【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
ロクサーヌを以前からの知り合いの薬師の
婆さんは育ての親の老人の世話で知り合った間柄であり、薬代代わりに山で狩った獣の肉などを渡したりするということをしていて、それなりに親しくさせてもらっている。口は悪いが悪人ではない。
それにしても、不思議な感じだ。
あれは夢だったのだろうか。
だが、一年ほどの時間を一緒に過ごしてきた実感はあるのだ。目の前で寝ているロクサーヌは、最初に会ったときのまま──実際、最初に会った翌日なのだが──、ルカリナの記憶にある姿からは一年分幼くなっている。
まったく、とても奇妙な感じだ。
いずれにしても、全部、はっきりと記憶に残っている。
夢なのか、幻なのかわからないが、コロニーの獣人たちの誰も彼もがルカリナを裏切ったのに、ただひとり裏切らなかった人間族の少女のローヌ……。
ロクサーヌの父親の手引きで解放されてから知ったことだが、拷問を受けながらも、最後までルカリナを裏切ることを拒否したローヌ……。
ルカリナを裏切るくらいなら、ルカリナとともに処刑されることを選んでくれたローヌ……。
死んでいくルカリナを最後まで看病してくれたローヌ……。すでにルカリナは喋ることはできなくなっていたが、あのときのロクサーヌの献身的な世話はよく覚えている。意識がないと思って、話しかけ続けてくれた内容の細かいものまで……。
とにかく、ルカリナが自分の衰弱死を自覚した瞬間、気がつくと、ルカリナとロクサーヌが最初に出会った晩の薬師の婆さんの小屋の中に戻っていたのだ。媚薬に苦しむロクサーヌの熱を発散させるために、ロクサーヌをルカリナの膝に抱いている状態で……。
だが、全部、覚えていた……。
しかも、そのときにロクサーヌに確かめたが、ロクサーヌにも同じ記憶が残っていた。
ルカリナが知らないロクサーヌの記憶として……。
あれは、なんだったのだ……。
到底、偽物の記憶とは考えられない。
ともかく、現実の話として、ロクサーヌがこれまで過ごしてきた家庭教師とやらに襲われて塗られた媚薬の酷い禁断症状はなんとか消え、全身の倦怠感や高熱に泣いてはいたが、何とか乗り越えてくれた。
いまは、小康状態だ。
薬師の婆さんからは、早く出ていけと言われているが、なんとか頼み込んで置いてもらっている。
いまは眠っていて、ルカリナは横たわって静かに寝息をかいているロクサーヌを眺めながら、あの不思議な体験のことを思い出している。
あれは幻だった。
だが、単なる幻とは思えないほどの現実感があった。
果たしてあれはなんだったのか……。
それが起きたのが媚薬で苦悶するロクサーヌの股間を愛撫して、熱を発散させようとしたときだというのは間違いない。あれは特別な媚薬であり、ああやって性欲を解放させないと熱で頭が灼き切れる危険があったのだ。
そんな危険な魔毒入りの媚薬をこんなに幼い人間族の少女に使ったということについて、あの人間族の男に憤りのようなものも感じるが、それよりも、そのときに体験したのが、あの不思議な幻だった。
多分、そのときにロクサーヌが深い絶頂に達した。
それがきっかけだった気がする。
ともかく、果たしてあれは、まだ起きていない架空の未来のことなのだろうか?
ルカリナが目の前のロクサーヌという少女を匿って面倒を見ることにして、一緒に生活をするようになり……。
そして、あの受難に遭い……。
助けた獣人族の住民に裏切られ、人間族の兵とともに捕らわれたルカリナは、ロクサーヌとともに拷問を受け……
そして、死ぬまで拘束して放置という晒し刑による処刑を受け……。
さらに、人間族の兵は、四肢を切断させたルカリナに、獣人族の男をけしかけて、二晩も犯させ続け……。
そして、ロクサーヌの父親に助けられたものの、ルカリナはそのまま衰弱して……、死んだ。
それらのすべてをルカリナは、自分自身の視点でも体験した。
それだけでなく、それは一年以上にもわたる長い時間だったのに、覚醒して気がついたのは、現実の時間はほとんど経っていないということだった。
いずれにしても、単なる幻とは考えられない現実感があった。
予知夢──?
なぜ、それをルカリナが……?
