【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
980 大公一族の騒乱-女間者【13歳】
ルクセン=ブルック卿がその建物の地下室に到着したのは、深夜に近い時間だった。
ここは、軍部や宮廷の牢ではなく、次期大公の座を巡っての激しい派閥抗争にあたって、今回のように敵派閥の間者などを訊問するために特別に準備している秘密の場所になる。
第一将軍のレンネンと並ぶカロリック総軍の双璧と
なかなか、体力も若い時代と同じというわけにはいかず、夜中まで起きているのはつらいものもある。
ただ、この仕事は第二公子ビンスの直々の命令によるもので、余人に任せるわけにはいかないし、また、情報の漏洩防止には最大限に配慮せよという指示も受けている。
従って、虜囚を捕えたのも、監視をしているのも、ルクセンが完全に信用のできる部下だけであり、万が一にもビンス公と大公の後継者争いをしている死んだ第一公子の長子カートン公に転ぶことがあり得ない者を選定していた。
老齢であるとともに病に倒れている現大公の後継者争いは熾烈を極めていた。
すなわち、現大公にはふたりの息子がいて、まず第一の候補は、すでに逝去している第一公子の息子がカートン公であり、現大公からすれば孫にあたる人物で年齢は二十歳になる。
現大公は、優秀と言われていた第一公子の忘れ形見であるカートン公を次期大公として公太子に指名している。
ただし、その政治姿勢は冷徹で厳粛であり、不正など一切認めず、違法行為を犯す役人たちを厳しく処断していることで、高級貴族を中心に、カートン公に対する忌避感は高い。
それに対して、厳格なカートン公太子に対抗するかたちで勢力を作っているが、現大公の第二公子のビンス公だ。
粗暴で短絡的であることで、現大公からは嫉まれているが、カートン公の厳しさを嫌う大貴族たちからは人気はある。不正行為に容赦のないカートン公を厭い、これまで通りに甘い汁を吸いたい大貴族を中心に勢力を増やしているのだ。
もっとも、もしも、現大公が病床でなければ、カートン公が次期大公で間違いないのだろう。残念ながら、現大公はすでに病床から離れることができずに発言力は失っている。厳粛屋のカートン公の後押しにはならない。
そして、エルゲンは三年前に、大公弟のギストン公の仲介で、第二公子のビンス公の派閥に入った。
厳しすぎることで大貴族に不人気のカートン公がこのまま大公になれば、公国は荒れると考えたからだ。
重鎮の中でカートン公についているのは、現宰相と第一将軍のレンネン卿くらいのものだ。大部分の主要貴族は、現大公の指名したカートン公ではなく、ビンス公を推している。
また、性格が粗暴というが、ルクセンからすれば、むしろ頼もしいと思っている。
大公弟のギストン公の仲介で面談したが、すぐに馬が合うことがわかった。
なによりも彼の女扱いがルクセンに共通するものがありすぎて思わず笑ってしまったものだ。
嗜虐癖で好色──。
周りの女たちを調教して、雌犬に堕とすのがビンス公の悪癖だという。
だが、それこそ、ルクセンの性癖と共通するものだ。ルクセンはあっという間に意気投合した。
いずれにしても、ルクセンの第二公子の派閥入りの証が、派閥最大の重鎮である大公弟のギストン公の娘のロクサーヌ嬢との婚約である。
妾腹というがギストン公の娘だ。三人いる妻の序列を落として正妻として迎えろという条件だったが、これは承知した。
だが、婚約したときには十歳であり、三年が経ったが、まだ十三歳でしかない。
股毛も生えてないような童女に媚びを売る気にはなれず、婚約者といえどもほとんど会ったことはない。しかし、半年後には正妻としてルクセンの家に入ることになっている。
年齢の割には大変な才女という評判だが、ルクセンはむしろ頭のいい女は大嫌いだ。
気は進まない。
