※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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955 副ギルド長の相談

「ひゃあああ」

 

「くわっ」

 

「うわっ」

 

 部屋のあちこちで一郎の女たちの阿鼻叫喚の嬌声が続いている。

 現在、六度目のボール拾い競争の真っ最中だ。

 九人の女たちの全員に目隠しを施し、右手首と右足首、左手首と左足首のそれぞれを革枷で拘束させた状態で、接近すれば股間を乳首の根元に喰い込んでいるリングが振動することを頼りに全部で六個のボールを見つけ、口で咥えて一郎のところまで咥えて返るという遊びなのだが、五回目までの結果で罰としての浣腸を受けている者は、いよいよ便意が差し迫って動けないし、それ程でもないコゼやシャングリア、イットについては、ひそかに全身の感度をあげてやったので、リングの振動による快感を受けすぎてしまい、振動を受けた瞬間に絶頂まで一気に快感を引きあげられて、その場で全身を突っ張らせてがくがくと震えるだけで、容易にボールに近づけないでいる。

 とにかく、そんな状況があちこちで繰りひろげられていて、とにかく大変な騒ぎになっている。

 一郎はにやにやと微笑みながら、女たちの醜態を見物して嗜虐心を満足させていた。

 

「う、ううっ、ううう」

 

 さて、一郎に近い場所には、まだほとんど動けてないエリカがいた。

 内腿をぴったりと密着させ、両膝を床に付けたままで身体を痙攣させており、全身はかなりの脂汗まみれだ。

 全部で五回の競争のうち、エリカはなんと、四回罰ゲームを受けて、四度の浣腸を受けている。

 一個一個の浣腸の薬液の量はそれほどでもないが、効果はそれなりに強くしている。

 始まってから時間も経っているので、エリカが便意を耐えている時間も長くなっている。だから、かなり追い詰められているのは間違いない。

 

「どうした、エリカ? 動かないと、また罰浣腸だぞ」

 

 一郎は声をかけた。

 

「わ、わかってます……。で、でも、ボールの方向に近づくと、リングの振動が……。そ、それに、もう無理なんです……。も、漏れそうで……」

 

 エリカが泣くような声をあげた。

 足首に革枷で繋がっている両方の拳がぎゅっと握られている。

 ちょっとでも動いたらもう崩壊しそうなので、動くに動けないのかもしれない。

 そもそも、ほかの者にとってはリングの振動のみだが、クリトリスと両乳首にピアスを装着されているエリカは、リングが振動することでピアスも揺れるために、それに耐えないとならないのだ。

 普段の生活には支障がないように、ピアスによる振動は淫魔術で抑えているが、ひとたび刺激されれば、その分も含めて快感が爆発するようになっている。

 エリカのひとり負けが続いている理由は、それである。

 

「そんなこと言うな。ほら、手伝ってやろう」

 

 一郎は立ちあがると、比較的近くにあったボールを軽くエリカに向かって蹴った。

 だが、接近すればするほど、振動が強くなる仕掛けにしてあるので、ボールが転がってくることにより、エリカに加わっている振動が一瞬ごとに増大していくことになる。

 

「ひびいいいいっ」

 

 エリカが奇声をあげて、その場で拘束されている身体を突っ張らせた。

 股間から潮のようなものが噴き出す。

 どうやら、絶頂してしまったみたいだ。

 

「だ、だめえええ──」

 

 股の前に転がってきたボールをエリカが蹴り避けた。

 ボールが近くにあるままだと、振動が止まらないからだろうが、折角足元に来たボールを遠くにやってしまうということは、勝つ手段を放棄するということにも繋がる。

 まあしかし、さっきの絶頂で、それでも糞便をまき散らさなかったのは立派なものだ。

 一郎は、いまだ動顛しているエリカの頭の上に手を載せた。

 

「よく耐えたな。偉いぞ。さすがはエリカだ。でも、せっかく寄せてやったのに、遠ざけるやつがあるか」

 

 一郎はエリカの頭を撫ぜながら笑った。

 

「だ、だって、だって、だって──。も、もう無理です──。ロウ様、無理です──。か、厠に──。厠に行かせてください──。お願いです──」

 

 エリカが絶叫した。

 一郎はエリカの頭を軽くぽんぽんと叩いた。

 

「わかった、わかった。なら、負けを宣言しろ。それで厠を準備してやろう。ただの木桶だけどな」

 

