【2025.9.5コミック発売】異世界で淫魔師ハレム【完結】 作:ドン・ドナシアン
太腿を思い切り蹴りあげられた。
「起きろ──」
そして、頭の上で大きな声がして、さらに腰の辺りを容赦なく蹴りあげられる。
「うあっ」
熟睡していて身体はすっかりと麻痺していたはずだが、殴打はロクサーヌの骨の髄まで届くような衝撃だった。
さらに、尻を蹴りあげられる。
「立つんだよ、ロクサーヌ」
ロクサーヌはほとんどなにも考えられない朦朧とした状態のまま、とにかく立とうとした。
だが、身体に力が入らない。
それに、両腕が背中に回されて、革帯を巻かれて拘束されているので、腕を使わずに立つのは難しい。
そもそも、もう三日以上も寝ることを許されなかった末に、それでやっと休むことを許されて、床で死んだように寝ていたのだ。
そこを蹴り起こされたのである。
簡単には、意識も身体も覚醒できない。
「聞こえないのかなあ」
やっと、さっきからロクサーヌを蹴ったり怒鳴ったりしているのがゼルだとわかった。
ゼルに最後に会ったのは、多分、四日前だ。
ロクサーヌの目の前で、モイラに対して、ロクサーヌを拷問して、ルカリナの隷属支配をゼルに譲渡させるのに合意させろと言い残して去ったのが最後だ。
あれから、三日三晩、モイラの拷問を受けていた。
鞭打ち、水責め、痒み責め、くすぐり責め、棒打ち、火責め──。
ありとあらゆることをだ。
もちろん、いまもそうだが、素っ裸にされて、考えられるかぎりの辱めも受け続けている。
三角木馬というものにも素股で跨がらされた。
股間に鉄の杭を挿入されて、外に出ている反対側から火で炙られて膣の中を火傷させられるということもやられた。
そのときには、傷を最高級の治療ポーションで完全に復元されたが、ロクサーヌは死さえ覚悟した。もっとも、数ノスでどんな負傷でも元に戻せるというのは、苛酷な拷問をさらに繰り返されるということでもある。
ロクサーヌは、二日目のときに十回以上、股間の中を焼け焦げにされた。最後には、お尻の穴まで焼けた鉄の棒で焼かれもした。
だが、ルカリナの隷属を譲渡することについては、絶対に合意しなかった。
モイラは、すぐにロクサーヌがすぐに屈すると思っていたようであるが、一日がすぎ、二日が過ぎ、四日目になってもルカリナの譲渡を拒否するロクサーヌに対して、呆れ返った様子だった。
とにかく、ロクサーヌは、傷をつけられればポーションで癒やされ、意識を保つ体力が消失しかかれば、回復薬を飲まされて、延々と拷問を受けさせられるということを続けられている。
そして、四日経ち、眠らせてもらえないことから、頭が朦朧としていると、モイラが根負けしたようにしばらく横になることを許可してくれたのだ。
しかし、死んだように眠っていたと思ったが、たったいま蹴り起こされてしまった。
まだ、身体も頭も疲労の限界から回復していない。
おそらく、数ノスも眠ってないだろう。
「ひがああああ──」
次の瞬間、クリトリスが引き千切れそうな激痛に、ロクサーヌは絶叫した。
そして、無理矢理にクリトリスを引っ張られて、強引に立ちあがらされる。
なにをされたのかわかったのは、クリトリスの根元に元々繋がっていた糸を天井から落ちている鎖に繋がれて、爪先立ちまで引きあげられてからだ。
四日間の中で、モイラが「クリ責め」と呼んだ責めは何度も受けている。
そのときには、いまされているのと同じように、クリトリスを引きあげられて、無理矢理に歩かされたりした。
その責めが終わって、次の責めになるときにも、根元に結んだ糸は外されずに、股間から垂れ下がっていたのである。
それをゼルによって引きあげられたのだ。
「いいいっ、いいいいっ」
糸が繋がっている鎖は、さらに天井にある滑車に繋がっていて、それは天井にあるレールに沿ってゆっくりと部屋を回るように動くようになっていた。
つまりは、糸でクリトリスを引っ張られて、ロクサーヌはその爪先立ちのまま歩き続けるしかないということだ。
この責めは、なによりも堪えた。
モイラが休むときでも、ロクサーヌはこのクリ引きの責めで、休むことを許されずに、延々と歩かされる。
例えば、ひと晩中だ。
それを何度もやらされたのだ。
