【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「はああ?」
イザベラは思わず声をあげた。
身につけているものをすべて脱いで着替えというロウからの伝言とともに差し出されたのは、かごに入った四個の腕輪だった。いや、ひと組については足首に装着するアンクレットだろう。
いずれにしても、これは服などではない。
ただの装飾具だ。
「わ、わたしに裸で凱旋式に出よと申しておるのか──」
イザベラは思わず目の前の侍女たちを怒鳴りあげた。
三人がたじろぐのがわかった。
その姿に接し、イザベラは少し冷静さを取り戻して、大きく息を吐いた。
「すまん……。あの男の悪ふざけであることはわかっている。もしかして、準備してあるのは、これだけか? 装束は?」
ロウがなんと言おうと、全裸で凱旋式に出るつもりはないが、そうなると別の衣装が必要だ。
それは準備してあるだろうか?
「あのう……。いえ、それだけで……。ロウ様から予備を準備することは禁止されてしまって……」
デセルが申し訳なさそうに言った。
イザベラは心の中で舌打ちした。
まあ、イザベラさえ逆らえないのに、この侍女たちがロウの言葉に逆らえるわけないか……。
しかし、どうしたものか。
そして、イザベラはふと気がついた。
かごの中にある四個の輪が魔道を帯びているのだ。
「これは魔道具だな……?」
イザベラは魔道遣いではないが、多少の魔力は持っている。だからこそ、姉のアンではなく、イザベラが王位継承をしたのだ。
目の前の品物が魔道具であるか、否か程度の判別はつく。
「そうなのですかあ?」
かごを持っているのはユニクだが、そのユニクは首を傾げている。
「とりあえず、装着してみるか……。つけてくれ」
イザベラは言った。
服を脱いでから身につけろという伝言のようだが、あの男の持ってくる魔道具は、十のうち十が淫具だ。
なにをされるかわかりはしない。
裸になるのはとりあえずやめだ。
「かしこまりました」
侍女たちがイザベラの手首と足首に、四個の輪をそれぞれに装着していく。
「んっ?」
装着してもらいながら思ったが、かすかだが、ぱちんぱちんと小さな音が鳴る。どうやら、イザベラが身につけている指輪や王笏に反応しているようだ。
それらはイザベラが身につけている魔道具でもあった。もしかしたら、魔道具と魔道具で反撥しているのだろうかと思った。
そして、四個目の輪が最後の左足に嵌まった瞬間だった。
全身を強い魔力が包むのがわかった。
やっぱり、魔道──?
そして、次の瞬間──。
身につけているものがすべて消滅した。
「うわっ、ひゃあああ──」
驚きすぎておかしな声が出てしまった。
イザベラは、生まれたまんま素っ裸になっている。
いや、王笏や指輪が宝珠などの王族としての防護具は残っている。王笏も含めてそれらは魔道具でもあるのだ。輪を身につけているときに魔道同士が反撥している気配があったので、それは弾かれたのかもしれないが、それ以外の衣類はすべて、下着はもちろん、履き物に至るまでなくなっていた。
いや、髪飾りは残っている。これは髪が崩れないための魔道具だった。
「な、なんなのだ──」
思わずその場に座り込む。
「あっ、どうかされました、姫様──」
「どうしたのですかあ?」
侍女たちが慌てたように寄ってきて身体を支えた。
イザベラは両手で身体を隠しながら顔をあげる。
「ど、どうしたも、こうしたもあるか──。布を──。なんでもよいから、身体を隠すものを持ってこい。そ、それとロウ殿を呼ぶのだ──。すぐにだ──」
怒鳴った。
「ロウ様はすぐに来ると思います。そうおっしゃられてました。それよりも、皺になりますので、申しわけありませんがお立ちに……。椅子を持って参ります……」
クアッタだ。
そして、すぐに椅子が運ばれてきた。
「どうぞ、姫様。でも、びっくりしました。素敵な軍装です。格好いいですう」
ユニクが笑った。
軍装?
イザベラはしゃがんだまま訝しんだ。
「軍装? 素敵なドレスには違いないけど、これのどこか軍装なのよ、ユニク」
デセルがけらけらと笑う。
だが、イザベラははっとした。
もしかしたら、彼女たちには、イザベラが服を着ているように見えるのか?
