【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
ベルズは、厠に行くと告げて、礼拝堂から一緒に戻っていたほかの巫女たちを先に行かせた。
誰も厠についてくる者はいなかった。
ベルズはほっとした。
今日は、いつも護衛巫女の中に紛れて、ベルズを見張っているあのノルズはいない。
だから、いつもよりはベルズの監視は緩いようだ。
誰も一緒についてくると主張することもなく、べルズはひとりで厠に向かうことを許された。
ノルズがこの第二神殿に籍を置きながら、第三神殿にも第一神殿にも名を変えて見習い神官のひとりとして出入りしていることをベルズは知っている。
だから、今日はそのどちらかに行ったのだろう。
ノルズは、ノルズ自身がいなくても、常にひそかに神殿に紛れた手の者がベルズを監視しているから、おかしな行動をするなと脅していたが、あるいは、今朝、回りにいた巫女たちの中に、ノルズの手の者はたまたまいなかったのだろうか。
まあ、油断はできない。
いずれにしても、身体に入れられた魔瘴石により脅されているベルズには、なんの抵抗もできないことはすでに悟っている。
ただ、ノルズがいないとなるとほっとすることは確かだ。
とにかく、今朝については、護衛巫女たちの誰も、厠にまでついてくることはなかった。
このところ、寝るときだって、誰かしらにそばに侍られているベルズは、久しぶりにひとりだけになれた気がする。
とにかく、今朝はたまたまひとりになれたが、厠まで監視される生活に、ノルズはぎりぎりまで排尿を我慢するようにしていた。
だから、ちょっと洩れそうだ。
ベルズは渡り廊下を離れて、ひとりで厠に向かった。
朝の務めである礼拝を終えた早朝であり、まだ神殿の庭は朝もやのたちこめる薄暗さに包まれている。
神殿では、これから朝食の支度をして、それから朝食となる。
食事の支度するのはほかの巫女たちなので、筆頭巫女であるベルズは、食事の支度が整うまで少し暇だ。
だから、しばらくは時間の余裕がある。
ベルズは、厠の個室に入り、鍵を内側から閉めた。
神殿の厠は庭を流れる小川を利用したものであり、流れる水流の上に厠の穴をこしらえ、それらを個室として壁を作って連ねているものだ。その中で用を足せば、汚物が水で流れて、王都の下水に繋がるという仕組みになっている。
ベルズは下着をおろし、巫女服のスカートを腰までまくり上げて、穴に跨って腰を落とした。
股間の力を緩める。
股から放尿がしゅっと飛び出した。
その直後だった。
突然、鍵を閉めていたはずの扉が外から開かれたのだ。しかも、そのまま進んで、ベルズの前に立ちはだかった。
「えっ?」
あまりの衝撃に、ベルズは目の前の男に向かって間抜けな声をあげることしかできなかった。
「お、お前は──」
しかし、そこにいたのは、二日前に、スクルズからベルズを守るという依頼を受けたと称して、この神殿にやってきた冒険者だ。
確か、名はロウ……。
そして、やっと我に返って立ちあがりかけた。
しかし、すぐにその場にしゃがんだ。
まだ、放尿が続いている。
一度始まったゆばりは、自分の力では止めようがない。
「こんなところを襲ったりして申し訳ありません。ただ、あなたにはいつも護衛が周りに侍っていて、なかなか隙がなかったものですから……。それで、やっとひとりになったところを追いかけたのです。すると、その先が厠だったということなんでして……」
「な、なにをくだらんことを──」
ベルズはやっとまともに口をきくことができた。
そして、ようやく巫女服の内側にある杖のことに思い至ることができた。あまりにも気が動転していて、とっさに頭が回らなかったのだ。
だが、さらに気がつく。
ベルズの魔道は、ノルズによって封印されていたのだった。
すると、ロウがさっと、ベルズの懐にてを入れては杖を取りあげた。
「魔道は遣えないようですが、念のためです」
