下着を脱いで裸の久我山さんが僕の目の前に立つ──発達のいい胸と白くて透き通った肌が曝け出される。
大人の女性の魅力って言うんだろうか、汚れをしならい艶やかな柔肌と女の子独特ないい匂いを嗅ぎながら僕は溜息を漏らす。
彼女の考えていることが理解できない……。一体何の目的があってこんな事を? 頭の中で何度も思考を巡らせてみたけど答えは見つからない。
咲希ちゃんと体を重ねた日から僕の周りにはどうにも逃れられない渦のようなものがあるんじゃないかと思えてきた。あの日、咲希ちゃんと<再会>してから今まで普通の時間が流れていた空気が一変した。
女の子にモテたことはこれまで一度も無かった。咲希ちゃんを好きになるまで恋愛に関して興味すら持ってなかった。
気がつくと僕の体はベッドの上に倒されていた──目の前に久我山さんの顔がすごく近い位置になって緊張し目線を逸らす。
彼女の胸が僕の体の上に押しつぶされてむにゅりとした感触を覚える。若干頬を赤く染めている久我山さんはそのままの体制で顔を埋めた。
上着を捲られて肌が曝け出す。
そして舌で僕の体を舐めまわし始める、その何とも言えない感覚に変な声が出てしまう……。それでも彼女は行為をやめるばかりか最初は腹を舐めていた下を上へと移動させた、唾液でベトベトになっている肌に更に密着度を増すように触れてくる。
咲希ちゃんの友達と関係を持つわけにはいかない。僕は彼女の行為に抵抗した、あっさりと引き下がらずにどんどん積極的になっていく彼女を理性を保ちつつ突き放す。こういうのはあの時咲希ちゃんにされたことと何ら変わりもない……。あの時だって僕がもっと必死に彼女を拒絶していればあんな面倒なことにはならずに済んだ。
久我山さんの目的がはっきりとしない間は中途半端な事はするべきじゃない。僕はベッドから起き上がってすぐに衣服の乱れを整えた。一向に表情すら読めない彼女他所に僕はふぅとため息を吐き出して立ち上がる。
「こんなことはするべきじゃない。君がどういう風に考えているのかはわからないけどもっと自分を大事にしなくちゃ駄目だよ。それに無理矢理に体を重ねた所で心が繋がっていないのなら全く意味がない」
そう言って彼女に視線を向けると裸の体を恥じらうことがない様子を見せる。自らの好奇心だけで人間関係を崩壊させるような真似はしちゃいけない。もっとも咲希ちゃんとの仲が完全に拗れてしまっている僕が言うべきことではないんだろうけどね。
それでもいい加減なままではいられない──湊ちゃんの為に自分自身が変わらくちゃならない。
「今日のことは咲希ちゃんに話たりはしないけど、今後は僕の前に現れないでもらえるかい? 恋人との時間を優先しようと思ってるから。君の目的に関しても追求するつもりはない。僕たちの関係はこれでおしまい」
それだけを伝えて部屋を出る。今彼女はどんな表情をしているんだろう? なんて事を考えたけれども、振り返ることはせずに久我山さんが住むマンションを後にした。
だけど、この時はまだこれから起こるであろう出来事を予感することなんてできずにいたんだ、帰り道で今日あった事を忘れようと最寄りの駅へ向かう電車に乗り込んで揺られる車内でぼんやりと景色を眺める。