【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「な、なによ、これ……」
コゼが目の前に並んでいる料理の皿と食器を睨んで呟いた。
正面に座っているイザベラは、くすりと笑ってしまった。
「とりあえず、ひと通り準備をさせたぞ。目の前のフォークだが、まずは用途によって使い分けをするということから覚えるといい。基本的には、このフォークを使うが、例えば魚料理のときには、こっちを使う。皿の部分に溝があるからそれで覚えるとよい。それとこっちの小さいのはデザート用だ。果物はこっちの細いもの。この木製のはサラダ用だ。とはいっても、金属のものもあるから、ちゃんと形で覚えることだな。サラダ用フォークは、柄が短くて四本刃だ。あと、この大きいのはとりわけ用のフォークだ。目の前に出されることはないが、まれに主催者が意地悪をしようとして、渡すこともある。知らずに食事に使わせて恥をかかせるとかな。それと、ナイフだが、これも用途別に種類があってな……」
「うわああ──。なに言ってんのよ。覚えられるわけないでしょう。あたしは、食事のマナーを教えてくれって頼んだのよ。なぞなぞ遊びをしたいんじゃないんだから──」
だが、コゼが癇癪を起したように、最初に手にしていたフォークをテーブルに投げだしてしまった。
イザベラは溜息をついてしまった。
「いいから、ちゃんとやりなさい。ロウ様と婚姻を結ぶということは、こういう正式の食事会にも参加するということなんだから。マナーくらいちゃんとできないと恥をかくのは、あんたじゃなくてロウ様なんだから」
エリカがぴしゃりと言った。
そして、フォークでサラダを口にしている。しかし、イザベラは横にあるサラダオイルの小皿から全部をサラダにかけてしまっていることに気がついた。
すると、シャングリアが横に座るエリカに向かって口を開く。
「エリカはサラダフォークは正解だが、いきなりオイルは全部かけてはだめだ。ちょっとずつ使うのが正規のやり方だな。まあ、大雑把なのはエリカらしいが」
そして、シャングリアが完璧な仕草で、サラダオイルを少量かけて、口の中に野菜を持っていった。
もちろん、
がさつな印象のあるシャングリアなのだが、やはり貴族令嬢だけあり、それなりにマナーは身についているみたいだ。
イザベラは感心した。
「えっ、そうなの?」
エリカが顔を赤くして、食事の手をとめる。
「あ、あたし、無理です。もしも、食事の機会があれば、食べずにいます」
イットだ。
「あっ、それいいですね。あたしもそうします」
すると、同調するように、マーズも手にしようとしていたフォークから手を引っ込めた。
イザベラは、息を吐いた。
ロウの「家族」が生活をするいつもの幽霊屋敷だ。
今日は、ロウが天道教の連中の新施設に行っていて不在である。イザベラが耳にしているところによれば、三日間ほど入り浸って帰らないということであり、今日が三日目となる。
それはともかく、イザベラの戴冠式と婚姻式も、三十日後ほどに迫っており、やらなければならないことは目白押しだ。
いまやっている食事会もそのひとつであり、予定されている一連の行事の中には、ロウと婚姻を結ぶことになるイザベラを含む全員が参加する内外の要人を招いた食事会というのもある。
それで、付け焼き刃的にはなるが、改めてマナー講習をすることになったのだ。
イザベラたちのように物心がつく頃から上流階級の生活に慣れている者はどうということもないが、コゼやマーズやイットのような奴隷あがりには、最小限のことだけでも学んでもらわねばならない。
だから、急遽、マナー講習会を参加することになったということだ。
講師役をイザベラが務め、エリカ、コゼ、シャングリア、マーズ、イットが参加者だ。ほかに、テーブルについているのは、アンとノヴァがいる。