ロウがにやりと微笑む。
「と、とにかく、み、見るな──。出ていけ──」
抗議の声をあげた。
そして、大声で助けを呼ぼうとした。
「大きな声をあげちゃだめですよ。命令だ」
そのとき、すかさずロウが言った。
すると、なぜか大声で助けを呼ぼうとする意思がなくなってしまった。
いずれにしても、まだおしっこが終わらない。
溜めていた分だけ長い……。
「……まあ、声を出したところで、この厠の部屋を防音の結界で包んでもらいましたから無駄ですけどね。誰にも聞こえないと思います……。いずれにしても、俺のことは気にせずに、小便を終わらせてください……。いやあ、実のところ、以前、俺の女が厠で小便をしていたのを襲われたということがありましてね。腹がたつので一度やろうと思ってたんですよ」
ロウが、わけのわからないことを言いながら、ベルズの前にしゃがみ込んで、股を覗き込むような格好になった。
「や、やめろ──」
ベルズは反射的に捲りあげているスカートの裾を掴んだ。
だが、放尿が続いている限り、どうしようもない。
動くこともできないし、魔道も封じられてしまっている。
そして、やっとゆばりの勢いが弱まってきた。奔流がしずくのようなものになったところで、ベルズは構わずに腰をあげた。
「まだ、途中でしょう」
ベルズの放尿姿を凝視していたロウが笑った。
ベルズは無視した。
とにかく、スカートをさげる。
だが、下着を掴もうとしたところで、ロウに手首を掴まれた。
「あっ」
「抵抗するな──。あんたは、すでに俺の唾液を飲んでいて、俺の支配に少し陥っている。下手に抵抗すれば、心が分裂して取り返しのつかない損傷を受けてしまうかもしれない。俺に身を委ねるんだ」
「な、なにを血迷い事を──」
ベルズはロウの手を振りほどこうと後ずさった。
しかし、さすがに男のロウの力は強く、振り解くことなどできない。しかも、膝までおろしている下着が脚に絡んだままだ。蹴って抵抗することもできない。
「い、いやだ、誰か──」
最初の衝撃からようやく解放されはじめてきた。
やはり、助けを呼ぶ──。
それしかない。
防音の結界などと言っているが、そんな高等魔道を一介の冒険者が駆使できるわけがない。それに、ここは大勢の神官がひしめいている神殿内だ。
大騒ぎをすれば、すぐに誰かが来てくれるはずだ。
「静かにして、ベルズ──。このロウ殿に任せるのよ。ロウ殿はわたしたちを助けてくれようとしているのよ」
そのとき厠の外から姿を見せた人物に、ベルズは驚愕した。
そこにいたのは、スクルズだった。
黒いマントとフードで身体と顔を隠していたが、フードから覗く顔は間違いなくスクルズだった。
王軍に連行されようとしていたスクルズが、昨日、何者かにさらわれて行方不明になったことはベルズも知っていた。
ベルズも王軍と第三神殿の者の両方から、昨日のうちに訊問のようなものを受けている。
ただ、なにも知らないと答えた。
実際になにもわからないからだ。
ただ、この冒険者のロウに一昨日会ったとき、スクルズが王軍に捕えられる可能性が高く、もしも、そうなれば、かなりの高い確率で死罪になることは間違いないと告げられ、すぐに手を回して調べたところ、それが事実であることが判明した。
だから、スクルズが逃亡したということについては、ほっとしていた。
そのスクルズが目の前にいる。
ベルズは混乱した。
「……ごめんね、ベルズ……。だけど、すぐにあなたにもわかるわ。だから、このロウ様に屈服してね──」
スクルズがベルズに杖を向けた。
次の瞬間、ベルズの全身は金縛りにかけられたように動かなくなった。
魔道だ──。
そう思ったが、どうしようもない。
ベルズの身体はまるで棒切れのように真っ直ぐに伸びたまま、厠の壁に倒れていく。
その身体をロウが手を伸ばして支えた。
悲鳴をあげることもできない。声さえもスクルズの魔力で凍結されている。
どうして、スクルズが……?
