※この作品はR-18です。

胎間忍   作:内府

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第56話 愛の鞭 ~~胎間忍の里の様子です~~

 信濃の山深い所に胎間忍の里があった。

 この里には多くの胎間忍が在籍しているが、その全てが里の外で任務にあたっているわけではなかった。

 親方衆とよばれる一線を退いた幹部の者もいたし、胎間忍の見習い達もいた。

 その胎間忍の卵は任務には就かずもっぱら里で忍びとしての修行を行っていた。

 

 冬の信濃の雪で覆われた里の外れに雪の無い開けた場所がありそこで十数人の見習いくノ一達が寒さを堪えて修行をしたいた。

 このくノ一達は一番大きい者でも10歳ほどで下の方では5歳くらいであった。

 彼女達は一様に大地に刺された丸太に向かって並んでいた。

 幼い胎間忍「やっ!」

 背の低い胎間忍「えい!」

 小さい胎間忍「はっ!」

 どうやら彼女達は手裏剣の修行を行っていた。

 幼い胎間忍「やった!当たった!」

 背の低い胎間忍「ふぇ~、はずれちゃったよ~。」

 小さい胎間忍「よし、当たったわ!」

 幼いとはいえ胎間忍の卵である彼女達は当然のように手裏剣などの武器の修行も行っていた。

 背の低い胎間忍「グスッ…またはずしちゃった……。」

 先ほど手裏剣を投擲していた背の低い胎間忍が今にも泣き出しそうになっていた。

 そんな彼女を見かねた教官役のくノ一が背の低い胎間忍へと近づいていった。

 教官役の胎間忍「こらっ、胎間忍が泣くんじゃない!」

 背の低い胎間忍「だって、燐さまぁ…。」

 燐「泣くくらいなら修行に励め、敵は容赦してくれないからな。」

 背の低い胎間忍「はい…。」

 燐「分かったら、もう一回。」

 背の低い胎間忍「………、えい!」

 再び背の低い胎間忍が投じた手裏剣は今度は見事に丸太へと刺さった。

 燐「よし、よくやった。……ほらもう泣くな。」

 燐は先ほどまで泣いていた背の低い胎間忍の頭を撫でてやった。

 燐はこの里のくノ一の一人で任務に就いていないときはこうして後進の指導をしていた。

 燐の指導は厳しかったがそれは少しでも後輩のくノ一達が無事に帰って来られるようにとの優しさの裏返しであった。

 そんな燐の思いに後輩のくノ一達は応えるように懸命に修行に励んでいた。

 

 燐「よし、本日はこれまで。各自、修行は怠るなよ。それと冷えているから風邪をひかないように!」

 見習いくノ一達「はい!ありがとうございました!」

 本日の修行を終えて見習いくノ一達が燐に礼を述べた。

 燐は修行を終えてこれから何をするかと友と話し合っている見習いくノ一達を背に里の中央に向かって歩きだした。

 そんな燐の隣にいつのまにか一人のくノ一が並んでいた。

 このくノ一は朧といって最強と目されるアサギに匹敵する腕の持ち主であった。

 朧「燐、貴女ってほんとに後輩思いよね。」

 燐「朧様…、いえあの子達が少しでも無事でいればそれでいいのです。」

 朧「それを後輩思いというのよ。ところでそろそろあっちの方も教えているの?」

 燐「いえ、まだ早過ぎると思います。」

 朧「そう…、でも胎間忍である以上避けて通れない道だから時期が来たら、ねっ。その時は私も手伝うから。」

 燐「はい、その時はお願いします。」

 朧が言っているのは房中術のことであった。

 胎間忍の任務は女を武器にするものであり、当然ながら房中術に長けていなくてはならなかった。

 そのため、先輩くノ一が後輩くノ一の練習台になることもよくあった。

 燐と朧が並んで歩いていると白い息を吐きながら近づいてくる若いくノ一に声をかけられた。

 このくノ一は凜花といって朧の弟子で里の中では凜子と対で次世代の胎間忍の中心を担うと目されていた。

 朧「あら、凜花どうしたの?」

 凜花「師匠に修行を見てもらいたいので参りました。今からでもよろしいですか?」

 朧「ええ、構わないわ。何をするのかしら?」

 凜花「房中術をお願いします。」

 朧「分かったわ。ちょうど燐もいるから彼女にも手伝ってもらいましょう。いいわよね?」

 燐「ええ、かまいませんよ。」

 凜花「ありがとうございます、師匠、燐さん。」

 こうして朧達3人は連れ立って朧の住む小屋へと向かった。

 

 里で暮らす胎間忍の中で親方衆や20歳を超えたくノ一達はそれぞれの小屋を持っていた。

 そこで自分の娘と暮らしたり、内弟子と共に暮らすこともあった。

 アサギは現在は妹のサクラと共に暮らしていたが10年ほど前は一番弟子の凜子と引き取ったばかりのユキカゼの3人で暮らしていた。

 一人前になった凜子とユキカゼはアサギの小屋を出て

里の館に住んでいた。

 この館は一人前になったばかりの胎間忍が集団で住むためのもので一人一人に一室が与えられて生活していた。

 ムラサキも最近まではこの館に住んでいたがようやく自分の小屋を持つことができた。

 一方のサクラはというとムラサキと同じくらいには稼いでいたと思われるが金遣いが荒いのか蓄えがなく、姉の元に転がり込んでいた。

 

 朧はアサギに匹敵するくノ一なので彼女も自分の小屋を持っておりそこに凜花と燐を招いた。

 この小屋は特に変わった造りでもなく特徴などはなかったが小屋の主によく似た紅い花が生けられていた。

 朧「いらっしゃい、2人とも。さあ、あがって。」

 燐「失礼します。」

 凜花「ただい、あっ…失礼します。」

 朧「ふふ、この家に来るのも久しぶりだものね。」

 凜花は朧の弟子としてこの小屋に寝泊まりしていた。

 自分がいた頃と何一つ変わりなくほっとして、ついついただいまと言いかけた。

 凜花「失礼しました…。」

 朧「いいのよ。お帰りなさい、凜花。」

 凜花「…ただいま帰りました、師匠。」

 燐「ははっ、赤くなっているな凜花。」

 燐にからかわれた凜花は黙ってしまった。

 燐「それにしても、冬は辛いですね。そういえばアサギ様達は今は京にいるらしいですよ。」

 朧「そう、京ならアサギ達も楽に過ごせるかしら。」

 朧は京にいるアサギ達に思いをはせた。

 




 今回登場した朧達は対魔忍のキャラクターです。

 燐→上原燐
 凜花→紫藤凜花
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