【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
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「んんんっ」
しばらくのあいだ、イットとエリカは、女同士の深い口づけを交わしていた。「ねっとり」という言葉が相応しいエルフ美女と獣人美少女ふたりの艶めかしい接吻であり、むさぼるように舌を舐め合い、唾液をすすり合い続ける。
まあ、とにかく淫靡だ。
そのあいだも、マーズとユイナとミウがイットの身体をくすぐり続けている。イットは必死に耐えている。
一郎は、愉しく、その光景を見物していた。
そして、イットが顔を振って口を離す。
「あ、ああ、もう、漏れます、エリカお姉ちゃん──。桶を……。桶を当ててください──。ひゃあ、ひゃ、ひゃあ、く、くすぐらないでえええ──」
エリカがやっと口を離すやいなや、イットが切羽詰まった大声をあげる。
イットの身体は尿意を我慢するあいだに流れ続ける脂汗でまみれ、さらに全身は小刻みに震えている。
さすがに、多分、もう限界だろう。
そもそも、一郎が与えた尿意は、すぐに失禁してもおかしくないくらいのものだった。
ここまで耐えただけでもすごい。
しかも、エリカの命令で高尻の格好で固定されている全身をユイナとミウとマーズからくすぐり続けられているのである。そして、ブルイネンの尻舐めだ。
両腿だって、粘性体により開脚をさせていて密着することも許してない。
さすがは、最強の獣人戦士だ。
それこそ、必死に尿道付近の筋肉を締めつけているのだと思う。
「ふふふ、みんな、もういいわ。じゃあ、お姉ちゃんが桶をあててあげるわね。その代わり、ちゃんとその中にするのよ。こぼせば、お姉ちゃんが罰を与えちゃうかもね」
エリカがくすくすと笑いながら、金桶を持ってイットの後ろに回る、
一郎は笑ってしまった。
いつもは、真面目なのに、童女責めをさせると、まるで人が変わったようにしつこい嗜虐癖を発揮する。
まるで酔っているかのようだが、そんなエリカも悪くないなと思う。
「これは、しつこいエリカが表に出てるな」
「ほんと。いきいきしちゃって」
横にいるシャングリアとコゼがちょっと呆れているような口調で言った。
「あら、まだよ。獣人ちゃん。わたしの番なんだから、おしっこはその後にしてちょうだい」
そのとき、イットたちのところに移動したケイラ=ハイエルこと、亨ちゃんがイットの前に回って言った。
「ああ、そんなあ」
イットが泣き声をあげる。
それはそうだろう。
やっと、放尿を許されると思っていたはずだ。それなのに、もう一度責められなければならないというのは、かなりの心の打撃に違いない。
可哀想になあ……。
一郎はにやにやを隠すことができない。
「ちゃんと我慢するのよ、獣人ちゃん。もしも、漏らしたら、お兄ちゃんの持っている痒み剤を塗って放置するわよ。痒み責めがお好みなら、おしっこをしてもいいわ」
亨ちゃんは意地の悪い微笑みを浮かべて、イットの頭を優しく撫でる。
イット歯を喰いしばっている。だが、息もかなり荒い。
そして、口を開く。
「わ、わかりました……。お尻を舐めてください。でも、早く、お願いします」
「ふふ、可愛いわあ、イット。痒み責めでもいいのよ。お姉ちゃんが筆で掻いてあげるからね……。ユイナ、それ貸して」
エリカがユイナがさっきまで使っていた鳥の羽根束を持って、たくしあげて露出しているイットの乳首をさわさわと下からくすぐった。
「ひゃああああ」
イットが拘束されている身体を暴れさせて逃げようとする。しかし、粘性体でしっかりと包んでいる高尻の姿勢はほとんど崩れない。
逃げようのない胸をエリカが執拗に刺激する。
「わっ、エリカさんって、こんなんなのねえ」
唖然としているのはユイナだ。横のマーズも同じように呆れている。
「こんなんです。あたしも何度かお相手をしました」
一方で、童女好きのエリカの性癖の相手をしたことのあるミウは、そのときのことを思い出したのか、いやな顔をしている。
「ふふふ、じゃあ、いくわよ。イットちゃん。お兄ちゃんに躾けられた舌責めを受けてね」
亨ちゃんがイットの後ろにまわり、ほかの女たちの唾液で濡れているイットのアナルに口づけをした。
「ひゃん」
イットはその刺激だけで、身体を跳ねあげる。
しかし、亨ちゃんは両手でイットの尻たぶを横から持って逃がさない。一方で、エリカはエリカで、どん引きぎみのほかの女たちを尻目に、イットの身体をくすぐり続けている。
また、一郎には、亨ちゃんがなにをするのかわかった。
祥ちゃんを相手にして、お互いにさんざんにやらせた舌をアナルに挿入する技を試すつもりだろう。
あの頃も愉しかった……。何十年にもわたって亨ちゃんと祥ちゃんを調教し、百合の絡みも徹底的にさせたっけ……。舌を抽送する技だって、お互いにやらせるだけじゃなく、一郎のアナルに舌を挿入させたこともある。
気持ちよかったし、面白かった。
いい前世の思い出だ……。
あれ?
