※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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 ちょっとリハビリを兼ねて別視点の閑話を投稿します。投降間隔が開いたことについては申しわけありません。

 *




939【閑話】ある令嬢たちの話

 いまでもはっきりと覚えておる。

 あの時の日付も、場所も、もちろんその相手も、さらに外の天気だって……。

 わたしが初めて性の興奮を感じたのは、九歳のときだった。

 

 伯爵家の令嬢にしては、わたしは随分と貴族らしくない子供時代を過ごしていたと思う。

 貴族が貴族らしく生きられる時代はまもなく終わり、身分に関係なく力のある者たちが国を動かすようになる時代が訪れるというのが、伯爵である父の持論だった。

 そんな変わり者の父は、令嬢であるわたしたちが階級主義にならないようにという思惑により、わたしたち姉妹を平民である家人たちの子供たちの輪の中で育つようにした。

 だから、わたしは平民である家人の子供たちと、毎日のように遊びまわるという幼少期を送っていた。

 

 木登り、追いかけっこ、土遊び、魚釣り、とにかく、男の子も女の子も関係なく、どろどろになるまで遊びまわった。

 まだ、大人に成長する前の分別のない時期だ。

 領主の娘であるとか、家人の子であるとか関係ない。わたしたちのリーダーは、ふたつ年上だった護衛長の長男であり、サブリーダーは庭師の三男だ。わたしとひとつ下の妹は、ほかの子供たちと同じで一羽ひとからげの家来であり、リーダーとサブリーダーの思い付きで、その日の遊びをするのだ。

 十一歳になって、マイムの貴族学校に入学して、貴族令嬢としての完璧な擬態を修得するまでは、わたしはそういう時代をすごしていた。

 輝けるわたしの第一期黄金時代がそこにある。

 

 あれは、長く雨の続いた日のことだった思う。

 その頃の流行遊びは、“ごっこ遊び”だった。

 つまりは、即興の演劇のようなものなのだが、それぞれに役が与えられて、それに扮して芝居のようなものをするというものある。

 ただ、台本のようなものはない。

 役に扮しているという以外は、好きなように喋り、好きなように行動する。それに対して、周りの者も、役に応じて演技を重ねるというものだ。

 まあ、ままごとの拡大版のようなものだが、いつも、最後は男の子たち同士の棒と棒の戦いになるというのが定番だった。

 

 そのときにやったのは、“魔王ごっこ”というものだった。

 悪役の魔王がいて、お姫様をさらって無理矢理に結婚しようとするのを、勇者たちが集まって魔王を退治し、お姫様を助けるというものだ。

 なんで、そんな話になったとかというと、その日にはわたしたちの中に、“本物”のお嬢様が加わることになったからだ。

 もちろん、その“本物”のお嬢様というのがわたしであるはずもない。

 実は、隣接する領地の令嬢様が遊びにくることになり、あろうことか、例によって、伯爵である父は、その令嬢様をわたしたちの遊び仲間内の中に放り込んだのである。

 正真正銘の貴族お嬢様を目の当たりにした男の子たちは、たちまちのうちに、この日のごっこ遊びのお姫様役を令嬢様にしたのである。

 まあ、わたしだって、実は本物の令嬢なのだが、男の子たちにはそんな概念などなく、わたしに与えられた役は、「魔王の家来その三」くらいだったように記憶している。

 

 そして、あのときの“ごっこ遊び”のことだ。

 なんだかんだで、令嬢様は平民との遊びも、ごっこ遊びも新鮮だったらしく、実にのりのりだった。

 心の底から愉しそうに、さらわれたお姫様役をやっていた。

 ちっとも気取らなくて、それでいて、貴族令嬢らしい気品さと、幼いながらも可憐さを醸し出している令嬢様に、男たちもあっという間に虜になった。

 また、令嬢様は気さくだった。

 さらわれのお姫様役として、両手を縛られるときも、さるぐつわを口にされるときも、にこにこと愉快がっていたし、抵抗する場面では、ちゃんと魔王たちに向かって、怖がったり、怒ったりする演技もしてくれた。

 本当に優しい令嬢様だった。

 

 そんなときに「事件」は起こった。

 両手を縛られたお姫様役の令嬢様が男たちに担がれて、牢代わりの物置に横たえられたとき、令嬢様のはいていたスカートがまくれ上がって、令嬢様の白い下着が露出してしまったのである。