しかし、ベルズは、動顚して考えをまとめることもできなかった。
「お前たち、手伝え」
硬直したままのベルズを抱えているロウが外に声をかけた。
すると、三人の女がすぐに入ってきた。
ベルズは、その女たちを見て、さらに驚いてしまった。
そのうちのひとりがベルズと瓜二つの顔をしていたのだ。
どういうことなのかさっぱりわからない。
女たちとロウによって、ベルズは厠の個室の外に出された。
厠の外の床には大きな毛布が敷かれている。
ベルズは、その毛布の上に横たえられた。
すると、ベルズそっくりの顔をした女がいきなり服を脱ぎ始めた。
残りふたりの女は、ベルズに向かって来る。
そのふたりの顔には見覚えがある。ロウの冒険者仲間だ。
一昨日にロウが、ベルズに口づけをして騒動を起こしたとき、少しだけ彼女たちの顔を見ていた。
ひとりは、お転婆騎士こと、あのシャングリアだ。もうひとりは小柄な人間族の若い女だ。ただ、もうひとり、エルフ女がいたと思ったが、この中にはいない。
あるいは、ベルズとそっくりの顔をしているのが、そのエルフ女か?
ふと見ると、服を脱いで下着姿になったベルズそっくりの女は、指に魔道の指輪をしている。
魔力は凍結されても、それを感じることはできる。
ベルズは、下着姿になった女の指にある指輪に、強い魔力の波を感じることができていた。
一方、ベルズに群がった女たちはベルズから服を剥ぎ取ろうとしている。次々に彼女たちが脱がす筆頭巫女の装束を自分そっくりの女が着込んでいく。
「……手伝いますね、エリカさん」
驚愕することに、慣れない巫女服を着るのに手間取っている女の着付けをスクルズが手伝いだした。
エリカ?
その女の名か?
とにかく、一体全体どういうことになっているのだろう?
スクルズには、このロウたちに脅されたりしているという雰囲気はない。
むしろ、進んで加担している感じだ。
やがて、ベルズは完全に巫女服を剥がされてしまった。膝に絡まっていただけの下着も呆気なく脱がされる。
一方で、ベルズにそっくりの女は、ベルズから脱がせた巫女服を着終わっている。
「エリカ、なんとか半日頼む。それで、このベルズ様を落とす。そのあいだ、なんとか時間を稼いでくれ」
ロウが言った。
「わかっています、ロウ様。誰にも悟られずに、身代わりをしてみせます」
女が言った。
やはり、このベルズと同じ顔の女は、このロウの仲間の女だ。
ベルズは悟った。
「コゼも頼むぞ。コゼは、エリカに万が一のことがないように、隠れて見張ってるんだ。このベルズ殿には、ノルズの手の者が見張ってるはずだ。できれば、その連中の誰にもばれないように、ベルズ殿から魔瘴石を剥がしたいが、エリカの身が第一優先だ。もしも、ばれそうになったら、ふたりで暴れて逃げて来い」
「わかりました、ご主人様」
黒髪の小柄の女が真剣な表情で応じた。
「しばらく我慢してね、ベルズ。でも、あなたにもわかるわ。ロウ様に身を委ねるのよ」
スクルズがにこにこしながら言った。
毛布でベルズをすっぽりと全身を包まれる。
ベルズの視界は完全に失われた。
それにしても……。
ベルズは驚いていた。
このロウがすべてを承知していることにだ。
ロウは、完全にベルズとノルズの関係、そして、魔瘴石のことを認識している。ノルズの手の者がベルズをずっと監視していたことまで見抜いて動いている……。
そのうえで、女たちに指図している。
しかし、思考はそれで終わりだった。
毛布に包まれたベルズの身体にはらわたがねじれるような感覚が襲った。
それは、『移動術』──。
瞬間移動の魔道だ──。
それを遣えるのは、この王都ではただふたりだけのはずだ──。
ひとりは、ベルズ自身──。
もうひとりは、スクルズ──。
もうひとりの筆頭巫女であるウルズや、ほかの王族、王軍の魔道師たちにも遣えないはずだ。
だから、この跳躍はスクルズが自分自身の意思で魔道を遣った証拠に違いない。
もしも、なんらかの魔道で操られているとすれば、そんな高等魔道を刻むほどの魔力を集中するのは不可能だからだ。
本当に進んでスクルズが、このロウに協力を?