屋敷には、ほかにも幾人かいるが、参加はしてないのもいる。ミランダも、冒険者ギルドの立て直しに忙しいということでこなかった。
また、給仕役として、屋敷妖精のシルキーと見習い侍女ということになっている幼児体型に変わったリリスもいる。
「ふふふ、イザベラ、いくらなんでも一度に完璧にするのは無理よ。コゼさんも、イットさんも、マーズさんも、食器のことは忘れてもいいですわ。周りに合わせればいいのです。その代わり、背筋を伸ばす。食事の音をさせない。口の中にちょっとずつ食べ物を入れる。それだけを守ってください」
アンだ。
「まあ、それくらいなら……」
コゼがアンに目をやって、同じ食器を選んで手に取る。
手をつけようとしなかったマーズやイットも同じようにしている。
なんだかんだで、戦士だけあり、姿勢はよく格好悪くはない。
「ふん、人間族というのは、馬鹿げたしきたりが好きだな。飯に喰い方などどうでもいいだろうに」
そのとき、給仕役をしているリリスが鼻を鳴らした。
もともとはサキなのだが、色々あってこの童女姿に変わってしまい、いまはロウの命令でこの屋敷の召使としての修行中とのことだ。
だが、あのサキに給仕をしてもらうのだと思うと、イザベラとしても複雑な気持ちになる。
「リリス様、給仕は喋ってはなりません。まるで存在しないかのように気配をなくすのです」
そのリリスの横に、屋敷妖精のシルキーが出現する。
リリスとは逆に、童女姿だったシルキーは、屋敷妖精として進化したらしく、成人少女の姿になっている。
表情も豊かになり、とても美しい外観になっている。
そのシルキーが乗馬鞭を手にして、リリスのお尻をぴしゃりと叩いた。
「くっ、な、なんじゃ、いきなり──」
リリスが怒鳴った。
「黙りなさい、リリス様。旦那様のご命令で、あなたを一日も早く一人前の召使いにする必要があるのです。そもそも、厳しくしつけてくれと口にしたのはリリス様ですよ」
大人版シルキーが平然と言った。
「う、うう……。わ、わかった。す、すまん……」
リリスが真っ赤な顔になりながらも大人しくなる。
やはり、調子が狂う。
イザベラも思わず笑ってしまった。
「な、なにを笑っておる、人間族の女王──」
すると、リリスがまたもや怒鳴ってきた。
「リリス様、さっき申しましたのに……」
シルキーが呆れたような声を出すのが聞こえた。
見ると、手の上に人の頭の半分ほどの水の玉のようなものを浮かべている。
訝しんだが、それがすっと消滅した。
「ひあああっ、な、なんじゃああ──」
突然にリリスが両手でお尻を押さえて絶叫した。
イザベラは目を見張った。
「鞭では魔族のリリス様には懲罰にはなりませんので、鞭の代わりに浣腸玉を与えることにします。給仕中には用便をもよおしても、厠にいくことはできませんので、それを我慢する訓練としても一石二鳥です。マナー講習会が終わるまで、我慢してもらいますよ。また、ミスをするごとに、浣腸玉をお尻の中に送り込みます」
シルキーが平然と言った。
イザベラはびっくりした。
「な、なんじゃと──。わ、わしにこんなことして……。あっ、だ、だめじゃ……。く、苦しい……」
リリスが歯を喰いしばって、身体を硬直させる仕草になった。
一瞬悪態を忘れるほどに、余程につらいのかもしれない。
「へえ、シルキーって、身体が大きくなってから、随分とご主人様に似てきたんじゃないの?」
コゼがにこにこしながら言った。
「旦那様に、リリス様を早急に一人前にするように命じられておりますので……。それとも、おやめになりますか? それであれば、わたくしめとしては、残念ですがそのように旦那様に報告いたします。どうぞ、厠にお行きください」
シルキーがにっこりと微笑んだ。
リリスが顔をしかめて舌打ちした。
「くっ、が、我慢すればいいのだろう──。が、我慢すれば……。だ、だが、終わるまでだと──?」
