※この作品はR-18です。

【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】   作:ドン・ドナシアン

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960 明け方の神殿襲撃

 夜が白々と明けてきた。

 マイムの城郭にも朝が訪れようとしている。

 

 一郎は、神殿の正門前に設営させた屋根のない天幕の中に準備してもらった簡易椅子に座っている。

 椅子に座っているのは一郎ただひとりであり、周りには、エリカ、コゼ、シャングリア、イライジャ、スクルド、ベルズ、さらにガドニエルもいる。マーズもだ。

 ガドニエルについては、一緒に連れていく予定はなかったのだが、置いてかれそうになったら、半泣きになって強引についてきたのだ。だから、周りには護衛の親衛隊もおらず、ブルイネンでさえも同行していない。

 完全なお忍び状態だ。

 そして、エリカ、コゼ、シャングリア、イライジャ、そして、マーズについては顔は隠していないが、ほかの魔道遣いたちは全員が顔にフードを被って隠している。

 

「完全に包囲しています。鼠一匹出しません」

 

 騎馬に跨がって一郎たちの前にやって来たベアトリーチェが、一郎のいる天幕の前までやってきて、下馬をして報告をしてきた。

 当初、一郎は「冒険者」として、このマイム神殿の襲撃に参加するつもりだったが、思うところがあり、「独裁官」として作戦に加わることにした。

 だから、黒色の軍装とさらに黒色で金縁の飾りのついた具足、それに肩から腰に掛けてのたすき掛けの赤と金の紋様にある「修帯」と呼ばれる太い布を身につけている。

 ハロンドール王家の伝統的な装束らしく、誰が見ても軍装だとわかる格好だ。

 できるだけ目立つためだ。

 今回のことは、間違えば神殿に対するハロンドール王家の大きな失態になる。

 だから、神殿の襲撃という掟破りが、独裁官たる一郎で行われたことを喧伝するのだ。

 

 そして、天幕の横には、独裁官としての大きな紋章の描かれた旗を近衛兵の装束のマーズが片手で持っている。

 独裁官たる一郎の旗は、ボルグ家の家紋として使っていたものを改良ものでもあり、ひとつの塔に二匹の蛇が巻き付いている模様のもともとのボルグ家の紋章の横に、右に鳥、左に獅子の図柄を加えたものである。

 中心にある塔は、「男性器」を示し、二匹の蛇は愛撫だ。右側の鳥は「優しくくすぐるような官能責め」の象徴であり、左側の獅子は「荒々しく痛めつける苦痛」を示す。

 そう教えてやったとき、女たちは複雑そうな表情で、身体をもじつかせていた。

 まあ、下地になっているボルグ家の紋章の塔と二匹の蛇は、全員の女たちの下腹部に刻んでやっている隠し性紋と同じであり、どの女もそれで辱められた経験を持っている。それを思い出すのかもしれない。

 

「ご苦労さん、ベアトリーチェ。そのまま待機だ。神殿内に押し入るときには、正面からのみでいく。俺たちも出るが、最初は選抜した二十名だ。人選をしておいてくれ」

 

 今回のマイム神殿の討伐にあたり、王都から送ったのは二百の騎馬隊だ。

 指揮はベアトリーチェであり、彼女たちが進発して、スクルドによる長距離移動術の設備により移動をした一郎たちが城郭で追いついたというかたちである。

 このマイムにも駐留隊はあるが、彼らはこの神殿包囲には関わっていない。

 なにも知らせずに城郭に突入すると、神殿を完全包囲してから、独裁官命令として、城郭内の神殿以外の神殿施設や要所の警備、さらに城郭から脱走しようとする者の取り締まりを指示した。

 信用していないわけではないが、ひとつの城郭における神殿の地位は大きい。

 癒着により結びついていないとは限らない。

 事前の指示で情報が漏れれば、ローム神殿との協定を破って急襲する意味がないのだ。

 

「わかりました」

 

 ベアトリーチェが頷いて、周りの王兵に指示を出す。

 すぐに伝令ががあちこちに駆けていくのがわかった。

 

「でも、あのう……。すぐに突入しないのですか? でも、突入組はすぐにでも出せますよ」

 

 ベアトリーチェだ。

 しかし、一郎は首を横に振る。

 

「まあ、待ってくれ。アネルザの苦労を少しでも軽減しないとな……。それよりも、そういえば、夜のあいだ、馬で駆け続けだったから、今朝の小便は当然まだだったな。大事な作戦だ。途中で漏れたりすることはないか? まだ大丈夫か?」

 

 一郎はすっとベアトリーチェとの距離を詰めて密着すると、ベアトリーチェの股間に手を伸ばして、軍装のズボンの上から股間をまさぐってやった。

 

