【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「アーサー帝は、条件によってはラザニエル副王陛下を正妃に迎えてもいいと申しております」
タリオ、いや、新ローム帝国からの代表団の団長を名乗る男の言葉を受けて、ラザニエルは一瞬、唖然とした。
そして、しばらくして笑い声をあげてしまった。
ラザニエルの反応が意外だったのか、代表団たちは呆然となっている。
「お前ら、喧嘩を売りに来たのかい。なんで、わたしが会ったこともないお前らの皇帝の妃にならないとならないんだい──」
ラザニエルが怒鳴りあげた。
その権幕が意外だったのか、代表団たちは面食らった顔をしている。
だが、それはともかく、いつもそうなのだが、あの男のする意地悪は本当に常軌を逸している。
今更だが、アーネストが持ってきたロウからの手紙の封蝋を舐めて、あいつの準備した媚薬を体内に服用してしまった影響が身体に拡がり始めたのだ。
股間と乳首の先に妖しげな掻痒感が走り出し、それがじわじわと身体の芯まで侵食しようとしてきている。
ラザニエルは舌打ちした。
ほんのちょっと舐めただけだ。
だから、あまり重要視してしなかったのだが、これはちょっとつらいかもしれない。
おそらく、単純な媚薬ではないだろう。ひと舐めでここまで効果を及ぼす媚薬などあり得ない。そんなものは劇薬も同じだ。
多分、媚薬そのものではなく、それをきっかけに、ラザニエルの中に仕掛けてあるなにかが反応させられたのだと思う。
ラザニエルをはじめ、ロウの女たちは、能力の大幅な引き上げを代償に、ロウによる身体の操りを許容させられている。まあ、勝手にそうなったのだが、とにかく、ロウはラザニエルの性感を自由自在に操れる。
今回のものは、それを使った仕掛けに違いないと思う。
ただ、これだけ離れた距離で肉体の感覚を操ってしまうなど、ちょっと常識外の能力ではあるが、ラザニエルもあの淫魔師のロウが、こと嗜虐にかけては規格外であることは認識している。
これはもしかして、ちょっと大変なことになったかもしれない……。
この状態が丸一日……。
与えられた命令は、絶頂することなく、自分で寸止めを五回……。
やっぱり、あいつは鬼畜男だ……。
ここにはいないロウの命令に唯々諾々と従う必要もないし、背いたところでロウにはわかりようもないのだが、やはり、どうしてもラザニエルには、ロウの指示に逆らうという思考にはならない。それもまた、あいつの能力なのかもしれないが……。
まあ、あれには世話になったし、最初のころに酷い目に遭わせたという負い目もあるので、操られることに不満はないが……。
しかし、だからこそ、この股間と乳首の痒さが苛立つ。
それに加えて、意識すれば、痒みと疼きが急激に耐えがたいものになってくる。
さすがに、ちょっとだけ魔道で疼きを抑えようとするが、驚くことにロウの淫魔術による掻痒感がラザニエルほどの魔道を簡単に跳ね返してしまう。
あいつ、どこまで能力が高いのだ……。
呆れすぎて、笑いそうになってくるほどだ。
「わ、我らの皇帝陛下は、絶世の美男子であって、武勇に優れ、施政者としての能力も抜群で、どのような女性もたちまちに虜になるような英雄であられます。そうそう、映録球による姿像を携行しております。それを見ていただければ……」
団長とやらが、居並ぶ代表団の要員のひとりに目配せする。
すぐに球体がテーブルに置かれ、そこからひとりの人間族男の胸から上の像が浮かびあがった、
確かに美男子なのだろう。
しかし、驚くほどに興味が沸かなかった。
ラザニエルは、この茶番を即座に終わらせる決心をしたが、なんと言ってやろうと考えて、次第に苦しくなる掻痒感に気を取られて、思考に集中できない自分に苛立ってきた。
これもそれも、すべてロウが悪い。
