胎間忍 作:内府
アサギ達5人は岐阜城へと向かったムラサキの後を追い近江から美濃へ山の中をを移動していた。
彼女達の空気は重いものがあった。
ムラサキがいなくなったことに気づき追いかけているがかなりの間が空いてしまいムラサキとの距離は離れてしまった。
そんな中でアサギが重い口を開いた。
アサギ「ごめんなさいね、凜子。」
凜子「えっ?」
アサギ「貴女にきつくあたってしまったわ。」
アサギは凜子がムラサキ救出を止めた際に凜子を恨んだことを謝った。
凜子はムラサキを見捨てたくはなかったがアサギ一人を行かせることはできずに彼女を止めたのだった。
アサギ「私、どうかしてたわ。貴女は冷静に状況を見ていたのに…。」
凜子「いいんです、師匠。私もムラサキさんを助けたいのは同じです。こうしてムラサキさんを助けに行くことができて私もうれしいんです。」
アサギ「凜子……。」
師弟のわだかまりも消え、美濃へと近づく中で先頭を行くカカシが異変を察知した。
カカシ「待て。…血の匂いがする。戦闘があったのかもしれない。」
アサギ「本当ね。確認をして行きましょう。」
アサギ達は血の匂いの元を辿ってその元を探した。
アサギの胸中に不安がよぎった。
アサギ達が匂いの元に着くとそこにはムラサキが木に寄りかかっていた。
ムラサキは血を大量に流し口に吐血の痕もあり体が冷たくなっていた。
アサギ「いやあーーー!ムラサキーー!」
アサギの悲鳴が辺りに響いた。
冷たくなったムラサキの元へアサギが駆け寄り、彼女を抱き起こすもその体に温もりがなくただ重くなっていた。
サクラ「ムラサキちゃん、しっかり!目を覚まして!」
サクラも駆け寄りムラサキの体を揺するもその体は力なく動くだけだった。
凜子「ム、ムラサキさん……ごめんなさい、グスッごめんなさい。」
凜子はムラサキの救出にすぐに賛同しなかったことに強い自責の念を感じた。
自分がすぐに行動をしていればムラサキの危機に間一髪で間に合ったかもしれないと思うと自分のせいでムラサキが死んだように思えて立つこともできずその場に座り込んで泣き出してしまった。
ユキカゼは目の前の光景を信じることができず呆然としていた。
ムラサキは先輩くノ一としてアサギに次ぐ強さを誇っておりそんな彼女をユキカゼは自分の目標の一つにしていたが、そのムラサキが目の前で変わり果てた姿になっている状況を受け止められずにいた。
ユキカゼは知らない内に隣に立つカカシの袖を強く握っていた。
カカシは忍びとして任務に感情を持ち込み妨げになるようなことはなかったが、それでも目の前で仲間を亡くして涙を流して悲しむ彼女達の気持ちを思うと胸が痛んだ。
アサギ「ムラサキ……ウッウ、……ムラサキィィ……。」
アサギは冷たくなったムラサキの体を強く抱き締めた。
ムラサキの血がアサギの体を濡らし、アサギの体から熱を奪っていった。
ムラサキは何も見えない暗闇の中にいた。
ダンゾウに刺されて息もできずに苦しみ、体に痛みがあったが今はなんの苦痛もなかった。
ただただ、暗闇の中をより深く引きずり込まれるような感触に誘われた。
暗闇の中に引きずり込まれる中でムラサキはアサギ達や響子に申し訳ない気持ちで一杯になった。
ムラサキ「ごめんね……皆ごめんね……。」
仲間達への謝罪が自然と口からこぼれた。
その時、誰かが自分のことを呼ぶ声が聞こえた。
若い女「………ラサキ………………ム……サキ。」
ムラサキ「…誰だ……?」
アサギ「ムラサキ……ムラサキ!」
アサギが自分を呼ぶ声がはっきりと聞こえ、ムラサキは彼女の元へ帰らねばと思いその声に向けてもがき出した。
ムラサキ「…ア…サギ…様…。」
アサギが冷たくなったムラサキの体を抱き締めていると、ムラサキの体から微かに鼓動を感じた。
アサギ「……ムラサキ?」
ムラサキ「ヒューー、……グハッゴホゴホ……。」
先ほどまで全く動かなかったムラサキが息を吹き返した。
ムラサキ「ハァ…ハァ……ア…サギ……様。」
アサギ「ムラサキッ…ムラサキなの?」
ムラサキ「はい…、そうです…。」
アサギ達はムラサキが息を吹き返したことに喜びの涙を流しムラサキに抱きついた。
カカシは何が起こったのか分からず、ムラサキを観察すると急速に彼女の傷口が再生していくのが見えた。
この時、ムラサキの体では忍法・愛飛恵寿が覚醒していた。
この術は体液から子種を作り出すものであったがムラサキのアサギへと思いに反応してその効果が覚醒し子種ではなく損傷した組織へと変わり傷口をみるみると再生させた。
こうしてムラサキは死の淵から見事に復活した。
アサギ達は再びムラサキと生きて会えたことに感涙し、彼女に抱きついて喜んでいた。
この時、カカシは一人ムラサキと戦った相手のことを考えていた。
本調子ではないとはいえムラサキは優秀なくノ一であるがそのムラサキを倒す相手の実力に警戒心を抱いた。
夜の暗闇が東から昇る朝日によって終わりを迎えていた。
ムラサキの復活を祝すように朝日がアサギ達を照らし出した。