【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
騎乗のまま丘にあがってきた四騎の騎馬が一郎たちのそばまでやってきて下馬をした。
やって来たのは、ラスカリーナとその副官のナール。そして、一郎がラスカリーナを新たな王軍の総将軍と抜擢したことで、ラスカリーナに次ぐ二番手になったショーン将軍とその副官である。
どちらの陣営も護衛は連れてきていない。それぞれ、二騎だけでやってきたようだ。
告げていた会議の刻限の通りである。
場が改められ、地図が拡げられている四人が座る場所が整えられた。すなわち、こちら側は一郎が中心となり、両隣にアネルザとガドニエル、卓を挟んで向かい側に四個の席が準備されたかたちだ。エリカ、コゼ、そして、ブルイネンとスクルドは一郎たちの後ろに立っている。スクルドは認識阻害の魔道をかけるとともに、頭にフードを被り直していた。
四人が一郎に向かって敬礼をする。
ラスカリーナとナールは赤ら顔──。ショーン将軍については極めて不機嫌そうな表情である。
一郎は四人を座らせると、口を開いた。
「対応演習の開始は予定通り正午にしようと考えている」
すると、ラスカリーナは頷いたが、ショーンについては反応することなく、鋭い眼光で一郎を睨みつけただけだ。
わかりやすく敵意を剥き出しにしている。背後でエリカとコゼがぴくりと反応したのがわかったが、一郎はそれを振り返ることなく手で制する。
「なにか、言いたいことがありそうだな、将軍?」
一郎は微笑みを口元に浮かべながら言った。
「当然でしょう。王軍をあなたの玩具にされたのだ。愉快なわけがない。軍制も知らぬど素人が手を出していいものではないのだ。今日の茶番には付き合うが、それが終われば、あるべき姿に戻してもらう」
ショーンは言った。
髪と顎に蓄えた髭が真っ白の老将である。三代前のエルゲン王以降、ハロンドール王国の王軍には総司令官という役職はなく、便宜上、第一将軍の役職を持つ将軍が王軍の最高位の位置づけだったそうだ。
しかし、今回、一郎が近衛の女連隊長に過ぎなかったラスカリーナを総司令官職に抜擢したため、ラスカリーナがごぼう抜きの最高位になったのだ。
それを愉快には思っていない将軍は多い。
その筆頭が、これまで王軍筆頭だった第一将軍のショーンだ。
だから、一郎は今日の対抗演習を企画したのである。
「死にたいのかい、ショーン。このロウ殿は独裁官だ。王国の軍事大権も持っていて、その権限は女王に匹敵する。そのロウ殿への異議を口にするなら、まずは軍人をやめてからにするんだね」
アネルザが舌打ちの後に言った。
ショーンが腰の剣を鞘ごと抜て、卓の上に放り投げると、首の後ろを見せるように頭を前に傾けた。
「王妃殿下……いや、元王妃殿下ですかな。階級こそ、一代伯爵を貰っておりますが、なにぶんにも元々は男爵家の出身の根っからの軍人で叩きあげでしてな。政治もできませんし、王族に媚びる技も持っておりません。ただただ、軍人として愚直である不調法者です。気に入らなければ処断ください」
ショーンは吐き捨てるように言った。
一郎は肩を竦めた。
この男は貴族としては、彼自身が口にした通り叩き上げだ。いまの年齢になるまで功績を積み重ねて、王軍筆頭にまで昇り詰めた男だそうだ。
王軍の中では、特に兵士を中心に人望があり、性格もなかり面倒くさい男だとは耳にしていた。
ただ、軍学に通じていて、軍才は恐ろしく高いそうだ。
だからこそ、下級貴族出身でありながら、ここまで出世しているのだ。
「軍人らしく、言いたいことははっきりと言ってくれ。それで処断することはないさ。勿体ぶった言い回しは、むしろ、ひどく貴族っぽいぞ」
一郎はわざと皮肉を言った。
すると、ショーンの顔が怒りで真っ赤になった。
「ならば言いましょう。将軍としての能力のないラスカリーナを王軍筆頭にするなど、王軍将兵にとっての不幸であるだけでなく、彼女にとっても気の毒なことしかなりませんな」
「ほう、言いたいことを言うじゃないか。俺のラスカリーナに実力がないと?」
一郎は微笑んだまま応じた。
ふと、ラスカリーナにも視線を送る。
