【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
「ああっ?」
声をかけてきた男は当然にロウだと思ったのだが、ゼノビアには誰なのがわからなかった。
見知らぬ男だ。
しかし、そうではないということに、すぐに気がついた。
別に隠しているわけではないが、ゼノビアには声をかけてきた男の顔を認識できなかったのだ。
「ちっ、認識阻害の魔道かい? もしかして、ロウ殿か?」
舌打ちとともに訊ねた。
「そうだな。抵抗するなよ」
すると、その男がすっとゼノビアの腕に触れてきた。びくりと反応しそうになったが、なぜか身体が動かなかった。
次の瞬間、霧が晴れるように、はっきりロウだと認識することができた。
「認識阻害の術は、明確に相手を認識すると、その者だけは術の効果がなくなるそうだ。一番いいのは、触ることらしくてね」
「その通りですわ。これでゼノビアさんについては、ご主人様の存在が認識できたはずです」
「えっ?」
ロウのことはもうはっきりと認識できたが、続いて声が聞こえたのは女の声であり、そっちについては、いまのいままで、そばにいたことがわからなかった。
だから、びっくりした。
だが、声がした方向に目をやれば、今度は薄っすらとだが、そこに女が立っていることだけはわかった。
こっちも認識阻害の術か──。
ゼノビアは半ば唖然とした。
「へええ、じゃあ、あたしたちについては、いまは、ここにいながら、周囲の誰にも、いるかいないか認識できない状態にあるってことかい」
ゼノビアは言った。
すると、ロウがくすりと笑った。
「馬鹿を言うなよ。折角の色っぽい格好じゃないか。せいぜい、見せびらかしてやれ。認識阻害の効果を帯びているのは俺たちだけだ」
ロウだ。
ゼノビアは呆気にとられた。
「はああ? 自分たちは、そういう都合のいい術で顔を隠しながら、あたしにだけ、こんな格好をさせて、恥を晒せってことかよ──」
思わず怒鳴った。
しかし、ロウは軽く肩を竦めただけだ。
「別に恥じゃないだろう。綺麗な脚だ。ところで、今日一日は俺の言葉には一切逆らえないから、抵抗は諦めろ。デートが終われば術は解いてやる。それまでは、俺の言葉がゼノビアの意思に優先して、ゼノビアの身体を動かす」
「ちっ」
ゼノビアはまたもや舌打ちをした。
ロウの言葉に勝手に身体が従っているというのは、もう感覚的に認識している。せめてもの抵抗がこの舌打ちと悪態くらいなのだ。
「じゃあ、しばらく黙ってついてこい。遅れるなよ」
ロウが歩き出す。
「ちょ、ちょっと、待ちなよ──」
ゼノビアは、ひと呼吸遅れて、後を追った。
しかし、本当に身体が勝手に動く感じだ。
いや、ロウに逆らうという意思が発生しないのだ。
それにも関わらず、身体を操られている気はしない。
いずれにしても、追いかけるしかない。
逆らえば、あの変態はなにをゼノビアにするかわからない。
一生懸命についていく。
「くっ」
しかし、ゼノビアはすぐに、ロウの淫靡な悪戯の仕掛けがわかった。
短すぎるスカートは、足幅を大きくすると、すぐにずれあがってしまいそうになるのだ。
さすがに、下着を見せる趣味はないので、ずりあがらないように手で押えるのだが、そうすると、かなり速足のロウに遅れそうになるのだ。
あの男は……。
歯噛みしつつも、歩幅をできるだけ小さくして、ロウについていく。
すると、すぐに人通りの多い通りに入った。
繁華街という雰囲気で、それなりに道も混み合っている。
普通ではありえないような短いスカートで、脚を剥き出しにしているゼノビアの格好はかなり目立つ。
さすがに、ゼノビアも平静ではいられない。
「おう、姐ちゃん、いい格好じゃねえか」
「わっ、なにあの格好?」
「ようよう」
すれ違う者たちには、揶揄ってくる男、蔑みの言葉を吐く女、囃し立ててくる者など色々だ。
なんでこんな目に……。
しかも、ロウは、時々止まっては、じっと立っていたり、わざとらしく若い男たちが集まるところで、ゆっくりと歩いたりする。
そのたびに、ゼノビアは恥ずかしい姿を晒し続けなければいかず、羞恥に腹が煮えそうになる。
「昼食にするか。ここにしよう。腹が減ったろう?」
やっとのこと、ロウが口を開いたのは、そんな羞恥散歩を一ノス以上も続けてからだ。
緊張のあまりすっかりと汗びっしょりになってしまっていた。
