様子が気になったから来てみたらすごいことになってるわね……。
咲希の部屋に上がった私はその散らかりように驚いた、遊びに行って良いのか聞くために電話した時、いつもとは何か違う雰囲気なのに気づいてすぐに咲希の住むマンションに向かった。
「……何があったのよ」
散らかった部屋の中は足の踏み場もないくらいで辺りには服やら本やらが散乱していた、それを一つずつ拾って机の上に置くとイライラした様子に咲希と目が合う
こんな様子のこの子は初めて見る、そして私は彼女の口から今までに起こった事の顛末を聞くことになる。
咲希の初めての恋愛は私が想像していた以上に大きな障害と困難がつい纏っているみたい。
十年ぶりに<再会>した同級生──彼の事を好きになって初めて咲希自身も「恋」に真剣に向き合った。
友達として私ができるのはたった一度きりの恋愛を応援してあげる事だった。
咲希が幸せになってくれたらいいとも思っている。大学からの付き合いだけど私にとって彼女はただの友達なんていう安っぽい関係じゃなかった。
初めての「恋」に顔を赤らめて俯くのを見ていると何だか微笑ましいなってこの子もこんな顔するだなって新しい発見。
恋愛に関して私がアドバイスできることは少ないだろうけれど、咲希の想いが報われたら嬉しい。
だけど、今回はかなりやりすぎちゃったね。まさか相手の人を監禁までするなんて……。
彼女が好きになった相手にはもう既に恋人がいるというのを聞かされた。
それは咲希が自分の想いに気づいた日、残酷にも告白する前に彼女の「恋」は終わってしまう。ううん、始まることすら許されなかったのかも……。
片思いの辛さをわかってあげることは私にはできない、なんて言葉をかけててあげよう、悩んでも何も思いつかなかった。
初めて人を好きになって恋愛に向き合うと決めた咲希にまるで過去からの因果が巡ってきたみたいな展開が待ち受けていた。
あの時にもしも新堂君の告白を受け入れていたら今とは違った形を迎えていたんじゃないかなと思う。
たった一度の行いで取り返しがつかなくなる、人生って本当にままならない。
だけど、そうそうには諦められるようん想いじゃないっていうのはわかる。咲希は涙で目を腫らしながら過去の事を後悔していた。
新堂君に対してやったことは愛情の裏返しと言えば聞こえがいいけれど、完全におかしい。何でそんなことしたのよ……。
女性にも監禁罪って適用されるだろうし、このまま穏便に済むとは思えない。もしも、何か問題が起こった時に私はこの子の味方でいてあげられるんだろうか?
宥めているうちに咲希はぽつりと呟く。
彼女の新堂君への想いは真剣だった。それだけは理解できる、だけど──
「とにかく一旦落ち着きなよ。私が知らないうちにこんなことになってるなんてね。驚いたわよ。あんたにそんな行動力があったなんてね。それだけ新堂君のことが好きだという事なんだろうけどさすがにやりすぎよ」
「相手の心を無理矢理に手に入れてもそれは本当の関係じゃないわ。昔みたいにもう一度彼に好きなってもらいたかったんでしょ? だったらもっと考えて行動しなくちゃね、十年前に彼をあんたが振ったっていう事実は変わらないんだから。それが大きな障害になってるなら自分自身が変わっていかないといけない気がする」
「これから先どうしたいの? 『恋』を始めるんならきちんと段取りを踏んでいくべきじゃない? 急にやろうとしてもかえって失敗するだけ、相手の人に恋人がいるっているのなら最悪の状況も踏まえておかなくちゃ」
応援するって言いながら反対のこと言ってるわね私──けれど、世の中ままならない事の方が多い。恋人がいる人を好きになってしまった苦しさえや辛さを咲希がどういう風に乗り越えていくのか。
泣きたいのなら最後まで付き合おう、そして色々なものを吐き出せばきっといい考えが浮かんでくるかもしれない。
もう時期春を迎えようとしている。そんな中で気持ちに整理をつけないといけない時が迫ってくるのでした。
巡り来るべき日に備えておかなくちゃね。