前世でなくて、仮想空間?
どうにも、亨ちゃんと祥ちゃんのことになると、一郎の記憶も混乱する。
「ひゃああああ、やああああ」
そして、イットのお尻に密着させている亨ちゃんの顔が前後左右に動いている。舌をイットのアナルに挿入して激しく抽送しているのだと思う。
「もう、だめえええ──。お姉ちゃあああん──」
拘束されているイットの身体が限界まで弓なりになった。
次の瞬間、イットの股間から一錠の水流が激しく迸る。
「おっと」
だが、その放尿は床を塗らすことなく、エリカが素早く差し出した金桶に受けとめられる。
「あああ」
イットがぶるぶると震えながら、奔流を金桶の底に叩きつけ続ける。
「ふふふ、これで罰決定かな?」
亨ちゃんがイットのお尻から顔を離して、くすくすと笑った。
一郎は立ちあがって、イットのところに向かう。
やっと、イットの放尿が終わる。
一郎は、亨ちゃんと場所を入れ替わり、ズボンを下着ごとおろして、怒張を露出した。
「まあ、痒み責めは今度にしよう。今日はこれで勘弁してやるさ。そして、頑張ったご褒美に、今日の仕返しの場は作ってやるぞ。イットがエリカを責めるといい。今日の仕返しをしてやれ」
「仕方ないですねえ……。そのときは責められるわ。遠慮しなくていいからね、イット。ああ、愉しかったあ」
エリカはご機嫌だ。
童女好きの性癖が満足できたからだろう。
それはともかく、一郎は怒張を、亨ちゃんが舌を挿入したばかりのアナルにあてがう。
たくさんの女の唾液で濡れほぞっており、潤滑油はいらないだろう。
「あっ、ああっ」
一郎の男根が自分の体内に侵入しはじめると、イットは粘性体で包まれている両腿の筋肉を突っ張らせて、呻き声を張りあげる。
だが、すぐにその声が甲高い嬌声に変化した。
一郎は、早速、律動を開始した、
イットのアナルの中の快感に場所を的確に怒張の先端で押し擦って快感を与えつつ、怒張の抽送の速度をだんだんと早めていく。
「ほら、気持ちいいか、イット? みんなの踏み絵になってくれたお礼に、世界一贅沢な快感を味わわせてやろう。独裁官のアナル挿入と、女王ふたりの責めを併せた三人がかりの奉仕だ──。ガド、イザベラ、イットに奉仕しろ──」
一郎は声をかける。
張り切って立つガドニエルと、嘆息しながら動くイザベラの気配を背中で感じた。
ふたりがやってくる。
「イット殿、いくぞ」
「わたしもですわ」
イットの両側にしゃがみ、左右からイットの胸を揉み始める。
「じゃあ、エルフ族長老の口づけもさせてもらおうかしら」
亨ちゃんが前に回って、イットに口づけをした。さっきと同じように、舌をイットの口の中に挿入して激しく出入りさせる。
「んふうううっ」
四人掛かりの責めに、イットは亨ちゃんから唇を離して、反り返るようにうなじを浮きあがらせる。次いで、咆哮に似た悲鳴をあげた。
絶頂したのだ。
一郎は、肉層をぎゅうぎゅうと締めつけくるイットのアナルに、おもむろに精を放った。
「よし、終わりだ。ミウ、身体を洗浄してやってくれ」
一郎はイットから怒張を抜くとともに、粘性体を消滅させた。
イットが脱力して身体を横倒しになる。
「はーい。イット、お疲れさまあ──」
ミウの魔道がイットを包むのがわかった。
一瞬にして、イットの身体から汗などの体液が消えていく。
「ベアトリーチェ、ぼうっとしないのよ。ロウ様のおちんぽをお舐めしなさい。お掃除よ」
すると、エリカが言った。
一郎の女たちは、なんだかんだと積極的な女傑たちが多いので、ベアトリーチェが加わったばかりということで、気を使って、声をかけたのだろう。