彼女はちょっと困ったような顔をしている。まあ、当然だろう。ついこの間まで実戦に出ることはない近衛連隊長の地位にあったのだ。
ショーンを含めた王軍将軍たちは、軍人としては上官になる。しかも、なにかの功績があったわけでもない。
ラスカリーナとしても、大抵のことは言われても仕方がないと考えているだろう。
「はっきり言うように命じられたのは独裁官閣下ですからな。悪く思われませんように……。ともかく、軍隊というところは、実力主義でなければならんのです。独裁官閣下の引きで出世させたいのであれば、それに相応しい名誉職はいくらもあります。だが、王軍総司令官というのは、そのような職にあらず。ラスカリーナが相応しいとはとても思われませんな」
「まさか、俺がラスカリーナを自分の女にしたから、その理由だけで、こいつを総軍の司令官にしたと考えているんじゃないだろうな?」
「間違いないことではないのですか? ラスカリーナは独裁官閣下の愛人なのでは?」
「それは間違いないな」
一郎は笑った。隠すつもりはない。
ラスカリーナにしても、ナールにしても、一郎は自分の女だとしっかりと公言している。
それで、ラスカリーナの地位が抜擢されたことに納得する者もいるが、目の前のショーンのように反感を持つ者もいる。
まあ、ここまで堂々と不満をぶつける者は、ほかには皆無とは思うが……。
「な、なんという惚けたことを──」
すると、ものすごい勢いで、ショーンが卓に拳を叩きつけた。
「いい加減にしないかい、ショーン──」
アネルザが一喝した。
「ご主人様、いつでも命じてください……。この無礼者の人間族を木っ端みじんにします」
また、横でぼそりとガドニエルが言った。
見ると、顔から表情が消えている。また、ショーンは面食らっている。
一郎は苦笑して、片手をあげて全員を制する。
「みんなやめろ。ショーン将軍に言いたいことを口にしろと告げたのは俺だ。だが、これだけは言っておく。俺がラスカリーナを王軍総司令官としたのは、単純に実力が第一だからだ。もちろん、ショーン将軍よりもな」
「な、なにを──」
ショーンが顔を真っ赤にする。
「ショーン将軍──」
そのとき、ずっと黙ったままだったラスカリーナが口を挟んだ。
「なんだ?」
ショーンがラスカリーナに顔を向けた。
「わたしが総司令官に就任することに納得できないのは十分に理解できます。ですから、今日の演習でそれをご確認ください。そのうえで判断をして頂きたいと思います。わたしが将軍方の上級者として相応しいかどうかを見極めてください。そのために今日の対抗演習を準備してもらったのです」
ラスカリーナが静かに言った。
ショーンは驚いた顔になった。
「馬鹿な。つい先日、将軍の格を与えられただけのそなたになにができる」
「それを見極めてください。そのうえで、どうしても認められないというのであれば、わたしは独裁官閣下にお願いして、総司令官の地位を辞します。約束しましょう」
「辞してどうする。将軍をやめて、ただの女将校に戻ることなどできんのだぞ」
「もちろん、そのときは軍を去ります」
ラスカリーナは淡々とした口調で言った。
一郎はショーンを見た。
「彼女はここまで覚悟を決めているぞ。それとも、将軍はまだ口で言い合いをしたいのか? 軍人の見極めは戦場でしかできないとは思うが、それに近い場は作った。あとは将軍の言葉を結果で示してみろ」
一郎は言った。
ショーンは大きく息を吐くとともに、さっき卓に放り投げた自分の剣を戻す。
「わかりました。やりましょう。しかし、ラスカリーナにとっては、残念なことになるのは間違いないですぞ。わしはそれだけの痛撃を与えてますからな」
「よろしくお願いします」
ラスカリーナがにっこりと微笑んだ。
一郎は頷いた。
「じゃあ、想定を与える……。とはいっても、簡単なものだ。想定は相互に移動状態の遭遇戦とする。正午までに態勢をとり、それ以降はどう動いてもいい。だが、夕方までにお互いに決着は付けろ。以上だ」
ラスカリーナにしても、ショーンにしても、連れてきている兵はラスカリーナ側が二千、ショーン側が三千である。騎兵はそのうちのお互いに五百。ラスカリーナ側で騎兵を率いるのは、シャングリアとベアトリーチェである。