「ああっ、あっ、ひっ、いがいいいっ、いぎいいっ」
ロクサーヌは必死に爪先歩きしながら、泣きべそをかいた。
それでも容赦なく、クリトリスは糸で前に前にと引っ張られる。
「うーん、まだルカリナの譲渡には応じてないって、報告だけは受けていたけど、君って、思ったよりも強情で丈夫なんだねえ。普通、とっくの昔に屈服してもよさそうなものなんだけどね……。ところで、モイラ、おいで」
頭は朦朧とする。
脚もふらふらだ。
それでも、ちょっとでも気を抜けばクリトリスに激痛が走るので、ロクサーヌは必死で歩く。
一方で、ゼルはロクサーヌが歩かされている部屋の真ん中に立ち、そこにモイラを呼びつけた。
「はい」
横目にモイラがゼルの前に向かうのがうつった。
すると、ゼルがモイラの頬を思い切り張り倒した。
「はんっ」
モイラが横倒しになる。
ロクサーヌは驚愕した。
「ねえ、モイラ、僕はロクサーヌに拷問してでも、ルカリナの譲渡に応じさせろって言ったよねえ。それなのに、どうして、ロクサーヌを休ませてたの? それは、こいつに同情したから? 僕の命令よりも、ロクサーヌを優先しようということ? モイラって、そういう女?」
ゼルの口調は優しいが、ぞっとするような酷薄な響きが混じっている。
モイラも同様に感じたのだろう。
「ひっ」とモイラは息を呑む音が聞こえる。
「ねえ、なんとか言いなよ、モイラ? 僕は馬鹿にされるのが一番嫌いなんだよね」
「うぐうっ」
歩くのに必死なので見えてなかったが、肉を蹴るような音がしたので、おそらくモイラがゼルから腹でも蹴られたのだろう。
「も、申しわけありません……。こ、こいつが限界だと思ったので、一時的に回復を……。そっちの方が屈服は早いと判断を……」
モイラがお腹を押さえて苦しそうに立ちあがるのが目に入った。
やっぱり、ゼルがモイラを殴ったのだ。
「勝手に判断したらだめだよ、モイラ。いくらでも最高級のポーションでも回復薬でも使えって言ったよねえ。休ませる必要なんてないじゃないか」
また、ゼルがモイラに張り手をした。
「し、しかし、身体は回復させられても、心が毀れれば、例の能力に支障が……」
「心が? ロクサーヌは身体をいくら痛めつけても、心が毀れるまで屈服しないってこと?」
「どんな苦痛に対しても耐えられる者はおります。それこそ、死ぬまで耐える者も少なくはないのです。そういうタイプの相手の場合は、心を屈服させるということには、それなりの技術も必要です。そのために、ロクサーヌの限界を見極めておりました」
「ふうん……。つまり、休ませていたのも、責めの一環ということ?」
「その通りです。いまだに、小娘ひとり堕とせないのは、あたしの不甲斐なさです。でも、決して、手を抜いていたわけでは……」
「そういうことか……。だったら、ごめんね。痛かったかい?」
「い、いえ……」
「苦痛には死ぬまで耐えるってねえ……。じゃあ、僕も試していい?」
「も、もちろんです……」
モイラの声──。
すると、クリトリスを引っ張っていた鎖が停止した。
立ち止まって肩で息をするロクサーヌに、ゼルが近づいてきた。
そして、いきなり天井方向に繋がっている糸を無造作に横に引っ張った。
「ぎゃああああ──」
ロクサーヌは咆哮した。
だが、爪先立ちをしている股間はこれ以上はあがらない。
赤黒くなったクリトリスは信じられないくらいに伸びる。
糸が切れた。
ロクサーヌはその場に崩れ落ちた。
髪の毛を掴まれて、顔をあげさせられる。
「モイラ、それ持ってきて……。ねえ、ロクサーヌ、こんなことしたくないんだよ。僕は君のことは評価しているしね。予知夢でいっぱい教えてもらった。誰が敵で誰が味方かを見極めるのに役に立ったし、これからも君のことを大切したいと思ってるんだ。ルカリナの隷属を外すことくらいで駄々をこねないで欲しいんだよ」
ゼルは柔和に笑っている。
「ル、ルカリナは……渡せません……。それ以外のことなら……」
「ふうん、強情なんだねえ……。なんだか、気に入らないよ」
すると、モイラが持ってきた革の帽子のようなものを頭に被せられた。顎に巻くベルトのようなものもついていて、強く密着して固定される。
なんだろう、これ……?
