ”のふたつの名前が混在していることから、現在においても、歴史家の統一的な見解には至っていない。
世界的な歴史学の権威者として有名なブラフ=パウエルはその著書において……(略)。
…………。
(中略)
現在では、天道教は、大陸を越えて全世界に拡がっており、東教会と西教会に分裂しているが、両派を合わせた信者数は**億を超え、世界最大である。
ボルティモア著『万世大辞典』より(ここに再録した引用文はすべてスクルズ記念国際図書館から許可を受けて初版本から抜粋して採録したものである。
(前半部分は、493話の後書きに記載したものの再掲載です)
*
王宮の長い一日は、これで一区切りです。数日投稿を開けさせて頂きます。よろしくお願いします。