なんとかして破談にしたいがいまのところ、ギストン公を納得させる口実は見つからない。婚姻さえすめば、ギストン公への遠慮も不要になるので、ゆっくりとルクセン好みに調教をしていくしかないのか。
忌々しい。
「ご苦労様です」
地下の訊問室に入ると、すでに待っている五人の部下が敬礼をした。
ルクセンは準備されている部屋の隅のテーブルの前の椅子に腰掛ける。
「女はまだ牢におるのか?」
ルクセンは、女の捕縛の実行をした将校に訊ねた。
今回、大公孫カートン公の手の者だと発覚したのは、第二公子の新参侍女として入ったばかりのマリーという伯爵家の娘だ。
伯爵そのものは、ビンス閥なので疑いもしなかったが、実は個人的にカートン公の正妻のシャルルに繋がっていて、ビンス派の要人に色仕掛けでつけ入り、こっちの情報を集めて、向こうに流しているらしいということがわかった。
発見が早かったので、大した情報は流れていないらしいが、公都内の数箇所の拠点が襲撃されて、カートン派に潰されてしまったらしい。
殺されたのは、末端の工作員の傭兵たちなので問題はないのだが、ビンス公はかんかんだ。
厳しく拷問にかけろと命令されている。
まあ。色仕掛けで工作をするだけあり、その侍女は美人らしい。だったら、せいぜい愉しませてももらえるというものだ。
「一度、軽く訊問しましたが、本格的にはまだです。本人は自分は間者ではないと否定してます。連れてきます」
その将校が部下にマリーを連行するように指示した。
部下がふたりが出ていく。
「お前の所見はどうだ?」
ルクセンは言った。
「まあ間者でしょう。でも、プロではありません。小者です。見張っていましたが自殺の気配もありませんでした。もっとも、やろうとしてもさせませんけどね。ともかく、あんなものに引っ掛かるとは、こっちの重鎮たちも間抜けが多い」
将校が笑い声をあげる。
ルクセンは苦笑した。
すぐに、両手首に手錠をかけられた侍女が部下に挟まれて入ってきた。
訊問を指揮する将校の指示で、部屋の真ん中に置いてある背もたれのない丸椅子に侍女が座らされる。
身体検査も終わっていて、侍女として身に着けていた装束はすべて剥ぎ取られている。いまは粗末な貫頭衣だ。
だが、それは彼女の美貌を少しも損なっていない。
身体もいい。
蠱惑的な雰囲気をもったそれなりの美女である。
なるほど、派閥の男たちがころころとこの女に落ちてしまっただけのことはある。
「わ、わたしは、なにもしておりません……。誤解なのです。ちゃんと調べていただければ……」
マリーという侍女は蒼ざめている。
小刻みに身体を震わせており、哀れさを感じさせる。
だが、ルクセンはその眼の奥にあるしたたかさのようなものを感じた。確かに、間者だ。
間違いないだろう。
ルクセンも思った。
「じゃあ、始めるか」
将校が天井から落ちている二本の鎖に、隅から運ばせた金属のパイプの両端を繋がせた。
兵が両側から寄ってきて、マリーの手錠が一度外され、両手を拡げて掲げた状態にされ、さらに手首を金属のパイプに縄で縛られる。
マリーが怯えた表情を見せる。
「ちょ、ちょっと、なにをするのです──。こ、こんなこと許されません」
マリーが声をあげた。
「こんなこととはなんだ? これくらいで怯えていたら身はもたんぞ」
将校の合図で金属パイプが吊り上げられていく。
「あ、ああっ──」
マリーが苦悶の声をあげた。
金属パイプが引きあがることにより、マリーの足が床から離れて身体が宙に浮いたのだ。
鎖の引き上げがとまる。
「前後から鞭打て。その貫頭衣を引き裂いてやれ」
鞭打ちが始まる。
前後から全身が鞭打たれ、マリーは絶叫してしばらくのあいだ身体をうねらせ続けた。
やがて、布が裂け、そこから皮膚に当たった鞭がマリーの皮膚を傷つけ、血が飛び始める。脚の横も部分もぱっくりと切れて、そこからかたちのいい脚が露出してきた。