いや、そうだ。
そういえば、最初に、クアッタも皺になるとか話していた。
そういう魔道具か……。
イザベラは悟った。
他人には服を身につけているように偽装させる魔道具──。実際に身につけさせられるのは初めてだが、ロウがそういうものを作ったことはあるというのは誰かが言っていた。
“イミテーション・リング”とか名付けていたはずだ。
「おう、よく似合うぞ、イザベラ。エリカとガドは、すでに準備が終わった。エリカはさんざんに文句を言ったから責めを追加したが、大人しくすればなんでもない調教だ。ただ、その格好で凱旋馬車の上で挨拶をするだけだ」
ロウの声がした。
顔をあげると、天幕の入口にロウがにやにやして立っている。
イザベラはしゃがんで乳房を両手で抱きしめたまま、ロウを睨みつけた。
「ロ、ロウ殿──。冗談ではないぞ。わたしにこの格好で外に出ろというのか──」
「なんの文句があるんだ。よく似合っているぞ」
ロウは笑っている。
「そうですよ。よくお似合いですよ」
「ええ、綺麗です」
「本当に素敵です。よくわかりませんが、魔道で出した服ということですかあ?」
クアッタ、デセル、ユニクがイザベラを宥めるように口を挟む。
「ああ、よく似合っている。多分、評判になる。いや、絶対だ。今日の一日でイザベラ女王の姿は強く王都の住民の潜在意識に残るのは間違いない。艶やかさと色っぽさでな」
ロウが笑った。
「ところで、ロウ様の装束も素敵ですねえ」
ユニクがロウを見て言った。
ロウはさっきまでの冒険者のような軽装から着替えていて、身体をゆったりとした黒っぽい布で包んだような服装をしていた。
上半身の部分は合わせ布になっていて、北側のエルニア国の装束のような感じだ。
「おマアが準備してくれてな。
ロウは言った。
まあ、確かに似合っているとは思った。
それはとにかく、ロウがいつもよりも、しっかりとした正装をしているものだから、全裸の状況であることがさらに羞恥を誘う。
「そ、そなたばかりまともな格好で、わたしばかり、こんな格好をさせるつもりか──」
「それが調教だろう?」
「ちょ、調教って……」
イザベラは歯噛みした、
調教と言われれば、それは受け入れなければならないとわかっている。
しかし、まさか全裸でなど……。
流石に躊躇してしまう。他人には服を身につけているように見えるとはいえ……。
「いいから、観念しろ」
ロウがこっちに近寄ってきて、イザベラの腕をがっしりと掴んだ。
強引に立たされる。
「うわっ」
イザベラは思わず、ロウの腕を掴んだ。
「きゃあああ」
「ひゃあああ」
「うわっ、姫様──。どうして裸に──?」
その瞬間、三人の侍女が悲鳴をあげた。
すると、ロウがまたもや声をあげて笑った。
「最初に言っておくべきだったな。その四個の“新イミテーション・リング”は、俺が淫魔術で作ったんだが、淫魔師である俺の腕を掴むと、インミテーションの効果が消える。いまはこの三人だけにしか解除されなかったが、外に出たときには、俺の腕には触らないことだ。大勢の見物人の前で裸をさらすことになる」
「くだらぬことを……。そ、それなら、おぬしがわたしに触れた瞬間に、わたしは恥を晒すということなのか──?」
ロウはいまだにイザベラの腕を掴んでいる。
そのため、しゃがむことはできないため、掴まれていない手で慌てて自分の股間を隠した。
「いや、俺が触る分は問題ない。しかし、イザベラ側から触れば魔道効果がなくなるということだ。だから、俺の腕だけは自分から触りにいくな。逆にいえば、自分から俺の腕に触らない限り、裸になることはない」
ロウは言った。
イザベラは項垂れた。
おそらく、なにを言っても無駄なのだろう。
こいつは、絶対にこのまま、イザベラを凱旋パレードに連れ出すつもりに違いない。
「それと、もうわかると思うけど、本人と俺以外については、普通に服を着ているように魔道が込められている。しかも、見ている者それぞれが、もっとも美しいと感じる装束を脳内で記憶として作りあげるんだ。多分、話題になる。何千という見物人のそれぞれが違う装束を見るのだからな」