不思議に思ったが、幾度かロクサーヌが覚醒したときに、そのことについて話した。
共通語がうまく使えず、稚拙な会話しかできない自分がもどかしかったが、驚いたのは、まったく同じ体験をロクサーヌもまた体感していたということだ。
そして、内容も同じだった。
だから、あれは、おそらく、ロクサーヌのなんらかの能力なのではないかと、ルカリナは思っている。
「……ルカリナ……?」
そのとき、目の前の寝台で声がした。
ロクサーヌだ。
「ああ、調子……どうだ?」
呼びかけると、ロクサーヌが大きく眼を見開いた。
「ああ、ルカリナ──。よかった──。夢じゃない──。ああ、ルカリナ──」
すると、いきなりロクサーヌが歓喜の声をあげて、ルカリナに手を伸ばして抱きついてきた。
ルカリナは苦笑しつつ、ロクサーヌの抱擁を抱擁で受けとめる。
あの幻の人生から戻って、ロクサーヌは何度も眠りと覚醒をここで繰り返しているが、目を覚ますたびに、ルカリナが生きて横にいることを喜んでくれる。
まあ、ルカリナも同じ思いだが……。
「その調子なら、もう移動できるだろう。さっさと出ていきな、ルカリナ。その人間族の子供を連れてね」
背中から怒鳴り声が響いた。
薬師の婆さんだ。
ルカリナは、ロクサーヌの顔に視線を向ける。
「ローヌ……、いや、ロクサーヌ殿……、移動、大丈夫か? 抱いていくが」
ローヌと呼ぶわけにはいかないだろう。
目の前の人間族の少女は、この国の大公の弟の娘なのだ。あの予知夢の中で知ったことであり、覚醒してから確かめたが、ロクサーヌはあっさりと肯定した。
だったら、貴人に対する言葉使いに改める必要がある。
もっとも、ルカリナの言語力では、あまり敬った言葉で喋ることはできないのだが……。
「ローヌと呼んで、ルカリナ。お願いします……。それと、わたしは大丈夫。あなたがそばにいてくれるなら」
ロクサーヌが微笑んだ。
その表情には心の底からのルカリナへの信頼に満ちている。
あれば、幻だったのか、単なる夢なのか、それとも、予知の能力なのかはわからないが、ロクサーヌの信愛は、あの時間が偽物でない証拠だ。
もちろん、ルカリナも同じ思いである。
「わかった。行こう」
ルカリナはロクサーヌを毛布で包んで抱きあげた。
この小屋の薬師の婆さんの毛布だが、手持ちの金で売ってもらったのだ。
「ああ、よかったね。やっとかい。清々するよ」
婆さんが悪態をついた。
「あ、あのう……。お世話になりました」
ルカリナに抱かれているロクサーヌだ。
ロクサーヌは婆さんにしっかりと視線を向けている。
「なんだい? 文句あるのかい。どこの捨て子か知らないけど、無礼者の獣人の老婆をあとで殺しに来るのかい?」
婆さんが悪態をついた。
すると、ロクサーヌが首を横に振る。
「いえ、五日後の夜、このコロニーのこの地区一帯で奴隷狩りが行われて、この小屋は焼かれてしまいます。どうか、五日後の夜だけは、山に逃げてください。お願いします」
ロクサーヌが言った。
婆さんは怪訝そうな顔になる。
「意味わかんないよ。なんでそんなことがわかるんだい。奴隷狩りをする人間たちの仲間かい、お前?」
「予知のようなものとしか……。とにかく、わたしたちも一時的に山に逃げます。どうかそのときに一緒に……」
「はあ? ルカリナ、どういう意味なんだい。わけがわかんないんだけど」
婆さんが困ったようにルカリナに視線を向ける。
「迎えに行く。準備してくれ」
だが、説明のしようもない。
だから、ルカリナはそれだけを伝えるにとどめた。
*
「ひええ……、ひええ……」
薬師のお婆さんは、眼下に見えるコロニーの一部にあがる炎を眺めながら、呆けた声をあげて地面に座り込んでいる。
ここは、ルカリナがかつて暮らしていた山の中であり、また、ロクサーヌが幻の夢の中で最後に暮らした洞窟の近くである。
公都の端にある獣人族のコロニーとは、歩いて二ノスほどしか離れておらず、ここからだと喧噪までは聞こえないが、眼下の夜闇の中のコロニーの一角が炎に包まれているのははっきりとわかる。
