【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
それからのことはよく覚えていない。
ロクサーヌは、布のようなものに包まれて誰かの肩に荷物のように担がれ、どこかに運ばれている。
とにかく身体が熱くて、疼いて、苦しかった。
ひたすら呻いて、身体中を苛む得体の知れない身体の熱さに苦悶した。
身体が千切れるような苦しさだ。
ロクサーヌは、痛みのような、痒みのような苦しさが襲いかかっている股間を掻きむしりたかったが、四肢が弛緩してしまって思うように動かない。
だから、身体の芯まで届くような熱い疼きに泣き続けることしかできなかった。
やがて、どさりと寝台のようなものの上に身体をおろされたと思った。
そして、そこに横たわるロクサーヌを誰かが見下ろしているのがわかった。
「ああ、苦しいの──。あついいい──。ああっ、身体が熱いいい──」
とにかく、ロクサーヌは彼女たちに訴えた。
身体の大きな少女と老女を思わせる風貌の人物だ。
頭に房耳がある?
ロクサーヌは朦朧としている頭でやっと少し思い出した。ふたりのうち、ひとりは確かルカリナという大柄の獣人族の少女だ。
陵辱されて殺されかけていたロクサーヌを助けてくれたのだ。
だが、ここはどこだ?
さっきの場所とは違う。とても狭い小屋のようなところみたいだ。
「人間族の童女だね。これをどうしたんだい?」
「わか、らない。襲われて、いた。助けて、やって、くれ」
辿々しい喋り方はルカリナだと思う。
だが、ロクサーヌを助けようとしている?
なぜ?
どうして?
「ふん、なんの得があるのか知らないけど、払えるものはあるのかい? まあ、出すものを出してくれれば、あたしは誰であろうと面倒を見るけどね」
「これで、どうだ?」
どさりとルクサーヌが寝ている寝台の横の机になにかが置かれた。
横目で見る。
さっきロクサーヌを襲おうとした者たちの衣類や荷物だとわかった。ルカリナが身ぐるみを剥がしてまとめていたのを覚えているので、それを運んできたのだろう。
「ふうん……。まあいいさ。とにかく、たちの悪い媚薬だね。淫情の魔素が練り込んである。解毒剤がいるねえ……。時間が経てば楽になるというものじゃない。熱を発散しない限り、ますます苦しくなると思うよ」
「じゃあ、解毒剤、頼む」
そのふたりがロクサーヌを眺めながら会話をしていた。
「魔素の練り込んである媚薬だと言っただろう。いわば、魔毒の媚薬だよ。そんなものを解毒するほどの薬が、ここにあるわけないだろう。熱を発散させてやるしかないね。我慢させると頭が灼き切れるから、股をいじって落ち着くまで発散させな。脱水症状を起こしかけてるから、水を飲ませる。それを繰り返す。それしかないよ」
「わかった……。お前、名は?」
ルナリナがロクサーヌの背中に手を伸ばして抱き起こすような体勢になる。そのまま寝台にあがってきて胡座をかくルカリナの膝にロクサーヌは抱き抱えられる体勢になった。
「ロ、ロクサーヌ……」
「呆れたねえ。名前も知らない人間族の娘を拾ってきたのかい」
獣人の老女が小馬鹿にしたような口調で笑うのが聞こえた。
「可哀想、だったから……」
「お人好しも大概にするんだね。人間族というのは、あたしたちを奴隷にして虐げる者たちだよ」
「そう、かもしれない」
ロクサーヌは自分を前にして行われている会話を聞きていて、このルカリナという獣人の少女は優しいのだと悟った。
屋敷を襲撃され、守ってくれる者がどうなっているかわからない状況で、このルカリナを頼れないだろうか。できれば、なんとかして世話になりたいと思った。
図々しいが、ロクサーヌには、それしか生き残れる方法がない。