「ひんっ、は、はい。ま、まだ、我慢できます……。も、問題ありません」

 

 ベアトリーチェが途端に真っ赤になり、身体を硬くする。

 すると、エリカがすっと手で合図した。

 周りから見えないように、エリカ、コゼ、シャングリア、さらにスクルドで囲んでしまう。

 よくできた女たちだ。

 

 一郎はほくそ笑みながら、ベアトリーチェの快感の場所を的確に突いて刺激を送り込んでやる。

 ズボンの上から静かに触れるようななんでもない動作だが、ベアトリーチェは衝撃的な快感の塊を続けざま注がれているような感覚になっているはずだ。

 その証拠に、必死に力を入れる脚がぶるぶると震えててきている。

 一郎は愛撫をしながら、いつものように、ベアトリーチェの膀胱を水分でいっぱいにしてやる。

 彼女が可愛いのは、ここから我慢して悶える姿だ。

 それに、このところ失禁を我慢させる調教をしっかりとやらせているので、この状況でも半日くらいは問題ない。

 それに耐えられずに失禁してしまったところで、罰を与える愉しみができるだけのことだ。

 

「あくっ、あっ」

 

 尿意を限界まであげられたことを悟ったベアトリーチェは、思わず両手で股間をさえるような仕草をしようとした。

 しかし、一郎の手がそこにあることで、すぐに手を引っ込める。

 一郎はベアトリーチェから手を離した。

 

「ならば、そのまま我慢しろ。ちゃんと任務を遂行できれば、ご褒美に厠でおしっこをさせてやろう。ただし、俺の目の前でだけどな」

 

「は、はい……。わかりました。そ、そのときにはお願いします……」

 

 ベアトリーチェが太腿を必死に締めつけるような仕草になりながら頷く。

 そして、一郎が何事もなかったように椅子に戻って座り直すと、ベアトリーチェもまた、天幕の外側に向かい、包囲をさせている王軍の騎兵たちに指示を出せる態勢になった。

 

「ところで、アネルザ様の負担を軽くするというのは、どういう意味なのですか、ロウ様?」

 

 エリカもまた、何事もなかったかのように、一郎の横から訊ねてきた。

 

「動くのは、もう少し民衆が集まってからにしようと思っている。神殿から捕らわれている奴隷が助け出されれば、どちらに非があるかは子供でもわかるだろうさ。ちょっとでも世論を味方につけようということだね」

 

「もしも、神殿が犯罪に手を染めているという前提が間違っていたら?」

 

 ベルズが不満そうに言った。

 

「あんた、まだ疑ってんの? いい加減にしなさいよ。神殿を信じたいのがわからないでもないけど」

 

 コゼだ。

 

「前提も間違いないわ──。首を賭けるって言ったでしょう。そもそも、あんた、いつまでも、ぐちゃぐちゃとうるさいのよ」

 

 今度はイライジャが文句を言った。

 

「なっ」

 

 その強い剣幕にベルズも思わず絶句している。

 まあ、王都第二神殿の筆頭巫女であり、元の伯爵令嬢、いまは王立魔道研究所の所長予定者としての立場もある。

 王都ではなかりの人望もあり、有名な存在でもある。

 そのベルズに、ここまで強気に出る者も少ないので面食らっているのかもしれない。

 

「まあ落ち着けよ。そのときは、俺の全責任だ。頭を掻いて誤魔化すさ」

 

 一郎はわざとお道化(どけ)けた口調で言った。

 しかし、一郎はすでに確信している。

 距離はあるが、一郎の魔眼は、神殿内の者についてある程度の探知をしている。

 さすがに、位置や細部のステータスまではわからないが、百人ほどいる神殿内の存在には、隷属魔道を掛けられている七名の奴隷が混ざっている。

 間違いなくここにいる。

 問題はどこにいるかだ。

 また、包囲された状況で、この中の連中が捕らえている闇奴隷を証拠隠しに殺すことが怖いが、いまのところ様子はない。

 ステータスに負傷の兆候を魔眼で感じることはない。

 

「そんないい加減な」

 

 ベルズが困惑している。

 

「ロウ様は、間違えないわ」

 

 するとエリカがぴしゃりと言った。

 

「しかし……」

 

「ふふふ、しつこいですわ、ベルズ。ご主人様……いえ、ロウ様が失敗なさることはありませんわ。万が一失敗したとしても、わたしたちがそれを帳消しにしてしまえばよいのです。なんの問題もありませんわ」

 

 スクルドがころころと笑う。

 

