※この作品はR-18です。

胎間忍   作:内府

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注意:非エロ
今回はくノ一が全く出ない回です。


第16話 日輪の子 ~~スーパー秀吉タイム~~

 アサギ達が長政と夜伽を始める前、小谷城攻めの火蓋が切って落とされようとしていた。

 この城に攻めかかるのは第六天魔王信長に率いられた3万の織田軍ではない彼の配下の部将とその下にある一隊だけであった。

 無謀にも小谷城に攻め寄せるその部将の名は木下藤吉郎秀吉といい、彼の主はサル、はげネズミと呼んでいた。

 

 木下藤吉郎秀吉は尾張国の出身で農民の子とも足軽の子とも云われている。

 彼は実の父を亡くしたあと義理の父との仲が悪く、家を飛び出した。

 しばらくは方々を流浪し最終的には織田家に仕官した。

 初めは草履取りであったが口がうまく頭の回転が速かったので段々と出世していった。

 彼は体が貧相で中々戦で功を上げることができなかったが金ヶ崎の退き口以降戦功を挙げるようになった。

 そこから彼は対浅井家の最前線、横山城を任されることになった。

 更に軍功を挙げていきその丈夫さと使い勝手のよさから人々に木綿藤吉と呼ばれるようにる。

 そんな彼が小谷城に攻め寄せてくる。

 まず第一の関門は大手門であったが、ここを守る浅井家の兵を一蹴しあっさりと城内に侵入した。 

 一夜明けて、今度は第二関門の堅堀にたどり着いた。

 この堅堀では士卒の競争心を煽る側近の策、現場の武士が機転を利かせた陽動、秀吉の統率力が合わさりここも難なく突破することが出来た。

 第三の関門は曲輪群であった。

 この曲輪群は大手門や堅堀より数段攻めにくくなっていた。

 曲輪群は下の曲輪を攻略し上に行くにつれ兵力が増していき正攻法では困難であり突破ができたとしても時間と血が無駄に流れるだけであった。

 しかし、この時の攻め方は正攻法ではなかった。

 姉川の戦いの後、横山城を任されていた秀吉は対浅井家の最前線として浅井家の侵攻を防ぐと同時にこちらからも相手を裏から攻めていった。

 その結果が浅井家重臣阿閉氏の離反であり、信長に浅井家との決戦を決意させた。

 秀吉の調略の成果がここでも現れた。

 各曲輪を守る諸将が次々と投降してきたのである。

 これにより秀吉は一兵も損なうことなく第三の関門の曲輪群を突破することが出来た。

 そして最終関門である虎口にその日の夕刻頃に到着した。

 事前の計画でこの虎口を突破することができれば、本丸・京極丸・小丸の中央の京極丸を攻略しこの3つの郭の連携を分断することにより陥落すると考えられていた。

 秀吉は虎口への突入を命じ、士卒が虎口へと侵入していく。

 虎口へと部隊が侵入した直後、鉄砲の轟音と士卒の悲鳴が聞こえた。

 突入を図った部隊は潰走し虎口の外へと撤退した。

 浅井家の兵は織田の兵を撃退したことより勝ち鬨をあげている。

 それに対抗するように虎口の外へと撤退した部隊も後に続く味方を勇気づけるために勝ち鬨をあげた。

 それを聞いた秀吉はいてもたってもいられず、狙撃される危険を冒して潰走した部隊の元へとやって来た。

 秀吉が彼らを見ると殆どの者が銃創と矢傷を負い血を流し、突入前の半分の人数しかこの場にいなかった。

 この部隊の兵士は金ヶ崎の退き口以来の苦楽を共にした仲間達であった。

 秀吉がこの現状に呆然としていると、虎口から1人の兵士が出てきた。

 彼も弾丸を受け肩から血を流していた。

 その兵士は部隊が撤退した後も虎口に残って施設を観察しその結果一部の壁が崩れておりそこを攻めれば虎口を攻略できるとのことであった。

 秀吉は判断に迷い傍らの側近に助言を求めた。

 

 側近「この者の申す通りもう一度突入すれば突破することもできるでしょう。しかし、先ほどと同等かそれ以上の被害を受けるでしょう。私は助言は与えられますが最後にどのような決断を下すのかは貴方次第です。」

 

 秀吉は側近の言葉から自分が大きな選択を迫られていることを悟った。

 このまま突入せず信長の本隊が来るのを待つか、あるいは突入して単独で小谷城を落とすかの二択であった。

 前者の場合これ以上犠牲を出すこともなく信長からはそこそこの褒美を与えられるだろう。

 後者の場合は自分に従ってくれる仲間を犠牲にするもおそらく前代未聞の褒美が出るだろう。

 元来流血を嫌う秀吉は自分の出世のために仲間を犠牲にすることはできないと考えこのまま援軍を待つべきと考え全員に待機を命じようとした。

 

 虎口から撤退した兵士「暗いな、お天道様も隠れちまった。」

 

 一人の兵士の何気ない言葉を耳にした秀吉に天啓が打たれた。

 そもそもこの仲間達は自分が夢を見させてくれると思い自分についてきているのではないのか。

 今まで自分は仲間達に夢を見させるために出世してきたのにここで未曽有の出世の機会を無にすることは、一緒に戦ってきた仲間達を裏切る行為であると考えた。

 今の世の中でこの仲間達に日輪のように明るい夢を見させるのは自分しかいない。

 そう思った秀吉は右手を高く挙げ皆の視線を集める。

 

 秀吉「みんな!この儂を信じておれば心・配・ご・無・用じゃ!すわ、掛かれェェい!」

 

 秀吉の配下全員「応!!」

 

 秀吉の命で行われた攻撃は先ほどと同等の被害を被りながらも瞬く間に虎口を突破しその勢いのまま京極丸だけでなく小丸も占拠した。

 秀吉は暗くなった空を見上げ自分が地上の日輪としてこの暗雲とした世の中を照らそうと目に見えない太陽に誓った。

 

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