胎間忍 作:内府
美濃国岐阜城、織田信長の本拠地であるこの城にダンゾウ達4人はいた。
彼らは浅井長政の子を孕んだくノ一を抹殺するために信長が一時的に雇っていた。
小谷城落城の際ダンゾウの部下の一人、キバが件のくノ一を取り逃がし命を落とした。
その事で信長は彼らを追い出そうかと考えたが、オビトが赤尾に掛けた術のことを考えると思い直し、岐阜城の中に一室を与えていた。
ダンゾウ達は甲賀衆から情報を得てくノ一達の動向を探っていたが未だに何の情報も手に入ってこなかった。
そんな彼らの元に長浜から一通の書状が届いた。
織田家家臣羽柴秀吉からの文であった。
ダンゾウが無表情にその文を読んでいた。
佐馬斗はダンゾウが文を読み終わるのを待って尋ねた。
佐馬斗「何が書いてあったんですか?」
ダンゾウ「ふん、サルのサル知恵よ。お市の方の侍女に浅井家の女が混じっているから我らに探って欲しいとのことだ。主の妹相手では危険が大きいゆえ我らに火中の栗を拾わせる魂胆よ。」
オビト「行こう。」
佐馬斗「いえ、貴男が出るほどではないでしょう。私が行きます。」
ダンゾウ「我らの正体に気づかれるでないぞ。」
佐馬斗は変装用の道具を取り出し身形を変えていった。
ダンゾウ達が部屋で密会をしている頃彼の奴隷の包帯の男はこの時美濃の山中にいた。
鍛錬のために山の中を走り、巨岩を見つけてはそれを自身の拳や手刀で破壊していった。
包帯の男の故郷には珍しい自然溢れる山での鍛錬は故郷の景色を忘れさせるものだった。
あの日、家族の引き裂かれて以来一度も故郷には戻っていない。
彼がこの地で生きていくには誰かの所有物になるほかなく、今はそれがダンゾウであった。
彼の所有者のダンゾウは彼に対しては獣として扱ってい、ただ彼の怪力を武器として手許に置いておくためであった。
彼が鍛錬を終えて城に戻ろうとすると気迫のこもった掛け声が聞こえ声のする方を見ると一人の少年が槍の稽古をしていた。
少年「えいっ!たぁ!はっ!…うぉ誰だ!」
包帯男の姿を見た少年は思わず腰を抜かしてしまいそのせいで転けて足を捻った。
包帯男は少年に悪いことをしたと思い彼を自分の肩に乗せて山を下りた。
少年「おい!下ろせ!自分で歩けるから。」
少年は肩の上で暴れるが包帯男の怪力で少しも動けない。
包帯男の怪力に関心しつつ、びくともしないことからとうとう大人しくなった。
少年は包帯男に声を掛ける、反応が薄かったが悪意はないようなのでこのまま連れて行かれるととにした。
山からでると、包帯男は立ち止まり少年の方に目を向けた。
どうやら次はどこに向かえばいいのか分からないらしかった。
少年「城だ。し、ろ。」
岐阜城を指差して、少年は目的地を告げた。
包帯男は黙っていたが、城に向けて歩き出した。
少年が城に帰ると、丁度信長が鷹狩りから帰ってきたところに出くわしすぐさま肩から飛び降り跪いた。
信長「お蘭か、いかがした。」
森蘭丸「はっ!山で槍の稽古をしていた際に怪我をした私をこの者がここまで連れて参りました。」
信長「であるか。」
信長は包帯男を一瞥すると城内に入っていった。
森蘭丸「今日は、助かった。かたじけない。」
信長がいなくなってから蘭丸は礼を述べて、自室へと帰っていった。
残された包帯男も彼の主のいる部屋へと帰った。