「ふ、普通の厠を──」

 

 エリカがすがるような顔で一郎を見上げた。その眼の部分は目隠しとしての布が巻かれているが、布にかなりの汗と涙がにじんでいる。

 まあ、もう限界だろう。

 そのときだった。

 

「旦那様、お愉しみの途中ですが、小屋敷のブラニーから緊急の連絡が入っております。イライジャ様が旦那様に急遽お取次ぎを願ってきたということです」

 

 シルキーが目の前に来た。

 一郎が他の女たちで遊んでいるあいだ、シルキーについては召使い候補生のリリスに料理指導をしていたのだが、それを中断してこっちに来たようだ。

 

「イライジャだと? 緊急?」

 

 屋敷妖精としてレベルアップしたシルキーは、いまは幽霊屋敷のみならず、「小屋敷」と呼んでいる王都屋敷も管理するようになり、もともと小屋敷を管理していたブラニーという屋敷妖精も統制下に入れて、両方を行き来できるようになっている。

 イライジャは、名目上の王都冒険者ギルドのギルド長だったイザベラが女王になったことを受け、長年の慣例を破って、これまで実質的にはギルド長だったミランダを正規にギルド長にしたことを受け、新たに副ギルド長として就任してもらっていた。

 ミランダも、イライジャの冒険者の管理能力は高く買っていて、イライジャを喜んでギルドに受け入れたのだが、そのイライジャの緊急の連絡ということになれば、冒険者ギルド絡みの案件だと予想された。

 

「わかった。イライジャを呼んでくれ」

 

 一郎は応じた。

 しかし、シルキーは一瞬の沈黙の後、再び口を開いた。

 

「申し訳ありません、旦那様。イライジャ様は、王宮側に行ってしまったようです。ブラニーによれば、旦那様だけでなく、女王陛下やアネルザ様もお呼び出ししようとしているとか。皆さんを小屋敷に集めようとしているようです」

 

「いよいよ、緊急の案件のようだな。わかった」

 

 一郎は頷いた。

 

「ロ、ロウ様──。き、緊急で、大切なことなら、す、すぐに対処……しないと……」

 

 横にいたエリカが縋るような表情をして、一郎を見上げている。

 一郎は肩を竦めた。

 

「そのようだな。残念だけど、遊びは終わりだ。みんな──。緊急の要件が入った。競争は中止する──。厠にも行っていい。とりあえず、エリカ、コゼ、シャングリアは同行しろ──。ほかの者はここで待機してくれ──」

 

 一郎は叫ぶとともに、全員の拘束と三個のリンクを淫魔術で身体から外し、球体についても収納術で消した。

 部屋中から安堵の悲鳴と嘆息の声が発生するとともに、尻もちをついて座り込む女たちの姿であふれた。

 

「シ、シルキー ──。厠までわたしを跳ばして、はやぐうう──」

 

 一方で、エリカが絶叫した。

 ほかの者は、とりあえず目隠しを外そうとしているが、エリカについてはそれさえも、もどかしそうだ。

 

「ええと……、よろしいですか、旦那様?」

 

 シルキーが一郎に視線を送ってくるので、意地悪をしようかとも考えたが、ここは素直に許すことにした。

 その瞬間、エリカの姿が消える。

 シルキーにより、厠まで移動術で送ってもらったのだろう。

 

「わ、わたしくも……」

 

「あたしも──」

 

「あたしが──」

 

 また、ほかの女たちも我先に厠に向かって、部屋を飛び出していく。

 一郎はにんまりとしてしまった。

 

「わ、わしは……、わしも厠に……」

 

 そのとき、いまだ持ち込まれた厨房セットの前の台上で苦しそうな顔をしている貞操帯姿のリリスが一郎に声をかけてきた。

 リリスには、股間に装着させているディルド付きの革帯のほかに、悪戯で与えた限界を越えた尿意のことがある。

 リリスは、いま、究極的な尿意に襲われているのだ。

 

「しっかりと、シルキーに教育を受けておけ。小便を漏らすなよ」

 

 だが、一郎は言った。

 まあ、このくらいの罰はいいだろう。

 リリスが宮廷の奴隷宮に令嬢や令夫人を監禁していたときには、調教と称して排尿や排便の時間を制限したということだ。

 自分が他人にさせたことは、しっかりと自分自身で味わってもらう。

 一郎の言葉にリリスががっくりとなった。

 