のこのこと屋敷などに戻れば、シーンのように正妻の息がかかっている者がロクサーヌを殺す可能性が高いのだ。
「お、お願い。な、なんでもします。わ、わたしを……匿って。お願いします。お願いします。お願いします」
ロクサーヌは必死にルカリナに哀願した。
ルカリナは、ちょっと戸惑ったような表情になったが、すぐに頬に笑みを浮かべた。
「わかった。だけど、いまは熱を発散」
ルカリナの指がロクサーヌの股間に触れてくる。
「はっ、面倒を見るのかい? お前は馬鹿だよ。自分を奴隷にする者を匿うのかい」
老婆の呆れた声が聞こえた。
だが、ルカリナの指がロクサーヌの股間に触れて、もうなにも頭に入らなくなる。
脳天に貫くような気持ちよさがロクサーヌを襲い掛かった。
「ひあああっ、あああっ、ああああっ」
あまりの気持ちよさに全身の力が抜ける、
股の奥に衝撃が走り、ロクサーヌは全身を激しく暴れさせた。
その身体をルカリナがぎゅっと抱き締める。
「我慢、しろ」
そのロクサーヌの身体をぎゅっと抱きしめて、さらにルカリナの指が股間を動く。
「ひああああっ」
ロクサーヌはけたたましい悲鳴をあげて、股間を上下させた。
とてつもないものが全身を貫き、ロクサーヌはがくがくと身体を痙攣させながら、頭が真っ白になる感覚を感じた。
全身を嵐が駆け抜け、大津波になって全身をさらっていく。
だが、終わらない。
ルカリナはロクサーヌの愛撫を続けている。
すぐに、次の衝撃が襲いかかり、ロクサーヌは悶絶の声を絶叫させていた。
*
「ただいま。魚……だ。二匹。仕掛け、かかってた」
隠れ処にしている森の洞窟に戻ってきたルカリナがロクサーヌに差しだしたのは、網かごに入れた二匹の鯉だった。
ロクサーヌは驚喜の声をあげてしまった。
「うわああっ、すっごいいい。すぐに鍋にするわね──。みんな、ルカリナお姉ちゃんが魚を持ってきてくれたわ」
ロクサーヌと一緒に、森で掘った山の芋を石ですり潰して粉にする作業をしていた子供たち三人は、一斉に歓声をあげるとともに、帰ってきたルカリナに抱きつきにいく。
ロクサーヌはそれを眺めながら、板と包丁を準備して、さっそく魚を
一方で、まだ幼い子供たちはルカリナの持ってきた魚を見て、跳ねあがって喜んでいる。三人はまだ五、六歳くらいの獣人の子供だ。猫族の双子と姉妹と犬族の男の子である。三人とも、獣人族のコロニーの中で親を失って死にかけていたところをルカリナが拾ってきて連れてきた者たちである。
ルカリナはお人好しだ。
この三人もそうだが、ルカリナ自身が文無しの孤児なのだが、面倒を見る者がいなかったり、助けを求める者がいると、拾ってきてしばらく世話をするということを頻繁にやっていた。
ロクサーヌと暮らしだすようになって一年が過ぎるが、引き取って暮らすまでしたのはロクサーヌを含めてこの四人だけだが、なにかを恵んだり、一時的に匿ったりして助けた者は大勢だ。
このカロリックにおいて、獣人の暮らしは貧しい。
誰もが生きるのに必死であり、獣人族の暮らすコロニーと呼ばれる居住区では、人間族の分限者たち手配した「奴隷狩り」もたびたび行われる。
誰もがぎりぎりの状況で生きている。
家族でもない者を……、いや、家族であっても、見捨てたりするのは普通だ。
弱い者は殺されるか、奴隷狩りで奴隷にされるかなのだ。
そんな環境の中で、ルカリナは困っている者がいれば助けてしまう。
ルカリナというのは、そういう女なのだ。
そして、ロクサーヌもまた、そうやって助けられた者のひとりだ。
暮らしていた大公弟の別宅が襲撃され、その妾腹の娘だったロクサーヌは、このルカリナに助けられ、そのまま一緒に暮らすことになっていた。
