【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
捕らわれているルカリナに会うために、ロクサーヌは屋敷を移動していく。
案内は、兄アントワークの命令を受けた家宰だ。
だが、母屋の地下にある地下牢にでも監禁されていると思ったのだが、家宰が連れて行こうとしているのは、母屋を出て、さらに、大公弟家であるギストン家で雇っている傭兵の詰め所小屋の方向だった。
ロクサーヌたちが暮らしている別宅も敷地内にある母屋とは違う建物だが、詰め所についても同じように敷地内の別棟になる。外壁沿いだ。
しかし、ロクサーヌの記憶する限り、傭兵小屋に牢のような設備はない。傭兵たちの部屋のどこかに監禁されているということだろうか?
ロクサーヌは訝しんだ。
「こっちにルカリナが? でも、こちらには、牢のようなものは、そこにはないのでは?」
ロクサーヌは歩きながら訊ねた。
別にルカリナを牢に入れて欲しいわけでもないし、そもそもルカリナが盗みをするなどあり得ない。これがでっち上げなことはお互いにわかっている。兄はロクサーヌに、なにかをさせたいのだ。だから、強引にルカリナを捕縛させたのだ。
ルカリナを人質にすれば、ロクサーヌが絶対に逆らえないことがわかっているのだろう。
まさに茶番だ。
だが、父不在のあいだの当主代行であるアントワークが、そう主張する以上、ルカリナは犯罪を犯した奴隷だ。ならば、母屋の屋敷内にある地下牢に収容しているものだと思ったのだ。
「わざわざ地下牢に監禁をすれば、見張りを別に置かねばなりませんからな。傭兵たちには、屋敷の警備の傍ら、手の空いた者で犯罪奴隷を見張っておれと指示しております」
家宰が感情のこもらない口調で応じる。
やがて、傭兵小屋に着いた。
平屋の建物内に入る。
傭兵たちに宛がわれている個室の扉の前の廊下を通り過ぎながら、彼らが集まる広間のある方向に向かった。
その広間に通じる扉に近づくと、大勢の男たちが昼間から酒を飲んでいる声が聞こえてきた。
家宰が中に声をかけ、扉を開けて広間の中に入る。
部屋にいたのは十数人の男たちだ。
だみ声をあげて笑っていた彼らが、入ってきた家宰とロクサーヌに、一斉に視線を向ける。
「ああっ、ルカリナ──」
ロクサーヌは、その部屋にいたルカリナの姿を見て、驚きで声をあげてしまった。
彼らが集まって酒盛りをしている真ん中にある長い木のテーブルの上に、ルカリナは載せられていた。
ただ、そこにいるわけでない。
テーブルの上には、大型の獣を入れるような檻があり、その中にルカリナは入れられていたのだ。
しかも、素っ裸だ。
両腕は背中で水平にされて後手縛りに緊縛されており、両脚も胡坐をかかされて縄で縛られている。
さらに、口には穴のついたボールギャグが嵌められている。
そこから垂れ流れている涎で、ルカリナの顎や剥き出しの乳房をびしょびしょだ。
だが、なによりも、ロクサーヌが怒りを覚えたのは、傭兵たちがルカリナにやっている仕打ちだ。
彼らは、そんな惨めな姿にされているルカリナに対して、前後左右の鉄格子のあいだから、柄の先の先端に鳥の羽根をつけたものを差し入れて、ルカリナの身体のあちこちをくすぐって遊んでいるのである。
ルカリナは、身体を小刻みに震わせながら、必死に身体を捩じって羽根を避けようとしているが、雁字搦めのうえに狭い檻の中では、四方向から襲ってくる羽根を避けることなど不可能であり、ボールギャグのあいだから抗議の声を迸らせて身体をくねらせ続け、また、彼女のお尻から伸びている細長い尾が狂ったように暴れている。
もしかしたら、かなりの長い時間、そうされているのであろうか。
ルカリナの褐色の肌は真っ赤に火照りきって、全身からはおびただしい汗が噴き出している。
「ああ、なんてことを──。やめてください──。やめるのです──」
ロクサーヌは悲鳴をあげて、ルカリナが監禁されている檻に駆け寄って、傭兵たちの悪戯を払いのけた。
そして、檻に抱きつくようにして、周囲の傭兵たちを睨みつける。