ロクサーヌは、あのときの夢の中で暮らした一年間のあいだに起きた三回の奴隷狩りのことはよく覚えている。
さすがに、二回目と三回目の正確な日付はわからないが、一回目だけは記憶していた。
ロクサーヌがルカリナと最初に会って六日目の晩だった。
そのときに、やってきた奴隷狩りの一団は、獣人族の女子供をさらうだけでなく、一角に火を放ったのだ。
それで多くの獣人族が焼け死んだ。
だから、あのとき、五日後の夜に奴隷狩りがあるとお婆さんに告げたのだが、やはり、それは正しかったみたいだ。
半信半疑のまま、ロクサーヌとルカリナとともに、昼間のうちに山に逃げてきた獣人のお婆さんは、ロクサーヌの言葉の通りに奴隷狩りがやってきて、それだけでなく、「予言」のとおりに火災まで発生したことに、腰を抜かしたように驚いている。
また、ロクサーヌが夢の記憶のことを教えたのは薬師のお婆さんだけだが、お婆さんは十人ほどに声をかけて、一緒に離脱していた。その中には、四人ほどの獣人の子供も混じっている。運べるような家財の荷も一緒だ。薬師のお婆さんは両手の大きな荷物に薬を抱えていた。
彼らもまた、唖然としている様子である。
「婆さん、その小屋、自由に、していい。奴隷狩りは、明日、終わる」
ルカリナが言った。
すぐ後ろには、ルカリナが子供のころに山で暮らしていた時期の住居である山小屋があるのだ。
十人が入るには狭いが、全員が横になれないわけじゃない。
また、ロクサーヌとルカリナは、別の場所にあるあの洞窟に向かうつもりである。
あのときの夢が本当の予知夢であるなら、ロクサーヌの記憶のとおりに、洞窟があるはずだ。
「行こう」
ルカリナがロクサーヌに声をかけた。
ロクサーヌは頷き、その洞窟に向かって、さらに山を登り始める。
「ちょっと待っておくれよ。一緒にいないのかい?」
薬師のお婆さんが声をかけてきた。
だが、ルカリナが振り返って、手を横に振った。
「あ、あたしたちは、別で」
そのまま立ち去る。
夢の中で瀕死だったルカリナにどれだけ記憶があるかわからないが、ロクサーヌは、今回の奴隷狩りで焼け死んだはずの薬師のお婆さんはともかく、お婆さんが連れてきた獣人の中に、あの評定の中でルカリナを冤罪で告発したり、あるいは、その後の晒し刑のときの凌辱に加わった者が数名混ざっていることを覚えている。
だから、あまり関わりたくない。
また、ほかにも、予知夢の中では、この山に逃げ込む原因となった三回目の奴隷狩りのほかにも、一回目でも、二回目でもルカリナは、幾人もの獣人を奴隷狩りから助けている。
しかし、今回の一回目において、ルカリナは事前に山に逃げてしまっている。
それがどういう影響になるかはわからない。
ただ、ルカリナももう積極的には助けるつもりはないみたいだ。
ロクサーヌとともに事前に避難することをまったく拒否しなかった。
なによりも、今回一回目の奴隷狩りが記憶の通りに正確に発生したことで、あれが「予知夢」に近いことはわかった。
だとすれば、ロクサーヌにしても、ルカリナを裏切ったコロニーの獣人たちには、起きていないことに対してとはいえ、不満や怒りがふつふつと沸いている。
だから、一緒にいたくない。
ルカリナも同じ想いに違いない。
夢とはいえ、一年の時間を過ごした。
ロクサーヌにもルカリナの心を理解しているつもりだ。
洞窟に着いた。
ふたりで協力して、洞窟の前に焚火を作り、洞窟の中に運んできた毛布で寝床を作る。
屋敷の中だけで暮らしていたはずのロクサーヌには、そんなことできるわけがないのに、実際にやってみると、ルカリナになにも教わらなくても、ロクサーヌだけで手際よく火を作ることもできた。
やはり、単純な夢ではない。
ロクサーヌは確信した。
「ルカリナ、コロニーを出ましょう。お父様に保護をお願いしようと思うの。一緒に来て。多分、ルカリナも受け入れてくると思うわ。わたしの従者か護衛ということになると思うけど……、どうかなあ?」
焚火を挟んで、準備していた携行食を口にしながら、ロクサーヌは言った。
この五日間、考えていたことだ。