相互の軍は、一郎の事前の指示により、この丘を間に挟んだこの演習場の両端に展開をしているはずだ
「想定として、兵站については?」
ショーンが質問をした。
「お互いに問題ないものとする。実戦では大切なんだろうけど、今回は演習だしね」
「了解した」
「わかりました」
ショーンとラスカリーナがそれぞれに頷いた。
「では、あとは好きに動いてくれ。判定については、お互いの意見を聞いて改めて判断する」
一郎は立ちあがって、天幕に入ることにした。
周りの女たちも続く。
ラスカリーナやショーンたちについては、卓の地図に見入っている。しばらく、そのまま見ていくのだろうと思う。
天幕の中は一人分の簡易寝台と十個ほどの床几椅子が無造作に置いてある。一郎たちは適当に腰をおろした。
「正午まで、まだ数ノスありますね」
エリカだ。
「そうだな。じゃあ、今度は雌犬候補ふたりに相手をしてもらうかな。ガド、スクルド、お前たちは正午までは雌犬だ。手を使わずに奉仕しろ。もちろん、魔道もだ。まずは足だ。俺から口を脱がせて足を舐めるんだ。始めろ──」
一郎は両足を投げ出すようにした。
今日、一郎が履いているのは、紐編みの革の長靴だ。これを口だけで脱がせるのはかなりの労働だろう。
「わ、わかりましたわ──。あっ、いえ、わん、わんわん」
「わんわんわん──」
しかし、ガドニエルとスクルドは満面の笑みを浮かべると、すぐに四つん這いになって、競うように一郎の足先に寄ってきた。
早速、長靴の紐に噛みついて紐を解こうと努力しはじめる。
「女王陛下……」
ブルイネンが困ったように脱力している。
だが、もう諦めているのだろう。すぐに外に出ていき、天幕に誰も近づけないように、外にいる親衛隊に指示を出しているのが聞こえた。
「ふふふ、多分、このふたりはこの大陸でも一、二を争う魔道遣いなのは間違いない。そのふたりに、こんなことをさせるのは、お前くらいだろうさ」
アネルザが笑った。
「ありがたいことにね……。ほら。頑張れ、ふたりとも」
一郎は粘性体をガドニエルとスクルドの下着の中に侵入させると、軽く振動を開始した。
「んふうっ」
「ふわっ」
ふたりが同時にびくりと身体を反応させた。
一郎は声をあげて笑った。
「そら、しっかりやらないか。足舐めが終われば、次はフェラチオもあるからな。ただし、不甲斐ない方には“お預けちんちん”の罰だ。それが嫌なら、早く靴を脱がせるんだ」
一郎の言葉に、ふたりとも粘性体の刺激でちょっととまっていた口を慌てたように動かしだす。
その光景を一郎は満足感を抱きつつ眺めた。
「ところで、ロウ殿……。もうひとつ聞いてもらいたい話があるんだけどね。そのままでいい。だけど、どうしたものかと思ってねえ」
すると、アネルザが一郎にさらに声をかけてきた。
一郎は視線だけをアネルザに向ける。
「もうひとつ? タリオのアーサーと教皇からの書簡のほかということ?」
「まあね。もっと私的なことさ……。いや、私的とはいえないかもね。王宮のことでもある。まあ、王家のことさ」
「王家?」
「ああ……。まだ、間もないことなんではっきりと断定できることじゃないんだが、魔道で鑑定も受けた。多分、間違いない。どうやら、わたしは妊娠したみたいさ」
アネルザが顔を赤くして、ちょっとはにかんだように言った。
「えええ──? あっ、いや、本当か?」
一郎はびっくりした。だが、慌てて、驚きの表情を顔から消す。
しかし、それで、はっともなった。
もしかして、あのときかもしれない。ルードルフを屈服させるときに、あいつの目の前でアネルザを犯したとき、アネルザを妊娠をさせてやろうと軽口を言いながら精を注いだ気がした。
いや、間違いない。
また、言霊が勝手に発動したか……。
「本当?」
「まあ?」
コゼとエリカも驚愕している。
アネルザが頷いた。
「そ、そうなんだよ……。わたしも驚いてね。お前との子であることは間違いない。この一年以上、わたしはお前以外と性交なんてしてないからね」
「それは全く疑ってないさ」
一郎は苦笑した。
「ああ……。だけど、この腹の子は対外的には、ルードルフの子ということになる。それをどうしたものかと思ってね」
アネルザがちょっと困ったような顔で言った。