一月二十二日(日)
昨日は咲希ちゃんと一緒に過ごしたけど彼女は僕の事をどういう風に思っているんだろう?
小学の時の同級生? おそらくその程度の存在でしかないのかな。
それでも昔みたいな友人関係が続けてたいけるなら僕は満足。
咲希ちゃんだって好きなひとができて「恋」をしていく──その相手に自分がなるなんていうのは有り得ない。
またああいう風に遊びに行く機会もあるだろう。だから僕は変に“意識”しないでおこう。
日曜だと言うのに何も予定のないから家にいることになりそうだ。
パソコンを立ち上げてネットを開く。面白そうなニュースでも見るとしますか。
Windows7を搭載した古めのマシーンにアイコンが並んでいく、マウスでネットのブラウザをクリックして起動、ブックマークからお気に入りのページを呼び出した。
東京で働き始めて一番最初に買ったのがこのパソコン。
型は最新のモデルよりも落ちるけれど充分に使える。
いつも顔を出す掲示板やサイトを巡回──今日の僕はインドア派。
*Point of view Minato*
私は新堂さんに電話をしようかとかれこれ数時間悩んでいた。
と言うのもこれから町に出かける予定になっているんだけど夏帆は友達と遊びに行って付き合ってくれない、たまにはお母さんと買い物に行くのも悪くないなあ。
私の予定に新堂さんを付き合わせるのはさすがに気が引けた…………
結局お母さんと一緒に出かけることに決めて携帯を一旦机の上に置いた。
「あら、湊もう決断はできたの?」
「うん。今日はお母さんと一緒に町にお買い物に行くわ」
「あらそう? 湊とお出かけなんて久しぶりだからお母さん嬉しいわ」
部屋で外着に着替えて家を出る──ああそうだ携帯忘れないようにしないと。
「いつ振りかしらね、こうやって二人で出かけるのは」
お母さんは私とのお買い物を楽しんでくれている。
社会人になる前はこうやって親で出かけることが多かった。
私と夏帆とお父さんにお母さん──篠宮家の家族は本当に仲がいい。
「そういえば夏帆から聞いたんだけど、あんた気になる相手がいるんだって?」
「ええ!?」
お母さんがいきなり変なことを言い出すからちょっと大げさなリアクションを取ってしまった。
「いきなりなんなの?」
「その反応はいるのね! ねぇどんなひとなの? お母さんに教えてよ」
子どもみたいに目をキラキラさせて聞いてくる。
「あんた恋愛に全く興味を示さないからお母さん心配してたのよー。その歳で彼氏すらいる気配ないし」
「酷い言い草だなぁ」
「それでどう言う相手なの?」
「会社の人」
「まあ! 社内恋愛? オフィスラブなんてあんたもなかなかやるわねー」
それから新堂さんについてあれこれ聞いてくるお母さんをちょっと鬱陶うっとうしく感じながらも無事にお買い物は終了。
帰り道、私たちはあのお店は品揃えが豊富だとか今度は夏帆も誘ってみようとか細やかな会話をする。
私の自慢のお母さん、厳しい時もあるけどそれも愛情の裏返しだって言うことは分かる。
「湊、好きなひとがいるなら積極的にアタックしないとダメよ。あんたただでさえ内気な性格してるんだから」
「うん…………」
「話を聞く限りいい人みたいで安心したわ」
「とっても素敵なひとだよ。正直私にはもったいないくらい」
「弱気にならないの! 恋愛は一筋縄じゃいかない場合もあるけど成就させたいなら頑張らないと」
お母さんはそう言って私の背中を押してくれた。
私の「恋」を応援してくれるひとがいる、一歩踏み出す勇気をもらえた気がする。
夕暮れの空の下で私はこれからは変わっていこうと決めた。
さようなら。今までの私。