「まだ、終わりではありません。完璧に切断できるまで、パンを切るのです。旦那様のなさる躾もわたくしめが引き継ぎます」

 

 すると、肌を叩く小気味いい音が鳴り響いた。

 再び、リリスのところに瞬間移動したシルキーが乗馬鞭でリリスの背中を叩いたのだ。

 

「くっ。ま、また、それを──」

 

 リリスが身体を突っ張らせた。

 これはリリスに鞭打たれたことに対する反応ではなく、どうやら、鞭打ちに合わせて、リリスの股間の淫具をシルキーが動かしたようだ。

 だが、あれは魔道力ではなく、一郎の淫魔力で作動するように調整しているものだ。それがシルキーにも制御できるということにちょっと驚いた。

 そもそも、屋敷妖精のシルキーの能力は、屋敷の管理に関することに限定だ。

 屋敷に関するものであれば、その屋敷内ではほぼ無限の力を発揮するのだが、反面、それ以外の能力は発揮できないはずなのだが……。

 

「リリス様は、旦那様専用の召使いになるのですから、召使いをこなしながら、旦那様の淫靡な悪戯に耐えなければなりません。また、それで家事が疎かになってはならないのです。それの修行です」

 

 シルキーがきっぱりと言った。

 なるほど──。

 召使いの管理は、屋敷の管理の範疇なので、だから、リリスへの調教については、シルキーも力を発揮できるということのようだ。

 一郎は納得した。

 

「も、戻りました……」

 

「あ、あたしもです」

 

 すると、エリカとコゼがやってきた。

 まだ、服装が乱れていて、全身にかいている汗もぬぐってなかったが、冒険者としての格好をしてきて、武器も準備してきている。

 かなり急いで準備したみたいだ。

 

「じゃあ、シャングリアが来たら出発だ。シルキー、後を頼む」

 

「お任せを」

 

 シルキーが完璧な仕草で一郎に向かってお辞儀をした。

 

 

 *

 

 

「闇奴隷組織による誘拐事件?」

 

 一郎は眉をひそめた。

 王都側の小屋敷だ。

 

 エリカ、コゼ、シャングリアを連れた一郎が、ブラニーが管理している小屋敷にやって来たとき、すでに屋敷の客間には、冒険者ギルドのミランダとイライジャのほか、王宮からイザベラ、シャーラ、アネルザ、さらに、王軍の最高責任者となったラスカリーナが到着していた。彼女たちが護衛もなしにここにいるのは、スクルドが施した設備により、イザベラの寝室の姿見から、この小屋敷に一瞬で移動できるようになっているからである。

 そして、意外なことに、ベルズもいる。

 客室のソファに腰をおろしたのは、一郎のほかには、イザベラ、アネルザ、ミランダ、イライジャ、ラスカリーナ、そして、ベルズだ。ほかの者は、その後ろで立つかたちで話し合う態勢をとった。

 

 そして、最初に口を開いたイライジャが口にしたのが、この数日、ひそかに内偵調査をしていたという誘拐事件のことだった。

 一郎としては知らなかったが、王都に一郎たちがいなくなった時期から、少女や若い女が王都周辺から行方不明になるということは頻発していたのだそうだ。

 あまりにも王都で色々なことがあったため、その騒動に隠れて話題にはなってなかったが、ルードルフ王を排除して、イザベラと一郎が王都に戻ったことで、王都一帯は急速に秩序を取り戻していた。

 それで、これまでおざなりだった誘拐事件が目立つことになり、副ギルド長として王都冒険者ギルドに入ったイライジャは、ミランダと相談して、その調査をひそかにしていたということだった。

 一郎の感覚では、王都一帯の治安は、王軍の管轄というイメージなのだが、現実としては、金銭を通じて犯罪者を捕える機能のある冒険者ギルドは、庶民の中では最も身近で頼りになる治安組織なのだ。

 つまりは、王軍は大きな取り締まりでなければ動かないが、通常の犯罪で動くのは冒険者ギルドということらしい。だから、今回の闇奴隷事件についても、ひそかに冒険者ギルドとして動いていはいたということみたいだ。

 それをどうやって利益に繋げるかは、その後のミランダとイライジャの力量に違いない。

 