「なんということをするのです──。ルカリナは、わたしの専属奴隷です──。手を出すことは許しません──。この家の令嬢としての命令です」
ロクサーヌは彼らに怒鳴った。
この屋敷で生活をするようになって以来、大声をあげるのも、家人や傭兵に命令のような言葉を発するのも初めてだ。
我ながら、自分がこんな声を出せるということにびっくりした。
だが、周囲の傭兵たちは、酒臭い息を吐きながら、にやにやと笑うだけだ。
「おう、これはこれは、お嬢様。こんなところにようこそ。でも、あっしらが、これを連れてきたわけじゃありませんぜ。ここで見張ってろと、ご嫡男様から命令されて、獣人女を置いていかれただけなんです。なにしろ、絶対に逃亡を許さないようにしろというご命令なんですから」
すると、傭兵たちのひとりが笑いながら言った。
この中ではもっとも屈強な身体をしている比較的年配の男だ。もしかしたら、傭兵としての序列がこの中で一番高いのかもしれない。
「お、女であるルカリナをこんな風に辱めてですか──」
「辱めるというのは、裸にしていることですかい? なにしろ、逃げようという素振りだったんでね。縛ったのも、裸にしたのも、逃がさないためですよ。仕方なくそうしてるんです。裸にひんむきゃあ、この獣人でも外には出ていかんでしょう」
男がそう応じると、周りの傭兵たちがどっと笑った。
ロクサーヌは歯噛みした。
「だが、手を出すなと指示を出したはずだがな」
そのとき、家宰が苦笑交じりに口を挟む。
「手は出しちゃいませんぜ。その証拠に、ちゃんと檻に入れているでしょう。檻に入れておけば、この手の速い連中も、獣人女に手は出せねえ。檻に入れているのは、この獣人女の貞操を守るためでもあるんですぜ……。ねえ、お嬢様、そういうわけなんですよ」
「じゃあ、さっきの鳥の羽根はなんだ? 手を出してるだろうが」
家宰だ。
叱っているというよりは、呆れて笑っているという口調である。
「ええっ? そんなことしてましたか? そりゃあ、こいつらがそんなことしてたなんて、気がつきませんでしたぜ。ちゃんと叱っときます……。おい、だめだぞ。悪戯すんじゃねえよ」
その男がわざとらしく、周りに対して咎めるような物言いをした。
どっと周囲が沸いた。
「し、白々しい……」
ロクサーヌはルカリナが入れられている檻を抱き締めながら、男たちを睨んだ。
そのとき、ロクサーヌは、ルカリナがさっきから、身体を震わせながら、「うう、うう」とロクサーヌになにかを訴えていることにきがついた。
はっとした。
檻の鉄格子のあいだから手を差し込んで、ルカリナの口に嵌っているボールギャグを外す。
「ロ、ロクサーヌ様……。お、お願い……」
すると、ルカリナが涙目でロクサーヌになにかを訴えてきた。
ルカリナの身体の震えは、まだ続いている。
ロクサーヌははっとした。
「も、もしかして、厠……?」
ロクサーヌはルカリナにささやいた。
全身を緊縛されているルカリナが涙目で首を縦に振る。
「ルカリナを厠に行かせてあげてください。お願いします──」
ロクサーヌは叫んだ。
「ああ、この獣人はもよおしてるんですかい? だけど、縄を解くことも、檻から出すこともできませんぜ、お嬢様。それだけは、だめです。ご嫡男様から命令されていますんでね。その中でしてもらうしかありませんね」
「ば、馬鹿なことを言わないでください。だったら、出ていって──。命令よ。わたしが面倒を見ます。そのあいだ、外に出てなさい──」
「見張りをやめるわけにはいきませんね。獣人が垂れ流すなら、垂れ流しても結構ですが、俺らが見ている前でしてもらうしかありませんぜ」
「そ、そんな……」
「いえ、アントワーク様からは、確かに、そのように指示をお与えなさってます。調べが終わるまで、このまま、こいつらに見張らせます」
家宰が冷たく言った。
ロクサーヌは、あまりの仕打ちに鼻白んでしまった。
「ロ、ロクサーヌ様……。こ、このままします……。そ、そこにある金桶を宛がってください。腰をあげますから……」
すると、ルカリナがロクサーヌに訴えてきた。
「金桶?」