すると、突然に強い痛みが脳天に襲いかかってきた。
「うあああああ」
ロクサーヌは跪いたまま、拘束された身体を弓なりにして絶叫した。
電撃だ──。
それが直接に頭に浴びせられる。
さっきのおかしな帽子だと思った。
とにかく、激痛というのもあるが、これまで味わったことのない不快な苦痛だ。
あまりもの苦悶に、ロクサーヌは床にひっくり返ってのたうち回る。
「あがががが、ががががが──」
さらに電撃が強くなる。
脳の奥を直接に抉る電撃がこれでもかと襲い続ける。
耐えるとか、耐えられるとかいうものではない。
心を一気に消耗させるような、おぞましい苦痛だ。
それがいつまでも襲い続ける。
激しい嘔吐感が込みあがり、吐きそうになった。
すると、電撃がとまる。
「僕が作らせた奴隷調教用の魔道の革帽子さ。僕の魔道波に合わせているから、他人には操作できないんだけど、威力は強力だよ。電撃は君の頭の中の痛覚に直接に襲っているからね。これを我慢するのは無理さ。最初から、これを使えばよかったかな」
ゼルが酷薄に笑う。
「う、うう……」
しかし、ロクサーヌは動けない。
ただでさえ、限界まで疲労している身体に、想像を絶する苦悶を与えられ、完全に身体が麻痺してしまった感じだ。
「堪えたかい? じゃあ、ルカリナを連れてくるよ。ちゃんと、僕に隷属を譲渡すると口にするね。それで終わりだ。身体を清潔にして、柔らかい寝台で休ませてあげよう。おいしい食事もね。絶対に、ルカリナと別々しないとも約束するよ。僕の奴隷になっても、君の大切な人には変わりないからね」
ゼルだ。
「……や、やです……」
ロクサーヌは最後の気力を振り絞るようにして言った。
再び、頭に電撃が襲う。
「ぐうううっ、あぐううっ、がっ、があっ、あああああっ」
頭の中に電撃を注ぎ込まれ、ロクサーヌは身体を突っ張らせた。
「立つんだよ。立ったら、電撃をとめてあげよう。ほら、頑張って」
ゼルの声──。
ロクサーヌは必死に膝に力を込めてどうにか腰を浮かせた。
やっと電撃がなくなる。
まだ眩暈は続けている。
気がつくと口が閉じずに、涎がぼたぼたと床に落ち続けている。
そして、身体に力は全く入らないでもいる。四肢にもまだ電撃を帯びているような不快さが残っていた。
脳に直接に苦痛を送る電撃……?