「あっ、はい」
ベアトリーチェが慌てたように一郎の前にやって来てしゃがむ。
イットのアナルに入っていた一郎の男根を口の中に含んで舌を使い始める。ベアトリーチェの舌使いは、奴隷宮で調練を重ねたらしく上手だ。
まだ、ほかの令嬢たちは味わってないものの、王都に戻り、彼女たちの相手をするのは正直愉しみではある。
性技の訓練を徹底的に受けるとともに、全身の性感帯の開発を尽くした処女軍団である。
もっとも、天道教の教団の令夫人を含めた彼女たちを抱くのは、王都に戻って、時間を置いたことで、集団心理の勢いから心変わりをした者たちが抜け終わってからと決めている。
まあ、あの感じだと、相当数が残りそうだが、七十三人の処女の令嬢と約三十人の令夫人たちのどのくらいが残るのだろうか?
「気持ちいいぞ、ベアトリーチェ」
一郎は股間を舐めるベアトリーチェの頭を撫でた。
「んん」
ベアトリーチェが口に一郎の怒張を奥まで含んだまま、嬉しそうに返事をした。
「さすがは、一番奴隷ね。ちゃんと、あたしたちを仕切ってるじゃない。あたしに、“待て”の合図なんてしちゃって」
コゼか揶揄うような声でエリカに声をかけた。
しかし、エリカがそんな制御をしていたとは気がつかなかった。そういえば、掃除フェラを一目散にやりにくるのは、コゼかミウだ。次いで、ガドニエルだろう。
洗浄魔道を指示していたミウはともかく、コゼがすぐに反応しなかったのは、そんなことがあったのだと思った。
「なんだかんだで、みんな、ロウ様にくっつきたいんだから、周り見て遠慮もしなさいよ」
エリカだ。
「はいはい」
コゼが肩を竦めたのが見えた。
「それにしても、一番奴隷のエリカだが、婚姻式が終われば、一番妻と呼ぶようになるのか? それとも、一番妃か?」
シャングリアが何気ない口調で言った。
「一番妻か、正妻でいいんじゃないか? 俺は王じゃないから、“妃”も“后”もおかしいだろう。正妻のエリカだ。婚姻式のときも、正妻の位置に立ってもらうし」
一郎はベアトリーチェの奉仕を受けながら言った。
「あっ、いえ、一番妻ということは、以前、お話いただきましたが、まさか、婚姻式のときに、わたしのようなみなしごがロウ様の隣に立つわけにはいきませんよ。隅っこで結構です」
すると、エリカが慌てたように言った。
「へええ、あんたって、女王ふたりに参加させる婚姻式に、エリカさんを正妻の位置に立たせようと思ってんの? どんな羞恥責めよ」
ユイナだ。
けらけらと笑っている。
「羞恥責めがお好みか、ユイナ? だったら、花嫁たちの介添え人をさせてやろう。痒み液の入ったディルド付きの貞操帯をしてな。介添え人用の透け透けのドレスも作ってやる。愉しみにしておけ」
「そ、そんなのやらないわよ──。あんたらの婚姻式に、どれだけの人間が見物すると思ってんのよ──」
ユイナが真っ赤な顔で怒鳴った。
一郎は笑った。
だが、ほんの思いつきだが、やろうと思う。すけすけでも、遠目からはわからないような布をマアにでも探してもらうか……。
「いや、ちょっと待ってください。実際の話、序列はどのようになるのでしょうか。正直、仲間内の中としてはどうでもいいのですが、ハロンドール王国側としては、ご主人様の右側に姫様が立つということができますか? ナタル側としてはどうなのでしょう? ガドニエル女王陛下の立ち位置について意見はありますか?」
すると、ヴァージニアが真面目な口調で口を挟んできた。
右側?