強引にロクサーヌが頼み込んだものであり、このお人よしで面倒見のいいルカリナは、縁もゆかりもなく、それどころか、獣人たちを虐げる側の人間族であるロクサーヌを可哀想だという理由ひとつだけで匿ってくれたのだ。
ルカリナがねぐらにしている隠れ家に案内されて、転々と居場所を変えながら一緒に暮らすようになった。
そして、一年がすぎていた。
ルカリナは孤児だ。
物心ついたときには山の中でひとりであり、獣のように生きていたが、森で暮らしていた獣人の老人に拾われて育ち、その老人が病になったので、治療を求めて山を下りて「コロニー」と呼ばれる町の中の獣人居住区に移り住むようになったのだそうだ。
自分の年齢も知らず、老人の世話になる前は名前すらなかったという。
“ルカリナ”という名は、老人がつけてくれたそうだ。また、年齢は二十歳ということにしているそうだ。
ただ、それは老人に拾われてから数えだした年齢であり、実際にはさらに二、三歳は上かもしれないとも口にしていた。
いまはその老人も死に、一緒に暮らしていたコロニーの中にあった小屋も、何度目かの人間族の分限者による「奴隷狩り」で焼かれ、それからはずっと宿もなく、ひとりで暮らしていたという。
ロクサーヌと出会ったのも、宿無しになったルカリナがそうやって、あちこちのねぐらを転々としながら暮らしだして半年くらいの頃だという。
ルカリナは強かった。
体幹が高く、人間族よりも壮健で戦闘力に優れる獣人族の中でも誰よりも強かった。
カロリックでは、獣人族単独では冒険者にはなれないが、その冒険者たちの助っ人として参加したり、あるいは腕っぷしが必要な雑務を請け負ったりして、それで小金を稼いでいたのだ。
また、ルカリナは、数か月に一度くらいの頻度で繰り返されるコロニーにおける「奴隷狩り」から住民を守るということもやっていた。
もっとも、目の前でさらわれようとしている者を見たら、奴隷狩りの連中をその場から追い払うということくらいだが、それでもルカリナに感謝をしている者たちは大勢いると思う。
そもそも、このカロリックでは、住民を強引に奴隷にすることは法律で禁止されている。
賤民扱いの獣人とはいえ同様であり、コロニーという居住区に集団で入り込んで、獣人の女子供をさらっていくというのは完全に違法である。
だが、人間族の一部はそれを堂々とするのである。
そして、人間族の軍も役人もそれを取り締まらない。
獣人は個々には強いので、捕えられようとすると抵抗するが、人間族は魔道具を使ったり、まだ強さの足りない女や子供の獣人を中心に捕まえて奴隷にしてしまうのだ。
あの屋敷にずっと閉じこもっていたロクサーヌは、そんなことが日常茶飯事で行われているということは知らなかったが、それが現実なのだ。
ロクサーヌがルカリナの世話を受けるようになって、三度襲撃があった。
最初の夜に媚薬の影響でおかしくなっていたロクサーヌを看た薬師の獣人のお婆さんも、一度目の奴隷狩りの襲撃で小屋を焼かれて焼け死んでいる。
いま暮らしている獣人の子供たちも、二度目の襲撃で孤児になった子たちだ。
それをルカリナが世話をすることにしたのだ。
そして、三度目の襲撃のときには、この子供たちとロクサーヌが隠れていた場所が見つけられて、危うく連れていかれそうになってしまった。
離れた場所で襲撃グループと戦っていたルカリナが駆けつけ、襲撃者たちを斬り倒して助けてくれたのだ。
だが、その結果、なぜかルカリナは、殺人犯として手配されてしまった。不当な奴隷狩りは取り締まらないくせに、それに抵抗したら犯罪者扱いをされるということに憤りを感じたが、そういうものなのだと諦めるしかない。
そこで、相談をしてほとぼりの覚めるまで、コロニーを脱して近傍の山の中に隠れることにした。