 まだ、恥ずかしがるほどの年齢でもなかった令嬢様は、それについて気にも留めてなかったみたいだ。

 別にスカートを戻そうという素振りもなかったし、暴れる演技で脚をばたばたさせて、余計にスカートがまくれたりしたくらいだ。

 

 だが、男の子たちには、なんでもないことではなかったみたいだ。

 いまにして思えば、護衛長の長男は、年齢のわりには好色なませガキだったし、そもそもわたしたちよりも年齢も上だ。そろそろ、性の違いに興味を抱く時期だったし、考えてみれば、男の子たちはなにかにつれ、わたしたち女の子の身体に触ったりしていたような気がする。わたしが気にしてなかっただけだが……。

 だから、そいつにしてみれば、ちょっとしたいつもの悪戯程度のつもりだったのかもしれない。

 

 とにかく、魔王役のリーダーがなにを思ったのか、まくれたスカートから剥き出しになった令嬢様の下着に指を伸ばして、ぎゅっと股のところを指で押したのである。

 令嬢様は、びっくりした感じで、さるぐつわの下から呻き声を出した。

 家来役のわたしも、仰天してしまった。

 一緒に遊んでいるとはいえ、立派な伯爵令嬢なのだ。いや、わたしもそうなのだが、平民だか貴族令嬢なのかわからないようなわたしではなく、ちゃんとした伯爵家で貴族教育を受けているお貴族様なのだ。

 もしかしたら、これは大問題になる──。

 わたしにも、それは十分に予測できた。

 

 でも、魔王役の男の子は、なんでもなかったかのように、すぐに物置から出ていき、魔王の演技に戻った。

 すると、家来その一役の男の子も、同じように令嬢様の下着の上から股間を指で押して出ていった。

 家来その二の男の子も……。

 いずれにしても、その三で見張り役だったわたしは、目を丸くしていた。

 さすがに、やってはいけないことを男の子たちがしたということには気がついていた。

 我が家の方針など関係ない。

 平民である家人の子が、あろうことか、ちゃんとした貴族令嬢の股間に触れるという破廉恥なことをしたのだ。

 これはとんでもないことになったと愕然となってしまった。

 

 だが、同時にわたしは興奮もしていた。

 目の前には、なにも抵抗できずに股間を触られて、横たわっている可愛らしい女の子……。

 怒っているという感じではなかった。

 彼女もまた、自分にされたことに仰天しているようであり、そして、当惑している様子だった。

 

 このときのわたしは、どうしてあんなことをしたのか、いまだに、自分の気持ちを説明することができない。

 男たちは逃げるように物置からいなくなり、そこにいたのは、縛られているお姫様役の令嬢様と、見張りの家来役のわたしのふたりだけだった。

 わたしは、ごくりと自分の口の中にたまった唾を呑み込むと、さっきの男の子たちと同じように、令嬢様の下着をぎゅっと押した。

 男の子たちとの違いは、令嬢様が身体をびくりとさせて身体を捩じっても、彼女の身体を手で押さえつつ、下着を押している指を離さなかったことだ。

 令嬢様は、ちょっと必死に我慢しているような声を発し続けたと思う。

 やがて、令嬢様が急にぶるぶると激しく震え出した。

 わたしは、驚いて手を離し、慌てて物置から飛び出した。

 物置の外では、すでに魔王役と子たちと、勇者役たちの子の「戦い」が始まっていて、令嬢様のお股に手を触れた男の子たちも、何事もなかったかのように、それに加わっていた。

 わたしもまた、何事もなかったかのように、戦いに加わった。

 

 そんな思い出だ。

 

 令嬢様の優しいところは、そんなことがあったことなどなかったかのように、そのままごっこ遊びを続けたことだ。

 ごっこ遊びが終わってからも、令嬢様は気にしている様子もなく、本当に楽しかったといつまでも話していた。

 わたしも、あの物置の出来事を話題に持ち出すこともなく、夕食からは普通の伯爵令嬢としてのふれ合いに戻った。

 どっちから口に出すこともなく、それはわたしたちの秘密になった。

 

 そして、それからも、その令嬢様とのおつき合いは続き、いまでも無二の親友同士である。

 

 

 *

 

 

 わたしには、どうしても忘れることができない記憶がある。

 かなり長いあいだ、誰にも言えない思い出だ。

 