「晩餐の給仕となれば、一回の食事で数ノス。酒宴となれば、場合によっては日が変わるまで続きます。用便を我慢できるのは、給女役にとっての当然の能力です」
リリスが言った。
「厳しいなあ」
シャングリアが笑った。
そのときだった。
目の前の宙が歪んだ。
そして、ガドニエル女王が出現した。スクルドもだ。
「皆さま、ご主人様から通信球が届きましたわ。教団の方々の性支配の一連の施術が終わったそうです」
ガドニエル女王が本当に嬉しそうに叫んだ。
三日ほどロウに会えないというだけで、落ち込んだ様子だったと耳にしていたが、いまは満面の笑みを浮かべている。
「そして、いまは教団で余興のようなことをしているので、よければ、手が空いている者だけでも、遊びに来いと言うことです。ご一緒にいかがですか?」
スクルドが続けて言った。
「よし、行きましょう。続きは夜でいいじゃない──。ねえ、エリカ。正妻様。ご主人様の呼び出しよ。万難を排して対応しないと」
コゼが立ちあがった。
行く気満々みたいだ。
まあ、食事マナーの講習よりも、ロウに三日ぶりに会う方が愉しいのは当然か……。
「ええ? なに言ってんのよ。せっかく、姫様が準備してくださったのに……」
一方で、エリカはちょっと迷っている雰囲気である。
イザベラは手に持っていた食器をテーブルに戻す。
「いや、わたしは夜にまわしてもらってもいいぞ。ロウが戻ってから一緒にするのもいいだろうしな。しかし、ロウはあれでも、冒険者あがりにしては、どこで身につけたのか、十分なマナーを身につけている。もしかしたら講習は不要かもしれん。でも、一度はおさらいをしたいと口にしていたのも思い出した」
イザベラは言った。
気乗りしないのに、作法教室も身には入らないだろう。
だったら、後回しでもいい。
それに、イザベラもロウの顔を見たい。なにせ、三日間もあの新教団に閉じこもりで会えなかったのだ。
「なら、行きましょうか。とりあえず、ここにいる者だけでいいのかしら。ほかの者は出かけているし」
エリカも立った。
なんだかんだでエリカも、ロウの呼び出しが嬉しそうだ。
「では、移動のためのポッドを出します。皆さま、そちらからどうぞ」
シルキーが大きな姿見を出現させた。
それを潜れば、新教団の本部なのだろう。ロウの命令で、王都内には一瞬で移動術で移動できるように、王宮や冒険者ギルドなどに魔道設備が配置されていた。新教団の施設との繋がりも、その中のひとつだ。
みんなでその姿見に移動する。
「ま、待て──。マナー講習会が夜に回るだと──。だ、だったら、わしはいつまで、用便を我慢すればよいのだ──?」
すると、リリスが困惑の声をあげた。
「もちろん、夜までです。では、一度片付けをしてください。魔道ではなく、自分の手でするのです。この砂時計が終わるまでに、すべてを片付けること──。無音でです。音が鳴るごとに、浣腸玉を追加します。当然に間に合わなくてもです」
シルキーが事も無げに言った。
リリスの顔が引きつるのがわかった。
「ふふふ、やはり、鬼教官だな。まあ、頑張ってくれ、リリス」
シャングリアがリリスに声をかけた。
一方でリリスは、シルキーをものすごい顔で睨んでいる。ただ、シルキーもどこ吹く風だ。
「では、行きましょう──」
コゼが姿見に飛び込む。
それを切っ掛けに次々に姿見に入っていった。
イザベラもアンと一緒に向かう。
「そうだ、シルキー。王宮のシャーラに連絡を頼む。ここにいると告げていたが、訪問先が変わったので、一応
だが、姿見の前で思い出して言った。
護衛長のシャーラだが、今日は移動術でロウの屋敷に行くだけなので、特段の警備の処置はとらなかったのだ。
シャーラも、戴冠式などの準備が忙しく、今日はそっちに専念させている。
「かしこまりました」
シルキーが優雅に頭をさげた。
イザベラは姿見を潜った。
情景が一変する。大広間のような場所だ。たくさんの女たちがいる。
むっとするほどの女の匂いがした。