そして、ベルズは、自分がこの神殿からどこかほかの場所に連れさられるのをはっきりと感じた。
*
「まあまあ、落ち着いてくださいよ、ベルズ殿」
一郎はベルズを全裸で縛りつけた寝台に腰をおろして言った。
「そうよ、ベルズ。そんなに興奮しないで」
寝台の反対側に立つスクルズがにこにこしながらベルズをなだめるように言う。そのスクルズも全裸だ。一郎がベルズをこうやって寝台からおりれなくしているあいだに、自ら服を脱いだのだ。
「ふざけるな。なにするつもりだ、スクルズ……。お前たち、冗談はやめよ」
ベルズは羞恥で顔を真っ赤にしている。
しかし、全裸で寝台に乗せられているベルズは、しっかりと革紐で後ろ手に拘束されているし、暴れることができないように、足首にも革枷を嵌めて、左右の足首の枷に繋がった鎖が、寝台の左右に繋げられている。
また、ベルズの足首に繋がっている鎖は、ベルズが完全には脚を閉じることができない長さに調整されているので、ベルズは素裸に剥かれた身体で脚を開いて、寝台の真ん中に座らされた体勢だ。
ここは一郎の暮らしている通称「幽霊屋敷」と呼ばれている建物の地下だ。
ベルズを第二神殿から拉致した一郎は、この地下の一室にベルズを監禁し、スクルズとふたりかかりで、凌辱する態勢になっている。
とりあえず、この部屋にいるのは、一郎とベルズとスクルズの三人だ。
シャングリアと屋敷妖精のシルキーは一階である。
ギルドから借りている貴重な『変身リング』を遣ってベルズに変身しているエリカと、その護衛役のコゼは、ベルズに変身して第二神殿だ。ベルズになりすまして第二神殿に残ったエリカは、気分が悪いと称して、部屋に閉じこもることで人との接触を避ける算段だが、どんなに頑張っても、日没を越える時間を稼ぐことは難しいだろう。
なんとか、それまでに、ベルズを屈伏させてから、精を刻んで性奴隷にする。
それで安全に魔瘴石をベルズから外すことができる。
犯すだけなら容易いが、まずは性奴隷になることを了承してもらわなければならない。
時間がない。
とにかく、それがこれから一郎がやろうとしていることだ。
もっとも、それはスクルズのときほど、手間のかかることではないとは思う。
なにしろ、先日、唾液を飲ませることで、ベルズは多少は、淫魔師としての一郎の支配に陥っている状況だ。だから、すでにベルズの内心は、一郎の支配に傾いている。
しかも、そのベルズを幼馴染みであり、親友のスクルズのふたり掛かりで追い落とすのだ。
一郎は、午前中のうちには終わる仕事だと思っている。
「ねえ、何度も説明したでしょう、ベルズ。このロウ様はわたしたちを助けてくれるのよ。おそらく、ウルズのことも……。だから、このロウ様の性奴隷になると誓ってよ」
寝台にあがり、拘束されているベルズの後ろ側に全裸のスクルズが腰をおろす。
スクルズはこの状況に至るまで、ずっとベルズに一郎のやろうとしていることを説明して、ベルズを言い聞かせようとしていた。
ベルズは最初は、まったく信じていなかったが、いまはスクルズの言葉だけは理解してくれた。
ただ、納得はしてない。
一郎の淫魔術でも、まだベルズが一郎に完全に屈服した状況ではないのは明白だ。
これでは、まだ精を刻んで奴隷にはできない。無理すると、魔瘴石の分離とともに、ベルズの心が離反して、精神に傷をつける可能性があるのだ。
従って、まだ犯せない。
「な、なにを言っているのはわかっているのか、スクルズ。と、とにかく、魔瘴石を抜くために性交が必要というのは理解した。抵抗はしない。この冒険者がわたしを犯すのを許す。だが、性奴隷になど……」
「まあ、許すだなんて、なんてことを言うの、ベルズ。ロウ様に対して失礼よ。この人は、本当に親切心でわたしたちを助けようとしてくれているのに……」
「なにが親切心だ。さっきから、わたしたちを色狂いの男そのものの目つきで見ているぞ──。それにしても、スクルズ──。どうして、こんな冒険者ふぜいに諾々と従っているのだ。どうかしたのか──? まあいい──。と、とにかく、お前、わたしを抱いても構わないから、この拘束を解け」
