胎間忍 作:内府
浅井家の将兵が配置に着く中一人の侍がくノ一に声をかけた。
ユキカゼ「んーなあに?」
浅井家の侍「その方らの元へ使に出られた横田殿はいかがした?」
ユキカゼ「えっ誰その人?」
サクラ「んーと私は会ったことないなー。」
ムラサキ「アサギ様が直接依頼を聞かれたお侍ではありませんか?」
アサギ「ええ、私が里でお会いしたわ。依頼を聞いた一度きりね、その時は深い傷を負われてたようだけどシズネさんが依頼についての説明をするからその後に容態が悪化したとしても適切に手当をするから大丈夫でしょう。」
凜子「シズネ様は我らの里のくノ一で医術の心得があるので、その横田様が深手を負われても命に関わるようなことはないでしょう。」
浅井家の侍「さようか、横田殿はこの城が落ちたとしても生き残られるか。それはなにより。」
この時アサギ達はシズネが綱手のお産に立ち会いそのせいで横田に手当が出来ず、すでに亡くなってしまったことを知らない。
アサギ達が横田について知っていること浅井家の侍に伝えると、侍は礼を述べ更に貴重な金平糖を渡した。
アサギがこんな高価な物は受け取れないと断るよりも速くユキカゼが金平糖を受け取ってしまったので仕方なく全員が頂くことにした。
金平糖をもらえたことは嬉しいが忍びとして安易に食料を人からもらうのは不用心であるとアサギは思い、ユキカゼを連れて本丸の館から出て人目につかないとこで叱ろうとした。
ユキカゼは時には天狗になることもあるが本当に師匠としてアサギを尊敬しており、アサギの表情から自分の不手際と師匠から受けるであろう指導を察し素直にアサギにと連れ立って館から出ていってしまった。
2人が出て行くとサクラは先ほど金平糖をくれた侍を探した。
アサギがいない内に先ほどの侍から金平糖以外にも何かもらえるのではないかと考え、大広間から出ようとしている。
そんなサクラの様子を見て凜子はこのままサクラを行かせると問題が起こるのではないかと考え、監視役としてサクラを追いかけていった。大広間にはムラサキが一人残されている。
ムラサキは先ほどのアサギからの命について考えている。
長政は美男子といってもよく普通の女であれば誰でも喜ぶであろう。ただ、自分の中では男より女を相手にしている方が気持ちがいい。その事については今回の命はありがたかった。しかし、自分が一番好きなのはアサギである。アサギの子を孕みたいし、自分との子をアサギに孕ませたいと思っていた。そのために必死で里の秘伝忍法の修行を積み、子種を相手に注ぎ孕ませる術と、相手の体液から擬似的に子種を作り相手が女であろうとその子を孕む術を会得した。
その事を考えるとやはり今回の命は役得などではなく、せっかくアサギと寝所を共にしてその痴態を目にする機会を逃す大損だと言えた。ムラサキはそんな訳で夜伽の前に乗り気ではなくなっていたがくノ一として依頼を成功させなくてはと自分に言い聞かせ気力を奮い立たせていた。
夜までにはまだ時間がある、ムラサキは夜伽の前に件の側室に挨拶をしようと思い大広間を後にした。