【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「で、でも、この方たちが……?」
夫人が身体をこわばらせたのがわかった。
不安そうに、フォックスたちに視線を送ってくる。
一方で、おおよそこのことは、フォックスにもわかった。
ベンガル伯は、このトリスタンというタリオの諜報者に対する「接待」だと口にしていたが、この好色で悪趣味の男を満足させるために、仲介役のベンガル伯はこの商家の若夫人の夫に手を回して捕縛させ、その釈放の見返りとして、このトリスタンの性の相手をしろと脅したのだろう。
相手はただの平民であるし、それくらいの圧力をここの城郭兵にかけることは簡単だ。
トリスタンは、目の前の若い平民の美女に対し、スカートをまくれと命じていたが、つまりはそれで早速、いたぶっているということのようだ。
いずれにしても、目の前のトリスタンとやらは、これでもタリオ公国の重鎮であり、あの「円卓」の構成員だそうだ。
タリオの円卓のメンバーといえば、大公のアーサーに直接に仕える者であり、大物中の大物ということになる。
その円卓のメンバーに接触ができるのであれば、確かに、わざわざ平民の女を罠にかけて貢ぐだけの価値があるというものだ。
面食らったものの、フォックスは納得した。
そういうことであれば、フォックスとしても愉しむことに決めた。
もとより、こういうことは嫌いではない。
「俺たちのことは気にしなくてもよい。それとも、夫のためにできる限りのことをするつもりで、この場所にいるではないのかな?」
フォックスは口を挟んだ。
すると、トリスタンがフォックスに向けて白い歯を見せた。
同好の士とでも悦んでくれたのかもしれない。
「そ、それはもちろん……。できる限りのことはします……。ですから、夫のことをよろしくお願いします」
「なるほど、じゃあ、覚悟をもう一度見せてもらおうか。スカートをまくって、下着を見せるんだ」
再び、トリスタンが言った。
女はしばらく躊躇するように身体を静止させていたが、やがて覚悟を決めたように、すすすと、スカートの裾をたくし上げていく。
やがて、白い布に包まれた股間が貌を出した。
フォックスたちの視線を浴びて、女は羞恥に身体を震わせ、顔を横に向けて目を閉じている。
「よければ、一緒に愉しみましょう、閣下。この夫人の望みです。好きなように愉しんで欲しいそうですよ。なんでもすると頼むのです」
トリスタンが笑った。
フォックスは頷いた。なんだかんだで、好色であることについては、フォックスも負けてない。
夫を人質に、商家の若妻を弄ぶというのも、実に面白そうだ。
「それでは遠慮なく……。しかし、後ほど、仕事の話をしたいな。もちろん、この夫人の願いをかなえてからでいいが」
フォックスはトリスタンに視線を向ける。
すると、トリスタンは大きく頷いた。
「もちろんです。こんな趣向を準備してもらえる友人たちと、仕事の話ができるのは光栄です。そちらのご友人からは詳しい話を聞いています。大大丈夫です。きっと満足させる結果に終わることを約束します」
「期待している」
フォックスも頷き返した。
そして、視線を女に向け直す。
「ところで、女、お前の名は?」
フォックスは訊ねた。
「イ、イヴでございます。イヴ=ナイト……」
ナイト──。
姓持ちだ。
平民とはいえ、姓の名乗りを許されるのは、相当の分限者だと思う。かなり、裕福な商家の妻なのだろう。
「そうか。なら、イヴ、もっとスカートを上にあげろ」
「は、はい……」
イヴは泣きそうな顔になると、するすると腰の上までスカートをまくり上げた。彼女の身体が緊張で固くなるのがわかる。
イヴの下着が完全に露わになった。
なるほど、こういう遊びも愉しいものだと、フォックスも思った。
「そのままだ。許可なく、スカートをおろせば、今回の話はなかったことにする」
トリスタンだ。
すぐに犯すのではなく、ねちねちと辱めて愉しむのが趣味なのだろう。そういえば、ベンガル伯も、トリスタンがそんな性癖の持ち主だと言っていたか……。
「あ、あのう……。できれば、別の場所で……」
すると、イヴが泣きそうな表情で、トリスタンとフォックスの両方に交互に視線を向けてくる。
「別に強制してはない。好きなときに出ていくといい。お前の夫が、今日か明日には牢内で拷問死することになるだけだ。どこにでもある話だ。珍しいことではない」
トリスタンが言った。
だが、出ていく?