ロクサーヌは、慌ててテーブルの上を探した。
確かに、小さな金桶がそこにあった。
それを掴む。鉄格子のあいだは、腕を通すくらいの幅はあるので、ロクサーヌが金桶を持って、中に入れることは難しくはない。
「がはははは、なんでえ、獣人──。小便でも、大便でも、言ってくれれば、桶を差し込んでやると言っただろうか」
傭兵たちのひとりが揶揄うような口調で怒鳴った。またもや男たちがどっと沸く。
「な、なにを──。そう、言ったら、く、口に詰め……物を……」
ルカリナが怒りの形相で男たちを見た。
「はああ? そんなたどたどしい喋りじゃあ、なに言ってのか、わかんねんだよ──。人間の言葉を喋りやがれ、獣──」
さっきの男が檻に向かって吠えるように言った。
ルカリナは、その男の前に身体を入れるようにして、彼を退ける。
「ルカリナに対する侮辱は許しません。あなた方のことはしっかりと記憶します。わたしは、あなたたちを許しません──」
ロクサーヌは言った。
とにかく、ルカリナを守らなければと必死だ。
しかし、情けないが、強い言葉で傭兵たちと相対する一方で、膝ががくがくと揺れて止めることができない。
「ああ──。許さなければ、なんなんだよ──。この屋敷で虐げられている妾娘になにができんだい──」
すると、嘲笑の顔が一変して、傭兵男が大声をあげて、ロクサーヌを睨みつけてきた。
「ひっ」
それだけでロクサーヌはなにも言えなくなってしまった。
すると、家宰が咳払いをしたのが聞こえた。
「やめなさい──。さて、ロクサーヌ様、この者たちには、しっかりと言い聞かせましょう。もう一度、アントワーク様のところにお戻りを。これで約束は果たされたでしょう。さあ、アントワーク様のお話を聞きに戻りましょう。ルカリナを早く解放したければ、それがいいと思います。そのあいだのルカリナの安全は、私が保障します」
家宰だ。
異母兄であるアントワークが、なにを企んでルカリナを冤罪で監禁されたのかはわからない。
しかし、なにかをロクサーヌにさせようとして、ルカリナを不当に監禁させたのは間違いないのだ。
つまりは、ルカリナは人質なのだ。
ロクサーヌが、アントワークが与える指示に従わなければ、犯罪を犯した獣人奴隷として、ルカリナは処刑されるのだろう。
あまりもの理不尽な仕打ちに、ロクサーヌは腹が煮えかえっている。
ただ、救いはある。
これまでに、何度も何度も「予知夢」は見ていた。
しかし、そのどの予知夢でも、ロクサーヌがこの屋敷にいるあいだに、ルカリナが殺される予知夢はなかった。
それだけが救いだ。
もっとも、今日のこの仕打ちを事前に見ていれば、うまく対応できたのにと悔しくも思う。
これまでの数年で、ロクサーヌの予知夢がかなりの精度であることはわかっている。でも、なにかを狙って夢をみることはできないのだ。
ルカリナに苛めてもらって絶頂することでもたらされる予知夢の内容に法則性はなく、なにが見れるかは全くの偶然でしかない。
「ルカリナ、ごめんなさい。絶対に助けるから……」
ロクサーヌは、檻の中に向き直り、腰の下に金桶を置くように差し入れた。せめて正面からの視線だけは隠そうと、身体を檻にぴったりと密着させて、少しでも傭兵男たちの意地悪な視線からルカリナを隠す。
だが、意地の悪い彼らは、揶揄うような態度で立ちあがって、檻に寄ってきた。
「あ、あなたたち──」
ロクサーヌは追い払おうとした。
そのとき、ルカリナから声がかかった。
「か、構わない……。で、でも早く──」
かなりの切羽詰まったルカリナの口調で、本当に限界なのだと、ロクサーヌは悟った。
ルカリナが下半身を胡坐縛りのまま腰だけをあげ、ロクサーヌが桶を入れられる空間を作る。
ロクサーヌが金盥を股間の下に置いた途端に、しゅっと音を立てて、ルカリナのゆばりが勢いよく放出された。
「ははは、おっぱじめやがったぜ──」
「よっぽど、我慢してたに違いねえぜ──。こりゃあ、すげえや──」
「お嬢さん、もっと、ちゃんと受けとめねえかい──。ほらほら、桶からはみ出ているぜ」
周りの傭兵たちが割れんばかりの嘲笑をした。