もともと、ルカリナが死んだ老人と生きていた界隈であり、ルカリナは狩りもできるので五人で生きるのに支障はなく、五人で暮らせる洞窟も見つけて快適に暮らせている。
最近は、ルカリナが狩りをして、ロクサーヌが調理をしたり、生活に必要な道具を作ったりという役割ができてもきた。あの屋敷でいた頃にはなにもできなかったこともできるようになり、いまは多くのことを普通にこなせるようになった。
三人の子供たちも、近くで水を汲んだり、木の実を集めたりと役割を果たしている。
とにかく、ロクサーヌはいまの生活に本当に満足していた。
また、一年前の屋敷の襲撃のあとのことも少しわかった。
あの屋敷の本来の持ち主であり、ロクサーヌの父親だという大公弟は、あの襲撃のあと、正妻という人を捕えて監禁し、行方不明になっているロクサーヌのことをかなり大規模に捜索をしたらしい。
ただ、ロクサーヌがそれを知ったのは、ルカリナに匿ってもらってから一か月の経ってからのことだったし、知ったところで、ルカリナとの生活が充実していて、貴族の生活に戻る気は全くなくなっていた。
ルカリナも戻れとはロクサーヌに言わず、そのままだ。
父親の大公弟の捜索に引っ掛からなかったのは、元々、獣人族の女子供を狙った奴隷狩りに備えて隠れる生活をしていたためであり、また、獣人族は人間族を目の敵にしていて、進んで情報を洩らす者などいないからのようだった。
いずれにしても、ロクサーヌが隠れて外に出ない選択をしたために、父親はロクサーヌを見つけられず、ロクサーヌはルカリナとともに暮らすことになったということだ。
多分、いまは、もうロクサーヌは殺されたと思っているだろう。
ロクサーヌが父親が捜索していたことを知った一か月の時期からは、大公弟の手の者による調査の気配はなくなっていて、あの屋敷があった跡地も壊され、すでに別の獣人族たちが勝手に小屋を作って住み始めているという状態になっていた。
「手伝うか?」
ロクサーヌが洞窟の前で魚をさばき始めると、狩りと漁の網を洞窟に片付けたルカリナが戻ってきた。
洞窟の前でじゃれ合っていた三人の子供は、そのあいだ、ずっとルカリナの手を握って離さない。
「だめよ。なにもしないで。あなたがやったら、折角の魚が台無しだわ。料理は任せてちょうだ」
ロクサーヌは器用に魚を切り分けながら笑った。
狩りでもなんでもこなすルカリナだが、料理だけは大雑把で味付けも得手ではない。細かい作業が苦手なのだ。
一年前まではなにもできなかったロクサーヌの方が、いまではなんでも上手にこなす。
「そうか。なら武器の手入れ、してる」
ルカリナが鍋を似ている焚火の前の石に腰をおろした。
腰にさげていた剣の手入れを始める。
一方で、ロクサーヌは、山菜や木の実をあらかじめ煮ていた大鍋に、切った魚を放り込んた。
いい香りが周囲に拡がりだした。
「しっ」
しかし、ルカリナが突然に立ちあがり、無言で子供たちやロクサーヌに洞窟に隠れるように合図を送った。
ロクサーヌにはわからなかったが、なにかの気配を感じたのだろう。
すると、森から規則的な口笛の音色が聞こえてきた。
ロクサーヌはほっとした。
ルカリナも安堵の態度になる。
殺人犯の手配を受けてしまったルカリナだが、ここに隠れていることは、特に親しいコロニー内の獣人の幾人かには知らせている。
彼らが、どうしてもルカリナに接触したいときには、聞こえてくる口笛が合図になっていた。
やってくるのは、コロニーにいる者たちの中でも、ルカリナに助けられて恩に思っている者たちだけだ。これまでも、手配の状況などについて情報を運んできてくれていたので、もしかしたら、なにかの伸展があったのかもしれない。