この部屋は一見して高級料理店の個室にように見えるが、娼館の一室であり、このイヴがひとりで出ていくなど不可能だろう。フォックスたちも、案内を受けてこの部屋に入ったのであり、廊下は迷路のように入り組んでいたし、あちこちに見張りも立っていて、とてもじゃないが逃げ出すことなどできそうな感じではなかった。
すると、ベンガル伯がテーブルに大きく身を乗り出すようにして、フォックスの耳元に口を寄せてきた。
「……この夫人はここがどこかは知りません。高級料理屋の個室だと思わせています。ここには目隠しをして連れ込んだのです……」
ベンガル伯の言葉にフォックスは頷いた。
「あ、ああ……。夫については……。あ、あのう、約束してください。夫を釈放すると……」
一方で、イヴが哀願の言葉を口にした。
「お前の心掛け次第だな。では、服を全て脱いで、椅子の上に置け」
トリスタンが言った。
イヴが顔をあげて、愕然としたような表情を向ける。
「こ、ここでですか──?」
イヴは呆然としている。
犯されることはすでに覚悟はしているのだろうが、まさか、ここで服を脱がされるとは思っていなかったのだろう。
「私になんでもすると、最初に口にしたと思ったがね? それは嘘だということか?」
トリスタンが突き放すような物言いをする。
「い、いえ……。う、嘘じゃありません……。ただ……」
「ただ?」
「い、いえ、なんでもありません……。夫のことだけは、お願いします……」
イヴは扉を気にするような素振りをしてから、身につけているものを脱ぎ始めた。
そして、まずは、上下の繋がっている服のベルトを外し、背中側のボタンを外して、服から腕を抜くと腰に向かって一気に押し下げる。
ひどく緊張をしているのがわかる。
何度も扉を見るのは、もしも、外から誰かが来れば、すぐに身体を隠そうとでも思っているのかもしれない。
脱いだ服が椅子の上に置かれる。
上下の下着姿になったイヴは、さすがに背中を丸めて、太腿をもじもじと擦り合わせている。
「全裸だ──。早くしろ──」
フォックスは怒鳴った。
「うう……」
一瞬だけイヴは顔をあげて辛そうにこっちを見たが、すぐに観念したように胸に巻いていた布を取り去る。
貌は真っ蒼だ。
両手で強く乳房を抱きしめている。
「残り一枚だな」
トリスタンの声にイヴは首を横に振った。
「これ以上は無理です……。できません」
すると、トリスタンが不快そうに鼻を鳴らした。
「わかった。では、これで終わりにしよう。お前の夫への訊問は、中止するように指示しているが、すぐに開始するように命令する。帰っていいぞ」
「ま、待ってください。脱ぎます。すぐに……」
イヴは身体を屈めて、残っていた腰の下着をおろしていく。ついに全裸だ。身に着けているのは靴だけである。
イヴは脚を折ったまま、足首から下着を抜いた。
その下着も椅子の上に置く。
「こっちに来て、お二人に身体をお見せしろ」
ずっと黙っていたベンガル伯が冷酷な口調で言った。
だが、イヴは中腰になって身体を曲げたまま動かない。必死に両手で裸身を隠して、身体を震わせている。
「聞こえないのか──」
ベンガル伯が大声で怒鳴った。
「あっ、はい……」
イヴが手で裸身を隠したまま、フォックスとトリスタンのあいだまで歩いてやって来た。
「真っ直ぐに立て。手は身体の横だ」
フォックスは笑いながら言った。
「うう……」
イヴが曲げていた身体を伸ばした。身体を隠していた両手を体側に移動させる。
羞恥と緊張のせいだろう。身体は震え続けている。
そして、屈辱に歯を喰いしばっている。
恥毛は薄い方だろう。平民の女にしてはもったいないくらいに綺麗な肌だ。かなり裕福な商人の妻なのだろうと思った。
「いい身体だ……。じゃあ、そろそろ、試してやろう。自分の背中側で手錠をかけろ」
トリスタンが懐から一個の手錠を出して、床に放った。
「えっ?」
イヴが呆気に取られている。
次の瞬間、トリスタンが急に立ちあがった。
そして、凄まじい勢いで、イヴの頬を平手を張った。
「きゃあああ」
イヴが悲鳴とともに、横に倒れた。
「勝手に倒れるな──。足を踏ん張らんか──」
トリスタンは人が変わったように激怒の姿を見せると、倒れたイヴの髪を掴んで強引に立ちあがらせる。
そして、再び平手を張る。
「ぎゃあああ」
イヴの膝が折れる。
しかし、今度は倒れなかった。
そのイヴに、またもやトリスタンがびんたする。
横で見ているが、女のイヴに容赦のない男の力による平手だ。イヴの顔に恐怖が走るのがわかった。
「やめてええ──」
イヴが両手を頭を抱える。