「闇奴隷組織だと? そんなものが横行しておるのか?」

 

 イザベラが不機嫌そうに言った。

 

「闇奴隷組織そのものは、大なり小なり、昔から存在しますね。正規の奴隷だろうと、闇奴隷だろうと、奴隷にしてしまえば区別がつかないし、奴隷にしてしまえば、自分が正規の手段で奴隷になったのではないことをその奴隷は誰にも喋ることができません。隷属の首輪と隷属術を掛ける手段さえあれば、あまり元手のいらない美味しい商売なんですよ」

 

 ミランダがイザベラに向かって説明する。

 

「まあいいよ。だけど、こうやって夜中に集めたんだ。それについての理由があるんだろう?」

 

 すると、アネルザが口を挟んできた。

 

「ええ、あたしは、いま大規模に横行している王都周辺の闇奴隷事件の首謀者は、副王都マイルにあると思っています。内偵調査も進めていました。その矢先に、一昨日から昨夜にかけて、王都ギルドに所属する女冒険者ふたりが行方不明になるという事件が発生したんです」

 

 イライジャが言った。

 

「それで? 所属の冒険者を守ることは、冒険者ギルドに認められている行動だけど、相手が問題だということなのかい?」

 

「その通りだよ、アネルザ。だから、あたしはここにいる者に集まってもらったんだ。その組織が問題さ」

 

 ミランダがさらに言った。

 

「どこなのだ?」

 

 イザベラがイライジャとミランダを見る。

 すると、イライジャが口を開いた。

 

「副王都マイムのクロノス教会です」

 

「クロノス教会?」

 

「まさか」

 

「はああ?」

 

 アネルザ、ベルズ、イザベラが相次いで驚きの声をあげる。

 ほかの女たちも大なり小なり、びっくりした表情になっている。

 

「馬鹿な──。ありえん。仮にも聖職者たる者が闇奴隷だと? そんなこと考えられん。間違いだろう」

 

 そして、ベルズが一蹴する。

 

「聖職者が犯罪を起こすのがあり得ないって? 冗談じゃないわよ。そんなの昔からよくある話よ。あたしたち奴隷仲間には、教会ルートと言われている奴隷たちが以前からずっと存在してたわ」

 

 コゼが吐き捨てるような口調で言った。

 ここに集まっている者の中では、コゼが唯一の奴隷あがりだ。その立場として知っていたこともあるのだろう。

 

「はあ?」

 

「教会って、魔道遣いの素質がある子供を農村から探して集めたりするでしょう。だけど、その中には使い者にならない子供も大勢いる。そういう者を死んだことにして、神官たちの小遣い稼ぎとして、闇奴隷に売るというのは、結構ある話よ」

 

「わたしたちは、教会に入るとともに、冒してならない誓いをクロノス神と女神とかわすのだ。その神官が自ら犯罪に手を染めるなど、あってはならんことだ。ましてや、マイムの神殿が? 繰り返すがあり得ん」

 

「あってはならないから、なんなのよ? うちの元女神殿長は、冒してならない誓いをしたはずだけど、そんなものは全部捨てて、屋敷で雌犬様をしているわ」

 

 コゼが言い返す。

 

「それとこれとは……」

 

「違わないな。実際のところ、マイムの神殿は、一年ほど前から胡散臭い話をよく耳にしていた。神殿だから清廉潔白だという論は無意味だな。正しい人間がいれば、悪い人間がいるように、正しい魔族もいれば、悪い魔族もいた。ロウの性奴隷にしてもらって、そういうこともわかるようになった。神官についても同様じゃないのか」

 

 シャングリアがぴしゃりと言った。

 

「あんた、凄いわねえ。やっぱり、最初に会ったときの偏屈なときとはまるで違うわね」

 

 コゼがシャングリアに言った。

 

「そうだろう。わたしも日々成長しているのだ」

 

 シャングリアが白い歯を見せた。

 

「まあいい、じゃあ、整理すると、イライジャはそのマイムの神殿が今回の闇奴隷犯罪の主犯だと思っている。そして、行動したい。その許可を求めている。そういうことでいいのか?」

 

 一郎はイライジャたちに視線を向ける。

 すると、ミランダが首を横に振った。

 

「いや、神殿ということになれば、ギルドの力だけじゃ無理さ。そもそも、さすがにあたしたちには、そんな権限はない。冒険者ギルドが神殿に押し入るなんて前代未聞だしね。王軍に動いて欲しい」