ベルズが寝台の横にいる一郎に向かって怒鳴った。
だが、強気の口調とは裏腹に、その表情にははっきりとした怯えの色がある。
無理もないか……。
このベルズは、これが生まれて初めての男との性交になる。
スクルズによれば、スクルズやベルズたちが女同士で愛し合うときにも、張形を使ったりしたそうなので、身体については処女ではない。
だが、やはり、男に犯されるというのは恐怖のようだ。
それに、やはり、こうやってがっちりと拘束されたうえに、脚さえ閉じることができないようにして裸身を一郎の前に晒すというのは、羞恥の極みに違いない。
身分の高い筆頭巫女としてのプライドもあるだろうし、そもそも、このベルズは、スクルズとともに、この王都で一、二を争う力のある魔道遣いだ。
そんな自分が、こんな風に魔道を封じられ、股を開いて全裸にされるというのは、身を揉むような屈辱に違いない。
本当に口惜しそうであるし、また、女の本能がそうさせるのか、ベルズは閉じることのできない脚をなんとか閉じ合せようと、後手縛りの身体をもがかせている。
しかし、一方で、ベルズを捕らえる前にスクルズの言っていたことは本当のようだ。
ベルズはまだ、自分でも気がついてないらしいが、開かせている股間から愛液がじわじわと滴っている。
スクルズが言うには、平素の気の強い言葉使いの反面、淫行のときにはベルズは完全に「受け」であり、マゾなのだそうだ。少なくとも、かつて少女時代の百合遊びのときの関係はそうだったらしい。
同じ神学校の寮部屋で過ごした四人は、スクルズとベルズが受ける側で、ウルズとノルズが「責め」。かなり、過激なことまでやってたそうだ。
そんな赤裸々な告白まで、一郎が必要だから教えて欲しいと頼むと、スクルズは隠すことなく教えてくれた。
「まあ、そんなことを言わないでくださいよ、ベルズ殿。もちろん、あなたのことは、おいしく頂くつもりです。ただ、あなたの身体に巣食っている魔瘴石を安全に外すためには、ただ性交をするだけじゃ駄目なんですよ。ちゃんと心から屈服してもらわないと……」
一郎は立ちあがって、身につけているものを脱ぎ始めた。
ベルズがびくりと身体を震わせて、腰を寝台につけたまま後退りするような仕草をする。だが、後ろにいるスクルズが、身体を密着して、それを阻んでしまう。
「わっ、ス、スクルズ──」
ベルズが慌てたように、スクルズに振り向いた。
「いいから、ロウ殿に性奴隷にしてくれと言ってちょうだいよ、ベルズ。とにかく、その身体にある魔瘴石を取り去ってもらわないとならないことはわかっているでしょう。わたしを見てよ。わたしもまた、魔瘴石を身体に入れられて、あのノルズに脅迫されていたのよ。だけど、いまはもうないのがわかるでしょう?」
スクルズが諭すような物言いでベルズに言った。
「そ、それはわかっているが……。わっ、わっ、まだ、あがってくるな、お前──」
ふたりと同じように全裸になった一郎は、改めて寝台にあがる。一郎がベルズと向かい合うように寝台に胡坐で座ると、ベルズが明らかに怯えた。
一郎はベルズの狼狽ぶりがなんとなく面白くて、くすくすと笑ってしまった。
「……な、なにがおかしい、お前──。わ、わかった。お前に抱かれる。性奴隷にもなる。だから、さっさとやれ。もう観念するから、魔瘴石をとにかく外してくれ──。だが、本当にお前に抱かれれば、魔瘴石が外れるのだな? くだらない物言いで騙したのなら、あとでその身体を後で八つ裂きにするぞ──」
ベルズが一郎に向かって怒鳴った。
一応は性奴隷の誓いをした──。
それを確認した一郎はすかさず、淫魔術でベルズの支配度を確認した。
しかし、まだ、だめだ。
一郎はスクルズに向かって小さく首を振った。
まだ、不十分だという合図だ。
すべてを承知しているスクルズが肯くのがわかった。
スクルズについては、“性奴隷になる”と口にすることで、心が観念した状態になって、一郎に対する屈服の度合いが高まり、性奴隷になる心ができあがってしまったが、ベルズについては、同じことをしても、心から一郎に堕ちるという状態にはまだまだ遠いようだ。
