「次の休みの日はどこかに出かけようか、デートだよ。僕は湊ちゃんと過ごせる時間をもっと作りたいと思うし。行きたいところに希望があるのなら教えて」
「そうですねー。今度近場にできたコーヒーショップなんてどうですか? 最近インターネットとかでも話題なんですよ! 女性客が多いんですが、男性でも十分寛げる空間だと思いますよ」
「なるほど、それは良いね。コーヒーなんて店でちゃんと飲んだことがないや。湊ちゃんはそういった所にはしょっちゅう行くの?」
「そうですね、割と行きますよー。料理が美味しいとこはリピートしてますし、コーヒショップで過ごしてからお買い物なんてどうですか?」
「良いね。予定は早めに決めておこうか。行き当たりばったりなのが一番良くないからね、コーヒーショップでの食事は僕も楽しみだし、買い物は丁度いい、僕も欲しいものがあったからね」
「お店の事とかは調べれば出ると思いますよ。注文もシンプルなのが人気の理由みたいですし」
「コーヒショップってさ何か魔法の呪文みたいなのを唱えないとダメなんだと思ってた。女の子はおしゃれな店知っていて羨ましいよ。僕なんか食事ができれば良いやって考えてるし、そこまでこだわったことないかなあ」
「そうなんですね、でも雅也さんと前に行った水族館はすごくムードも良かったですよね。あの時は夏帆も一緒だったけど私は十分に楽しむことができました」
「そういえばあの時はまだ湊ちゃんと恋人になれるなんて思いもしなかったよ。でも、意識はしてたよ。湊ちゃんはすごく綺麗で僕もドキドキしてた」
「私もです。あの時は嬉しくて舞い上がっちゃいそうだったけど、なんとか平常心を保っていたんですよ? 夏帆がいてくれて落ち着いたこともありましたけど。今度また行きたいですよね」
「うん。でもチケット取るの大変そうだしなあ。あの後すごく人気の場所になったらしいよ。この間たまたまTwitterのトレンドに上がっているの見たし、チケットは前回よりも取りづらくなるかもね」
「それは頑張らないといけないなぁ。私もできるだけやってみますね! 次は二人きりで行きましょう」
「恋人になってから行くのだと同じ場所でもまた違った感じなんだろうか? すごく楽しみだよ。湊ちゃんが喜んでくれるなら僕は嬉しい」
「雅也さんはいつも私のことを優先してくれるけれど、もっと自分の気持ちとかも考慮して良いんじゃないかな? 私ばかり楽しくても雅也さんがどういう風に感じているのかは気になっちゃいますし」
「はは、そうかい。それじゃあ今後はきちんと僕の意見も伝えるように努力するよ、初めてできた恋人だからどうしても君の楽しむ顔が見たいと思って自分の事を蔑ろにしてた気がする」
「どっちかが一方的に楽しい想いをするのって違うと思います。嬉しいのや面白いことはお互いに共有するべきです、もちろん考えが合わない時だってあるだろうけど、そうやって少しずつでも相手の事を理解できるようになっていくのが理想じゃないかな?」
湊ちゃんはいつだって自分の気持ちに正直だ、そういうところは僕も見習いたいと思う。お互いが気を遣っている関係なんて疲れるだけ、彼女とは色々な時間をシェアしていこう。
恋愛に関して全力で挑む。その結果は必ず良いものになると信じている。
デートや食事をする回数が増えていくともっと湊ちゃんを知ることができるだろう。そうやって僕は彼女との将来を真剣に考える。二人だけじゃなく湊ちゃんの家族も大事にしたい、もちろんうちの家族もだ。
誰かを好きになってその人と一生を過ごすのは限られた人生の中でも最高の時間。歳を重ねても初恋の気持ちだけは忘れずにいたい。
ようやく現実に向き合う覚悟ができた。決心がついた、感情が昂る。
感性が鈍らないうちにアクションを起こさないとな。
湊ちゃんとの会話を終えた僕はもう自分から連絡をすることがないと決めた相手へ電話をかけた。
きちんとしなくちゃいけない。僕の大好きな湊ちゃんの為に今自分ができることは──
──いつまでも「恋」から逃げ続けていた僕にチャンスを与えてくれたあの子の想いに報いる為に。
物語は最終局面へ向けて本格的に動き出そうとしていた。