すると、そこから太腿がくねくねと揺れ動くのが見えるようになり、だんどんと実に官能的な情景になっていく。
「くくく、貫頭衣の中の下着を集中的に狙ってやれ。下着を鞭で落としてやるといい」
ルクセンは初めて口を挟んだ。
鞭打ちをする兵たちが前後からではなく、横の貫頭衣のスカート部分が切れているところを目掛けて鞭を打ち始める。
そこから腰の下着を打つのだ。
貫頭衣に比べて遥かに布の薄い下着はあっという間に切断されていく。
「あぎゃああ──。んぎいいい──。や、やめてください──。こ、このけだもの──」
すると、マリーの態度が一変した。
怯えた様子は変わらないものの、弱々しく見せていた表情はかき消え、その顔が怒りの感情で染まったのがわかる。
こっちがマリーの本性なのだろう。
「そのけだものに裸を見られたくなければ、誰にそそのかされたかを口にすることだのう」
ルクセンは言った。
マリーは、すっかりと汗びっしょりになっている姿で、ルクセンをきっと睨んできた。
「どうやら、裸になりたいようだ。続きは全裸に剥いてからにしてやるがいい」
ルクセンの言葉で鞭打っていた兵が鞭を投げ捨てて、マリーの服に手をかけた。
前後からすでにぼろぼろの貫頭衣が裂かれていく。
「ああっ、いやああっ、やめてくださいませ──。ああ、お願いでございます」
マリーが悲鳴をあげる。
あっという間に下着姿になり、乳房に巻いていた布も取り去られた。
大きな二つの双乳が露わになる。
瑞々しいその乳房は、マリーの身悶えによりぶるんと揺れて、乳頭は屈辱でふるふると震えているように思った。
「ち、畜生──。お、お前らは豚だあ──。好色なくずどもだあ──。このくそったれえ──」
すると、マリーが大人しそうな侍女の仮面をかなぐり捨てて、激しく罵倒を始めた。
その貴族令嬢とは思えない姿は、自分が間者であると白状したのも同じだ。
ただの貴族令嬢の侍女がこれほどの迫力で悪態をつけるわけがない。
「なにをしておる。まだ一枚残っておるではないか」
ルクセンは笑った。
鞭打ちで傷だらけにはなっていたが、随分と綺麗な身体だった。身体は全体としてしなやかで細いのに、乳房や腰つきは大きく本当に官能的である。
「ああ、やっ、やっ、ああっ、やめてええ──」
兵の手が下着にかかると、マリーは必死に腰を振ってそれを阻止しようとした。
だが、あっという間に引き下げられて、布切れが足首から抜かれる。
すると、マリーががくりと項垂れて動かなくなった。
「どうですか、閣下。なかなかの裸ではないですか?」
将校がマリーの身体をこっちに真っ直ぐに向ける。
恥毛は髪の毛と同じ黒毛であり、茂みというよりは、薄くけむっているという感じである。
裸にされて観念をしたのか、マリーはすっかりと大人しくなった。
「喋りたいことがあれば訊いてやろう。なにも言うことがないなら、まずは犯されてからだ。女間者が捕らわれれば、まずは凌辱をされると決まっておる。その覚悟はあったのであろう?」
ルクセンは合図をした。
将校はマリーの股間に後ろ側から手をやり、股間に指を押し入れようとしだした。
マリーは金切り声をあげて、再び暴れ始めた。
「お前たち、この女の足首に縄をかけて拡げてやれ。その後、気が済むまで犯していいぞ」
将校の言葉に、マリーが泣き叫び出した。
最後の力を振り絞るように暴れる。
だが、その脚に縄がかかり、床に打ち付けた金具に縄尻が繋がれた。
マリーは全裸のまま両手両足を大きく広げて宙吊りにされた状態になってしまった。
「ああ、こんなのいやああ──。離して──。離してください──」
マリーはすっかりと狼狽した感じになり、髪の毛を振り乱して暴れる。
だが、宙吊りの身体では、それもままならず、やがて肩で息をしながらぐったりとなってしまった。
「鞭打ちで肌を破く前に、お前たちで愉しむがよい。まずは好きなようにせい」
ルクセンは言った。
将校は股間を愛撫し、三人の兵もマリーの裸身に群がる。