「まあ、もちろん、わたしもおりますわ──。ローム神殿でもなんでも、粉々にしますので、いつでもおっしゃってください」

 

 すると、ガドニエルがスクルドに負けじと口を挟んできた。

 

「粉々にしちゃいけないでしょう。そもそも、仮にもあんた、ナタルの女王なんだから、不用意に神殿を敵にする言葉は使っちゃいけないんじゃない。あの姫様だって、そこまでは口にしなかったわよ。まあ、奴隷狩りをするような連中を神官とは認めたくないけどね」

 

 コゼがくすりと笑った。

 

「そもそも、このところ、失敗が多いのは、ガドだけじゃなく、スクルドもそうだろう。失敗を帳消しどころか、失敗を作っているように思うのは気のせいか?」

 

 シャングリアが茶化すように言った。

 

「まあ、それは言わない約束ですわ」

 

「どんな約束よ」

 

 エリカが呆れた様子で言った。

 

「とりあえず、スクルドは、神殿全体の魔道を封印してくれればいい。それこそ、魔道で逃亡されるようなことだけはないようにしてくれ」

 

 一郎は言った。

 スクルドにやらせているのは、この神殿全体を魔道封じのの結界で封印してしまうことだ。

 万が一にも、移動術系の魔道で逃げられたら、本作戦は王家が神殿を不当に手を出したという失態で終わってしまう。

 

「それも問題ありませんわ。お任せを」

 

 スクルドがにこにこしながら言った。

 

「それにしても、この神殿全体の敷地を魔道封じで覆ってしまえるのか。いつの間に、魔道遣いとして、そこまで成長したのだ?」

 

 すると、ベルズは半分呆れたような口調で言った。

 最初に出会ったとき、スクルドもベルズも魔道遣いとしての大きな差はなかった。

 だからこそ、ここまでのスクルドの魔道遣いとしての成長がベルズとしては不思議なのだろう。

 

「それはもちろん、ご主人様に抱いてもらった回数の差ですわ。ベルズは数が足りないのですよ」

 

「いや、数の違いって……。まあ、ロウ殿が女の能力を向上させる不思議な能力があることは認めるが……」

 

 ベルズは半信半疑だ。

 一郎はくすりと笑った。

 

「本当だぞ。魔道遣いと、淫魔力は相性がいいようだ。一か月ほど、徹底的に調教を受けるか? 毎日趣向を凝らした責めを味わわせてやろう。もともと、ベルズはマゾだが、それこそ、人目を気にせず苛められたがる露出狂に仕上げてやる。その代わり、スクルド並みの魔道遣いにはなれると思うぞ。数が大切だというスクルドの言葉には聞くべきものがある」

 

 一郎はにやりと笑った。

 

「まあ、ベルズ──。よかったじゃないですか。わたしと一緒に、ご主人様のご調教を受けましょう」

 

「スクルドさんたちだけ、狡いですわ。もちろん、わたしも参加しますから」

 

 ガドニエルが慌てて口を挟む。

 

「いや、待ってくれ。ちょっと、考えさせて欲しい」

 

 ベルズがたじろいだようになった。

 

「うちの魔道遣いたちは全員が淫乱ねえ。ミウも、ほんと、小型スクルドだし」

 

 コゼが呆れたように言った。

 

「それが魔道遣いらしいぞ。淫乱であるほど、魔道が強くなる。クロノス教会の隠している秘法らしい。なあ、ベルズ?」

 

 一郎はベルズを見た。

 

「そ、そんなことは口には出せん」

 

 ベルズは困ったように、一郎から視線をそらせた。

 そして、動きがあったのは、さらにしばらくしてからだ。

 そのときには、かなりの群衆が集まっていて、神殿を包囲している王軍をさらに遠巻きにしてきていた。

 動きというのは、これだけの包囲にもかかわらず、全く反応らしいものがなかった神殿側の玄関の扉がかすかに開いたことだ。

 そこから、神官たちの集団が姿を示した。

 現れたのはある程度の地位にある男の神官と、神官に所属する十人ほどの神殿兵の一隊だ。

 神殿兵のひとりに、太陽と五個の月の印をあげた旗を掲げさせている。

 話し合いの使者という感じだ。

 ステータスを素早く読み、全員が小者だと判断した。

 

「神殿旗だ。神殿の権威の象徴だな。それを持ち出したか……。ならば、わたしが出よう。王都神殿の筆頭巫女のわたしだ。可能ならば説得もしよう。任せてくれ」

 

 ベルズだ。

 しかし、一郎はそれを制した。

 

「いや、話し合いの必要などない。ベアトリーチェ、構わん。捕らえさせろ」

 

 一郎は立ちあがって指示した。

 