 とにかく、幼少時代のわたしは、貴族令嬢らしく窮屈で自由のない人生を送っていたと思う。

 わたしの父は、昔気質の貴族であり、娘であるわたしには、伯爵家繁栄のための道具としての立場しか求められていなかった。

 つまりは、家の繁栄にためになるための政略結婚だ。

 

 もっとも、それは最初からそうだったわけではない。

 伯爵家の長女として生まれたわたしだが、父と母のあいだには、女児であるわたししか跡継ぎがなく、十一歳になるまでは、わたしは跡継ぎの女伯爵になることを前提に教育を受けていたのである。

 ただ、かなりの詰め込みだったが、知らないことを覚える勉強は純粋に面白く、わたしにとっては充実した日々だった。

 将来の女伯爵として適する婚約者も準備され、頻度は少ないものの、その婚約者の男の子との関係も少しずつ深めていった。

 隣接領主との親交も大切だということで、九歳のときくらいから、父の主導のもと隣接伯爵領との定期的な交流も始めた。まあ、そうはいっても、まだ幼少といえる年齢のことであり、ただその家の子供と定期的に遊ぶというだけのものであるに過ぎないではいた。

 

 そして、忘れられない記憶というのは、いまでは親友という間柄である隣接伯爵の領地に遊びにいったときのことなのだ。

 交流のための訪問ということで訪れた隣接伯爵家には、わたしと同じ年齢の令嬢がいるということであり、わたしは愉しみにしている反面、緊張もしていた。

 そして、その伯爵家に、同行の母とともに到着したのだが、大人は大人同士、子供は子供同士で親愛を深めようということで、わたしはその令嬢に連れられて子供だけで遊ぶことになった。

 しかし、その遊びの場に到着して、わたしはびっくりしてしまった。

 

 およそ、貴族令嬢がする遊びとはまったく違う。

 集まっていたのは、家人の中でも平民の子供たちであり、もしかしたら近所の子供などもいたのかもしれない。

 やっていたのは、“ごっこ遊び”というものであり、お芝居のように役を与えられて即興でやりとりをするというもので、これがまたすっごく面白かった。

 なによりも、貴族令嬢扱いされずに、わたしに対等に接してくれるというのが新鮮だった。

 あっという間にその場の雰囲気が気に入ったわたしは、囚われのお姫様役をするということになり、のりのりでそれをやった。

 

 だが、“事件”は、そのときに起きた。

 

 そのごっこ遊びというのは、当時の彼らの流行であり、とにかく、本格的だった。

 囚われのお姫様ということで、本物の縄が準備されていたし、布でさるぐつわまで装着された。

 魔王役の男の子は、それらしい角の飾りをしたりして、また、勇者の持つ聖剣とかいうものも、色を塗ってそれらしく作ってあった。ほかのものもそうである。

 まあ、それはともかく、あの不思議な雰囲気の中で、わたしはすっかりと囚われのお姫様気分になり、やったこともないくらいに手足をじたばたと動かして、暴れ回ったりしてみせた.

 だが、そのときに、気がつかないうちにわたしは、スカートを暴れめくって、下着まで出してしまったのだ。

 普段の貴族令嬢としての服装ならそんなこともなかったかもしれないが、そのときには、汚れてもいいように、平民の子供が身につけるような短いスカートをはいていた。しかし、加減のわからないわたしは、脚を激しく動かし過ぎて、下着まで露出してしまったのだ。

 

 すると、突然に魔王役の男の子がわたしの下着でお股のところをぎゅっと押してきたのだ。

 なにをされたのかわからなかった。

 とにかく、びっくりして、わたしはそれを払い避けようとしたが、手首は背中で縛られているし、さるぐつわのために悲鳴をもあげられない。

 なによりも、気が動転してしまって、わたしは完全に身体を硬直させてしまった。

 男の子はすぐに立ち去ったが、家来役の男の子も同じようにわたしの下着を押し、また、次の男の子も同じことをした。

 わたしは、頭が真っ白になって、身体を硬直させるだけだった。

 なによりも、自分に襲った感覚がなんであるかわからなくて、どうしていいのか考えることができなかったのだ。

 

 いまにしてみればわかる。

 わたしは、縛られて下着の上から股間を押されて、ちょっと欲情してしまったのだ。

 でも、まだ九歳でしかないわたしには、理解できない感情と感覚でしかなく、それがわたしの頭を真っ白にしたのだと思う。

 