一郎の前世の知識では、右側が上位になり、通常は男側が右になるはずだ。これでも、結婚式場の派遣の経験もあるので、その知識はある。まあ、この世界には関係のないことだが……。
一郎とイザベラの関係だけのことなら、上位側がイザベラでいいが、今回はガドニエルの存在もあるので複雑だ。
「わたしは、どこでも……」
「いえ、形式上では、ロウ殿は、ガドニエル陛下の王配としての立場になりますので、ガドニエル陛下が上位となる右側になり、ロウ殿が左側ということを求めます。後々面倒になりますので、それだけはよろしくお願いします」
ガドニエルを遮って、ブルイネンが素早く口を挟んだ。
「ふたりともなにを言っているのよ──。お兄ちゃんを中心としたハレムでしょう。だったら、最上位であり、中心はお兄ちゃんよ。まず、そこから考えなさい──」
亨ちゃんがぴしゃりと言った。
いずれにしても、右側が上位というのは、この世界でも同じであり、ハロンドール側でも、ナタル側でも同じ慣習らしい。
どちらを上席としても、確かに問題が残るか……。
ここにいるお互いが納得しても、それぞれの国が後ろについているから、適当に決めるわけにはいかないのか……。
うーん。
「じゃあ、やはり、エリカが正妻の位置で俺の左側だな。左右に、ひとり分くらいの距離を開けて、俺たちの右側にガド、左側にイザベラにしよう。国としても、君主としても、ガドの経歴が長い。上席はナタル国に譲ってくれ、イザベラ」
一郎は言った。
「まあ、よいだろう。ヴァージニアもそれでよいな」
「わかりました。シャーラもいいよね」
「それで調整しましょう」
シャーラも頷く。
「まあ、妥当ね。お互いに側后の位置ということね。側后に、右も左もないから、それが一番いいかもしれないわね。ブルイネン、ラザニエルに連絡しといて」
「わかりました、ケイラ様」
亨ちゃんとブルイネンも同意した。
「な、なに言ってんですか──。そんなのわたしが目立つじゃないですか。いやです──。女王様たちを差し置いて、正妻の位置なんて──。隅っこです。隅っこでいいんです──」
エリカが絶叫した。
「国際問題にならないためよ。そもそも、エリカさんが正妻の位置なら、みんな納得するだろうし」
亨ちゃんが笑って言った。
「いやああ」
エリカは激しく首を横に振っている。
「こいつう。罰が欲しいのか?」
一郎は笑って、声をかけた。
「えっ?」
すると、エリカが顔を引きつらせて黙り込む。
「へええ……、エリカさんが正妻か……」
「そうなのですね。素敵です」
トリアとユニエルだ。一緒にいるモロッコも頷いている。
だが、エリカは、「正妻の場所などやだ。胃が痛い……」とか呟いている。顔色も悪い。
余程にいやなのだろう。
一郎はほくそ笑んだ。
「ところで、お兄ちゃん、婚姻式の妻側の衣装は白でいいのかしら? お兄ちゃんの感覚だとそうでしょう?」
亨ちゃんが訊ねた。
「まあそうだな。ただ、一か月という短い準備時間しかないし、それぞれの伝統衣装とかあれば、それでもいい。服装はこだわるつもりはないよ。俺の装束は準備も面倒だし、いつぞやの英雄式典のときのを使わせてもらおうと思っている」
「ご主人様の衣装はナタル側ということですね。まあいいでしょう。でも、ご主人様の装束はともかく、なぜ、妻側が白なのですか?」
ヴァージニアだ。
