「……出ない」
私は次の機会に家で食事をご馳走する約束を取り付ける為に雅也さんの携帯に電話をかけたけど全然出てくれない。
妹の夏帆は彼が来るのを楽しみにしているしお父さん達だってそう。彼はもう私たちの家族に受け入れられている。
好きな人と結ばれるなんていうロマンチックな経験をまさか自分がすることになるなんてね。
ずっと片思いをしていた──だからこそ雅也さんの気持ちはすごく嬉しかったし内心では舞い上がっていたのかも。
彼は「恋」に対して思い出したくない記憶がある、それを含めて支えていこうと思う。
お互いが心を通わせて本当の恋人同士になれたのなら、それは幸せな事じゃないかな?
お母さんの手伝いでキッチンに立つ、お料理はもっと上手くなりたい、雅也さんに美味しいと言ってもらえたら良いなぁ。
彼の笑顔が好き、見ていると私の方まで幸せな気持ちになれる。
厳しい冬の寒さを感じる中で私たちは一歩進んだ関係になった。初めて人を好きになった事、その人と恋人になれたのは恋愛の神様が私に与えてくれた幸福なんだろうな。
穏やかな篠宮家の日常に彼が加わる、会話の中心になって、私は自分の彼氏が素敵なひとだと改めて認識する。
一度しかないこの恋が成就して、安心したのか私はこの先に訪れるであろう波乱の出来事に対してこの時はまだ予想だにもしてませんでした。
*
「電話が鳴ってる」
折り畳まれてた長方形の端末をパカりと開いて着信履歴を確認した。
【篠宮 湊】
恋人から何回か着信がある──僕は履歴のページを閉じて体を預けているベッドの上で天井を眺めた。
咲希ちゃんとの何回目かのセックスでもう大分疲れてきた……。どっと疲労を感じてしばらくの間は立つことさえままならなかった。
彼女と繋がった時、僕は今までに感じたことのないような快感を覚えた、初めて性行為をしたのに夢中になるほど激しい咲希ちゃんの愛情表現を受け入れてしまった。
そして後悔が押し寄せてくる。恋人を裏切ってしまった……。
僕の事を好きだと言ってくれた湊ちゃんを他所に咲希ちゃんとのセックスを辞めることができなかった。
あれだけ続けていたのだからもしかしたら
彼女も危険日だと言ってたし、コンドームも付けずに生のまま挿入したら流石に言い訳もできないだろう。
温かい子宮の中に何度も自分の遺伝子を発射する、零れ落ちるほどに注がれてその度に彼女は絶頂を迎えて果ててしまう。
体の相性は抜群らしい──何度行為を続けても枯れることのない性欲、こんなに気持ちが良いことがあるんだな。咲希ちゃんは自分の醜い顔を隠す事もなくひたすらに快楽を求める。夜の遅い時間に寝る時間を削ってもセックスを続けた、そうお互いの体を求め合い重ね合う。
後ろからされるのを気に入ったのか彼女はお尻をこっちに向けて振る。プルりとしたお尻が目の前にあって、僕はそれを優しく撫で回す。
その度に声を漏らしながら喘ぐ彼女は本当にエッチだなって感じた。
行為を続けていく途中ベッドの上に置いた僕の携帯が鳴る──それでもその着信に出る事もなく、ひたすらにセックスを続けるのだった。