 そして、さらに、ひとりだけその場に残ったその家の令嬢が、わたしの身体の前に屈み込み、男の子と同様に下着をぎゅっと強く押してきた。

 びくりとしたが、その女の子は男の子と違って、指をなかなか離してくれない。

 暴れようとしても、簡単に押さえられてしまい、どうしても指をどけられない。

 やがて、得体の知れない感覚が襲いかかってきた。

 なにかが股間から込みあがり、さらに頭が白くなっていくような……。

 気がつくと、身体が震え、さるぐつわの下から出したこともないような変な声を出してしまっていた。

 すると、その令嬢も驚いた感じで逃げるように離れた。

 わたしの下着は、まるでお漏らしをしたように濡れてしまっていた。

 

 わたしは、おしっこを漏らしたことが、とにかく恥ずかしくて恥ずかしくて、誰にも気がつかれないように、そのことを隠しながら、ごっこ遊びを続けた。

 だから、男の子も、その令嬢も、わたしの粗相をまったく問い詰めなかったことにはほっとした。

 いまにして思うと、あれは、おしっこではなかったのは明白だが、九歳のわたしには性的興奮などという感覚は、完全に理解の外だったのである。

 

 とにかく、あれには、度肝を抜かれるほどに驚いたものの、総じていえば楽しい体験だった。

 その家の令嬢との付き合いは、それからも続き、わたしたちはいまでも無二の親友である。

 

 それから色々あった。

 わたしたちの人生は、とてもではないが平凡とは表現できない波瀾万丈だった。

 まあ、そんな混沌の時代であったというのもあるのだろう。

 

 弟が生まれたことで、わたしが後継ぎではなくなり、それまでの婚約者が家の都合で解消されるということがあったり……。

 

 その次の婚約者もキシダイン事件という出来事のあおりで、相手方が没落することにより破談になるということもあったり……。

 

 そして、親友となっていたあのときの令嬢とともに、園遊会事件に巻き込まれてたくさんの令嬢たちとともに監禁されたり……。

 

 天道様にお仕えするために性奴隷の修行を受けたり……。

 

 イザベラ様……次いで、ロウ陛下の御代を支える女官になって……。

 

 そして……。

 

 

 *

 

 

「よろしいでしょうか、主席政務官様?」

 

 エミールが書類を抱えてアドリーヌの執務室に入ってきた。若い男の文官をふたり連れている。

 アドリーヌは、書類から眼を離して彼らに視線を向けた。

 

「どうしましたか、エミール殿」

 

 “殿”などと継承をつけるのは、わざわざ“主席政務官”などと呼び掛けたエミールへのせめてもの当てつけだ。

 アドリーヌとエミールは無二の親友であり、九歳からの付き合いで、もう四十年にはなる。そんな堅苦しい言葉使いをする間柄ではない。

 

「ウラノス陛下からあった例の案件についてです。とりあえず、大綱計画について相談を……」

 

 執務室の中にある小テーブルに、エミールが連れてきた文官が書類を拡げだす。

 アドリーヌは、席をそちらに移動して、エミールたちから説明を受ける態勢になった。

 しばらくのあいだ、質問を挟みつつ説明を受けた。

 案件については問題はないようだった。

 疑問点の幾つかを確認し、小修正を加えて、ラン宰相に上申するように指示をする。

 エミールに同行してきた文官たちがほっとした表情になったのがわかった。

 

「じゃあ、修正をお願いするわ。わたしは、もう少し政務官殿と話があるから」

 

 エミールが部下を退出させる。

 扉が閉まると、エミールがにんまりと微笑み、アドリーヌに立つように言った。

 アドリーヌは大人しくその場に立ちあがる。

 

「ふふふ、さあ、あの連中が書類を修正するのに、一ノスくらいはかかると思うわ。それまで、夕べ装着してあげた特製の下着のはき心地を確認しようかしら。スカートをめくりなさい」

 

 さっきの真面目な女官としての態度は一変して、アドリーヌに対する「女主人」の口調になる。

 女官でもあるが、天道教教徒でもあるアドリーヌたちは、政務においてはアドリーヌが上官の立場だが、それ以外ではまったくの対等だ。しかし、性愛の関係についてだけは、アドリーヌが責められる側であり、エミールが責め側だった。

 アドリーヌは、天道教の施設でエミールやその妹のカミールと同居していているのだが、いつの間にか、そういうことになった。

 天道様に仕えるときには、揃って天道様に調教される性奴隷であるものの、天道様のいない状況では、アドリーヌがふたりの性奴隷なのだ。

 それは、もう六十歳に近い年齢になったいまでも変わらない。

 