ガドニエルとケイラ=ハイエルがいなくなり、本来はあいつらが担うはずの仕事をラザニエルが負うのも、ラザニエル肉体がロウの精を長く与えられない被虐の飢餓に苦悶するのも、この股の痒みも……。
「やかましい──。だったら、はっきりと言ってやる。このラザニエルは、ハロンドール王国のロウ=ボルグにしっかりと惚れている。身も心も支配されてるんだ。お前らの皇帝とやらに伝えてこい。ほかの男に懸想している女に求婚など持ってくるなよね──。一昨日おいで──」
ラザニエルは噴きあがった激昂のまま、新ローム帝国からの代表団にぶちまけた。
女王ガドニエルだけでなく、副王を名乗るラザニエルまで、ロウの女だと公表することで、もしかしたら波紋もあるかもしれないが、いまはなにも考えられない。
局部の疼きはかなり耐えがたいものに変わっている。
「そ、それは、どういう……?」
団長だけでなく、ほかの者たちも眼を丸くしている。
「どうもこうもない──。いま言ったとおりだ。皇帝に伝えな。エルフ王家のガドニエルもラザニエルも、揃ってロウ=ボルグという男の女にされている。別の男の入り込む余地は微塵もないってね──」
ラザニエルは立ちあがった。
夜まで耐えるべきだと思ったが、むず痒さが加速度的に身体を苛んでくる。
まだ呆然とした感じのロームからの代表団を置いて、ラザニエルは会同の場所を後にした。
「へ、陛下──。陛下、どこに? 次の面会の場所は最初の小会同室で、次の面会者は、副王陛下がご指示のあったデセオからの使者です。こちらではなく、反対側になります」
廊下を出たところで、随行していた侍女のうちのロルリンドが後ろから追ってこをかけてきた。
イザベリアンはいない。
おそらく、ロームの代表団たちの会同の後始末をしているのだと思う。
それはともかく、ロルリンドが口にした次の面会人と聞いて、ラザニエルは先日届いた無礼な手紙のことを思いだした。
デセオ大公イザヤの名で送られてきたもので、そこにあった文面は“お前の秘密を知っている”とあり、その書簡を持ってきた者とラザニエルの一対一での面会を求めるものだった。
まったく外交も内政もしないガドニエルの代わりに、副王のラザニエルはそれなりに面会人とは会っている。
むしろ、政務の傍ら積極的にこなしているつもりではある。
それでも、いまもって、面会希望者は耐えることなく、常識であればかなりの立場の者でも五日待ち程度が普通だ。
ロームからの代表団というのも、話があったのはやはり十日前だった。
しかし、ラザニエルは、そのデセオ大公からの書簡を受けると、すぐに翌日の面会リストに入れるように指示した。
あの女か……。
事前の報告書によれば、デセオ大公からの使者の名はコーラだ……。
「か、厠だ──。ついてくるんじゃない。あとで向かう──」
ラザニエルは速足で歩きながら言った。
「そうは参りません。待機しております」
ロルリンドはラザニエルを追いながら応じてきた。
ラザニエルは、勝手にしろと言い捨てて、一番近い共用の厠部屋に飛び込んだ。
個室に入り、水流に通じる便壺の上の穴の開いた椅子に座る。ロルリンドは、扉のすぐ外に立っているはずだから、自分の周りに防音の結界を張る。
服の上から乳房をぎゅっと握った。
「くうっ」
思ったよりも気持ちよくて、思わず声が出てしまった。
防音をかけているとはいえ、もっと自重するつもりだったができなかったのだ。
まあいい……。
ラザニエルはさらに反対の乳房もぎゅっと服の上から握り、乳首の痒みを癒すために揉み始めた。
「はああっ」
掻痒感が癒される気持ちよさは、本当に身体が溶けそうだった。
あいつめ……。
ちょっとばかり、淫魔術による身体の痒み発生の効果を強くし過ぎだろう。ラザニエルは惨めさに泣きそうになるのを自覚しながら、胸を揉む手に力を込めていく。
乳首を刺激することで痒みは癒されるのだが、それで終わるわけではなく、さらなる刺激を求めて焦燥の炎が燃えあがってくる。
終われない──。