「予知夢」の中では、ロクサーヌは父親の大公弟という人には近づかず、保護されたのは晒し刑になってからのことだったが、あれがあり得る未来であるとすれば、安全なのは獣人族のコロニーからは離れることだ。
そしてまた、予知夢が正しいとすれば、少なくとも、あの状態のロクサーヌをルカリナとともに助けてくれた父親である。
悪いようにはならないのではないだろうか……。
「そうだなあ……」
ルカリナは考える恰好になった。
ロクサーヌは一度立ちあがり、ルカリナのそばに寄っていって、ぴたりと身体をくっつけてしゃがみ直す。
「どうした、のだ?」
ルカリナがロクサーヌに視線を向けた。
ロクサーヌは、ルカリナの膝の上に乗った。
ルカリナがちょっと驚いている。
「ルカリナ……、お願いがあるの。これを使って、わたしを苛めて欲しいの。お願い」
ロクサーヌが渡したのは、ルカリナがいないときに、ひとりで薬師のお婆さんを訪ねて調合をしてもらった媚薬の油剤だ。最初はけんもほろろに断られたが、ロクサーヌは「記憶」の限りにおけるこの五日間の天気や出来事のことを口にして、それが正しければ、二度目と三度目の奴隷狩りの情報を教えると条件を示したのだ。
お婆さんは馬鹿にしたが、三日目のときに、この油剤の缶を渡してきた。
すべて正しかったからだ。
最終的に、お婆さんが幾人かとともに、山に逃げることを選択したのはそれが理由でもある。
ロクサーヌは、正確な日付まではわからないと言いつつも、どのくらいの時期に、どういう場所で、どんな風に奴隷狩りが発生するかを薬師のお婆さんに示した。
お婆さんは、小馬鹿にした態度ながらも、眼だけは真剣にロクサーヌの話を聞いていた。
「えっ、だけど、それはなにもなかったし……」
ルカリナが当惑の口調で言った。
この五日間の中で、ロクサーヌの体調が回復してから、一度、同じことを試してみている。
だが、あの予知夢のようなものをもう一度見ることはなかったのだ。
そのことをルカリナは言ったのである。
「ううん……。なんとなくだけど、予感がするの。あのとき、わたしは屋敷には戻らず、ルカリナと一緒に暮らすことを選択して、その後でルカリナにいい気持ちにしてもらって、あの予知夢をみたの……。だから、もう一度……。だけど、いまはお父様に頼ることを決めた。もしかしたら、今度は別の予知夢が見れるかも……」
ロクサーヌは言った。
ルカリナが油剤の缶を受け取り、じっとロクサーヌを見る。
「だから、同じ、ように?」
「ええ、できるだけ同じに……。この前も薬を使われていたし、同じものじゃないけど、できるだけ同じように……。やってみようよ」
「なるほど」
ルカリナが頷く。
そして、ロクサーヌを抱いて立ちあがった。
「きゃん」
いきなりだったので、ロクサーヌは小さな悲鳴をあげてしまった。
ルカリナはロクサーヌを洞窟につれていき、毛布の上におろす。
「自分で股を開いて……」
ルカリナが言った。
ロクサーヌは下着は身に着けてなかったので、貫頭衣のスカートの下にはなにもない。
お尻を毛布に着けた状態で自分でスカートをまくり、膝を曲げたまま脚を開く。
まだ十歳でしかないロクサーヌだが、獣人族と人間族のあいだの性風俗の習慣は全く違う。
人間族のような倫理観はないので、ルカリナは頼めば、ロクサーヌを愛してくれる。
あの予知夢の中での一年間のあいだで、ロクサーヌはルカリナに何度か愛してもらった。お互いに愛し合うこと自体への抵抗はない。
「なら、できるだけ、同じように……」
ルカリナがにっこりと微笑むと、油剤の缶を開けて、指にたっぷりと油剤をすくうと、いたわるように優しく油剤をロクサーヌの股間に塗りこめてきた。
「あっ、も、もっとたくさん……。うんと苦しいように……。あのときと同じように……」
ルカリナの指の感触が気持ちいい。
ロクサーヌは太腿をもがくようにうねらせながら言った。
「もっと、だな?」
すると、ルカリナが再び、缶から油剤をすくい、撫ぜるように股間に塗っていく。
「あっ、き、気持ちいい──。も、もっと深くまでしてえ──」
ロクサーヌは力いっぱいにルカリナを抱き締めて言った。