この場で必要なのは、口先で性奴隷になると告げることではなく、心で屈伏することなのだ。ベルズの場合は、言葉で納得したということを口にしただけでは、心が堕ちた状態にはならないようだ。
まあいい……。
とにかく、あとは肌を合わせながら、少しずつ感情を解いてやるしかないだろう。それで心が一郎に対して緩めば、精を放つことでベルズを完全支配する態勢が整うと思う。
「……まあ、そんな怖いことを言わないでくださいよ、ベルズ殿……。それよりも、スクルズ殿に聞いたんですが、いつもは気の強いベルズ様ですが、スクルズ殿たちと愛し合うときには、いつも必ず責められ役をしたらしいですね……」
一郎はベルズが悩ましくうねらせている太腿に軽く手を乗せた。
「うわっ──、や、やめて──」
ベルズがはっとしたように、身体を硬直させた。
そして、顔を捻じ曲げて、今度はスクルズを睨む。
「ス、スクルズ──。お、お前、わたしたちの秘密をこの男に喋ったのか──?」
ベルズがスクルズに怒鳴った。
「だって本当のことじゃない、ベルズ……。いいかげんに、意地を張るのをやめるのよ。実は、あなたがさっきから、この状況に身体を熱くして、お股を濡らしているのはお見通しなのよ。ほら、ロウ殿、見てください。ベルズはもうこんなに濡れているんですよ」
スクルズが悪戯っぽく笑って、ベルズの股間に手を伸ばし、敏感な肉芽の付近を指でなぞった。
「んふうっ」
ベルズが憐れなくらいに昂ぶった声をあげて、身体をびくりと反応させた。
その激しい反応には、一郎も欲情を大きくしてしまう。
“ベルズ
人間族、女
第2神殿筆頭巫女
年齢26歳
ジョブ
魔道遣い(レベル25)
生命力:50
直接攻撃力:1(凍結状態)
魔道力:200(凍結)
経験人数:女3
淫乱レベル:S
快感値:40↓
状態
魔瘴石(封印状態)の憑依”
まだ、ほとんど愛撫も受けていないベルズの快感値が、これだけさがっているというのは、ベルズがいまの状況に激しく欲情している証だ。
気の強い女が、実は閨ではマゾというのは、珍しくないことなのかもしれない。
エリカ、コゼ、シャングリア、ミランダなどという、一郎がいつも愛している女たちは、いずれも気の強い大変な女傑たちだが、一郎との交合では、全員が強い被虐癖を示す。
まあ、それは、一郎の淫魔術のなせる業でもあるのだろうが……。
ただ、ベルズがマゾであるのは明白だ。
ステータスを覗くまでもなく、現にベルズの股間はもう愛液でてかてかと光っている。
「お、お前、さっきから、わたしをじろじろと見るな」
ベルズが大きな声をあげる。
「いいえ、しっかりと見ますよ。スクルズの言うとおり、あなたがマゾっ子というのは正しいようですね。縛られただけで、そんなに欲情する女は初めてですよ」
一郎は意地悪くそう言い、ベルズの太腿に置いていた手をさらに付け根に向かって動かした。
すると、スクルズもそれに合わせて、反対の腿に手を動かし、さわさわとくすぐるように動かす。
スクルズにはベルズを落とすのに協力させるように、強く淫魔術で強要しているわけじゃない。むしろ、スクルズにはもう心の縛りはひとつもしてない。
しかし、ベルズを追い込む行為を進んで行ってくれる。
支配してわかったが、実のところ、このスクルズはかなり、性愛に対して積極的だ。
「くっ」
ベルズは歯を食い縛って顔をしかめる。
ふたりがかりの愛撫に反応すまいとして、必死に耐えているようだ。
その姿はなかなかに可愛い。
「ベルズ、もっと、気を楽にしてよ。さあ、このロウ様に愛してもらいましょう。わたしも、あなたと一緒にロウ様に愛してもらうのが愉しみなのよ。心を委ねて……。それに、ロウ様はとてもお上手よ」
スクルズが愉しそうに笑った。
「ス、スクルズ、お前、なんでこんな男に──。と、とにかく、スクルズ、お前になら屈する。屈するから、この男をどこかにやってくれ。魔道でこいつを金縛りにしてくれ。頼む」
「ロウ様をどこかにやってどうするのよ、ベルズ。このロウ様の精をもらわないとならないのに……。変なベルズね」
スクルズがくすくすと笑ってベルズの乳房を揉み始める。
ベルズが声をあげた。