「ロウ殿──。まさか、いきなりか? ならん、それこそ、神殿を敵に回すことに──。ルードルフ王に続いて、姫様の代においても神殿に軍を入れるとあっては……」

 

「しつこいわねえ。意見を言うのは結構──。だけど、ロウ様の決定には文句言わないの」

 

 エリカがぴしゃりとベルズを叱った。

 

「あの者たちを捕らえよ──」

 

 一方で、一郎の指示を受けたベアトリーチェが大喝した。

 正門から前庭を進んでこっちに歩み寄ろうしていた神殿の使者のような者たちがびっくりしている。

 問答無用で捕らわれるとは夢にも思わなかったのだろう。

 神殿を包囲させてそれなりの時間が経っているし、王軍が神殿を取り囲んでいるのはかなり目立つ。

 何事だろうと集まっている野次馬の数もそれなりになっている。彼らもまた、騒然となった。

 いずれにしても、そろそろ潮時だろう。

 

「うわっ、なにをするか──。わ、我らはマイム神殿の者で──。そもそも、このような暴挙は──」

 

 神殿の使者らしき男が狼狽の声を出している。

 しかし、あっという間に、同行の神殿兵ごと、ベアトリーチェたちによって捕らわれた。

 

「問答無用だ。独裁官ロウ=ボルグ・サタルスの命により、この神殿を封鎖して調査する。お前たちには、闇奴隷売買の嫌疑がかかっている。大人しくせよ──」

 

 一郎は周囲一帯に聞こえるように大きな声をあげた。

 遠巻きに集まっている市民たちが大騒ぎになった。

 

「そろそろ、いいだろう……。突入するぞ。ベアトリーチェ、さっき指示した突入隊を出せ。俺たちに続け──」

 

 一郎は捕らわれて縄掛けをさせているさっきの神殿兵たちの横を通り過ぎ、神殿の正門を抜け、さらに玄関に向かって進んでいく。

 エリカが素早く指示を出し、その周りや前を、エリカたちが隊形を作って一緒に同行してきた。

 

「念のためにお聞きしますが、ロウ様が自ら突入するのですか?」

 

 エリカだ。

 すでに武器を抜いて、一郎の右隣に位置している。

 また、左側にはイライジャ、前側にコゼとシャングリアがさっと位置をとっている。

 魔道遣いたちは、その後ろだ。最後尾を旗を持ったマーズがつく。

 

「俺が行けば、比較的すぐに、隠されているものを発見できる。だから、しっかりと俺を守ってくれ」

 

 一郎は玄関に向かって進みながら言った。

 

「わかりました。みんな、このまま、行くわよ──」

 

 エリカが大きく頷いた。

 すると、使者を出したために、わずかに開いていた神殿の玄関が固く閉じ直した。

 魔眼で見る。

 武器を持った多くの神殿兵の閉じた玄関の裏側についたのがわかった。

 

「扉と壁の向こう側に、神殿兵が配置されたぞ──」

 

 一郎は進みながら怒鳴る。

 次の瞬間、轟音とともに神殿の玄関が吹っ飛んで、そこに大きな穴ができた。

 もうもうとたちこめた砂埃の向こうに、呻き声をあげて倒れている大勢の神殿兵の姿を一郎は確認した。

 それが、スクルドが打った魔道砲のようなものによるものだとわかったのは、破壊された玄関のすぐそばまで辿り着いてからだ。

 

「なくなりましたわ」

 

 後ろから進んでくるスクルドがあっけらかんとした口調で言った。

 

「わっ、あ、あの次は、わたしに任せてください」

 

 ガドニエルが焦ったように叫んでいる。

 

「ガドはだめよ。あんただと建物ごと破壊しちゃうでしょう」

 

 エリカが前を向いたまま言った。

 

「それに、敷地全体にわたしの魔道封じの結界が効いてます。ガドさんでも魔道は邪魔されますわ」

 

「そういえば、そうなのね。でも、あんたは掛けられた。どういう仕掛けになってんの?」

 

 コゼが振り返ることなく、スクルドに訊ねてきた。

 

「秘密です」

 

 スクルドのお道化た返事があった。

 エリカが手を横に出して、全体を一度停止させた。壊れた入り口の前だ。

 

「コゼとシャングリアは中まで走って──。イライジャ、ロウ様から離れないでよ。わたしも前に出るわ」

 

 コゼ、シャングリア、さらにエリカがひと足先に神殿内に飛び込んでいく。

 一郎は少し待ち、続いて神殿の中に進み入った。

 

「突入──」

 

 さらにベアトリーチェ以下の王軍兵の突入が続いたのがわかった。

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