「おっ、勝手に姿勢を崩したな。じゃあ、これで終わりだ。手錠を自分にかけろという命令にも従わんようだし、無駄な時間だったな」
トリスタンが冷たく言って、外に出ていく素振りになる。
もちろん、脅しだろう。
本気でないことは、フォックスにもわかる。
「ああ、待って──。お待ちください──。命令に従います。従いますから──」
イヴがはっとしたようになり、慌てたように床の手錠を掴む。
自分から後手で手錠をかけた。
再び立ちあがる。
「申し訳ありませんでした。手錠をかけました──」
イヴがトリスタンに叫んだ。
トリスタンが足をとめて、イヴに身体を向ける。
「やっとか──。ぐずな女だな。なんでもするというわりには、抵抗もするし、文句も多い。どうしようもない」
トリスタンが座り直す。
「も、申し訳ありません。なんでもします。心を入れ替えます。ですから、出ていかないでください。お願いします──」
イヴは必死の口調だ。
トリスタンが満足そうに頷いた。
「いいだろう。今度、逆らえば、話は終わりだぞ」
「わかりました。お慈悲に感謝します……。で、ですから、夫のことは……」
「まあ、お前次第だ。ところで、そろそろ、酒を運んでもらおうか……。それと、例のものもだ」
トリスタンがベンガル伯を見て言った。
「わかりました」
ベンガル伯がテーブルの上にある呼び鈴に手を伸ばした。
「あっ、そんな──。お願いでございます。ほかの方には見せないでください」
イヴがはっとしたように声をあげる。
「嫌なら好きなようにすればいい。ただ、そのときには、お前の夫が釈放される可能性がなくなるだけのことだ」
トリスタンが言った。
「そ、そんな……」
イヴが絶望的な表情になる。
一方で、フォックスは、なかなか、堂に入ったトリスタンの苛めぶりだと思って感心した。
こういうことに、慣れているのだろう。
フォックスはほくそ笑んだ。
トリスタンが鈴を鳴らす。
すぐに、酒と料理を載せたワゴンを押して女が入ってくる。
おそらく、この店の娼婦のひとりだろう。
「あら、いいところの商家の奥さんと聞いてましたけど、なんでそんな恰好に?」
すると、給仕の女は全裸で後手手錠で立っているイヴを見て相好を笑った。
「いやっ」
イヴが身体を折って、裸身を隠す仕草をする。
だが、女が気にする様子もなく、ワゴンの上にある酒や料理をテーブルに並べていく。
フォックスは、テーブルに並べていく酒や食べ物とは別に、ワゴンの下の段に丸い木桶があることに、フォックスは気がついた。
酒と料理の配膳が終わると、女は木桶をワゴンの上に置き直し、ワゴンごとトリスタンの前に持ってきた。
フォックスは、その中身に気がつき、思わずほくそ笑んでしまった。
桶の中身は、皮を向いた山芋だった。ねらねらと粘性の汁が表面を覆っている。それが五本ほど入っている。
「足を開け──」
トリスタンが桶からその中の一本を取り出す。
そして、イヴの股間に近づける。
「ひっ」
顔を真っ蒼にしたイヴが目を見開いて、後ずさりする。
「どこに行く。しっかりと立たんか──。足を拡げるんだ」
フォックスも立ちあがり、後ろからイヴを掴んで、前に押しやる。
「ひいっ、ひっ、いやあ、やめてください──」
イヴは悲鳴をあげて抵抗をしようとする。
だが、後手手錠のイヴを従わせるなど簡単だ。
山芋を持っているトリスタンの前に、イヴを固定する。
「しっかりと味わえ」
トリスタンがイヴの太腿のあいだに、山芋を無理矢理に差し入れる。表面の汁を塗りたくるように、前後に山芋をイヴの股間で動かす。
「ひゃあああ、いやあああ──」
イヴが竦みあがって身を捩った。
「ふふふ、天井から吊あげることもできますよ。準備しましょうか?」
すると、部屋の隅で見守っていたさっきの女が面白がるように言った。
フォックスは顔を天井に向ける。
なるほど、気がつかなかったが、天井には鎖を引っ掛けるような留め具があり、それを使えば、確かに、イヴを簡単に吊りさげることもできそうだ。
会食の個室のような場所だが、娼館の一画には変わりない。
だから、そんな仕掛けもあるのだろう。
「そうするか。準備してくれ」
トリスタンがイヴの股間に山芋の汁をなすりつけながら言った。
「かしこまりました」
給仕の女が壁をとんと叩いた。
すると、壁が開いて一面の棚が出現する。そこには、性具や拘束具のようなものがびっしりと並んでいた。
女がそこから鎖と首輪をとって、こっちにやってくる。
天井の留め具も、音を鳴らしながら下がってくる。そういう仕掛けなのだろう。
「いやあああ」
気がついたイヴが泣き声をあげた。