もしも、あの頃の自分と向き合う事ができたのならなんて言う言葉をかけるのかしら?
きっと過去の私は驚くんじゃないかな? 恋愛になんて興味無いと言ってた自分がこんなにも焦がれるような「恋」をする事になるなんて、しかも相手はあの雅也君。
彼とは中学まで一緒だった。初めて私に好きだと伝えてくれた相手──もしもだけどあの頃から彼と仲良くしていたら今の結果は変わっていたかもしれない。
人を好きになるのってちょっとしたきっかけ、私はそれがわかるのに十年以上の月日が掛かっちゃった。
恋愛に対して鈍感だと言えばその通りだと思う。好きな人もできずに今までずっと過ごしてきた。
片思いの辛さってこんな感じなんだ……。自分の気持ちを告白するまでの不安、そして私の想いは彼に届くにはあまりにも遠すぎる。
それを知った時、今までに感じたことのない感情が湧き起こって来る。
初めて好きな人ができました。小学生の頃からの同級生で一度は私に告白したひと、私は彼の事をただの友達だと思ってました。
だけど、十年経ってようやく気づいた気持ち──私は雅也君が好き。
胸がドキドキする、こんな体験は初めて。
恋愛に向き合って来なかった自分を変えよう、彼を振り向かせたい、私の笑顔が好きだと言ってくれた。堪らなく愛おしい。
「……雅也君」
ベッドを軋ませて自慰行為に耽る、何度やっても湧き上がって来る性欲を抑えることはせずに欲望のままに続ける。
何度も絶頂を迎えても私の心は満たされる事がない。彼と繋がりたいと強く思う、濡れた下着を新しいものに着替え一日中行為をしていても足りないくらい。
恋愛に関する事は明日奈にも相談した、ていうか話せる相手が彼女しかしない……。
これから先どうしよう? もちろん自分の気持ちを簡単に整理できるわけじゃないのだけど私はまた彼に好きになってほしい。
鏡の前で笑顔の練習──雅也君が好きだと言ってくれた自分の笑顔。笑っている時私はどんな顔をしてるのかな?
何気なくやっているつもりだったんだけど彼はちゃんと見てくれた。
外見で相手を判断するべきじゃないって言うのはよく聞く事だと思うの、だけど、最初会う時は外見から入るんじゃないか?
それからその人の印象がどう言う風に変わっていくかは本人たち次第だし、私にとって雅也君はそこまで仲の良い相手じゃなかっった。
小学生の頃から彼は変わった人だなぁって印象を持っていたし、第一にあまり話すような事も無かった。
けれど、中学の頃を思い出すと雅也君は私と接する時の態度が他の女の子達とは違っていた。
長い時間同じクラスで過ごしていたはずなのに私は彼の想いに気遣く事がなくてあの手紙を貰わなきゃ多分知る事も無かった。
昔の彼と私の関係に何か変化はあったのかな? 今と比較するのならお互いに成長して大人の対応ができるようになったって事かな。
中学時代までの彼しか知らなかったから“再会”した時は驚いた。
小学生時代は私よりも背の低かった彼が今では自分を追い越している。
痩せ型の体型なのは昔と変わってないけど、足が長くてスラリとした感じなの。
十年振りに会って、色んな話をした──最初は友達だと思って接していたけれど、このネックレスをプレゼントされて私の感情に変化生まれた。
毎日身につけている白銀の色のネックレスの輝きを見るたびに私は彼への想いを再確認。
初めて「恋」をした。自分には縁のない話だとそう思っていたのだけど最初の「恋」は片思い。
それも前の時と完全に立場が逆。十年前は雅也君は私に片思いをしていた、彼もきっと今の私と同じ気持ちだったんだろう。
今になってようやく理解できた。本当の想い──それに気づくのに掛かった年月が十年。
私が自分の気持ちを確かめる前に雅也君は彼女と仲を深めていった。
神様って残酷だと思う……。「恋」にハードルは多いものだとはわかるけど、こんな展開はあんまりだと感じる。
篠宮さんはずっと彼が好きで私が一緒に過ごしてきた時間なんてまるで障害にならないかのように雅也君と急接近していった。
大人しそうに見えて彼女が起こすアクションは大胆で「恋」に対して真剣に向き合っている。
私ももっと真剣にならなくちゃダメだよね。
何度も何度も彼への想いを募らせる。
「雅也君、それまで待ってて下さい」
彼の心をもう一度自分へ向けさせる為に──私はどんなことだってやろうと決意するのでした。この想いは決して揺らがないのだから。