それはともかく、いきなり目の当たりにした状況に、イザベラは唖然としてしまった。
「わっ」
「なに?」
「なんですか、これ?」
ほかの女たちも絶句している。
なにしろ、大広間には、多分百人以上の女──。全員が教団の女だとは思うが、その全員が全裸になっていて、その女たちでいっぱいなのだ。
しかも、ただ裸であるだけじゃない。
頭に四色に分かれた鉢巻きをして、幾つかの場所に分かれて、なにかの競争のようなことをしている。
ただの競争という感じでとない。
見える範囲のことであれは、ある場所では椅子に腰掛けて、手摺りに膝をかけて開脚座りしている赤鉢巻きの少女たちに対して、口にディルドを咥えた白鉢巻きの少女たちがそれで股間を犯すということをしていて、違う場所では後手縛りの少女たちが瘤付きの股縄を跨いで競争をするということをしていた。
また、さらに別の場所では、お尻になにかを挿入して、それに繋がっている紐を引っ張り合うということしている。
ちょっと離れた場所では、振動する淫具がびっしりと付けた丸太の上を三人並んだ少女たちが跨いで進むということしているのが見えたりする。
とにかく、みんなが嬌声や歓声をあげていて、すごい騒ぎだ。
「おう来たか、みんな──。こっちに来い。愉しいことを始めてな。新教団設立記念の大運動会だ。お前らも参加して行けよ。チーム戦をしているところだ。ええっと、十人ほどか? いいだろう。参加していけ。お前らは黒鉢巻きな」
ロウの声がした。
すぐにはわからなかったが、すぐそばに三十人ほどの女たちの塊があり、その中心にロウがいるのが辛うじて見えた。
どうやら、その三十人がよってたかって、ロウに舌奉仕をしている感じだ。
女たちもそうだが、おそらく、ロウの全裸だろう。
そして、そこにいるのは、教団の中でも令夫人たちの集まりみたいだ。
「わ、わたしたちも、これに参加するのですか?」
エリカが仰天したような声を出した。
「ああ、そうだ。優勝チームには、俺がなんでも言うことをきく券が人数分だ」
夫人たちの裸身の中から顔だけが見えているロウが愉しそうな表情で言った。
「それ、本当ですか──? やるわよ、みんな──。マーズ、イット──。あんたらの出番よ。ガドもスクルドもいいわね──」
すると、コゼが張り切った口調で叫んだ。
破廉恥運動会などというのはとんでもないが、コゼは、ロウのなんでも言うことをきく券というのが俄然気に入ったみたいである。
「やりますわ。ほかの方々も呼びましょう。あのドワフ様とかいかがでしょう。きっと戦力になります。ご主人様を自由にする券など、そんな貴重な宝物は滅多に手に入りません」
ガドニエル女王だ。
早くも自分で服を脱ぎだしている。
見ると、ほかの女もやる気になった表情で服を脱ぎだしている。
イザベラは呆気にとられた。
「えっ、参加するのか?」
イザベラは困惑して言った。
「ええ、やりましょうよ、イザベラ。ロウ様を自由にする券……。欲しいですわあ」
アンが服を脱ぎながらイザベラに声を返す。
エリカやシャングリアなども、仕方ないわねえという感じで服を脱いでいる。
「ミウも呼びましょうか。できるだけ声を掛けますね。ご主人様、よろしいですか。わたしたちはまだ人数が少ないですし」
スクルドだ。
すでに、下着しか身につけてない。
「おう、呼べ呼べ。まだ、始まったばかりだ。十分時間はある」
ロウが笑った。
すぐさま、スクルドが通信球を発したのがわかった。
「ねえ、天道様、わたしたち、夫人組もチームで是非とも参加させてください。お願いでございます」
フラントワーズだ。
こっちにはお尻しか見えてなかったが、三人ほど同時に口奉仕をしているひとりだったみたいだ。
それをやめて顔をあげたことでイザベラにもフラントワーズであることがわかったのだ。
「いいぞ。俺のことはいい。お前たちも参加してこい」
ロウが言った。
すると、夫人たちもまた一斉に歓声をあげた。