やがて、がさがさと草を払って近づく気配がして、ふたりの獣人族の少年が姿を見せた。
トムとジェルという名の犬族系の十五歳程度の者たちであり、やはり、ロクサーヌとルカリナが会う以前にルカリナに奴隷狩りから助けてもらったことがあるそうだ。
ここにはついてこなかったが、街のコロニー側にいたときには、ロクサーヌも何度か会っている。
「ああ、夕食の支度中か、ローヌ。だったら、これも渡しておくよ。大した量じゃないけどね」
ふたりのうちのジェルがロクサーヌに麻袋を渡してきた。
中身は稗と粟の混じったものだ。これを水と併せて練れば、団子のようなものを作ることができる。
貧しい獣人族たちが一般に食べる穀物だ。
また、“ローヌ”というのは、ロクサーヌのことである。
ルカリナと暮らすようになってからは、ロクサーヌという本名ではなく、愛称の“ローヌ”が名前だと周りに説明している。
「いつもありがとう。悪いわね」
ロクサーヌは袋を受け取って言った。
「いいってことさ。俺たちがこうやって生きているのは、ルカリナさんのおかげだしね」
「そういうことさ。それよりも、今日は大事な話でやってきたんだ。ルカリナさん
耳を貸してもらえる?」
トムがルカリナに近寄っていく。
秘密の話があるのだろうか、トムはルカリナに密着するように顔を近づけていく。
ルカリナが首を傾げるように、トムの口に耳を向けた。
そのときだった。
「ぐあっ、なにを──?」
トムが弾き飛ばされた。
ルカリナが腕で払ったのだ。
ロクサーヌはびっくりしたが、ルカリナの腿に投げナイフのような刃物が刺さっている。
信じられなくて眼を見張った。
そのロクサーヌの首に短剣が向けられた。
ジェルだ──。
「そのナイフを抜くな、ルカリナ──。それを抜いたら、この人間族の女を殺す──」
ジェルがルカリナに向かって叫んだ。
「うぐっ」
トムを払ったときに立ちあがったルカリナが苦しそうに呻き声をあげながら、その場に跪いた。
もしかして、あのナイフに毒が──?
ロクサーヌははっとしたが、それが事実であることを物語るように、ルカリナの身体からはものすごい量の脂汗が流れ始め、顔も血の気を失って白くなっていく。
「ああ、ルカリナ──」
ロクサーヌは叫んだ。
「うるせい──」
ジェルから剣の束で顔を殴られた。
ロクサーヌはその場に崩れ落ちた。
しかし、首の剣は向けられたままだ。
「や、やめろ──。抵抗しない……。だ、だけど、なんで……?」
ナイフを抜く仕草をしていたルカリナが、掴みかけていた手を静止させて、ジェムに視線を向ける。
そのルカリナの身体がさらにがくりと脱力した。
「ああ、ルカリナ……」
殴られた頭が痛い。
ロクサーヌは倒れたまま、ルカリナの名を呼んだ。
「なんでって、まあ、簡単にいえば賞金目当てかな。数日前にルカリナに賞金がついてね。それで町の連中と相談して、ルカリナを告発することにしたんだ」
ジェルが言った。
信じられなかった。
ルカリナに助けられたことがある彼らが、ルカリナを売るなど……。
すると、最初にルカリナに殴られて倒れていたトムが起きあがって、懐から何かを取り出して、空中に花火のような爆発音を放った。
一方で、洞窟の前にいた三人の子供たちが固まって抱き合い身体を硬直させている。
しばらくすると、武装した人間族の兵がわらわらと森の草の中から現れた。
このふたりが連れてきたのだと悟った。
三十人ほどだろうか。
これくらいの人数なら、ルカリナはひとりで相手をできるが、いまはルカリナは毒が回って、完全に脱力している。
「観念しろ。この殺人獣人め。その人間族の娘も捕えろ──」
その人間族の隊の隊長らしき男が命令し、ロクサーヌとルカリナはあっという間に縄で縛られてしまった。