※この作品はR-18です。

胎間忍   作:内府

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第34話 地獄耳 ~~くノ一忍法帖からとりました~~

 美濃国岐阜城、この城の中に信長の妹のお市と長政の側室だった響子が江の乳母として住んでいた。

 響子「はーい、おいちかったできゅか?」

 江「だぁ!」

 響子「おお、それはよかったでちゅねー。」

 響子は母乳を飲ませ、江の背中を叩いていた。

 お市「響子殿、いつも江のことありがとうございます。」

 響子「いえ、私こそ乳母として手許に置いていただいて本当にありがとうございます。」

 お市と響子の関係は驚くほど良好だった。

 長政の正室と側室という関係であればこうまで仲はよくならなかっただろうが、その長政はすでにいなかった。

 響子が江に乳を与え終わると、茶々が響子に近づいてきた。

 茶々「きょーこ、きょーこ、遊ぼー。」

 響子「はい、茶々様。何がしたいですか?」

 茶々「んー、お手玉。」

 響子「では、そうしましょう。」

 茶々は響子によく懐いていた。

 響子の豊かな胸や存在感のある臀など女性的な体つきに関心を持ち遊びの際に触ったり、直接抱き着いてこっそりと揉んだりしていた。

 響子はその事に全く気づいていなかった。

 響子と姉が仲良く遊んでいるのに惹かれて初もその中に入り3人で遊び始める。

 お市はそんな3人を見て、父を亡くした娘達が悲しみに明け暮れていないことに安心した。

 

 侍女「お方様。兄君が薬師を寄越されました。お方様と姫達の健康診断をしたいとこのことです。お会いになりますか?」

 お市「兄上から?」

 お市は兄の信長が自分達のことを慮っていることを感じた。

 長政を殺したことをお市はまだ許すことができなかったが、娘達の健康には母として気になるところだった。

 お市「ええ、お通しして。」

 現れたのは長身痩躯の白衣を着た男で手には薬箱を持っていた。

 白衣男「お初にお目にかかります。私は曲直瀬道三の弟子で鬼龍院と申します。」

 侍女「まあ、あの曲直瀬の弟子ですか。」

 鬼龍院「ええ、本日はお舘様からお方様と姫様のご健康を確かめるよう命じられました。早速、診断を行います。」

 お市「ええ、お願いします。」

 鬼龍院と名乗った薬師は、お市や三姉妹の脈をとったり触診、問診を行い、侍女や響子に幼児の食事や白粉の危険性を指導した。

 鬼龍院「ですので、白粉には毒となるものが含まれるのでお気をつけください。以上で終わりですので帰らせていただきます。」

 お市「本日は、まことにありがとうございました。この子達が健やかに育つことは、私の願いです。」

 お市は鬼龍院に礼を述べ彼を遣わした兄に感謝した。

 

 鬼龍院は城から出ると人気のないお堂へと向かい夜まで待った。

 暗闇からダンゾウが現れるた。

 ダンゾウ「どうであった?」

 鬼龍院「ふっふっふ、噂通りでしたよ。やはりあの中に長政の子を孕んだ者がいます。一人の体から心音が二つ聞こえた者がいましたよ。」

 ダンゾウ「そうか。ご苦労だったな佐馬斗よ。」

 佐馬斗「それで、秀吉に報告されるんで?」

 ダンゾウ「まさか、儂らでことを進めて手柄とする。お主にも働いて貰うぞ。」

 佐馬斗「はい。」

 二人はそのまま闇の中に消えていった。

 

 ダンゾウは岐阜城内の信長の寝所へ潜入した。

 そこでは信長が床についていたが、気配を察し目を覚ました。

 信長「だれか?」

 ダンゾウ「儂だ。浅井の残党を見つけた。」

 信長「であるか。」

 ダンゾウ「お市の元におる。」

 信長「…もう一度もうしてみよ。」

 ダンゾウ「お市の元に浅井の残党がおる。」

 信長「信じられぬな。」

 ダンゾウ「だが事実だ、儂の部下に腹の子の心音を聞き分ける者がいる。其奴がお市の侍女の中に孕んでいる者を見つけたのだ。儂らでその女を掠い始末する。」

 信長「待て、儂もこの目で確かめる。」

 ダンゾウ「好きにしろ。」

 信長はお市の侍女達の仲がよく長政を失った悲しみから立ち直りつつあった、その中にこんな奴を行かせる訳にはいかないと思った。

 後日、信長はお市達の元に訪れることにした。

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