乳房がそれぞれに揉まれだし、尻や内腿などに別々の手が這い始める。
「いやあああ」
マリーがつんざくような悲鳴をあげた。
そして、号泣を始めた。
やがて、淫靡に悶えだす。
すっかりと、気の張りを失った様子である。
これは、すっかりと白状するまでに、それほどの時間はかからないだろうと、ルクセンは確信した。
*
ルクセン卿がビンス公のところに報告に向かったのは、マリーを訊問をした翌朝のことだった。
間者だった侍女のマリーから訊問で引き出したことはそれほど多くなく、朝までには報告する準備は整った。
その旨を使者を通じて知らせたところ、すぐに来いという伝言が戻ってきたのである。
ルクセンは、大公宮の中の「第二公子宮」と称されている建物の中に出頭した。
そして、最奥になるビンス公の私的居住部まで通された。
案内をされたのは、私室部分の中でも人を集めて小パーティをするような比較的大きな広間だ。
そして、ぎょっとした、
部屋には、たくさんの下半身を露出した男で溢れていたが、その中心に素っ裸の男がひとりと、やはり全裸の女が三人集められていたのである。
全裸の男は天井から両手を吊られて宙吊りになっており、脱力している様子からかなりの長い時間、その状態にされていたのを伺える。
そして、すでに生気なくぐったりとしているものの、裸の女たちは右手首を右足首、左手首と左足首をそれぞれ束ねて縛られていて、うつ伏せになり尻を突き出すような恰好にされていた。
周りにいるのは、三十人ほどの下半身が剥き出しの男たちだが、彼らがその三人の女の周りに群がり、代わる代わる犯しているというのは間違いないだろう。
全身が男の精液でまみれている。
そして、ルクセンは、宙吊りにされているのが、間者だったマリーの父親の伯爵であり、三人の女はその正妻と、長女、さらに長子の嫁ということに気がついた。
「これは……?」
思わずルクセンは口走った。
ビンス公は裸に薄物をまとっただけの軽装で、椅子に座って、侍女に酌をさせて酒のようなものを口にしていたが、ルクセンを認めてにやりと微笑んだ。
「マリーを送り付けた伯爵家の連中だ。残念ながら、長男には逃げられたが、すぐに捕られるだろう。それで、そっちはどうだった? あの女間者はなにか白状したか?」
ビンス公だ。
「さようですね。やはり、裏にいたのはシャルル公妃に間違いありません。白状しました」
「あの女狐め……。ちょこまかと忌々しい」
ビンス公が舌打ちをする。
「それで、マリーはどうしますかな? まだ生きておりますが、連れてきますか?」
「いや、いい。予定通りに殺せ。公都のどこかに晒しておけ」
「わかりました。では、できるだけ惨たらしい死体にして晒しておきましょう。女であることを徹底的に辱しめた死体にしておきます」
ルクセンは言った。
部屋の中で宙吊りにされている伯爵が泣くような声で呻くのが聞こえた。
「とにかく、やられたらやり返す。さもないと余の気が収まらん。あのシャルルだ。カートンの小僧の参謀を気取る生意気なくそ女め──。あの賢しら気な女に徹底的な恥辱を味わわせてやりたい。なにか知恵はないか、ルクセン──」
ビンス公が呻くように吠えた。
「さようですなあ……」
ルクセンは静かに頷いた。
そして、ふと、大公弟ギストン公の娘にして、ルクセンの婚約者ということになっている十三歳の娘の存在を思い出した。
もしかしたら、うまく使えば、厄介払いできるかもしれない。ビンス公の命令なら、ギストン公も文句は言えないだろうし。
「なんでもいい。とにかく、シャルルを捕まえるのだ。どんな方法でもよい。あのカートンの小僧は、シャルルにぞっこんという。人質にしてしまえば、あいつはなにもできん」
ビンスが怒鳴った。
ルクセンはビンスに視線を向けた。
「どんな方法でもよいというのは、間違いないですな?」
ルクセンは不適に微笑んだ。