さらにロウの説明が続く。
見ているもののそれぞれに、印象を変える偽装魔道具など耳にしたことはないし、もしも、存在すれば、王宮の宝物庫に収めるほどのものだ。
しかし、それほどの宝具を、こいつはこうやって女の調教に使うのだ。
「へえ、すごい……ような……」
「いや、すごいよ」
クアッタとデセルがぼそりと言った。
「ほかにも、細々と色々も細工をしたぞ。あっ、わかっていると思うけど、最初に消滅した衣類は、すべて俺の亜空間に自動的に収納された。凱旋パレードが終わったら返してやる。いずれにしても、最近になって、俺にも、こうやって仮想空間内で想像で淫具を作れるようになってな。まあ、効果については心配するな」
「心配などしておらん──。もうよい。わかった。命令には従う。だ、だが、本当なのだろうか──。本当に大丈夫なのだな──。わたしが裸であることはばれぬのだな──?」
「ああ、問題ない……。イザベラが俺の腕にさえ、触らなければな」
ロウはにやりと笑った。
「はああ……。つまり、これも調教なのだな……?」
イザベラはなかば諦めの気持ちで訊ねた。
「ああ、そうだ。これは調教だ──。逆らうことを禁止する」
ロウがきっぱりと断言する。
イザベラは嘆息した。
なら、諦めるしかない。
調教は受け入れるのだ──。
これは、イザベラがロウと最初に約束をしたことである。
しかし、正直に言えば、怖い……。
まさか、全裸で外に出るなど……。
「イザベラは妊婦だからな。その四個の腕輪と足輪が身体を守ってくれる。身体が冷えることもない。さあ、行こうか」
ロウがイザベラの足もとに履き物を出す。
長さの短い革靴だ。
しかし、かかとの部分が短い鎖で繋がっている。
「これも魔道具……、いや、淫魔具というべきかな。見物人のひとりひとりが想像する装束に合わせて、見た目の外観が変化する。足を入れろ。それで自動的に靴が足に合わせて縮まる。脱ぐときには俺の淫魔術が必要だがな」
ロウがイザベラの腕を掴んで支えるよう仕草をする。
イザベラはもう一度嘆息した。
抵抗は諦めた。
イザベラは素直に片脚ずつ、靴に足を入れる。
ぴったりと足に靴が包まれて足首が締めつけられた。
「くっ」
「じゃあ、行こうか、姫様」
ロウがにやにやと笑いながら右腕を出す。
イザベラはその腕に左手を乗せた。
右手には王笏を持ったままただ。
しかし、いよいよ天幕の外に出ようとする段階になり、恥ずかしさでその右手で胸を隠すようにしてしまう。
すると、横でロウがくくくと笑う。
「普通にしてないと不自然だぞ。堂々と丸出しにしてろ」
「ど、堂々となどできるか──」
イザベラは吐き捨てた。
だが、胸を隠すのはやめる。
外に連れ出される。
革靴が短い鎖で繋がっているので、ゆっくりとしか歩けない。他人からは服を身につけているように見えるのだろうが、これもまた、早足で立ち去れないようにというロウのいやがらせに違いない。
天幕の入口が開けられて、外の日差しがイザベラの裸身を照らす。
そして、さっと外気が身体に触れた。いよいよ恥ずかしさに身体が竦む。
すると、一斉に拍手が鳴り響いた。
「うわっ」
天幕の外には大勢の王兵が集まっていたのだ。彼らがイザベラに向かって拍手をしたのである。
これだけの人間の前に全裸をさらすなど……。
いや、これから王都中の民衆に裸身をさらさないとならないのか……。
またもや、その場に蹲りたくなるのを懸命に耐える。
「おお」というどよめきがあがる。
この連中にどう見えているのかわからないが、イザベラはまったくの全裸なのである。
とにかく、あまりもの羞恥で気が遠くなりそうだ。
しかし、イザベラの裸体を見ている気配はない。全員が感嘆するような表情を向けている。
「わお、姫様、お綺麗ですね」
声がしたのでそっちを見た。
コゼだ。
ほかにも、シャーラとミウもいる。