しかも、気のせいかもしれないが、股間がむず痒くなってきた気もする。
多分、緊張のせいだと思うが……。
「くっ、くだらない、いやがらせしやがって……」
ゼノビアは悪態をついた。
ロウは、それには応じず、店の中に入っていった
店は食堂というよりは、喫茶店という感じだ。店内は若い男女で溢れている。そんな雰囲気の店だ。
ロウが奥の四人掛けのテーブルに座ったので、向かい合う席に座る。
一緒に歩いていたはずのスクルドがどうしているかわからない。歩いているときにはすでに気配はまったくなくなっていた。
いまも、近くにいる様子はないが、ロウの護衛と言っていたので、そばにはいるはずなのだが……。
「わっ」
そして、腰掛けた途端、ゼノビアは小さく声をあげてしまった。
スカートなどはいたことはなかったので、なんとも思わなかったのだが、腰をおろしたことで、ただでさえ短いスカートがずれあがり、白い下着が露出してしまったのだ。
慌てて、必死にスカートの裾を引っ張る。
だが、そんなに伸びるわけでもなく、仕方なくゼノビアは手で股間を隠した。
「パンケーキと紅茶を二人前だ」
やって来た女の店員にロウが注文をした。
そして、店員がちょっと驚いたようにゼノビアをちらりと見てから戻っていく。
すると、ロウが口を開く。
「たまには女らしい格好もいいだろう、ゼノビア? よく似合っているぞ」
ロウはくすくすと笑う。
ゼノビアはロウを睨みつけた。
「言ってな……」
「だが、どちらかというと仕草が男っぽいゼノビア様だろう。遠慮なく、脚を開いて座ってくれ。それと手は手摺りの上に置くんだ」
「はああ? やだよ──」
冗談じゃない。
そんなことをすれば、下着が見えてしまうだろう。
「命令だ」
ロウが微笑みながら言った。
すると、急に脚に力が入らなくなる。
すっと勝手に脚が開いてしまった。
しかも、両手がぞれそれの手摺りに移動してしまう。
「うわっ、わっ」
ゼノビアは狼狽した。
上から見ても、白い下着がはっきりと外に出てしまっている。
そのとき、店員がさっき注文したものを運んでくるのが見えた。
慌てて、脚を閉じようとする。
しかし、金縛りになったように動かない。
「ちょ、ちょっと、ロウさん──」
さすがに狼狽した。
隠さないと店員に醜態を見られてしまう。
しかも、今度は若い少年の店員なのだ。
「じっとしてろ」
だが、ロウはぴしゃりと言った。
ゼノビアは動けない。
パンケーキと紅茶を運んできた少年の店員がテーブルにそれを置こうとして、ゼノビアの下着が視界に入ったのか、びっくりしたように目を丸くしたのがわかった。
羞恥に下を向く。
そのままなにも言わなかったが、少年はわざとらしいくらいにゆっくりとパンケーキと紅茶をテーブルに置き、やっと戻っていった。
とりあえず、ほっとした。
だが、どうして、こんな目に……。
店員がいなくなったところで、ゼノビアは顔をあげてロウを睨んだ。
「も、もういいだろう──。脚を閉じさせなよ。い、いつまでこんなことをやらせるんだよ。こんなことして面白いかよ──」
ゼノビアはほかのテーブルには聞こえない声量で言った。
「面白いかと言われれば面白いけど、それはお前も同じだろう、ゼノビア?」
「はああ? なにを言ってんだよ」
「ゼノビアの性癖は嗜虐側だろう? シズはお前の恋人であり、性奴隷だ。だけど、嗜虐は被虐の裏返しでもある。こうやって、辱められて悦ぶのも、ゼノビアの隠れた性癖だ。つまり、こういうことも愉しいだろう?」
ロウがくすくすと笑う。
「そ、そんなわけないだろう──」
思わず怒鳴った。
だが、かなり声が大きかったことに気がつき、慌てて口をつぐむ。
「なら、その下着の丸い染みはなんだ? その格好で街を歩き回されて興奮したんだろう? だから、そんなに濡れている」
「えっ?」
はっとした。
驚いて股間に目をやる。
すると、本当に下着の股間の部分に丸い染みができている。
「ち、違う──。これは汗だよ──」
慌てて言った。
「そうか? だが、かなり薄くなっているな。実を言うと、その下着は特別製だ。ただの汗なら濡れるだけだが、女の蜜が混じるとだんだんと生地が薄くなって、やがて溶けてなくなる。もうかなり薄くなっているけどね」
ロウが立ちあがって、ゼノビアのいる側の椅子に座り直す。
しかし、それよりも、ゼノビアはロウが喋った内容に仰天した。
女の蜜で生地が溶ける?