「僕は君を毀したくない。君の予知夢には、まだ使い道がある。屈服してくれるね?」
「よ、予知夢は……提供します……。これまでも……これからも……」
「うん、そうだね。でも、君は全部の情報は提供してないよね。そういうのは、わかるのさ。だけど、どちらかを奴隷にして支配すれば、今度は隷属の力で嘘はつけなくなる。君とルカリナ……。予知夢は君たちの両方が見るんだよね」
やっと本音を出したと思った。
やはり、それが狙いなのだ。奴隷解放がどうのこうのというのは建前だ。
ロクサーヌは意図的に、予知夢の内容の一部を伝えることなく、ずっとゼルに接していた。
もちろん、それを教えたことはないが、気がついたのだろう。
だから、ルカリナを自分の奴隷に……。
予知夢を見るときには、ロクサーヌだけでなく、ルカリナの記憶にも残るのだから、どちらかを隷属してしまえば、ゼルに内容を隠すことは不可能になる。
だったら、なおさら承知できない。
「う、嘘はついたことは……ない……です。それと……ルカリナは、わたしの……ものです……」
「君も強情だねえ。この帯帽子で屈しないとは思わなかったよ」
次の瞬間、またもやこめかみを電撃が貫いた。
「ぎゃうううう──」
ロクサーヌは膝をがくりと曲げて、うずくまりかける。
「座れば、君の大切な獣人奴隷を拷問にかけるよ」
そのとき、ゼルが言った。
慌てて、懸命に脚に力を込める。
ルカリナのためなら、いくらでも頑張れる。
ロクサーヌは必死に身体に力を入れた。
電撃がとまる。
それでも、しばらくのあいだ、不快な身体の震えは収まらない。
「まだ、承知しないかい?」
「ル、ルカリナは……ルカリナは……大切な……」
「困ったなあ。そんなにこの帯帽子が気に入ったのかな? ああ、そうだ。すぐにわかると思うけど、君の父親は殺したよ。君のお兄さんもね。だから、もう君を養女にするのを拒む者はない。君は僕の娘になるんだ。父親として、君を大切にすると約束するから、そろそろ諦めてくれないかなあ」
「いやっ」
次の瞬間、またしても痛烈な電撃が脳天を貫く。
「あぐうううっ」
たちまちによろけて倒れそうになる。
「ロクサーヌ、倒れれば、ルカリナを拷問にかけるわ──」
すると、しばらく見守っていた感じのモイラが大声を放つ。
ロクサーヌは必死に脚を踏ん張った。
必死に歯を喰いしばる。
だが、頭の中に直接に苦悶を与えるという電撃の苦痛は、耐えるということを許さない
ロクサーヌの身体の芯を内側から粉々にしていくかのようだ。
だけど、ルカリナはロクサーヌのもの──。
それだけは、だめ──。
今度は長い──。
膝が曲がった。
身体が前に折り曲がる。
胃袋から苦いものがあがってきた。
股間からじろじょろとおしっこも流れ出す。
それでも、電撃が終わらない。
「あああっ、やめてえええっ、やめてえええ」
ロクサーヌは絶叫した。
電撃がとまる。
「ルカリナを譲るな?」
ゼルが耳元でささやく。
ロクサーヌは首を横に振った。
「驚いたなあ。なんという強情さだ」
ゼルが呆気にとられたような声をあげた。
「ゼル様、この小娘は、尻の穴や股間に、焼けた鉄杭を挿入されても屈しなかったのです。多分、隷属には不向きなのですわ。そういう者もいるんです」
モイラが嘆息しながら言った。
「そのようだねえ。だけど、まずは、ルカリナ……。そして、このロクサーヌを支配したいんだけどねえ」
「でも、やっと、こいつの弱点がわかりましたわ、ゼル様?」
「弱点?」
「あの獣人奴隷ですよ。ルカリナです。連れてきましょう。その帯帽子、さすがの獣人奴隷でも泣き叫ぶでしょう」
「うーん、獣人を拷問にかけるのは、僕の矜恃に反するんだけど……。まあ、仕方ないか。連れてきてもらえるかい」
「わかりました」
モイラが部屋を出て行く。
ロクサーヌは、はっとした。
「ま、待ってください。ルカリナには手を出さないでください──」
「まあ、とりあえず、連れてくるだけさ。獣人奴隷を拷問されたくなければ、僕に隷属を譲渡すればいい。どちらにしても、目の前で隷属の移動を口にしてもらわないとならないから、連れてくるよ」
ゼルがにっこりと微笑んで、頭に電撃が貫いた。
「あぐううう──」
ロクサーヌはついに膝を崩して、少し前に自分が放尿した水たまりの上にしゃがみ込んでしまった。