 そして、夕べは、エミール姉妹に百合責めを受けた後で、二本のディルドのついた「貞操帯」を装着されていたのである。

 つまりは、夕べは気絶するまでふたり掛かりで責められ、朝起きたら、これが装着されていたというわけだ。

 朝になって。仰天して抗議したが、ふたりとも鍵を隠して外してくれない。

 仕方なく、そのままだ。

 それは業務のあいだ、ずっとアドリーヌの股間を苛んでいて、朝から性の疼きにずっと苦しめられていた。

 

「ああ、もう許してよ。そろそろ外してよ。朝からおしっこもさせてもらってないのよ。苦しいわ」

 

 アドリーヌはスカートを腰の上までめくりあげて嘆息した。

 エミール姉妹がアドリーヌに装着した貞操帯は、尿道口まで小さな突起で封印するものであり、朝から放尿をさせてもらえないアドリーヌは、なによりもそれで苦しんでいた。

 せめて、それだけでも解放して欲しい。

 

「なに言っているのよ。天道様には、みんなで三日もおしっこを禁止される調教を受けたこともあったじゃないのよ。それに比べれば、一日くらいなによ。それよりも、濡れ濡れじゃない。苛められることが大好きな政務官様には、もってこいの下着だったわね」

 

 エミールがアドリーヌがめくったスカートの下の「下着」の状態を確認して、くすくすと笑う。

 

「そ、そんなこと……。はうっ」

 

 抗議をしようとして、アドリーヌは思わず、その場にしゃがみ込みそうになった。

 挿入されているディルドが突然に動き始めたのだ。

 エミールがにやにやしながら、手の中でなにかを動かしている。

 この貞操帯に仕掛けている魔道具による悪戯だ。

 アドリーヌは、必死に脚に力を入れて、蹲りそうになるのを耐えた。

 

「やっぱり、アドリーヌはマゾのお姫様ね。苛められている顔は素敵……。可愛い表情になったわ。六十歳なんて信じられない……。ほら、真っ直ぐに立つのよ。座ったりしたら、今度は部下のいるときに、ディルドを振動させるからね」

 

「ひゃあああ」

 

 すると、さらに後ろのディルドも振動を開始した。

 さすがに、アドリーヌはその場にしゃがみ込んでしまった。

 

「はははは、じゃあ、罰よ。夜に天道教の寮に戻るまでそのままでいなさい」

 

 エミールが振動をとめないままアドリーヌの腕を掴んでその場で立たせる。

 アドリーヌは、エミールを恨めしく睨んだ。

 

「ああ、ひ、酷いわ。わたしがお尻が弱いことを知っているのに……。と、とにかく、と、とめて……」

 

「さあ、どうしようかなあ……。だって、本当にとめて欲しい感じじゃないんだもの。マゾのお姫様のアドリーヌ様だし」

 

「わ、わたしは、マゾなんかじゃ……」

 

「うそうそ、あなたは、ずっわたしにとマゾのお姫様よ。ずっと昔に、わたしの屋敷で囚われのお姫様役としたときに、お股を押されて興奮してしまったときからね……。とにかく、責任をとってもらわないと。わたしは、あなたのあの痴態に接して、百合を覚醒させたんだからね」

 

「百合を覚醒って……」

 

「いいから……。じゃあ、次はおしっこを我慢している尿道口を振動させてあげるわね」

 

 エミールが手の中の操作具を見せて、ひらひらとアドリーヌの顔の前で振ってみせる。

 

「やめてったら──」

 

 アドリーヌは声をあげた。それでも、スカートをめくっている自分の手はそのままだ。

 そのときだった。

 ちりんちろんと鈴の音が鳴り、目の前の宙が歪んだ。

 移動術だ──。

 ディルドの振動がとまった。アドリーヌも慌てて、スカートを戻して姿勢を元に戻す。

 目の前に、シャングリア様が出現した。

 

「国母様──」

 

「国母様、ご機嫌麗しゅうございます」

 

 エミールとともに、カーテシーをする。

 腰を曲げたところで、今度はクリトリスに当たっていた突起が振動を開始した。

 

「ひっ」

 

 アドリーヌはがくんと身体を突っ張らせて膝を崩した。

 

「エ、エミール──」

 

 すぐに振動はとまったものの、アドリーヌはエミールを睨んで怒鳴った。

 

「相変わらずだな、お前ら」

 