驚いて、もう一度下着を見る。
本当だ──。
丸く濡れている場所は、よく見ればかなりはっきりと陰毛が透けている。
ゼノビアは羞恥で全身が硬直した。
「両手を背中に回せ」
「な、なんでだよ──?」
「いいから、言われたとおりにするんだ」
ロウの言葉でゼノビアは両手を背中に回してしまっていた。
肩を軽く突かれて、ロウに背中を向けさせられる。
すると、左右の親指を重ねさせられて、その根元をぎゅっと紐のようなもので縛られたのがわかった。
「えっ……? いたっ」
わけがわからなくて、手を離そうと思ったら、親指に痛みが走る。
指縛りだ──。
「な、なにすんだよ──」
「落ち着けよ。ゼノビアがどのくらいにマゾなのか点検だ。露出狂の検査だ」
ロウがそう言うと、いきなり開襟シャツのぼたんを全部外してしまった。
しかも、開襟シャツをくつろげて、両方の乳房を剥き出しにした。
「なっ、なに──。や、やめな──」
身をよじって胸を隠そうとする。
だが、後手に指縛りをされているので、隠すことができない。ゼノビアにできるのは人のいない壁側に身体を向けることしかなかった。
「そうか。やめて欲しいのか? だったらやめるか」
ロウはあっさりと立ちあがって、元の向かいの席に戻る。
ほっとしたが、すぐに唖然となった。
まだ乳房を剥き出しにされたままなのだ。
「も、戻せよ──」
「食事が終わったらな」
ロウが平然と目の前の自分のパンケーキを食べ始める。
ゼノビアは生きた心地がしなかった。
比較的奥側とはいえ、客の多い店内で股間から下着を晒して、乳房を露出させられているのだ。
どんな痴女だ──。
「そろそろ、露出狂の反応が出てきたな」
すると、ロウがパンケーキを食べつつ、くすくすと笑った。
ゼノビアはびくりとした。
実のところ、ゼノビアもロウに指摘されるまでもなく、自分の身体の変化には気がつかざるを得なかった。
この異様な状況の中で、ゼノビアは確かに感じていたのだ。
身体が熱い……。
風の流れだけで、乳首が痺れるように疼いてくる。
「乳首が勃っている。そして、股間はほとんど透けたぞ。ゼノビア、もう一度言う。お前は露出狂だ。それを自覚しろ」
「ち、違う──」
「果たして、そうかな……。まあいい。さっきも言ったけど、その下着は感じると、溶けてなくなる。ここで下着を溶けてなくしたくなければ、感じないことだ」
パンケーキを食べ終わったロウが再び、隣の席に移動してきた。
そして、いきなり、ゼノビアの乳房を握りしめてきた。
瞬時の鋭い快感が全身に迸る。
相変わらずの神がかり的な愛撫だ──。
ゼノビアは狼狽えた。
「うわっ、あっ、や、やめな──」
「店中の注目を浴びたければ、騒ぐことだな。見られたいのか?」
ロウが耳元でささやきながら、下から上に、上から下に乳房を揉み動かす。
「くうっ、ううっ」
ゼノビアは必死で歯を喰いしばり声を我慢した。