ラザニエルは胸への愛撫を続けつつ、右手をスカートの裾に入れて、一番痒い疼きが襲っているクリトリスを強く下着の上から指で揉んだ。
「ふくうっ」
その途端に太腿をぴくぴくとおののかせた。
頭が白くなるような快感が指で擦っているところから身体の芯まで噴きあがってきたのだ。
ラザニエルは、そのまま一心不乱に乳房と股間への自慰を続けた。
こんな場所で恥ずかしい……。
だが、気持ちいい……。
気がつくと淫らに腰を振っていた。
「ああ、あああっ、ああっ」
突きあがる。
絶頂感が襲い掛かる──。
喜悦が深く、鋭さを増していく──。
もうなにも考えられない──。
「くあああっ」
しかし、踏みとどまった。
与えられた命令は、寸止めだ──。
絶頂してはならないのだ……。
必死の思いで手を身体から離す。
気がつくと、かなりの激しさで息をしていた。
それを整えつつ、中途半端な焦燥感の苦悶をラザニエルはなんとか押しとどめようとした。
*
「お前がコーラという女かい」
待っていたデセオ大公の筆頭侍女を名乗る女を見るとラザニエルは吐き捨てた。
苛立ちは頂点に達している。
厠に飛び込んで行った一回目の寸止め自慰は、掻痒感を全く解消せずに、さらにラザニエルを苦しめるだけだった。
もちろん、そんなことはわかっているが、それでも自慰をしないではいられなかったし、そして、業務もやめるわけにもいかないことはわかっている。
苦しい……。
また、股間を擦りまくりたい──。
だが、やっていいのは寸止め自慰まで……。
本当に、あいつは意地の悪いやつだ……。
仕方なく、ぎりぎりと歯をかみしめる。
苛立ちを目の前の女にぶつけたくてしかたなくなる──。
それはともかく、待っていたのは、相変わらずの色香を漂わせた妖艶の美女のコーラだ。
しかし、明らかにラザニエルに対する怯えがある。
まあ、無理もないだろう。
それにしても、あのイザヤがどれくらいコーラに話をしているのか……。
「デセオ大公イザヤの筆頭侍女をしております……。ラザニエル副王陛下のご尊顔を拝見し恐悦至極に存じ……」
コーラが恭しく頭をさげる。
ラザニエルは、魔道を飛ばした。
コーラの全身に見えない糸をぐるぐる巻きに巻き付けたのだ。
「ひいっ」
コーラが糸の拘束により、身体を真っ直ぐにして立つ姿勢になる、両手は身体の横だ。
ちょっと強めに糸で締めあげてやる。
コーラの顔が恐怖で真っ白になる。
さらに糸を飛ばす。今度はコーラが身に着けている衣服の下のあちこちに糸を飛ばした。
「あ、あの……。へ、陛下──」
コーラががたがたと震え出したのがわかった。
「いいから黙りな。ちょっとばかり、今日は機嫌が悪いんだ。望んだとおりに一対一の面談にしてやったよ。だから助けなんてない」
ラザニエルは椅子に腰かけた。
部屋には指示なく誰も入らないように言いつけている。
防音の結界もした。
この部屋のことは外に洩れることはない。
「ひっ、ひっ」
コーラはいきなり魔道で拘束されて、可哀想なくらいに怯えまくっている。
この感じだと、ラザニエルとイザヤの関係のことは知らないで派遣されたのかもしれない。
まあいい。
ちょっとばかり遊んでやるか。少しばかり、身体の苦悶も忘れられるかもしれない。
「さて、一介の侍女ごときに、このラザニエルが対面で会うなんて扱いは破格だけど、こんな無礼な文書を持ってきた者なら特別さ。さて、なにをしに来たのは簡潔に説明しな。何度も言うけど、ちょっと機嫌が悪いんだ。長い話には付き合えないよ」
ラザニエルは言った。
そして、コーラの服の下に飛ばしている魔道の糸を操作して、スカートの下の下着を糸で切断してやった。
四つほどの布切れに切断されたコーラの下着がスカートの下に落ちる。
「ひっ」
「次は乳首を切断してやろうか? それとも、クリトリスがいいかい。じゃあ、この無礼な書簡を送りつけてきた目的をさっさと言いな」
ラザニエルは殺気を込めた口調で言った。
コーラがますます顔を蒼くした。