やはり、こちらの風習では、花嫁が白い衣装を身につける慣習はないようだ。いつぞやの、ヤッケルたちの結婚式でも、白い花嫁衣装ではなかった。
向こうの世界でも、十九世紀のヴィクトリア女王以前は、そんな習慣はなく自由だったはずだ。
「わたしたちの前世では、婚姻式で女側が白い装束を身につけるのは、夫の色に染まりますという意味があったのよ。ほかに、“純潔”の意味もあるわ」
亨ちゃんが応じた。
「純潔って……。わたしたちに一番似合わないかもね」
ユイナだ。
「いえ、純粋にロウ様だけを愛してますから、純潔です」
すると、ミウがはっきりと断言した。
「ありがとう、ミウ」
一郎はミウに微笑みかけた。
ミウが嬉しそうな顔になった。
「ガドは、ご主人様に染まりますわ──。白で準備します。ブルイネン──。すぐに手配しなさい。白です──。白の婚姻衣装です」
ガドニエルが怒鳴った。
「は、はい、すぐに」
ブルイネンが慌てたように応じる。
いずれにしても、婚姻式というのは、こうやってひとつひとつ細かいことを話し合って決めていく作業か──。
しかも、ハロンドールとナタル森林の両国が関係するのだ。
準備期間はほとんどない。
今回は、お披露目を目的とし、国の賓客の招待はせず、大々的な式典は、イザベラとアンの出産を終えてからと考えているが、それでも、もしかして、これはなかなか大変かもしれない……。
一郎は改めて思った。
「やっほ──。ご主人様が到着したって? あっ、いたいた。いらっしゃい、ご主人様──」
突然に明るい声がした。
振り返る。
いつの間にか、天幕の奥側にピカロがいる。
驚いたことに、服の中が完全に透けているドレスを身につけている。その一枚の下にはなにも身につけておらず、ピカロの裸身が服の布地を通してはっきりと見える。
ピカロもまた、南域から直接にこの戦場に送り込んだのだが、ここで陣を張らせたイザベラたちとは別行動で、王軍の入っている砦側に、従軍娼婦として潜入させていたのだ。
ピカロは見た目だけなら絶世の美女だ。
将校専用の娼婦として十分に通用する。娼婦の主人を操って娼婦として潜り込めば、簡単に情報収集ができる。
だが、一郎の到着の連絡を受けて、魔道で跳躍してきたのだろう。
瞬間移動系の魔道は、砦では使用不能になっているはずだが、サキュバスであるピカロには、なんらかの手段があるのだと思う。
「おお、ピカロか──。どのような感じなのだ、砦側は?」
イザベラがピカロを認めて言った。
「仲間割ればかりさ。士気は最悪。苛立っていて、娼婦に暴力振るうし、逃げる兵は多いし、まあ、放っておいても、二、三日で落城するんじゃないの」
すると、ピカロがあっけらかんと言った。
「司令官のリンはどういう感じなのですか?」
シャーラが訊ねた。
「うーん。そいつは、ぼくを抱きに来ないからねえ……。だけど、ちょくちょく、外からの連絡者と接触しているみたいだよ。将校たちが言ってた。まあ、そのリン将軍が一番に苛立っているかな。降伏しましょうって進言するやつは多いみたいだけど、片っ端から牢に入れてるみたいだよ」
ピカロが言った。
「外の連絡員と言ったかしら?」
亨ちゃんだ。
「うん、多分、フォックスって男が送ってる連絡員だと思うよ」
「フォックスだと──?」
ピカロの言葉にイザベラが強く反応した。