 

「それで、ここにわたしも呼んだのだな。わたしが出動命令を出せばいいということか?」

 

 イザベラだ。

 

「待ちな。王権と神殿は不可侵の協定を結んでいる。王軍を神殿に直接入れるということはできないよ。ルードルフが神殿を襲撃させるということがあったからね、それで、ローム神殿とは改めて、王家が神殿に対して不可侵であるということを約束し直したばかりだ。ただでさえ、どこかの独裁官のおかげで、神殿のとの関係が面倒な状況なんだ。ここは慎重にいく必要があるよ」

 

 アネルザが困ったような顔をする。

 そのあたりには、一郎もあまり関与してないのでわからないが、一郎がフラントワーズたちの新教を認めたり、神殿の専管だった暦法に手をつけたりしたことで、かなり神殿が今のハロンドール王家に不満を抱いていることは認識している。

 だが、ハロンドール王国全体に拡がっている神殿は、多くの魔道遣いを抱えているし、農村になればなるほど、子供の教育や魔道による治療などで地方と神殿の関係が深くなっている。それにそっぽを向かれれば、地方統治が瓦解しかねない。

 それで、苦労して神殿との新たな関係の構築にアネルザが努力している真っ最中なのだ。

 この状況で新たな確執を神殿側と生みたくないのだろう。

 

「ならば、放置せよというのか、母者?」

 

 イザベラが不満そうにアネルザを見る。

 王妃でなくなったアネルザのことをこのところ、“母者”と呼ぶ。血の繋がりはないが、それだけ親しみを抱くようになったということだろう。

 

「神殿における不正は、神殿内で取り締まってもらうのが協定さ。闇奴隷組織がマイムの神殿内に隠れているのであれば、まずはそれを訴え、彼らに取り締まらせる。それが筋だね」

 

「そんなことをしているあいだに、さらわれたリンダとイマルは闇奴隷として売られて、どこかに連れ去られてしまうよ。イライジャもあたしも、神殿全体とは言わないけど、ある程度の組織的関与はあると思ってるんだ。下手をすれば、全部隠されて、逃げられてしまうよ」

 

 ミランダが訴えた。

 イライジャも頷いている。

 リンダとイマルというのは、今回の話し合いの引き金になった行方不明の二人の冒険者姉妹だ。

 

「神殿が闇奴隷組織の温床だという絶対の確証はないのであろう?」

 

 ベルズがまた口を挟んだ。

 

「あたしは確証しているわ。首を賭けてもいい」

 

 イライジャがきっぱりと言い返す。

 

「だが──」

 

 ベルズがさらに反論しようとした。

 しかし、一郎はそれを手で制した。

 

「わかった……。ラスカリーナ、王軍をすぐに動かすとすれば、どれくらいの準備が必要だ?」

 

 一郎はラスカリーナを見た。

 

「ロウ殿──」

 

 ベルズが不満そうに怒鳴る。

 

「ロウ様の決定よ。話し合いはここまで」

 

 すると、ずっと黙っていた感じのエリカがぴしゃりと言った。その強い口調にベルズが少したじろいだ感じになる。

 一郎は嘆息し、逆に宥めるような物言いでベルズに語りかけることにした。

 

「いや、ベルズ、対応が遅れれば、それだけ捕らわれている者がどうなるかわからない。やるか、やらないかだ。決めよう。動く。動くと決めたら、すぐに動こう」

 

「実は、先にイライジャ殿から状況は教えてもらっていました。結論に関わらず、すでにベアトリーチェには、王軍騎兵を王都の外に展開させていて、連絡をすればすぐに動けるようになっています。マイムの駐留軍には知らせない方がいいでしょう。命令さえ、あれば、数ノス後にはマイムの神殿に騎馬隊が突入できます」

 

 ラスカリーナだ。

 

「すぐに出せ。俺たちも行くぞ。イライジャもだ。スクルドも連れていく。移動術で行く。王軍騎馬隊と合流して、マイム神殿に突入する」

 

 一郎は立ちあがった。

 ほかの者も動きだす。

 

「待ってくれ。ならば、わたしも行く。わたしも神殿への突入に加わる」

 

 ベルズが言った。

 

「じゃあ、一緒に来てくれ」

 

 一郎は応じた。

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