 いつもは別宮にいて、あまり正殿には顔を出さないシャングリアだが、やってくるのはいつも突然で、しかも、前触れもなければ、護衛もつけない。

 まあ、シャングリア自身がとんでもない女戦士なので、護衛など無意味というのはわかるが……。

 とにかく、シャングリア様も、エミールとアドリーヌのことはよくわかっている。

 呆れたように苦笑している。

 

「ええ、相変わらずでございます。国母様も相変わらず、お若くてお美しいですわ」

 

 エミールがお道化たように挨拶をする。

 

「お前たちもな。わたしたち、皇帝宮の第一世代は美魔女軍団だそうだぞ。まるで年をとらない魔女ということらしいぞ」

 

 シャングリア様が笑った。

 前皇帝のロウ陛下の性を刻んでもらっているアドリーヌたちは見た目の老いが身体に出ることはない。

 ロウ陛下がルルド宮に隠棲して、第二帝のウラノス陛下の御代になると、もう、天道様に精を刻まれた女もかなり少なくはなったが、ロウ陛下の時代からずっと女官をしているアドリーヌたちが、ずっと若いままの見た目を保っている。

 エルフ族でもない、人間族の女がここまで歳をとらないというのはあり得ない。

 確かに不思議なことなのだろう。

 アドリーヌも、もう何千回、若さの秘訣を質問されたかわからない。

 

「魔女ではありませんわ。天道様の性奴隷ですし」

 

 エミールが笑った。

 すると、シャングリア様が懐から二枚の封筒を取り出した。

 

「そのロウからの連絡だ。ロウというよりは、正妻のエリカだがな。ルルド宮に行ってくるといい。滞在を求める召喚状だ。一か月くらいの休暇は取れるのだろう? 準備ができたら、別宮に声を掛けてくれ。移動術のポッドで送らせる」

 

「わおっ、天道様にお会いできるのですね」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 エミールに続き、アドリーヌも感謝の言葉を口にした。

 帝位をウラノス帝に引き継いだ天道様たちだが、いまではルルドの森という場所に建設をした離宮に、夫人様たちとともに移り住んでいた。

 多くの者がそれに随行をしたが、アドリーヌたちのように、皇帝宮などに残る選択をした者もいる。

 なにもかも、一度に世代変わりというわけにはいかないからだ。

 しかし、そういう者も、数か月から一年に一回程度の頻度で、半月から一か月の期間のルルドの森への滞在をすることになっている。

 そのあいだ、改めて天道様の調教をたっぷりと受けるのだ。そして、鋭気を養い直して、皇都に戻るということだ。

 アドリーヌたちは、皇帝宮のことだけではなく、天道教のこともあるので、残る選択をしたのだが、やはり、天道様に会えるのは嬉しい。

 早くも、股間がさらに濡れてくる。

 

「すぐに手配します。だめでも、無理矢理に休暇をとります。ねえ。アドリーヌ」

 

「も、もちろんよ……。ところで、国母様は行かれないのですか? 前に向こうに行かれたのは半年ほど前になるのでは?」

 

 アドリーヌは言った。

 数多くのロウ帝の子供の中で、皇帝を継いだのがシャングリア様の実子だったので、シャングリア様は“国母”と呼ばれるようになった。ロウ帝の引退に際して、こっちに残る選択をした彼女であるが、ウラノス帝が皇帝としての立場を完璧にするまでは、若い皇帝の拠り所として、皇帝宮にいるつもりだと口にしている。

 

「そうだな。久しぶりに行くかな。エリカやコゼにも会いたいしな」

 

「ならば、一緒に向かいましょう。数日中には段取りしますので」

 

 エミールだ。

 

「数日中か……。わかった。じゃあ、また連絡してくれ」

 

 シャングリアが魔道具を操作する。

 彼女の姿が目の前からいなくなる。

 移動術の魔道片かなにかかもしれない。

 

「楽しみね。たっぷりと天道様に躾けてもらいましょうね。そうと決まれば、出発までは、徹底的にあなたを焦らし責めにしてあげるわね。破裂寸前の風船のように、淫情でぱんぱんにしてあげるからね。天道様に挿入してもらったときに、解放してもらって、快感を爆発させるといいわわ」

 

 エミールが嬉しそう言った。

 そして、またもやディルドが動き出した。

 かなりゆっくりとした蠕動だが……。

 

「あんっ、そんなのないわよ」

 

 アドリーヌは悶え泣いてしまった。

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