「ああ、よかった……。ロウ殿のことだから、姫様にとんでもない格好をさせるのではないかと。姫様、赤いドレスがよくお似合いです」
シャーラがほっとしたように声をかけてきた。
どうやら、シャーラには赤いドレスに見えるみたいだ。
「えっ、赤? 白でしょう?」
コゼが怪訝そうに言った。
「赤、白──。えっ、そうですか?」
ミウは首を傾げている。
「まあ、待て。それよりも、ガドとエリカはどうした。姿が見えないな」
ロウは言った。
すると、コゼが天幕と天幕のあいだを指差す。
「そこにいます。なんかしらないけど、隠れちゃって」
そのコゼだ。
示した方向に視線を向ける。
イザベラ同様に全裸のガドニエルとエリカが着替え用の天幕の影に隠れるように立っていた。
「ご、ご主人様……。は、恥ずかしいですがガドは頑張ります。で、でも、とっても緊張します」
「ロウ様、やっぱり、やめましょう。こんなの──」
しかし、そのガドニエルもエリカも顔を真っ赤にして、怖ろしく緊張をしているのがわかる。
ふたりとも両手を身体の前で組むように腰の前に置いていた。
脚は太腿をこすり合わせるように必死に密着させている。
イザベラには、ふたりとも全裸なのだが、やはり、ほかの者には衣装を身につけているように見えるのだろう。
また、エリカは少し苦しそうだ。
もしかして、ロウも口にしていたが、おかしな悪戯を追加されている?
しかし、こうして見ても、それがなにかはわからない。
いずれにしても、ガドニエル女王もエリカも、イザベラと同じように、全裸で四肢にリングを装着し、脚を鎖で繋がった革靴を履かされていた。
「つべこべ言うな、エリカ──。それとも、尿意を倍にされたいか?」
「い、いえ……」
エリカが顔を引きつらせて首を横に振る。
どうやら、エリカには尿意の悪戯をされているのか……。このところのロウの悪戯の流行みたいになっているようだが……。
「さあ、出発だ。ガドは俺の横に来い。エリカたちは後ろからだ。念のためにミウは魔道で結界を頼む。さあ、みんな、凱旋馬車に乗るぞ──」
ロウがさっと手あげて合図をした。ミウが「はーい」と元気な返事をした。
近衛兵が並び、馬車までの道を作る。
ロウが両腕を出す。ガドニエル女王とともに、ロウの左右に立ち、ロウの腕に手を乗せる。
ロウがゆっくりと脚を進める。
イザベラは、仕方なくロウとともに全裸で歩きだした。後ろからは、エリカ、コゼ、シャーラ、ミウが続く。
「……ところで、俺の腕にもカモフラージ・リングがついているのがわかるか」
すると、歩きながら、ロウが言った。
ちらりとロウの手首を見る。
気がつかなかったが、確かにイザベラたちと同じようなリングを身につけている。
「魔道具ですね……。しかも、ものすごく強い魔道がかかってますね……」
ガドニエル女王が小さな声で言った。
「淫魔具と言ってくれ。これも幻術が周りにかかる効果がある。周りの人間には、俺が実際になにをしているのかわからない。お前たちが抵抗しなければな」
ロウがくすくすと笑って、腕をおろすと、イザベラをガドニエルのお尻の後ろに動かして、いきなりアナルに指を這わせてきた。
「ひゃん」
「あっ、やっ」
イザベラとガドニエルは同時に淫らな声をあげるとともに、身体を折ってその場に立ち止まってしまった。
「どうしたの?」
「えっ?」
後ろにいるコゼとシャーラだ。
ふたりとも不思議そうな感じの物言いだ。
どうやら、ロウの言葉のとおりに、わかってないのだろう。
「しっかりと歩け、女王様たち」
ロウがすっとアナルに指を挿入してきた。油剤でも塗っているのか、ほとんど抵抗もなく指がイザベラのアナルの中に侵入されてしまう。
「んんんっ」
「あん、ご主人様──」
またもや、イザベラたちは甘い声をあげてしまった。
一方で、周りの近衛兵たちもざわめいている。
「いいから、歩け──」
ロウがお尻の穴に入れた指を容赦なく押してきた。
「ひゃっ」
「ああっ」
イザベラたちは歯を喰いしばって、必死に足を前に進めた。